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nekonekoさん

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ぶんぶくお鍋

18/06/26 コンテスト(テーマ):第157回 時空モノガタリ文学賞 【 コメディ 】 コメント:0件 nekoneko 閲覧数:327

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 ある山奥深く入った森の中、数匹の子ダヌキ達が変身の練習をしていた。その中の一匹の子ダヌキが頭の上に葉っぱを乗せると、何やら呪文の様な言葉を唱え出すと辺りから煙りが立ち込め出し、次に「えっい」と気合の様な声を掛けると子ダヌキはそれは見事なカブト虫に変身した。それを見ていた周りの子ダヌキ達も我も負けじと次から次へと変身して行く。子ダヌキ達は桃やお箸、バッタ。と皆、思い思いの姿に変身していった。が、一匹の子ダヌキだけが変身が上手く出来て行かなかった。「えっい」と気合いを掛けて変身はするが、尻尾が残ってたりとか、耳が残っていたりとか、形が悪かったりとかしていた。「おい。狸吉お前、全然上手く出来ないな」「本当だ。本当だ」他の子ダヌキ達から声が上がった。「いや、でも、おいらこれでも一生懸命にやっているんだけど」狸吉は苦笑いしながらもまた変身を試みてみるが、やっぱり上手くいかない。そんな狸吉を見て仲間の子ダヌキから失笑が漏れ広がった。「狸吉。お前そんな事じゃあ、御先祖様に笑われるぞ」御先祖様。狸吉はその言葉を聞くと居てもたっても入られない気持ちになりその場から立ち去って行く。
 狸吉の御先祖様は、ぶんぶく茶釜に出て来るあの助けられた狸。それはそれは由緒正しき家柄の出。それ故立派な御先祖様を持つ狸吉にとっては変身が上手く出来ない事は一族の恥でもあった。それ故、狸吉はいつも肩身の狭い思いをしていた。「おいらだって、やれば出来る。出来るはずだと思う・・。」と段々と気持ちが萎縮し始めてはいたが、ヤル気はだけはまだ残っていた。そして、気がつくと人間が住む街の近くまで来ていた。まずい。ここまで来てしまったか。と狸吉は思った。そこは子ダヌキが来ては行けない事になっていた場所だったからだった。「まぁでも周りに人間の姿は見えないし。大丈夫だろ」と独り言の様に呟きながらも、取り敢えずは辺りを気にしてから、また、変身の練習をし始めた。何度か練習してもやっぱり上手く変身できない。やっぱり僕には才能が無いのかもしれない。御先祖様ごめんなさい。僕の出来が悪いから。狸吉は段々と哀しい気持ちになっていた。と、その時、「葉っぱを変えてみてやってみたら?」と不意に人間の子供の声が狸吉の耳に聴こえて来た。「えっ。あっ人間の声だ」我に返った狸吉は一目散に森の奥に逃げ込もうと走り出した。「待って狸さん。逃げなくても大丈夫だよ。僕は何もしたりしないから」狸吉はそれを聴くと、足を止め、ゆっくりと声のする方に顔を向けた。声の主は小学生の男の子。男の子は狸吉と目が合うと笑みを浮かべた。釣られるように狸吉もまた笑みを返した。「おめえ、名前何と言うんだ?」「僕は悟。君は?」「おいらは狸吉」「ところで、悟。お前へ葉っぱがどうとかさっき言っていなかったか?」「言ったよ。狸さん、変身の練習していたみたいだけど。あんまり上手く出来ていないみたいだから、葉っぱを変えてみたらてね」「・・。葉っぱを変えて見るか。うん、そを言うのも方法の一つかも知れない。わかった悟ありがとう」狸吉は今までとは違う葉っぱを手に取ると、それを頭の上に乗せた。「えっい」の気合と共に狸吉は蛇にと変身した。「うまいうまい。でも少し変なところが、まだあるよ」「大丈夫。大丈夫。それよりも悟のお陰でおいら大きなヒントが得られたような気がする」狸吉は少し有頂天になってる気がしながらも、次の葉っぱを手に取ると、また、変身の練習を始めた。「じゃあ僕は葉っぱを集めてくるよ」そ言うと悟は森の中の葉っぱ集め出した。そして、あらかた森中の異なった葉っぱが集められ、その中の最後の一枚を狸吉が頭に乗せ呪文を唱えると、狸吉は見事なお地蔵様にと変身した。「上手いよ狸吉さん。上手に変身出来ているよ」「そうか、ありがとう。悟、お陰で助かったよ」「いいって。いいってそんな事」それでも悟は少し自慢げな表情をして見せた。それから狸吉が聞く「それより、悟。お前はどうして、こんな所にいるんだ」「それは・・。」悟は少し気まずそうな顔をした。「いいから話してみろよ」「実は僕母さんと喧嘩して、家を飛び出して来たんだ。そして、あっちこっちをさまよい歩いていたらここに来ていた」と悟はポッリと呟いた。「わかった。じゃあ今度はおいらが恩返しをする番だ。仲直りをする切っ掛けを作ってやる」と言うと狸吉は立派な鍋へと化けた。「どうだ凄いだろう」「うん。凄い」「さあ、俺を持って母さんの所連れて行け」「うん。わかった」悟は家に着くなり母親に鍋を見せる。母親は余りの立派な鍋を見せられて上機嫌になり、今日は特に美味しい料理を作るはとばかりに鍋に水を入れるとレンジに乗せようとした時、鍋は元の狸へと戻った。悪いけど、おいらも御先祖様と同じ失敗をする訳にはいかないから。その後も、悟と狸吉との友情は続いた。


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