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小高まあなさん

鳥と怪異と特撮ヒーローが好き。 ひねくれつつも清々しい物語がモットー。

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なんて素敵な米日和!

18/06/25 コンテスト(テーマ):第157回 時空モノガタリ文学賞 【 コメディ 】 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:307

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「米粒一粒に、七人の神様がいるという都市伝説を聞いたことがあるかい?」
 茶碗に持ったご飯をモリモリ食べながら都市伝説探偵は言った。
 都市伝説探偵は世の中の都市伝説についてだけ調べている探偵だ。別に誰からの依頼がなくとも自分が気になったら調べ、勝手に満足している。不動産収入で食べている人間の、道楽である。
「都市伝説ではないと思いますが」
 あきれたように助手がつっこむが、都市伝説探偵はそんなことを気にしない。というか彼は、都市伝説以外の何かを気にしたことがない。
「一般的に茶碗一杯の米粒の量は3200粒と言われている。今日のこの昼ご飯で、我々は22400人の神を噛み殺している! 一日三食だと67200人だな! とんだ神殺しだ。いや、神噛み殺しだ」
 そして何がたのしいのか、がはははと笑う。だがすぐに、はっと何かに気付き、舌打ちした。
「私としたことが! 神ならば人ではなく、柱だな!」
 どっちでもいいよ、と思いながら助手は味噌汁を飲む。都市伝説探偵の謎推理に付き合う、それが助手の仕事だ。
「しかし、この都市伝説は根が深い」
「ですから、都市伝説ではないと思いますが」
「何せ年寄りも知っているからな。一体どれぐらい昔からある都市伝説なのか」
「むしろ、若い子の方が知らないのでは?」
「なるほど、廃れゆく都市伝説ということか。やはりその消えかかる原因は、パン食も増えてきたからだろうか」
「そうかもしれませんねー」
 めんどくさくなった助手はつっこみをやめ、適当に相槌をうつ。
「しかし、ココでいう神とはなんだと思う?」
「米の神様なんじゃないですかね? 八百万の神っていう」
「米の神様っていうやつは、毎日そんなにバンバン噛み殺されてていいのかね?」
 そもそも噛み殺されていないんじゃなかろうか、という当然の疑問を口にしかけて、賢い助手は思いとどまった。ソレをいうと、話が明後日の方に行って長くなる。
「マンボウ的な感じで、めちゃめちゃ生まれるんじゃないですか。一回に」
「なるほど、減らないように調整するのではなく、減ってもいいように調整する進化か」
 納得したように都市伝説探偵は頷く。
「しかし、一粒に7柱もいるとなると……なかなかにコストパフォーマンスが悪いな」
「コスパとかそういう問題ですかね」
「私が思うにだね、これは人間に対する神の愛だね。神を殺すことで一段上へと成長する……それを日常生活で行わせるための、神の愛だ」
「都市伝説なのでは?」
 話のとっちらかり具合に思わずつっこむ。
「神の愛を感じさせる、都市伝説なんだよ」
「もはや、都市伝説とは何か、という世界観ですね」
 都市伝説探偵は一事が万事、この調子だ。よくわからないことを一人で喋り、最終的に満足げに頷く。給料がこんなによくなければとっくの昔に辞めていた、と助手は毎日のように思うことを今日も思った。
「今日はなんというか、素敵な米の日だな!」
 ごちそうさま、と両手を合わせると、都市伝説探偵は朗らかに言った。今日も一人で勝手に満足したらしい。
「ところで、まさかと思いますが、それで“コメDay”、つまりこれはコメディ! とか言ってお茶を濁すつもりじゃありませんよね?」
 助手の言葉に都市伝説探偵は一度動きをとめ、
「そそそそンなわけないじゃないか!」
 妙にどもりながら立ち上がると、
「たまには私がお茶をいれよう、うん」
 言いながら食事を終えた皿を持って、キッチンへと消えていく。
 それを見て助手は一つため息を吐くと、残った最後の一口の米を、口に放り込んだ。
「ごちそうさまでした」


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