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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
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小説大学

13/01/06 コンテスト(テーマ):第二十一回 時空モノガタリ文学賞【 学校 】 コメント:9件 鮎風 遊 閲覧数:2959

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 山々が重なり合った奥地に廃村がある。そしてそこには廃校が残った。しかし最近リフォームされ、再び開校されたようだ。
 宇田川聡(うたがわさとし)は山を超え、息を切らして学校の門をくぐった。ここで教鞭を執るつもりだ。

 不景気の煽りで、リストラに合った。次の就職先をウェブ上で探していたら、ふと見つけた。
「蘇った山の学校、ここで教え、共に学びませんか」
 こんなキャッチフレーズだった。その後、奇妙な説明が続く。
 児童たちと共に暮らす、まかない付きの二年間の寄宿舎生活。ただし子供たちの要望には従うこと。未婚。年俸は1,000万円。
 宇田川はとにかくこの年俸に飛びついた。

「宇田川先生だね、よう来てくださった。私がこの企画の責任者です。こちらが昨日登ってこられた吉沢美智先生、そしてまかないのトヨさん。生徒たちは向こうの教室におります。二年間の教育、途中で放り投げないようにね。年俸は指定口座に振り込みますから、信用してください。私はこの上にある天狗山の山小屋に戻りますから、後はよろしくね」
 男はこうたたみ掛け、さっさっと引き上げて行った。
 年の頃は三十歳前後、背は高く、黒縁のめがねを掛けた、いかにもインテリ風な吉沢美智。そしてちょっと小綺麗なまかないのおばちゃん、トヨ。そんな女性たちに加え、三十歳半ばの、少し髪の毛が薄くなってきた並のオジサンの宇田川。
 三人はただ呆然と男を見送るしかなかった。だが、ここで戸惑ってるわけにはいかない。
「さっ、二年間の共同生活をスタートさせましょう」
 宇田川はリーダーぽく話し掛けた。それに美智は「そうね、まずは生徒たちに会ってみましょうよ」と返し、教室へと向かった。
 開校の日だが、父兄の姿が見えない。そんな不自然さがあるが、今までの謎めいたいきさつからして、これ以上の詮索をしても仕方がない。そんな納得をしながら、三人は教室のドアを開けた。
「これからみんな仲良く、しっかりと勉強して行きましょうね」
 宇田川はそう声を掛けたが、児童たちは狐につままれたようにポカンとしている。
 やんちゃそうな男の子三人、そして可愛い女の子二人、聡明そうだが言葉が通じない。
 なぜと困惑したが、ここは年の功、トヨが「さっ、みんなお腹がすいただろ。ここにお握りがあるから、食べなさい」と微笑んだ。子供たちからワーと無邪気な歓声が上がった。
 こんな出来事から山の学校は始まったのだった。

問1
 以上を読み、次に続く物語を考え、そのあらすじを記せ。

 サラリーマンの高見沢一郎、「何じゃこれ」と唸った。これがネット内の小説大学の入試問題なのだ。
 日々仕事に追われ、時として自分を見失ってしまう。そんな時に思い付いた。自分を取り戻すためには創作が一番、そう、小説を書いてみようと。だが素人、まずは指導が受けられる小説大学に入ろうと。
 そしていきなりだ、こんな入試問題が。だがここで立ち止まってるわけにはいかない。高見沢は妄想の果てに解答する。

 その後、子供たちは宇田川と美智の熱心な教育を受け、言葉が話せるようになった。そして一所懸命に知識を吸収して行った。
 こんな純朴な子供たち、だが変わった特徴があった。それは異常なくらいに生き物に固執すること。カブト虫から始まり、カエルに鶏、そして牛にと、その偏愛は大型動物へと移って行った。そしてそれはいつも雄雌の番(つがい)の組み合わせだった。
 開校され一年が過ぎようとする頃に、彼らの興味は人間へと向かった。つまり宇田川と美智にだ。
 ついに子供たちから番になれとの要望が出た。言い換えれば、二人の子供を作れということだ。
 これを断れば、契約不履行で年俸を手にすることができない。嫌いでも好きでもなかった二人、迷った末にやむなく番になることに。そして子供たちが観察する前で、これも教育の一環か、生殖行為を行わざるを得なかった。しかし、幸いにも翌年子供を授かった。
 これは一体どういうことなのだろか? しかし二年も経つと、今まで関わってきた事態が何だったのか、わかり始めた。
 まず学童たちは天狗山に降臨した宇宙人の子供たちだと。そして宇田川と美智を教材として、地球の生命体を学ぶ彼ら独自の児童教育だったのだ。
 今となれば、二人は誕生した生命を受け入れ、後悔はない。むしろその縁に感謝している。
 そして宇宙人の子供たちは、このプロセスを通し、地球の生命体が何なのかを学び、また森羅万象を支配する摩訶不思議な「運命」、それが地球にも及んでいることを確認したのだった。

 高見沢はこう解答した。そして三日後にその判定が届いた。
 合格です、と。

 これに喜んでみたが、最近高見沢は思う。他の受験者の解答はどんなのだったのだろうか、と。


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このストーリーに関するコメント

13/01/06 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

この話は着眼点が面白いね。
人間を題材に宇宙人の子どもたちが観察飼育の勉強ですか?
なんか学校で飼われている兎みたい(笑)

「小説大学」そういうのがあったら、私も入学して勉強がしたいです。

13/01/06 メラ

 なるほど、面白いというか、意外な視点で驚きました。でも考えてみると少し怖い話ですね。

13/01/06 草愛やし美

鮎風遊さん、拝読しました。

凄い設定の学校ですね、驚きました。この学校は何なのだろう?私自身も高見沢さんになったつもりで回答しようとちょっと思いました。続きが知りたくて彼の回答を読んでしまい概念が固定してしまいました。

しかし面白い発想ですね、小説大学、こんなSNSあればぜひ私も入試を受けてみたいです。たぶん落ちると思います。いやもしかしたら、合格するかも……どっちかいうと私も高見沢さん以上に変わり者ですから。

13/01/07 鮎風 遊

表紙の中の画像は、GATAGのFreePhoto2.0から借りてきました。

13/01/07 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

そうなんですよ、飼われた人間。
教育のためにね。
もっと怖くしたかったのですが、……。

13/01/07 鮎風 遊

メラさん

コメント、ありがとうございます。
実話かも知れませんよ。

13/01/07 鮎風 遊

草藍さん

もちろん合格ですよ。
小説大学、妄想達人の集まりです。

運営したいような気になってきました。

13/01/08 そらの珊瑚

鮎風さん、拝読しました。

二重の構成がとても面白かったです。
私だったら、どう解答を書くかな〜と考えてみるのも楽しいですね。

13/01/16 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

2000文字の中に二つのストーリーを。

こんな挑戦をさせてもらいました。
よろしく。

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