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斎藤緋七(さいとうひな)さん

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性別 女性
将来の夢 食べても太らない身体になること。
座右の銘 コンタクトです。

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この上ない理想の夫

18/06/08 コンテスト(テーマ):第157回 時空モノガタリ文学賞 【 コメディ 】 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:273

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「男の人のトレンチコート姿が好き。私、ケンジント○のロングトレンチコートが好きなのよねー。あれ、着てる人がいい。」
と、40オーバーの姉は言う。
「バー○リーじゃないとダメなの?」
「出来たらバー○リーがいいなあ。」
「25万はすると思うよ。」と言うと、
「もう!現実的なことを言わないでよ!」
と、怒られた。
「はよ、現実的に考え始めないと、今年四十五でしょうが。」
姉は15歳年が離れている私に言われると嫌みたいで少し黙ってまたしゃべり始めた。
「寒い時期に痩せてて背の高い40前後のサラリーマンがコートの襟を立てて、ちょっと猫背でクリスマスケーキの箱なんか持ってる姿に胸が『きゅんきゅん』するのー。どっかに、そんな人いないかしら、私の理想の人。」
「いないと思うよ。」
ストレートに答えると「夢がない」と頭をはたかれた。
「その年頃だと大概結婚してるよ?おねーちゃん、余りモノは嫌なんでしょ?」
「あまってるのなんて嫌よ!年々理想が高くなって行くのは何でだと思う?」
「『あの年まで一人でいたら妥協は嫌なんじゃないか』ってお兄ちゃんが前に言ってた。」
「さすが我が弟。私を知り尽くしてるわね。」
「お姉ちゃん!」
「なによ?」
「出会いを求めているなら外に出ないと!こんな時間までパジャマのままで妹と炬燵に入ってお菓子食べてたら出会いはないわよ!」
時計は15時半を指している。
厳かにスマホを取り出して、
「募集は掛けてるわよ。どうだ!」
「どうだ!じゃない!」
「危ない出会い系ばっかりじゃない。男も女もサクラよ!サクラ!」
「結婚相談所はお金も掛かるし…。」
「おねーちゃん、山ほど貯金持ってるじゃないの。」
「車買いかえるのよそうかな。」
とかなんとか現実的な事を言っていたわりには「○anda」をポンと即金で買っていたし。
「お姉ちゃん、結婚相談所はいつ行くの?」
と聞くと、
「うん、いつ結婚しようかな。」
と言うようになった!
「で、で、で、出会いがあったの!?」
思わずうろたえてしまう。
「『○anda』を買った時の担当さん。」
「ほら、やっぱりね、だから外には出ないとダメなのよ、おねえちゃん。」
「そうね、よく分かったわ。」
「幾つ?」
「今年、23歳。」
「にーじゅーさーん!!!」
腰を抜かす私とお兄ちゃん。
私とお兄ちゃんが腰を抜かしてる間に、お姉ちゃんは「まさかの妊娠」妊娠4ヶ月の時にさっさと籍を入れてしまった。
挨拶に来た「彼」が余りにも素敵で、
「嘘でしょー!」
と、お兄ちゃんのほっぺたを『ぎゅ』っとつねったら、痛いって言ってたから夢ではないと実感した。
姉と2回り違う旦那さんは、それくらい素敵だった。
「俺も車買おうかなあ。」
10年近く彼女がいない兄は真顔でつぶやいていたから、思わず笑ってしまった。
「お前も31だろ。厄の間に何とかしろよ。」と分からないことを言ってきたから、
「お兄ちゃんこそ。男の本厄じゃない。」
と言ったらもう何も言わなくなった。

彼の献身ぶりはものすごいものだった。
「とにかく、家事や子供の世話を全部やってくれるの。『君は大切な人だから何もしなくていい。』って。昼間は彼のお母さんとお姉さんが来てくれるし。彼の優しさが怖いの…。」

それから兄と私は狂ったように婚活に明け暮れた。が、実ることなくあっという間に私も四十路に手が届く年齢になったしまった。

姉夫婦は旦那の稼ぎが良く、
「君が勧めてくれたバー○リーのコートを買ってきたよ。」
「君が欲しがっていた車に買い替えようよ。」
みたいな生活を送っていて、ただただ羨ましかった。
「僕は三男だから、君の両親と二世帯で暮らそう。面倒を見るよ。」
喜ぶ両親、そしてそれに乗っかる兄と私。
「お義兄さん、よろしくお願いします。」
兄と私は年下の義兄に深々と頭を下げた。


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