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斎藤緋七(さいとうひな)さん

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性別 女性
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お前の生霊を飛ばしてくるな!

18/06/08 コンテスト(テーマ):第157回 時空モノガタリ文学賞 【 コメディ 】 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:266

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「百合子、おーまーえーなー!」
お昼休みにお弁当を食べてると隣のクラスの元カレ、相馬が怒って教室に入って来た。
「なによ!なんか用?」
私と相馬は幼馴染なので別れた後も、なんとなくは友達関係が続いていた。
「飛ばしてくんなよ!」
「は?なにをよ?」
「生霊だよ!お前毎晩、生霊になって俺の枕元に立ってるんだよ。自覚あんのか?」
「自覚はないけど。生霊くらいでガタガタ言わないでよ。ちっちゃい男ね!」
「お前、俺の活力奪ってるだろ!最近妙に疲れるんだよ。」
「何を根拠に言ってるのか、さっぱりわかりませんが?せいぜい新しい彼女さんに癒してもらったらどうですか?」
相馬はなぜか学園のアイドル、襟佳様からの猛アタックを受け、私を棄て、あっさりそっちに行ったのだ。」
「そうよ!百合子を恨むなんて筋違いよ!」友達たちが、ガヤガヤと加勢してくれる。
「百合子、この際、バンバン夢枕に立って、
こいつの活力奪って、生殺し状態にしなよ。」
一番美人の美智子が言う。
美智子、黙ってたら文句なしに美人なのに、スパイシーな性格だわ。
「もういい!帰る!」と言う相馬に、
「じゃあ今晩も、丑三つ時にね。」
と言ってやった。
「お前!訴えてやるからな!」
「確実にその訴えは棄却されますね。」
法学部志望の尚子にあっさり、負けている。
「俺は襟佳ちゃんに癒してもらう!」
と言って、自分のクラスに帰っていった。
「襟佳様に棄てられるのも時間の問題ね。」
尚子は楽しそうに、にたあと笑った。
その夜、「百合子、百合子。」
私を呼ぶ声が聞こえてきて目が覚めた。
私の隣には、十二一重を着たお雛様みたいなお姫様が座っていた。
「百合子、今日は相馬のところに飛ばずに寝ていたのですね。生霊を飛ばすにも体力が要りますから、たまに休むのはいいことです。」
「ゆ…夢?」
「私は貴女の守護霊のさゆりといいます。」
「はあ、私は須田百合子です。」
「知ってますよ。私は守護霊なんですから。」
「最近、渡辺相馬の守護霊から苦情が来ましてね。『気持ちは分かるが、百合子の為にも出すぎは良くない。相馬に関してはこちらでお灸を据えるから。一旦飛ぶのをやめにして、
任せてくれないか』」
「飛んでる自覚がないんです。どうすれば飛ぶのをやめる事が出来るでしょうか。」
「近くの神社に立ち寄り気持ちをお沈めなさい。心が浄化されるでしょう。」
そういって、さゆり姫さまはすーっと消えた。

数週間後、また相馬が、文句を言いに来た。
「何なの?襟佳さまに振られたの?」
「お前、俺の事呪ってるだろう。」
「面倒な男ね。忘れてたのに思い出したんじゃないの。呪ってないわよ。何を根拠に言ってるの?…って言うかあんた何?その包帯。」
「最近、足の指を骨折したり、頭に出来物が出来て日帰り手術したり、手首を捻挫したり、転んで頭打って脳震盪したり、大変なんだ。」
「うふふ。」
相馬の守護霊様がお仕置きをしてくれてるのね。
「笑うな!」
「ざまーみろって感じ。」と美智子。
「ケタケタケタとでも笑いたくなりますよ。」
尚子がクールな笑いを浮かべて言った。
あまりにもふがいない相馬が襟佳さまに振られたと言うニュースは学年中を駆け巡った。
「いい夢見れただけ、幸せなんじゃないの。」
「相馬はガキなのよ、幼馴染で知り尽くしてる百合子だからうまく言ってただけ。」
「『結婚するならお前だ。』って襟佳さまに言ってたみたいです。」尚子は意外に情報通だ。
その場にいた、女子全員が
「気持ち悪い!」さけんでゲラゲラ笑った。

それから私は女友達のお陰で楽しい高校生活を終えた。毎日神社に参るのが習慣になってしまい、就職してからも続けていた。そして、時々、さゆり姫が様子を見に来てくれていた。
「私、百合子の娘になって生まれ変わる予定なの。」「え!そうなんですか?」
「百合子は人が良すぎるからもっとそばにいてあげたいって霊界のお偉いさんにお願いしたのよ。だから、早く結婚しなさい、そして私を生むのよ!あなた,もう、30過ぎでしょ!」
結婚結婚…ってできるもんならしたいわよ!
と未来の娘に言いたかったが、老後もお世話になりそうだったので、私は何も言い返せなかった。


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