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リアルコバさん

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女子高

13/01/05 コンテスト(テーマ):第二十一回 時空モノガタリ文学賞【 学校 】 コメント:2件 リアルコバ 閲覧数:1898

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学校は教えてくれなかった
人を愛することを
学校は教えてくれなかった
優しさって何かを
学校は教えてくれなかった
生きていくのに何が必要なのかを

 独りきりの年の瀬は、お笑い番組の虚しい笑い声で紛らわすしかなかった。友人達のように帰る実家などはなく、かといって若い時のように何処かのイベントに出掛けるのも億劫に思えた。
 三十路、なんて嫌な言葉だろう。常識を分別できる大人など居やしないのに三十路と聞くたびに私の心は頑なに囚われて行くようだった。

 いつもと変わらぬ朝だ。カーテン越しに太陽の光が部屋を淡く染めて、何時もの様に起き出して珈琲を淹れてPCを開いた。【明けましておめでとう】SNSのページにには定番の挨拶が幾つも並び義務感だけで返事を書いた。
 【同窓会のお知らせ】年末に放置していた同級生からのメッセージを開くと成人式の日曜日に同窓会が開かれること、卒業以来会ってないんだから今回は是非に出席をと。なんともお仕着せがましい文字が並んで気が滅入った。今更何の意味もないと思う。

 その同窓会について気が変わったのは結婚など考えてもいない年下の彼と、初詣に行った帰り道だ。
「俺なら行くよ、だって懐かしいじゃん。好きだった人とか仲良かった奴等がどんなになってるか楽しいし、なんで行かないの?」
「それなんか意味あるの?」
「でた〜今年初の意味あるの攻撃。意味なんてないよ単純に楽しめばいいんじゃね。今の俺らみたいに」
「あんた私と居て楽しいの?」
「あったり前じゃん、楽しいからこうしてるんじゃん」
 この男の言葉は単純明快過ぎて救われる想いがする。
「そう・・・楽しいんだ」
「マチコさんさぁ、考え過ぎだってなんでも、世の中に意味ある事なんかたいしてないよ」
 意味のある事などない。そう言われても困ったものだが、その言葉に背中を押された様に実家のない故郷の駅に降り立った訳だ。

(第二高等学校第42回卒業生同窓会場)(5000円の会費でこんな会場ペイ出来るのかしら)受付で名前を書いていると
「うそ〜マッキー?」
すっとんきょうな声が微かに記憶に触れる顔と一致した。
「私よワタシ会田ひろみ」
「アイダー・・・」
 記憶を探るでもなく口から彼女の呼び名が出た。
「うわっそれ懐かしいハハハほんと久し振りどうしてた」

 過去の友人からこんなに歓待を受けるとは思っても居なかったので面喰らっていた。
「・・・だったよねマッキー」
 話しているうちにとどんどん記憶の引出しが開いた。
「ねぇ直樹くんってどうしたかなぁ」
「あぁあれから大変だったみたいよ」
 存在すら消していた記憶の引出しの封印が音を立てた。
「実はさ・・・」
 悪意の欠片もない旧友が遠い昔を噂した。

 二校は元々女子高だったが私達の時から共学となり、そして三人の男子が入学してきたが、『あんたら恥ずかしくないの』『なんか下心有るんじゃないの』女子高の伝統は多勢な女子生徒をを辛辣にサディスティックにさせていく。そんな中、男女交際を禁じた校則を破り、直樹と付き合うのは密かな優越感でもあったのだが・・・。

『あなたたちどういうつもりなの、夜の公園を出歩くなんて破廉恥な、我が校はね・・・』生活指導の女教師は昭和婦女子の代表選手のような言い方で嘆き、そのヒステリックに私は驚き涙で項垂れていた。『僕が誘ったんです、でもなぜいけないんですか?時間だってそんなに・・・』『そういう問題ではないのです・・・』
 噛み合わない言葉の応酬は白い壁と蛍光灯の明かりの教室を一層白くしていった。(なんで教室の壁は白なんだろうか?)逃避するように私はそんなことを考えた。
『・・・そんな考えでは本校に在学することは出来ませんよ』『解りました僕辞めます』売り言葉に買い言葉はそのまま現実となっていった。

「マッキー・・・マチコ、大丈夫?」
「えっ・・・」
「どうしちゃったのぼーっとして?」
「うんなんか懐かしくて色々思い出してた」
 彼女達は直樹が辞めた本当の理由を知らないくせに、大げさな噂話で学校中が大騒ぎになったもんだ。そしてこの会場でも同じだ。

「どうだった?」
「楽しかったわ」
「でしょ、行って良かったじゃん」
 どこまでも楽天的な顔でいつもの駅前の店のパスタを頬張る彼の言葉に意味などはない。でも思い出は封印する物ではなく、そっと放置しておけばそれはそれで意味深い記憶になるものだと頭の中でまた理屈をこねた。
「俺学校好きだったなぁ、もう一回行きたいくらいだな」
 そう言って笑った彼の顔が、風化して思い出せない直樹の顔に見えてきた。
「そうね、楽しかったのかもね・・・」
 あの頃があって今がある。学校が教えてくれたのかもしれない。



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このストーリーに関するコメント

13/01/05 草愛やし美

リアルコバさん、拝読しました。

学校で教えてくれたものは、目に見えるものや語られるものばかりではなかったんですね。思い出を封印していたものが引き出されていくさまがよくわかります。
学校って、そういうものかもしれませんね。もう二度と行かない、行けないもの。だからこそ、「あの頃があって今がある」のでしょうね、最後の文に納得している私がいます。

13/01/07 リアルコバ

 草藍さん コメントありがとうございます

まぁ女性の気持ちはよくわかりませんが 聞くところによるとこんな感じなのかなぁと 圧倒的に男友達の方が学校を楽しく思い出すような気がします(笑)

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