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なにかが空に浮いている

18/05/26 コンテスト(テーマ):第156回 時空モノガタリ文学賞 【 浮遊 】 コメント:1件 カンブリア 閲覧数:187

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 最初に気がついたのは誰だったろうか。
 もしかしたら、すべすべの真っ赤な風船をはなしてしまった子供が、ゆっくりと真っ青な空のなかの赤いぽつんに変わっていく友達を見送っていて気がついたのかもしれないし、
 満員電車の中で身動きが取れず、空を見上げることしかできないサラリーマンが、初めは目の疲れか、飛蚊症かと思って、目を凝らしてみると驚いたのかもしれない。
 いやいや、考えてみれば、最近見つかったわけがない。
 もしかしたら人間の産まれる前から、ステゴサウルスや三葉虫、そうした者たちの黒々と光る丸い瞳にさえ映っていたのかもしれない。
 高さは人によって違うように見えるようだ。
 ある程度の高さにあることは共通なのだと思うが、もしかしたら違うのかもしれない。
 他の国にだって、あるとも言えるようである。
 だが、あれはいったい何なのだろうか。
 最近目立たなくなってしまったUFO研究家たちは、どうして騒がないのか。あれこそUFOではないか。それとも、みなと同じように、頭から知らず知らずのうちに追いだしてしまい、いざ取り上げようとすると後回しになってしまうのか。
 しかし、どれほどの大きさなのだろうか。
 もしも、落ちてきたらどうするのだろうか。
 たとえば、それは高さにも影響されるだろう。ここからの距離とを考え合わせると、どのような被害が生まれるのか。
 まさか地球よりも大きいはずはないのだが。
 そんなはずはないと、誰もが思っているのかもしれない。
 あんな小さな点のようなものが、そして、見る人によっても姿を変える? 本当に?
 そうしたものが、実在していて、落ちてくるわけがない。
 そんなことは考えるだけで馬鹿馬鹿しい。
 その姿勢の方が正しいだろう、少なくとも、人生を送っていく上で、そのような些末事、に、いや、それは、些末事だと言えるのか?
 もっとよく見てみよう。
 しかし、双眼鏡や、その他の観測機をつかうと、いったいどういうわけか見つからないのだ。眼球の異常ではないということは確かである。
 だから、目を凝らしてみるしかない。
 全体としては、丸とも言えるのだろうか?
 だが、角ばっているような気もするし、なにかが飛び出していなくもないようだが……
 動いた気もする。
 人ではないだろう。
 たとえば、力学的なつり合いの中に捉えられ、まさか地上にたどり着けなくなってそのまま空で暮らしているスカイダイバーでもなかろうし、
 飛ぶことがあまりにうまくなったトンビでもないだろうし、
 あるいは誰かの顔が体に飽きてしまって飛びたったのか、
 もしかしたらあれは地球の種子で、これから宇宙へと旅立つのか、
 それとも他の惑星からの探査機か、
 やたらとのんびりした隕石、
 魔術師の住処、
 浮遊大陸、
 ブラックホール。
 何なのかわかるわけがない。
 ひとつだけ言えるのは、あれは今日も空にあるということだ。
 暮らしは続いていて、あれは浮いている。
 誰もが見たことがあるのに、誰も知らないあれは……


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このストーリーに関するコメント

18/05/27 文月めぐ

拝読いたしました。
空に浮いている「あれ」が何なのか、非常に気になりました。想像力掻き立てられる作品でした。

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