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清野勝寛さん

性別 男性
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ハイパーエスケープガール

18/05/17 コンテスト(テーマ):第156回 時空モノガタリ文学賞 【 浮遊 】 コメント:0件 清野勝寛 閲覧数:349

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ぷっかぁーってしてる、あたし。
今日も現実逃避だよ。

ふわふわついでにひとりごと。
いや、今はキミもいるからふたり、だね。

例えば、あたし一人この星で生きていたとしたら、とか時々思う。
だって誰かと関わるのって面倒くさい。
誰もいなかったら、めっちゃ楽じゃん。
いちいちおしゃれしなくても、おでかけ出来るし。

……え? おしゃれが趣味ぃ? 本当かなぁ?

だって、その美的感覚は他者から与えられた外的要因をもとに基準が作られているよね? つまり、外的要因を基に培われた美的感覚でもって着飾った自分を第三者の目に見てもらうというのが君の趣味ってことだ。
テレビとか雑誌とか、後は友達とか家族とか、そういうものから基準を得て、そういうものから評価されたいってことになるよね。
だから例えば、もしも世の中の人間全員が素っ裸で生活していたらどうだろう? キミは一人服を着ようって思うかな?

えー? 見てもらう必要ないの?
じゃあキミってちょっと変態かもね。あ、もちろん良い意味でね。

まず外的要因もなしに興味を持つっていうのは一つの才能だと思う。感性が豊かな証拠だね。
キミはきっと生涯を掛けておしゃれをする、おしゃれに命を懸けるんじゃないかな。

……んー、そういうことじゃない? 難しいなぁ。
でもまぁしょうがないよね。
だって、あたしらは既に外的要因に毒されちゃってる。

くだらない? だって退屈なんだもーん。

ぷかぷかしてようよ、ここでさ。
必死になったっていいことないし。
楽しいことも楽しくなくなっちゃうし。
誰かとぶつかっちゃうし。
ぷかぷかしてるだけならさ、誰にも迷惑かけないじゃん。

それだけが全て、それだけが生き甲斐って言っても結局はバランスが一番大事。顔がいいとか頭がいいとか、それだけで生きてる人も……まーいるか。
いるよね、たぶん。
あたしもやっぱり不細工よりイケメンがいいもん。
あたしブスだけど。
求めるものは常に高くってね。

あーだるいなぁ。
このままゆるーっと時間が過ぎて、ゆるーっと死にたい。
みんな生き急いでるよねぇ。死に急いでるともいうかも。
齢二十そこらのあたしが言うのもなんだけど、十年かそこらで達観して大人ぶったって損するだけじゃんね。将来のことなんて今考えたってなるようにしかならないし。明確な夢や目標があって、それに向かって今を全力で、っていうならギリわかるけど、時間は限られてるわけだし、どうせなら思いっきりその時しか出来ないことしたらいいのに。勝手に悟って死んだりとか、ホントばっかみたい。これはあたしの主観だけど。
あたしはここでこうやってひとりキミとお話していられるだけで満足だから。
順風満帆、あたしの人生。

……あ、そうだ。ついに買ってきたよー高級メロンパン!
あたしは昨日食べたけどイヤーもうめちゃ美味しかった。外はカリカリクッキーみたいで、中はフワフワ綿菓子みたいなの! 慌てなくてもこれは君の分だから。出来立てじゃあないけどきっとおいしいよ。さ、食べて食べて。

うんうん、いい食べっぷり。
毎日ご飯を作ってあげたくなっちゃうよ。
……はい、お粗末様でした。
また今度違うの買ってくるから、暇潰しの相手よろしくね!


そう言って頭をポンと叩くと、チャッピー(仮名)はすっと羽を羽ばたかせて大空へ舞っていった。彼が見えなくなるまで手を振って見送った後、腕時計で時間を確認する。調度昼休憩が終わる時間だ。この国はルールで人を縛り過ぎている。もっと柔軟で自由な形を作らなければ新しいものは生まれない。誰もがその事に気が付いているというのに、誰もがそれを受け入れてしまっている。やがて衰退していくだろう未来をお国の為、なんて言って変えようとする志士達はもういない。仮にいても、戦う力を持っていない。自分が生きているうちはまだ大丈夫だろう、そう思っている人の方がきっと多い。或いは何も考えていない、か。あたしも偉そうなこと言える人間じゃないけど。今を自由に生きていられるのなら、何かが起こって死んでしまっても構わない。どうせ対した意義も見いだせないわけだし。
つまりどういうことかというと、やってられるかこんな人生ってこと!

ああ、チャッピーと一緒にあの大空へと飛び立つことが出来たならどれだけいいだろう。
そんなこと言いながらあたしは生きる為どうすべきかを理解している。
働かなければ生きていけない。
つまらなくてもムカついても、エスケープは許されない。
現実逃避の時間は終わったのだ。

でーもーなーぁー。
めんどーなんだよなー。

今日を生きることで手一杯です。いやホント……。

そうだ。帰ったら美味しいプリンでも買って食べよう。
それが、今世紀最大級のあたしの幸せ。


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