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風宮 雅俊さん

テーマに沿った物語を、どのくらいのレベルで書けるかな? と言う事で登録してみました。 アマゾンの電子書籍キンドルで作品出してます。こちらも宜しくお願いします。 ツイッター: @tw_kazamiya

性別 男性
将来の夢 世界一周の船旅で、船室に籠って小説を書く事
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海月の気持ち、大王具足虫の気持ち

18/05/01 コンテスト(テーマ):第156回 時空モノガタリ文学賞 【 浮遊 】 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:243

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 太陽の光がキラキラと光る。
穏やかな風が波頭を撫でていく。

波間を漂う海月は、波に合わせて傘を開き・・・、傘を閉じる。
明確に存在する、波と言う天井。そして、果てしない深淵。どこまでも続く、限りの無い底。
 海月は思った。
光のない深淵の彼方に底はあるのだろうか。誰も見た事がない底が存在するのだろうか。
そして、海月は波間に漂っていた。


 果てしない深淵の底、時間も季節もなにもない。色もない。あるのは、朽ちて砂となった岩と時折落ちてくる死肉の破片。圧倒的な静けさの中に大王具足虫がいた。
 大王具足虫は思った。
光のない漆黒の向こうに何かがあるのだろうか。自分以外の何かがいるのだろうか。
そして、大王具足虫は深淵の底にいた。


 海月は、動かないでいた。
キラキラ光る天井が見えなくなり、何もない。上もない下もない。天井もない底もない。
ゆっくりゆっくり沈んでいく。
 何時間も何日も、もはや沈むも浮くも流されるも温度も、五感に届く何ものもなかった。
ただ、漆黒があるだけだった。


 大王具足虫は、動かないでいた。
動かない事が生活の全てだった。何か月も何年も。
動く事は餓死を意味する事だった。感じる事は餓死を意味する事だった。考える事は餓死を意味する事だった。
ただ、動かない事が生を意味していた。


 海月は、気が付いた。
体にあたる何かに。
しかし、そこにあるのは漆黒だけだった。


 大王具足虫は、気が付いた。
体にあたる何かに。
しかし、それは死肉ではなかった。


 漆黒は全てを包み込んで、そこにあった。


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