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いっきさん

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ゴミ国

18/04/03 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 いっき 閲覧数:439

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 誕生したばかりのその国は、自国の成立のため、ゴミを周辺の国から譲り受けることを始めた。ゴミを受け取ってそれをビジネスとする……所謂、『ゴミビジネス』を始めたのだ。
 そのため、周辺諸国からは『ゴミ国』との異名で呼ばれることとなった。

 ゴミ国は、飲食業の盛んな国から大量の残飯を譲り受けて、国民の食料とした。
 そして畜産業の盛んな国からは、大量の畜糞を譲り受けて堆積して肥料とし、それを農業の盛んな国に売り渡した。

 初期のゴミ国のゴミビジネスはこの二つのみであったが、小さなその国は徐々に財を蓄えていた。
 何しろ、食料は産み出さずとも手に入るし、畜糞を堆積するだけで金になるのだ。財力は年々上がっていった。

 ゴミ国は次には工業国と取引をするようになった。
 まずは工業国に溢れていた大量のプラスチックゴミに目をつけた。プラスチックゴミは環境面の問題から工業国も処理に困っていたものであったので、引取りは有償にすることができたのだ。

 プラスチックゴミは、ゴミ国にあった火山の火口に廃棄された。

 火口の灼熱によりプラスチックは跡形もなく消えるかに思え、さらに有償で引き取ることができるメリットから、ゴミ国は年を経るごとにより大量のプラスチックゴミを周辺諸国から引き取り、廃棄した。

 プラスチックを引き取る際に得た金はゴミ国の財として貯まる一方だった。

 ある時、ゴミ国の火山活動は突如停止した。

 すると、どうだろう。今までずっとプラスチックゴミを廃棄していたその火口は、高温でプラスチックが溶解したことに由来する、大量の石油を蓄える油田と化したのだ。

 ゴミ国は石油を周辺諸国に売ることで、膨大な額の富を得ることができた。

 そして、ゴミ国はその後もゴミビジネスの手を止めることもなく……空き缶や冷蔵庫、廃車。そういった金属や家財道具等の廃棄物を周辺諸国から受け取り、それをリサイクル品として輸出することで、最大の富を得ることができたのだ。

 やがてゴミ国の財力は最大規模にまで拡大し、産業や科学技術は周辺のどの国よりも著しく発展した。

 発展するとともに、ゴミを出す側となったゴミ国はゴミビジネスを行うこともなくなり……周辺諸国よりは大きな『普通』の国となった。

 それから長い年月が経ち……。その国の国民は、自国の発展がゴミビジネスによるということも、自国が『ゴミ国』の異名を持っていたことも完全に忘れ、周辺諸国と産業を切磋琢磨し競い合うようになっていた。 良くも悪くも、普通の大きな国となってしまったのだった。


 誰もが『ゴミ国』という名称を完全に忘れた、その頃。
 誕生したばかりのその国は、自国の成立のため、ゴミを周辺の国から譲り受けることを始めた。ゴミを受け取ってそれをビジネスとする……所謂、『ゴミビジネス』を始めたのだ。
 そのため、周辺諸国からは『ゴミ国』との異名で呼ばれることとなった……


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