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黒江 うさぎさん

はじめ、まして。くろえ、うさぎと、もうし、ます。 なんでも、かきます。 けっこう、ほんとうに、なんでも、かきます。 あと、おしゃべり、にがて、です。 よろしく、おねがい、します。 Twitter→@usagi_kuroe いろんな、ところで、しょうせつ、かいてて、それを、かえんに、てつだって、もらって、ほうこく、しています。 よかったら、みて、ください。 あ、かえんは、わたしの、しんせき?きょうだい?そんな、かんじ、です。 たくさん、たくさん、てつだって、もらって、います。

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アイラブユゥ、ユゥラブアイ

18/04/02 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:314

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 私の両親は、とても優秀な遺伝子工学の研究者だった。
 いくつもの不治とされて来た病の治療法を発見し、功績の数は両の手だけではとても足りない程、優秀な医者。
 …だから、私の両親は殺された。
 両親が考案した…遺伝子を書き換え、新たな生命体を創造するという、神にも等しき技術を欲した者達の手に寄って。
 結果その技術は奪われ、軍事国へと渡り、その軍事国の手違いにより情報を漏洩し、大規模な戦争が始まった。
 多くの国が兵器として生命体を造り、戦場に投入した。
 数多の生命体が造られ、数多の生命体が天寿を全うする事無く死んでいった。
 そして、戦争が終結してから三年後。
 私は、当ての無い旅をしていた。
 旅の目的は、唯一つ。
 両親を殺した奴等への、両親から技術を奪った奴等への、その技術を軍事転用した奴等への、その技術によって生まれた生命体への、復讐。
 たった一人生き残ってしまった私が私に課した、生きる理由だった。

 ある研究所で、一匹の造られた生命体を見付けた。
 少女の形をした、生命体だった。
 その生命体はどうやら酷い実験を繰り返し受けたらしい、私を見るなり怯えた様に震え、部屋の隅へと逃げる。
 いつもなら殺していた。
 それが正解だったから。
 ただその生命体が持つ能力は今までに存在していたあらゆる生命体を凌駕している事を、私は知っていた。
 もしもうまく育てる事が出来たのなら、強大な戦力になる事は間違いない。
 だから。
 そう、だからなんだ。
 だから私は、その少女の形をした生命体を拾って、育てる事にした。
 名前はアイ。
 昔私が飼っていた犬の名前。
 私が手を差し伸べると、少女の形をした生命体…アイは、
 まるで、神に救われたかの様な目をして、私の手を取ったのだった。

「ユゥ、今日もユゥのご飯、美味しいね」
 やめろ。
「ユゥ、今日はね?ユゥの好きな色のお花を摘んで来たの」
 やめてくれ。
「ユゥの嫌いな生命体、今日も沢山殺せたよ」
 頼むから。
「ねぇ、ユゥ。
 私、ユゥに出会えて、ユゥが拾ってくれて、本当に…ほんとうに良かった」
 やめてくれよッ!
 なんでだよッ!
 なんでそんな…そんな心の底から信頼し切った目で私を見るんだよッ!
 私は…私はお前を復讐の道具としてしか見てないんだッ!
 それぐらい…それぐらい分かるだろッ!?
「私はユゥの道具で良いの。
 私を必要としてくれるユゥの役に立てるなら、
 …こんな怪物みたいな私の力が、ユゥの役に立てるのなら、
 …私、ユゥの道具でも、玩具にでも、なんにでもなるよ?なんにでもなれるんだよ?」
 アイはそう言って微笑む。
 屈託の無い、とても…とても嬉しそうな笑みで。

 夢を見た。
 両親が殺された時の夢。
 あの日から何度も何度も見た夢。
「ユゥッ!ユゥッ!」
 私を呼ぶ声に導かれ、私の意識は覚醒する。
 目覚めた私が最初に見たのは、ランプを掲げ、ボロボロと涙を零して私を覗き込むアイだった。
「ユゥッ!?大丈夫ッ!?」
「…アイ…」
「良かった…!
 ユゥ、ずっとずっと苦しそうにしていたから…。
 本当に…本当に良かっ」
 アイの言葉を遮る様に響く、ドタン、バタンという音と、
「ぐっ…ひゅっ…!」
 アイが、苦しそうに喘ぐ声。
 …私は、アイに馬乗りになって、アイの首を絞めていた。
 手にどんどん力が入っていく。
 …アイが本気になれば、私は五秒と掛からずミンチになっているだろう。
 しかしアイは、その力を使う事無く、
 それどころか、微笑み、私の頬を優しく撫でたのだ。
 …人と同じ血の通う、温かい手で。
 私ははっとして、アイの首から手を放す。
 アイはヒュー、ヒューと細い息を吐き、床にぐったりと伸びていた。
 …嗚呼。嗚呼。
「…アイ」
 アイは私の呼び掛けに、未だ苦しそうな顔を向ける。
「…どうか、したの?ユゥ」
「…これから先も、お前には私の復讐を手伝ってもらう。
 これから先も、ずっとずっと」
「…勿論だよ。
 私は、ユゥの道具だもの。
 ……ううん、それだけじゃない。それだけじゃないよ」
「…?」
「私は、ユゥが好き。
 大好き。とってもとっても、大好き。
 …だから…だから…」
「…なぁ、アイ」
「?」
「…朝になったら街に出て…一緒に何か美味しい物を食べに行こう」
「…うんっ!」

 アイ。
 アイ。
 ありがとう。
 こんな私に。
 ただ復讐をする為だけに生きている、亡霊の様な私に、大好きと言ってくれて。
 ありがとう。
 ありがとう。
「…私も、大好きだよ。アイ」
 私に馬乗りになり、涙を零し、唇を噛み締め、
 …私の喉に刃を振り下ろすアイに、私はそう言って、微笑んだ。

 そうして、私の復讐は、
 ようやく、終わりを告げたのでした。


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