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蒼樹里緒さん

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空き缶投げはスポーツです

18/04/02 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 蒼樹里緒 閲覧数:327

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『五味市空き缶投げ選手権大会』、ついに本日、決勝戦が開幕です! 五味中央区立五味第三中学校校庭から、生中継でお伝えしております。
 試合開始前に、ルールをご説明いたしましょう。
 アルミ缶用・スチール缶用の大型回収ボックスに、出場選手が指定の位置から空き缶を投げ込んでいきます。制限時間三分以内に、最も多くの空き缶を投げ込んだ選手が優勝です。
 小中学生部門・高校大学生部門・社会人部門・高齢者部門の各予選トーナメントを勝ち抜いた三名、計十二名の選手が集い、頂点を競います。
 回収ボックスは選手の人数分用意され、各部門で六個ずつ並べて使用します。回収ボックスまでの距離も、只今画面に表示されておりますように、部門ごとに差があります。最大で十五メートルの距離です。空き缶を素早く正確に投げ込むことが、勝負の分かれ目となります。
 ――選手たちが準備を始めています。大きなゴミ袋には、ご自宅からの持参に加え、五味市内で集められた一部の空き缶も含まれますので、相当な量です。
 小中学生部門の優勝候補として名高い、ここ五味第三中学校二年生の原田選手。野球部ピッチャーとしての身体能力や投球技術を活かし、決勝戦まで勝ち上がりました。今回も優勝すれば史上初の八連覇達成ということで、期待が高まりますね。
 高齢者部門、決勝戦初出場の積木選手のご自宅は、ご近所では『ゴミ屋敷』と呼ばれ有名とのことですが、本日はその一部のゴミを持参したようです。
 空き缶はすべて洗って持ち込むというのも参加ルールですので、この会場にも異臭は一切漂っておりません。普段のゴミ捨てにおいても、瓶や缶、食べ物の使い捨て容器は必ず洗ってから捨てるという市民の皆さんの習慣が、今回もよく表れていますね。
 五味市が長年取り組んでいる、ゴミのリサイクル活動の一環として始まったこの大会も、今年で記念すべき五十三回目の開催を迎えます。校舎内を含む観客席も既に超満員で、応援も盛り上がりそうですね。
 選手への応援メッセージや、優勝選手予想投票を受付中です。番組公式サイトのメールフォームから、もしくはテレビリモコンのDボタンを押して画面上でご入力ください。ご覧の素敵な視聴者プレゼントもございますので、ぜひ奮ってご参加ください!
 ――さて、小中学生部門の開始準備が整ったようです。果たして、優勝は誰の手に輝くのでしょうか。
 決勝戦、ついにスタートです!
 ――おーっと、速い速い! さすが原田選手。アルミ缶とスチール缶を、交互に次々と投げ込んでいきます。序盤から一度も缶をボックス外に出していない、驚くべき正確性です。
 対する五味第一中学校三年生、森山選手も負けてはいません。ペースは原田選手より若干緩やかではありますが、バスケットボール部キャプテンとして活躍した実力を見せつけていますね。
 そして紅一点、五味中央小学校四年生の松岡選手。スイミングスクールで鍛えているという全身の動きも活かし、男子二名の勢いに食らいついていきます!
 早くもハイレベルな展開を見せる決勝戦。観客席からも大きな声援が飛んでいます。
 原田選手の八連覇なるか、それとも、森山選手と松岡選手の逆転初優勝なるか!?

  ◆

 第五十三回『五味市空き缶投げ選手権大会』、表彰式が始まりました。
 各部門の優勝選手の首に、五味市長から銀色のメダルがかけられていきます。缶の絵が大きく彫られたメダルは、今回も選手たちにとって誇り高い勲章となるでしょう。
 そして、優勝賞品も授与されます。清涼飲料水一年分セット、五味市オリジナルデザインのビッグサイズエコバッグ、五味市内全商店街で本日から半年間使える割引券という豪華特典です。
 原田選手は史上初の八連覇達成という快挙を成し遂げ、今後の出場にもさらに期待が……おぉ、原田選手の胴上げが始まりました。野球部のメンバーと監督が中心でしょうか。青空の下、原田選手の体が高く浮かびます。爽やかな光景ですね。
 そして、高齢者部門初優勝の積木選手、晴れやかな表情です。今大会へのご参加により、ご自宅のゴミが少しでも減ったことへの安心感もあるのかもしれません。
 このようにゴミを楽しく活かし、ゴミ捨てやリサイクル活動への意識がさらに高まっていくという意味においても、今年も素晴らしい大会となりました。
 ――さて、放送終了時刻が迫ってまいりました。
 この後のヒーローインタビューは、後程番組公式サイトの動画ページにて配信いたします。ぜひそちらもご覧ください。
 実況は私、五味市に生まれ育って四十年、水野がお届けいたしました。

 それでは、来年のこの時期にまたお会いいたしましょう。空き缶投げはスポーツです!


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