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霜月秋介さん

しもつきしゅうすけです。 日々の暮らしの中からモノガタリを見つけ出し、テーマに沿って書いていきます。

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消費、消費、消費…

18/04/02 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:1件 霜月秋介 閲覧数:474

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 最近、時間が過ぎるのがとてつもなく早い。
 好きなタレントのSNS更新が気になったのがきっかけでスマートフォンをいじり始めると、いつのまにか一時間も二時間も時間が過ぎているなんてことが最近よくある。毎週観ているテレビドラマが、続きが気になるところで来週へおあずけになった、と思ったらもう既に一週間経って続きが今日観れる、ということも。月ごとにはがしているはずのカレンダーだが、一週間ごとにはがしているように感じてしまう。今年の抱負を語っている内にもう一年が経っている。真新しいことを何もせずにネットのニュースばかりを追いかけているうちにどんどん時間が流れていく。年をとると時間が過ぎるのが早く感じると聞くが、それにしても早すぎる。
 早いのは時間ばかりではない。最近、ゴミ袋にゴミが溜まるのもとてつもなく早い。底にちょっぴりだけごみが入っていたはずの町指定ゴミ袋が、二日も経たないうちに六袋も満たされている。そのほとんどは、スーパーで買ってきたお惣菜が入っていた容器やカップ麺の容器だ。一人暮らしで自炊が面倒でついつい、インスタント食品などの容易に食べれるものに手が伸びてしまう。だからなのか、お金が減るのがとてつもなく早い。外食する機会も多く、さらにネットで便利なものを探しては頻繁に購入。そして何年も使わないうちに壊れて新しいものを買う。財布の中で表情ひとつ変化させないお札達の顔だが、その枚数は著しい変化を見せる。汗水流して必死に働いて得たお金が、瞬く間に消えていく。しかし新しいものを手に入れるたび、それなりに楽しめてはいる。

 しかしそんな日々を繰り返していたある日、異変は起こった。仕事帰りにいつものスーパーに寄ってお惣菜やカップラーメンを買おうとしたら、どのお惣菜もカップラーメンもすべて売り切れていたのである。そのスーパーだけではなく、別のスーパーやコンビニにも何処にも、お惣菜もおにぎりもカップラーメンも、手軽に食べられるものは何も売っていなかった。ならばと思いラーメン屋に行こうとしたら、今度はどのラーメン屋も休業。ラーメン屋だけではなく、他のレストランも居酒屋も閉まっていた。諦めて家に帰った俺はテレビのリモコンを手にした。すると今度はテレビがつかない。特別観たい番組があったわけではないが、音が無いのは寂しい。しかしどうやってもテレビはつかない。故障だ。仕方が無いので、俺は埃がかぶったラジオに久しぶりに手をかけた。しかしラジオもつかない。部屋の電灯はついているから、電気を止められたわけではない。家には食品の買い置きが無く、空腹のまま長い夜を過ごさなくてはならない。なんて日だ。
 その翌朝、今度は俺のスマートフォンの電源が入らなくなった。いつもスマートフォンの目覚ましを利用しているので、それが鳴らないために俺は寝坊をしてしまった。走ったのでは出勤時間に間に合うのが厳しい為にタクシーを呼びたかったが、家の固定電話も何故か壊れていて結局走るしか無かった。おかしい。昨晩から、何かがおかしい。
 それからまた更に、エアコンが作動しなくなったり、全自動洗濯機が壊れてしまったり、お掃除ルンバが家出したりと、家の便利な電化製品が次々と使い物にならなくなっていった。偶然という言葉で片付けられないほど、不運が続きすぎている。まるで誰かの仕業のように。

――――――

「ふははは、いい気味」
「見ろよアイツ、こないだまでボケーっとしてたのに、ずいぶんと慌ててるぜ」
「ねぇ、ちょっとやりすぎじゃない?可哀想よ」
「いいんだよ!だいたいアイツは俺達の有難みって奴を忘れてやがるんだからな。時間があるのは当たり前。家に帰ってあったかい部屋でテレビ観ながら夕食食べれるのも当たり前。あったかい風呂に入り、あったかい布団で眠れるのも当たり前。いま生きているのも明日も生きるのも当たり前。なにもかも当たり前で、それぞれの有難みなんざ忘れちまってるさ。だから復讐しようって決めたんだろ?さんざん俺らを粗末に扱っては容易く捨てたアイツによ」

――――――

 消費社会。捨てる時代。だらけて無駄に消費した時間、容易くほいほい使ったお金、惰性で眺めていたテレビや、新製品が出るたびに買い換えていたスマートフォンを始めとする電化製品、最後まで食べずに捨てたお惣菜、などなど、人間に粗末に扱われた上に容易く捨てられた彼らは今日も、自分を捨てた人間への復讐を企んでいる。
 あなたはモノを頻繁に買い換えたりしてはいませんか?粗末に扱ってはいませんか?最近、スーパーのお惣菜やカップ麺が売り切れていたり、あなたの家の電化製品が突然動かなくなったのなら気をつけた方がいい。それはきっと…。


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このストーリーに関するコメント

18/04/05 そらの珊瑚

霜月秋介さん、拝読しました。

耳に痛いお話でした。(ルンバが家出、笑)
便利で使い捨て、消費されるだけの社会は決して豊かな社会とは思えないのだけど
なかなかそこから抜け出せないのが人間なのかもしれませんね。

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