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いっきさん

公務員獣医師として働くかたわら、サイトを中心に創作に励んでいます。

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人形公園

18/03/05 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:0件 いっき 閲覧数:287

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「人形が沢山捨ててある公園があるんだって。行ってみようぜ」
新田が口元を歪にゆがめて言った。
「え、気持ち悪いじゃん」
白川が嫌そうな顔をした。
「んだよ。あんなことがあってから半年も経っていないのに」
原西も花瓶の置かれた机を見て声を潜める。
「あ? 関係ねぇよ。俺らは共犯者…あの時のこと、俺がバラしたらお前らもただじゃすまねぇぜ?」
新田は歪な笑みを浮かべる。
「しっ、他の奴に聞こえたらどうするんだよ」
「俺は聞こえたって構わねぇぜ。バラされたくなかったら、放課後俺に付き合えよ!」
新田はニヤニヤして言い、自分の席に戻った。
…悪魔だ
白川と原西は思う。こいつ、全然反省していない。それどころか、あのことをネタに揺すってくる。自分たちが夢にまで見てうなされる『あの日』のことを…。

放課後。三人がシーソーの軋む不協和音が響く公園に入ると、何十体も捨てられている人形が目に入った。
「うわぁ、本当に人形だらけだ。気持ち悪い」
新田は人形を蹴る。
(祟られろ)
白川と原西が思った、その時だった。
「うわっ。これ、あいつに似てねぇ?」
新田が驚いた声で言った。
「倉山…」
その人形を見た白川と原西は背筋が凍った。
「そんな怖い面すんなって。ただの人形なんだしよ」
新田は歪な笑みを浮かべたが、白川は膝からガクガク震え出す。
「お前ら、そんなにあのことを引きずってるのか?」
新田は口元を歪めた。
『あの日』…遠足の日、崖の上に倉山を呼び出した。その時のことを思い出すだけで、原西は戦慄が走る。そんな彼には構わず新田は続ける。
「お前らが崖の上に水を撒いてよ。ちょっと押すだけで落ちるんだもん。まぁ、本当に死ぬとは思わなかったけどな」
二人は新田にはめられたのだ。崖の上に水を撒いとけ、と命令されて、言うとおりにした。そして、三人でふざけていると倉山が参加してきて…新田が隙を見て倉山を押すと、足を滑らせ転落したのだ。
「でも、ホントキモいよな。生きてる時もだけど、この人形も」
新田はその人形を蹴った。
「おい、やめろよ。祟られるぞ」
「ケッ、祟りなんてねぇんだよ。迷信だ、迷信」
新田は人形に唾を吐いた。

夜。満月が人形を映し出す。
-やっぱり、そうだったんだね
人形の目に復讐の炎がメラメラと灯る。
-僕は君達を許さない

翌朝。
「お前! 何しやがるんだ!」
教室に一番に入った新田は白川に怒鳴った。
「俺の席、見てみろよ!」
白川が見ると…新田の椅子にあの人形が座っていたのだ!
「ぼ…僕じゃないよ! 何もしていない!」
「じゃあ、原西か。くそっ、下らんいたずらしやがって…お前、あの人形、何とかしとけよ」

怖い…触りたくない。でも、逆らえない…
木陰に人形を運び足早に去ろうとした。その時…
-僕は戻って来るよ
あいつ…倉山の声。その声に白川は全身を凍りつかせた。

放課後。
「結局、原西、来なかったじゃんかよ」
苛立った様子で新田は廊下を歩く。しかし白川の反応はなく…青白い顔でガクガクと震えていた。
「あいつが戻って来る…」
「はぁ? お前、何言ってるんだよ」
新田は睨む。しかし、白川は一点を見つめ硬直した。その視線の先…下駄箱の前には、あの人形がいたのだ。
「戻って来た…あいつが、戻って来た」
新田の顔にも、冷や汗が伝って落ちる。
「ぼ…僕達、逃げられないんだ」
白川は気が狂ったように走り去った。

「くそっ、何なんだよ、ったく」
新田は人形を担ぎあの公園へ向かう。公園では何体もの人形が瞳を不気味に光らせながらこちらを見ているように感じた。
人形を置こうとしたその時…
-捨てたって無駄だよ
人形から冷気が伝った。
-僕は戻って来るんだから
「ひっ!」
投げ捨てようとした瞬間、新田は人形の腕に抱え込まれたような気がした。
「このやろ!」
『ガシャーン!』
新田は無理矢理に人形を振り払い走り去った。

明くる日。
「嘘だろ……」
今日も一番に教室へ入った新田は凍りついた。
自分の席にはあの人形…いや、人形とは思えない。これは、まさに…倉山。

今日は原西だけでなく白川までも来ない。でも、そんなことを気にする場合ではなかった。
こいつを、どうにかしなくては…
そうだ、焼却炉で焼いてしまえ。そうすれば、戻って来れない。

新田が人形を担いで焼却炉へ無造作に放り込み火をつけると、瞬く間にそれは炎に囲まれた。
「これで、どうだ」
これでもう、あいつは戻って来れない。
しかし…炉の中を見た新田は青ざめた。燃え上がる炎の中であいつが立ち上がり、顔をこちらにゆっくりと向ける…
-焼いたって無駄だよ
「や、やめろ!」
-僕は何度でも戻って来るんだから…
「ゆ、許してくれぇ!」
血を滴らせたあいつが新田を見てにやぁと笑う。頭の中に、あいつの高笑いが響き渡った。


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