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風宮 雅俊さん

テーマに沿った物語を、どのくらいのレベルで書けるかな? と言う事で登録してみました。 アマゾンの電子書籍キンドルで作品出してます。こちらも宜しくお願いします。 ツイッター: @tw_kazamiya

性別 男性
将来の夢 世界一周の船旅で、船室に籠って小説を書く事
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クラス会

18/03/05 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:403

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 都心近郊の中核都市にある少しお洒落なホテル。最上階にあるイベントルームからは駅前の賑わいを見下ろす事が出来、ビジネスから披露宴まで対応していた。クラス会の会場は一番小さな部屋だったがアットホームな雰囲気を出すのに丁度よかった。
 当時と変わらないクラスメイトが集まった。

「すげー、中学の時のクラス会ここでするの?」
 申し合わせたように、かつての男子たちが入ってきた。
 入り口にパーテーションで仕切られたクロークがあり、慣れた手つきでコートを預ける人、整理券の配布だと思う人・・・・、色々いる。流れた月日は長い。
「ウエルカムドリンクを用意してあります。アルコールとノンアルコール、どちらに致しますか?」
 彼らは色とりどりのカクテルを手にすると、料理の用意されているテーブルに移動した。

「あ、※※くん? ホントに※※くん」
 かつての女子は、あの時と同じように彼を見つめた。
「三十年ぶり? ▲▲も目じりのしわ以外全然変わらないね。見た瞬間すぐ分かったよ」
 お互いに家族があっても、あの時の自分たちより大きい子供がいても、お互いの目に映るものは変わらなかった。
「相変わらず、口悪いね!」
 彼女はそれを分かった上で、当時と変わらない言葉を投げつけた。
「あっちに先生がいるわ。私たちも行きましょう」
 あの時は出来なかったもう一歩。彼の手を取ると引っ張っていった。

 あちらこちらで、談笑が始まっていた。
「皆様お揃いになりましたので、料理を食べながらビデオをご鑑賞ください」
 少し暗くなるとスクリーン上に、机に置かれた卒業アルバム、制服を着た女の子がページめくり校舎が映し出されると校歌が流れ始めた。クラスの集合写真から始まり、体育祭、校外学習、修学旅行の写真が映し出された。
 写真が替わるたびに、歓声や悲鳴、笑いが巻き起こった。

 修学旅行の写真の後、授業風景の映像に変わった。
「撮影してたっけ?」
 お互いを確認しながら、視線はある一点に集中した。
「どうだろう・・・・、再現じゃないの?」
 相変わらず適当に流す教師。
「すげー 凝ってるよ。ひょっとしてあれ俺? マジそっくり」
 ■▼は、カクテルを片手に言うと、次のカクテルに手を伸ばしていた。
「学級会かな? あ! 先生が映った」
 今の自分たちより若い姿に、歓声が上がった。
「先生、年取りましたね・・・」
 十分に酔いが回っている連中が教師を取り囲んでいた。
 スクリーンには、空の花瓶が置いてある机が映し出されていた。
「思い出したよ。そう言えばトロイ奴がいたな」
 ひとりの男子が吐き捨てるように言った。
「あんなの要らない。気分が悪くなる」
 ひとりの女子が、あからさまに不機嫌になった。
「どこにでもいるんだよ。中学で先生やってるけど、虐められているってチクリに来た奴がいるんだよ。運悪く教頭の耳に入ったから、クラスで話し合いさせたけど、どうなったと思う?」
 となりの女子に話を振った。
「みんなで、指導したの?」
 自然にでるのは、実体験だった。
「そいつがいなければ虐めはなくなるって言った子がいたけど、正論過ぎてびっくりしたよ」
 笑い声が響いた。

 スクリーンに、カクテルグラスを前に座っている中年のおばさんが映し出された。スクリーンの右上に「広告」とかなり大きめに表示された。
「あ、同じカクテルじゃね? 凝ってるね」
 誰かが指さしながら言った。
「弊社の新商品モニターに参加頂きありがとうございます。各種カクテルを試飲してアンケートに答えて頂きます。素直な感想をお願いします」
 カクテルを一口飲むと、真剣な表情で味などを答えている。
「あ、同じクラスの★◆じゃね? 来てないよね?」
 何人かが周りを見渡している。

 スクリーンの真ん中に「試飲後 一時間」と出た。
「ひょっとして、お肌つるつるになるサプリだったりして」
 ▼▼の疲れた肌を指さしながら、ニヤリと笑った。
「ん、もう■※くんのばか」

 次の瞬間、全員が凍り付いた。
スクリーン上の★◆の首元で一筋の膨らみが駆け抜けていった。本人はにこやかにカクテルの蘊蓄を語っていた。が、顔を歪めると呼吸が荒くなった。服の所どころ赤く染まった。
 今度は会場が映し出され、スクリーン上には「ウエルカムドリンク後 一時間」と表示された。
 先に到着していた女子たちが、崩れ落ちる様にうずくまると服が赤く染まった。男子はパニックで足がすくみ動けなくなっている間に、遅れて到着した分の時間が過ぎてしまった。


 静かになった会場、ウエイトレス姿の女性に男性が言った。
「卒業おめでとう。やっと解放されるね」
女性は、男性を見つめると、
「ありがとう」
と、呟いた。


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