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笹岡 拓也さん

文章で笹岡 拓也の世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
座右の銘 生きているだけで幸せ

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私の人生は悲劇でしかない

17/12/25 コンテスト(テーマ):第150回 時空モノガタリ文学賞 【 悲劇 】 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:660

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「人生は悲劇だからこそ幸せに気づく事ができるんだよ」
死んだじいちゃんが教えてくれた言葉。当時5歳だった私には意味が分からなかった。ただ大人になっても覚えてるほど、頭の中に残る言葉だった。
それでも未だじいちゃんが言ってた言葉の意味は分かっていない。だって私の人生は悲劇の連続で幸せなんか感じたことがないんだから。

「悪いけど...もう別れよう」
半年前、私は突然彼氏にフラれてしまった。付き合い始めて五ヶ月、やっと彼氏のことが分かってきたと思っていた矢先のこと。
「どうして?どうして別れるの?」
泣きながら必死に彼氏を引き止めようとしたが、彼氏からは残酷な言葉が突きつけられた。
「来月結婚するんだ。ごめん」
その言葉を吐き捨てた彼氏は私の前から姿を消した。どうやら私は本命ではなく浮気相手だったらしい。

「君はミスが多すぎる。もう明日から来なくていいから」
先月、私は会社の上司に事実上クビを言い渡された。確かに私のミスが原因ではあるものの、誰も助けてくれなかった。そして私よりもミスが目立つ年下の女の子には何も言い渡されなかった。

そして今さっき、私は夕方の食材を買いに商店街へ行った際、引ったくりにあって財布を盗まれてしまった。財布の中には全財産が入っていたため、私は一文無しとなってしまった。
引ったくり犯を追いかけようとしたが、何故か私は体が動かなかった。怖いからではなく、全てを諦めたのだろう。
帰り道、私はとぼとぼと歩いていた。この先どうしたらいいだろう。いっそうこのまま...そんなことを考えている時、大きなクラクションの音が聞こえた。その音はどこから聞こえているのだろう。私は何も考えなかった。そして身体が引き裂かれるような痛みが私を襲った。

「ちょっと!ちょっと!誰か!救急車を!」
トラックの運転手が私を抱きかかえ叫んでいる。その姿を私はどうしてか空から眺めていた。そうか、私は死んだのか。
あの痛みを感じたあと、私は意識を失って死んでしまったのか。
まぁあの時死ぬことも考えていたし、本望なのかもしれない。これからは何も苦しむことなんてないんだ。そう考えたら少し気が楽になった。
じいちゃんが言ってた言葉は間違いだったんだ。私の人生は悲劇でしかなかった。その中に幸せなんてなかった。


私はすぐに成仏しなかった。そんな事とはつゆ知らず、私の葬式はひっそりと開かれていた。
「高校の時の同級生で。また会おうって言ってたのに」
「いつもお洒落だから、昔一緒に買い物に行ってもらったことがあって」
「最近は連絡も取ってなかったけど、幸せだったのかな?」
私の死に顔を友達は見ながら泣いたり話しかけたりしていた。ママはその話を聞きながら、涙をハンカチで拭っている。
あれ?私ってこんなみんなから悲しまれるような人だった?そんなことを考え始める。

「あの娘は本当に気遣いができてね。誰に似たのかしらね」
「いつも私たちに笑顔を見せてくれたな。きっと辛いこともあったろうに」
葬式も終わったが私はまだ成仏できていなかった。ママとパパは私のことを思い出しながらしんみりと話をしている。この何日間かでママとパパはだいぶやつれてしまったようだ。
辛いことがあったのは隠してた。そのことを知ったらママとパパは悲しむと思ったし、迷惑はかけたくなかったから。でも私はママやパパと会うと自然と笑顔でいられたんだよ?
あれ?ママとパパに会ってる時は幸せって感じてたのかな。いつも当たり前だと思ってたけど、私は幸せだったんだな。
私の人生は辛いことばかりの悲劇だ。でもその悲劇にも小さな嬉しいこともあったんだ。
彼氏と付き合い始めた時だって、会社に採用された時だって、友達と一緒にいたことだって幸せだったんだ。今まで小さな小さな幸せで気づかなかったけど、私の人生が悲劇だったから知ることができたんだ。
私の死は最悪のバッドエンド。それでも死んだことで幸せだったんだと気づくことができた。
じいちゃんが言ってた言葉「人生は悲劇だからこそ幸せに気づく事ができる」は嘘じゃなかった。ただできれば死ぬ前に気づくことができたら良かったな。もっと生きたい、もっともっと生きたかった。
人生は悲劇でもいいんだ。生きているだけで幸せなんだから。


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