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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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グレムリン

12/12/19 コンテスト(テーマ):【 携帯電話 】 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1998

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 携帯は便利だ。
電話だけでなく色んなアプリが付属している。
しかし色んな機能よりも私が一番うれしいのはデジカメ機能だった。
琴線に触れた景色や出来事をその場ですぐに画像に収められる。
私は毎日携帯で写真を撮っては眺めていた。
朝焼けに夕焼け、虹に満月、雨蛙や蝸牛、羽化したばかりの蜻蛉やふてぶてしい野良猫など気になったものは何でも写した。
 その日も寝る前に毛布に包まりながら携帯を操作し画像を眺めた。
スライドさせていく画像の中に見覚えの無いものが写っていた。
夕焼けに染まる朱の世界に、逆光を受け墨を落としたような人影が写っていた。
こんなの撮ったっけ?
記憶を探ったが覚えがなかった。
ま、いっか。
気にせずにそのまま眠りについた。
 次の日もいつもと同じように色んな被写体を携帯のデジカメに収めていった。
ふいに目の前を横切った黒猫をカメラに収めようとしたが逃げられたので追いかけた。
ようやくカメラに収めると、目の前に喫茶店があったので入ってみた。
カフェオレを頼んで、来るまでに今日の画像をチェックした。
そろそろ今の待ち受け画像にも飽きたので新しい画像を待ち受けにしようとデータを開いた。
スライドさせていく画像の中にまたしても見覚えのないものがあった。
昨日寝る前に見た墨を落としたような人影が、今日写した画像の中にも写っていた。
よく見ると全ての画像に、大なり小なりで映りこんでいた。
しかも徐々にその影はこちらに近付くように大きく写ってきていた。
私は怖くなって携帯に保存していた全ての画像データを削除した。
ピー
エラー音と共に削除できませんでしたというメッセージがでた。
え!?何で?
メッセージが消えると昨日の夕焼けの画像が現れた。
その中に墨を落としたような人影が大きく写りこみ、顔の輪郭が見て取れた。
その顔の眼がこちらを見ていた。
そして「消すな。」と声を発した。
携帯のスピーカーを通じて確かに声が聞こえた。
「ひぃあっ!」
私が悲鳴を上げたところへ店員さんがカフェオレを運んできた。
震えながら店員を見返すと「おや、珍しいものをお持ちで。」と店員はにこやかに答えた。
店員の肩にはさっきまで追いかけていた黒猫が乗っていた。
その猫の顔がきゅっと中央に窄むと大きな一つ目がギョロンと現れた。
「ひいぃぃ!」
私は2度目の悲鳴を上げた。
私のことは気にも留めず店員も一つ目の黒猫も私の携帯を覗き込んでいた。
猫が店員の肩からテーブルにとんっと降りると店員を見上げ「グレムリンですな。」としゃべった。
私はもう悲鳴を上げることも出来なかった。
「見せてもらってもいいかな?」
店員が優しく話しかけてくれたが私はコクコクと頷くことしかできなかった。
「ふぅーん。君、どこかでグレムリンを写しちゃったんだね。」
店員が携帯を操作すると「ギ、ギ。」と携帯が嫌そうな音を立てた。
クスクスと小さな笑い声を上げながら店員は携帯を弄っていたがその目は笑っていなかった。
グレムリンって確か機械に取り憑いて悪戯する妖精だったはず。
そんなことを考えていると店員がこちらを向いた。
「ねぇ、君。」
「は、はい!」
「これ、私にくれないか?」
「え、いや、それはちょっと…。」
携帯が無くなるのは正直困る。でも得たいの知れないものが憑いている携帯も怖くて困る。
返答に困っていると「あぁ、私が欲しいのは中身だけだから。この夕焼け画像を私の携帯にメールで送ってくれないか。そうすればこいつは私の携帯に移るから。」と店員は私の考えを汲み取ったかのように言い直してくれた。
「それなら喜んで!」
私はすぐに教えてもらったアドレスにメールを送った。
「ありがと。あ、お礼に珈琲はタダにしとくから。」
店員はそういうと「おまけ。」とチーズケーキまで出してくれた。
もう一度携帯のデータを開くとあの夕焼け画像は無くなっており、他の画像にも影は居なくなっていた。
私は二重の意味でお礼を言うとカフェオレとケーキを堪能しながらお気に入りの画像を眺めた。

 あれ以来私の携帯画像に変なものは写っていないが、あの時の黒猫の画像がたまに一つ目になってゾッとすることがある。
あの後あの喫茶店に行こうとしたが何故か道を思い出せず行くことができない。
この一つ目の黒猫の画像を残しておけばいつかまた行けるのではないかと思い、怖いけど消さないことにした。
でも怖いから待ち受けにはしていない。


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このストーリーに関するコメント

12/12/19 石蕗亮

ザランブールに新しい下僕(おもちゃ)が増えました。
店主の夢師が留守の間はやりたい放題のようです。
みなさんの画像は大丈夫ですか?(笑)

12/12/20 泡沫恋歌

石蕗亮
さん、拝読しました。

携帯カメラに知らないモノが写ってるなんて怖いですね。

私、大昔に滝の傍で写した写真が変な風になっていて怖くて
その場で写真を捨てました。
後ほど、そのことをネットのブログに書いていたら・・・
積んでいた本がいきなりバサッと倒れてきて、腰抜かしそうに驚いた。

それ以来、風景写す時は用心してる。

12/12/21 石蕗亮

泡沫恋歌さん
水は写し易いから滝や池や湖などは写りこみやすいです。
霊はこちらが見えているときはあちらからも見えていますが、こちらから見えていないときはあちらからも見えていません。
どちらかが一方的にということはありませんから、見えていないなら大丈夫ですよ。
見えているときは普通の人間と区別つかないことが多いです(笑)

12/12/21 草愛やし美

石蕗亮さん、拝読しました。

携帯に不思議画像が写ってたんですね。
実は私も経験があります。家のなかで失敗して床面を写したんです。そこには、ガスファンヒーターが斜めにあって床が……ですが、宙に浮いたように妖精のようなものが光って写ってました。角のようなものが見え、そして手足もあります。きっと妖精なんだと信じていますので、大事にピクチャー保存しています。その子は、しゃべらないので、怖くないです。とても綺麗ななんともいえないオーロラのような虹色をした光の子なんですよ。

12/12/21 こぐまじゅんこ

石蕗亮さま。

拝読しました。
なんか不思議で、ちょっと怖いお話ですね。
私、ぜんぜん霊感はないので、まだ、こんな目にあったことはありません。

12/12/23 石蕗亮

草藍さん
きっとそれは妖精でしょうね。
妖精は幽霊と違って勝手気ままにいますからね。
私も龍の写真があります。
その類の画像は何らかの加護があるから大事にすると良いですよ。
虹色というのは良い色です。

12/12/23 石蕗亮

こぐまじゅんこさん
読んで頂きありがとうございます。
気付かないだけで不思議な現象はそこかしこにあります。
こちらが怖がるとあちらは怖い存在になりがちです。
彼らは私たちの心を鏡のように映して対面します。
もし怖い不思議なことが起きたら私を呼んでください。
夢師のように、ザランブールのように美味しく頂きますから♪

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