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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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ドッペルゲンガー【もう一人の私】

12/12/18 コンテスト(テーマ):第二十一回 時空モノガタリ文学賞【 学校 】 コメント:8件 石蕗亮 閲覧数:2916

時空モノガタリからの選評

最終選考

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 高校3年のある一時期、私には身に覚えの無いことで注意を受けたことが続いた。
その内容には奇妙な共通点があった。
それは、本来私が居るはずのない所に私が居る、というもので、事の始まりは生活指導の先生に呼び出されたことだった。
放課後、指導室に呼び出され訪れた私に先生は「お前みたいに今まで問題なんか起こしたことない奴が、珍しいことをしたもんだな。」と不思議そうに話し始めた。
「何のことです?」
「自覚がないのか。」
少し怒気を含んだ先生の言い様だったが、本当に身に覚えが無いのだから私は悪びれも無く「だから何のことですか?」とこちらも語気を強めて言い返した。
ふぅ、と嘆息を吐くと先生は呼び出した理由を話し始めた。
 曰く、今日の午前中市街地を巡回中に自校の制服を着た者が学校に行かず本屋で立ち読みをしているのを発見し、補導しようとしたが逃げられた。
その相手が私だというのだ。
私は半ば呆れながら担任を呼んで私の今日の出欠簿を確認してもらった。
私の通っていた私立高校は1学年16クラスで600人以上、3学年合わせると2000人近い生徒のいるマンモス校で中には柄の悪い者もおり、改造バイクで爆音立てて来る者や学校サボって街中で遊ぶ奴らもいた。
私も占師として店を出したりしていたが、無届ではあったが周知の事実で学校は黙認していた。
やがて担任が指導室に来て私の無罪を証明してくれた。
しかしその数日後、私は再び指導室へ呼び出された。
今度は他校からの報告で、私が就学時間帯にやはり制服姿で他校の校舎内に居たというのだ。
前回同様に直接捕まえたわけではなく、その学校に居た私を知る者の証言で自校へ連絡が来たのだそうだ。
しかし前回同様私がその時間に自校に居たことは授業の出欠簿で確認できた。
またしても私の無罪は証明できたが、私を含め担任も生活指導の先生も何か煮え切らない様な心持ちなのが表情から伺えた。
符に落ちないまま指導室を後にし、昇降口で靴を履き替え自転車置き場まで来ると後ろから同級生に声をかけられた。
「あれ?お前早いなぁ。」
「ん?何が?」
「お前さっき職員室に居たじゃねぇか。俺のほうが先に出たのにどこで俺を追い越したんだ?」
私は総毛が逆立った。
私が今まで居たのは生活指導室で校舎の2階のド真ん中にある。
昇降口はその真下にあり、彼の言う職員室はマンモス校の校舎の最端の3階にある。
当然私は職員室には行ってないし、彼にも会っていない。
仮に職員室に居たとしても、放課後の生徒の溢れる廊下を彼を追い越して先にこの自転車置き場に来ることは到底不可能である。
「俺、今まで生徒指導室に居たんだけど。お前、職員室の俺に声かけたか?」
「いや、話してはいないけど。お前だったよ、職員室に居たの。間違いないよ。」
気味悪そうに彼は答えた。
どうやら似た誰かなのではなく、私ではない私が世間を闊歩しているように思わされた。
目撃情報が次第に私の生活範囲に近付いてきているように思えた。
 それから数日後。
家に帰った私を玄関先でえらい剣幕の両親が怒鳴りながら出迎えた。
「今までどこ行ってた!今何時だと思ってる!」
父親の怒声に続いて「受験期にそんなだらしないことでどうするの?無理に大学に行かなくてもいいのよ。」と母親の苦言が続いた。
進学組の私は通常授業意外にも放課後にセミナーがあり、全部終わると夜の9時になる。
片道30kmを自転車と電車で通学していたので家に着くと夜10時半を回る頃になる。
その日は授業で遅くなることは両親も承知していたはずだった。
普段から門限夕方6時。大学までバイトも許さない厳格な両親だった。
その両親が激怒しているが私には“身に覚えが無かった”。
「ちょっと待ってよ。何怒ってるの?今日は遅くなる日でしょ。」
反論する私に「お前夜7時には帰ってきたじゃないか。」と両親が言う。
詳しく聞くと、7時頃に玄関の開く音と「ただいま。」と私の声がしたのを両親は聞き「おかえり。」と二人とも居間から返事をしたと言う。
そのまま2階の私の部屋へ上がっていく足音がし部屋に入る音と戸を閉める音が父親は聞いたという。
二人とも学校が早く終わったのだと思い、晩御飯の支度ができたので内線を鳴らしたが私が出ない。
私の部屋へ行くと私が居らず電気も点いていない。玄関を見ると靴も無いので家を抜け出したと思ったそうだ。
「今までそんなことしたことないでしょうよ。」
私がそう言うと「確かに。」「まぁな。」との返事で両親は落ち着いたがその場の全員が釈然としなかった。
私の無罪は認められたが謂れの無い叱責への謝罪が無いのが癪だった。
私より先に帰ってきた私が誰だったのか今でもわからないが、これ以降もう一人の私の目撃談を聞くことはなくなったが、今もどこかにいるのかもしれない。


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このストーリーに関するコメント

12/12/18 石蕗亮

今回は実話です。
以前別サイトで書こうと思ったのですが文字数合わずにだせなかったものを今回書いてみました。

12/12/18 草愛やし美

石蕗亮さん、拝読しました。

実話ですか、いや驚きました。もう一人の亮さんがおられるのですか。それとも、亮さんが分裂していたのか、どちらか? それとも、まったくの別人が化けていた例えばどこかの異星人とか……さまざま考えが浮かびます。

もしかして、すでにここにいる亮さんは、本当の亮さんとすり替わった亮さんだとしたら……本物の亮さんは今どうしておられるのでしょうね。ここまで考えて思わずぞっとしました。

12/12/18 泡沫恋歌

石蕗亮 様。
拝読しました。

ドッペルゲンガー【 もう一人の私 】を見たら、
死ぬと言われてますよね。
この話は地味に怖いですよね。

本当に実話なんですか?
もう一人の私は何処へ行っちゃったんでしょうか?
また現れそうで不気味です。
なんかいろいろ不思議な体験がありそうですね。
石蕗さんって・・・。

12/12/18 笹峰霧子

不思議な話ですね。
どんどん惹かれて一気に読んでしまいました。
これからも石蕗さんの小説読ませてもらいたいと思います。

12/12/18 石蕗亮

草藍さん
当たらずも遠からずです(笑)
この実話は夢師にも絡みます。
いつか今のこの状態を、みなさんを巻き込んだ作品も作りたいです。

12/12/18 石蕗亮

泡沫恋歌さん
全部実話で今回は脚色無しです。
ゾッとする話かもしれませんが、私にとっては馴染みと笑いの溢れる世界です。
私が実話怪談をすると最後は笑い話になることが多いです。
機会があれば今度是非聞いてください(笑)
本当にゾッとする話は逆に泣けるものが多いです。

12/12/18 石蕗亮

笹峰霧子様
初めまして。
訪問頂きありがとうございます。
楽しんで頂ければ何よりです。これからも楽しんでもらえるような作品作りや表現に挑戦していきますのでよろしくお願い致しますね。

13/02/18 石蕗亮

実話怪談1

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