nekonekoさん

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迷い

17/11/21 コンテスト(テーマ):第147回 時空モノガタリ文学賞 【 迷い 】 コメント:0件 nekoneko 閲覧数:379

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真夏の昼時、浴びせる様に降り注ぐ暴力的な太陽の光は容赦することなく地上のありとあらゆる物に降り注がれていた。そして、その光は、ただ降り注ぐのみではなく熱さをも伴っていた、熱を帯びた光りは周囲にぶつかると、又羽乖離、時には、その光と光りがぶつかり合う事で未知なるエネルギーを生みだし、それが暑さを過剰に醸し出しているのではないかと思えてきた。熱い。私の口元から思わず言葉が漏れた。歩く先から僅かだが湯気の様な靄が路面から立ち上っていた。目先を変えって200m先の交差点を見てみると行き交う人や車の流れが蜃気楼の様に見えてきていた。異常な暑さは人の判断を誤らさせたり、人を暴力的にしたり、人を犯罪へと駆りたてたりする事があると聞いたことがあった。ある意味この言葉 
は正しいのではないかと思得ていた。理由は分からなかったが自分でも、何故だか不思議とそう思えていた。私の周囲に歩いている人の姿は見当たらなかった。見渡せば木陰のあるベンチに座って休んでいたり、お洒落なカフェでたわいも無い会話をしているのであろう人々の姿が映って来ていた。私も正常な判断が出来るうちに何処かに、そう思うと急に涼が恋しくなり、求める様に目に留まったコンビニに吸い寄せられる様に店内へと入って行く。コンビニの店内は真逆的に涼しかった。店内の空調は隅々まで行き渡り暴力的な太陽の光の暑さに犯され私の体から奪って行く。2〜3分もすれば体温は正常に戻ってくるのではなかろうか。そう思うと私は入り口近くの窓際の雑誌コーナーへと足を向けた。ガラス越しに降りそそぐ太陽の光りは相変わらず暴力的ではあったが空調はそれに立ちはだかる様に冷気を静かに吐き続けていた。額から数珠玉の様に流れ落ちていた汗は所々乾き出していた。着ていたシャツはまだ乾いてはいなかったが、後もう少しすれば乾き出すのではと経験的に思えてきていた。しかし、私の経験的期待は今さっき入って来た男によって裏切られてしまった。男は入って来た時からある種の異様な重苦しい雰囲気を発していた。そして、私の額からは又汗が吹き始め出してきた。どうして。自分に問う。判らない。汗は更に勢いを増す様にして吹き出してきていた。空調は変わらずに快適な空間を提供しているらしく隣りに立っている人は涼しげそうな顔をして手に取っている雑誌に目を走らせていた。目線を手元の雑誌に戻すと改めて考え直してみた。汗は小さな数珠玉を作り流れ落ち出すまでにまでなって来ていた。しかし理由は、、。男は私の背後を通ると奥の方の棚の前をウロついていた。目線を向けて男の様子を観てみた。見覚えがない男だった。そして、男の額からは同じ様に汗が噴き出していた。男は暫くその場に佇むと反対側の棚へと移動して行った。コーナーミラーへと目を移す。ミラーは男の姿を映していた。男は何かを探してかの様に今度は体を屈めていた。右手で何かを掴むと左手に持っていた籠の中に放り込む動作を繰り返すが、時折、男の右手は不自然な動きをして見せていた。万引き。ミラーの死角に入り行為そのもは見えなかったが不自然な行為は万引きしている事にまちがいはなかった。そして、私が感じた男が発していた重苦しい雰囲氣それは、初めて万引きをしようとする人が放つ独特的な雰囲氣。訳を悟った時、何故自分だけが感じる事が出来たのかの理由も理解出来た。私も万引きをした事があったからだ。それは幼い時だった。良い悪いとかよりも度胸試しの感覚の方が強かった。囃立てる数人の友達。私にはもう後に引く事が出来なかった。この日も暑かった。場所は近所の駄菓子屋、うたた寝している店番の叔母さんを確認してから銀紙に包まれたお菓子を一顧掴むと一目散に走りだした。走り出した私は仲間の所に戻るわけでもなく、ただ走り気が付くと神社の境内にいた。そこで持っていた物を地面に叩き付けると足で踏み潰した。それを何度となく繰り返すと中身は飛び出し銀紙は泥濘んでいた土と同色までになっていた。罪を犯したというよりも虚しさが私を支配していた。家に帰ると母親から衣服についている泥の粒の事咎められた。適当に答えたが理由がわかって頂けに後ろめたい気持ちが更に加っただけだった。それから、誰かに見られたのではとの恐怖心にも囚われた。万引きをしても良い事は無い。私はこの事を記憶の奥底に沈めるのに数年は要したと思う。
 私は男が戻って来るの待っていた。辞めとけ自分が苦しむだけなのだから。私はそう男に告げたかった。迷いは無かった。男を待ち構えていると案の定男はゆっくりと戻ってきた。私はすれ違う時に声を掛けるつもりでいた。男が私の背後に来た。振り返る、と同時に男も足を停めていた。
 やっぱりいけませんよね。男はポケット中から取り出した物を籠の中に入れた。男の額から流れ落ちていた汗は既に消えていた。


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