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有屋春さん

初めまして。農家でダンサーの有屋春です。

性別 男性
将来の夢 自分の短編集をなるべく安い値段で出したいです。小説に興味ない人の読むきっかけになったらいいなと。
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二人で一つの願い事

17/10/25 コンテスト(テーマ):第147回 時空モノガタリ文学賞 【 迷い 】 コメント:0件 有屋春 閲覧数:427

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今、私の隣には素敵な彼女がいる。ろくでもない親の子に産まれ貧しい生活を余儀なくされたにも関わらず必死に生き、なんとか自立をし生活を始めたという彼女に出会ったのは半年前だった。

最初に会った時、私は彼女のことを特になんとも思わなかった。裕福な家に産まれた私から見ると彼女はひどくみすぼらしい格好をしていると思った。その格好を見た瞬間に魅力がない女性だと思ったしもっといい服を着てこいよと嫌悪感を感じたほどだ。
しかし、彼女と話してみるととても楽しかった。知識は豊富だし、私の話を食い入るように聞いてくれるのも嬉しかった。さりげなく気遣いができ礼儀作法も素晴らしい。私は彼女がとても魅力的な女性だと気づいた。
ただ、服装だけはみすぼらしかったので次の休みにショッピングに誘った。なんでも買ってあげようとすると彼女は遠慮した。こういう服は嫌いかい?と聞くと彼女はそういうわけじゃないんだけどと言いながら子供の頃の話を聞かせてくれた。貧しかった生活。そこからなんとか自立したこと。まだお金に余裕がなくて洋服を買えないこと。

「それでもあなたとは買ってもらえる関係とかじゃなくて対等でいたいの。私にとってあなたは特別だから、、、」
私はそう言われ気づいたら彼女を抱きしめていた。貧しい生活をしながらもこれほど芯があって心の綺麗な人はそういない。私は彼女に告白をした。

それから私たちは付き合うことになった。今日は公園で散歩デートをしている。こういうデートを知ったのも彼女のおかげだ。私は高級な洋服店に行ったり高いレストランに行くぐらいしか知らなかったが好きな人がいればお金などいらず散歩するだけで幸せだと気づかせてくれた。これほど素敵な女性を手放してはいけない。私は今日プロポーズをすることを決めていた。
心臓がバクバクしてる。どのタイミングで指輪を渡そう、そんなことばかり考えているとふと遠目に光るものを見つける。彼女と一緒に近づいてみるとそれは古ぼけたランプだった。アニメで見るような魔法のランプの形をしている。
私と彼女はもしかしたら本物の魔法のランプかもねと笑いながら二人で擦ってみた。するとランプの中からモクモクと煙が出て本当にランプの精が出てきた。

私と彼女は驚いて声も出せずにいたがそんな私達のことなど全く気にせずランプの精は話し出した。

「私はランプの精、キキマス。さあ願いを一つ言ってみよ。どんな願い事でも良いぞ」
私たちは顔を見合わせた。どんな願い事でも一つだと。。

「あの、二人で一つなんでしょうか?」
「そうだ。本当は一人一つなんだが主らは二人で同時に擦った。故に二人で一つだけだ」

なんともてきとうな理由である。しかし二人で一つか。私は彼女に相談しようと隣を見る。彼女はとても真剣な顔で何やら考えていたが一つ深呼吸をしてランプの精に問いかけた。

「願い事はなんでもいいのね?」
「ああ、どんな願い事でも良いぞ」
「一度願い事を言ってから変更は出来る?」
その言葉を聞くとランプの精はニチャッとした笑みを浮かべながら「出来ない。だからしっかり考えてから答えた方が良いぞ」と言った。

彼女は一度俺を見て決心したように早口で答えた。私を大金持ちにして!と。私は驚いた。
「お、おい!金なら俺が持ってるだろ!なんでそんなことに願い事を使うんだ!」
「うるさい!豚野郎が!私はずっとあんたのことを気持ち悪いと思ってたよ。親が裕福だからってだけで大した努力もせずにいい大学、いい会社に勤めて呑気に生きやがって!それに、、あんた、私を最初に見たときに軽蔑してたでしょ?私のこと何も知らないで金持ってるだけで偉そうにしやがって!あんたと結婚して玉の輿を狙おうと思ってたけどもうその必要はなくなったわ!さあ、ランプの精さん、私の願いを叶えて!」

そう彼女が言うとランプの精はさぞおかしいと言わんばかりに高笑いを始めた。
「ちょっと!笑ってないでさっさと願い事を叶えなさいよ!」
ランプの精はそれでもしばらく笑っていたがなんとか笑いを我慢して話し始めた。
「何か勘違いしているようだな。私はランプの精、キキマス(聞きます)。どんな願い事も一つだけ聞いてあげる精霊だ。なかなか面白いやり取りを見せてもらったぞ。さらばだ!」
そう言うとキキマス(聞きます)はランプの中に戻り、戻り終わるとランプごと消えてしまった。

ランプが消えた後、そこには何も残っていなかった。その場に残っているものは先ほどの失態をなんとか誤魔化そうとする彼女と何も信じられなくなった私だけだった。。。


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