右川さん

性別
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

1

17/10/25 コンテスト(テーマ):第147回 時空モノガタリ文学賞 【 迷い 】 コメント:0件 右川 閲覧数:498

この作品を評価する

 洗顔の泡立てネットみたいな、別に必要ないのにいつの間にか当たり前になったものが部屋の中にうじゃうじゃあって、それに気付くといつも発作みたいに皮膚が痒くなって、赤くなるまで掻き毟ってしまう。爪を立てても漫画みたいに血が出るまでは搔けないし、赤くなった見た目ほどは別に痛くない。
持ち物を全部ひっくり返して、これは今大事、これは今は必要ない、そんなふうに、今の、今の私に大事なものだけ、今の私を作りたいものだけ残して、あとは全部ビニール袋に突っ込んだ。

さっきお風呂に入れた入浴剤。ミントグリーンの水面は鏡みたいだったけれど、何も映らなかった。顔すら。入ったことも行ったこともない見たこともない奥飛騨の温泉を知った気になる。舞台の上に立っている。フォロワー数が多いとか、携帯のゲームみたいに、総合値だけレベル付けされたり、ランキングを発表されたほうが、多分きっと、ずっと息ができる。

リビングに放ったルンバが部屋のドアを何回もノックするみたいにぶつかる。脅されてるような感じがして、不穏が腹を撫でる。人間と似ている。だれも蹴破って入ってこない。
血は嫌いだし痛いのは嫌だし、知らないおっさんとヤるのもキモいから、長い間かけて一生懸命集めてきた大好きなアニメキャラのグッズ売るのを自傷行為みたいにして、自殺している気持ちに勝手になっている。本当はこれこそ、なくたって全然だいじょうぶだって知ってるよ。

心療内科は自己申告制で、なんとなくそう答えなきゃいけないような、演じなきゃいけないように個室が白い。先生の表情は大きなマスクに隠れて見えない。
嘘を吐いてしまう性質こそ病気だって見抜いてくれなかったし、言ってくれなかった。逃げ道みたいな病名をつけられて、それを外で言うと、ただの甘えだとか病名を盾にしてるとか、神経質だとか言われる。強く生きろと、言う。
リスカしないと、メンヘラにはなれないんだって、知らなかった。
ただの生理だよ。

女を武器にしてるって、笑われるんだろうなあ。可愛くないと外にも出られないのに。

痛いのがどこか分かんなくなっちゃったし、本当はどこも痛くないのかもしれない。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン