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黒江 うさぎさん

はじめ、まして。くろえ、うさぎと、もうし、ます。 なんでも、かきます。 けっこう、ほんとうに、なんでも、かきます。 あと、おしゃべり、にがて、です。 よろしく、おねがい、します。 Twitter→@usagi_kuroe いろんな、ところで、しょうせつ、かいてて、それを、かえんに、てつだって、もらって、ほうこく、しています。 よかったら、みて、ください。 あ、かえんは、わたしの、しんせき?きょうだい?そんな、かんじ、です。 たくさん、たくさん、てつだって、もらって、います。

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Monstrum est salvificem diaboli.

17/09/24 コンテスト(テーマ):第143回 時空モノガタリ文学賞 【 約束 】 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:877

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 僕には、叶えたかった約束があります。
 叶えたくて叶えたくて…でも、叶えられなかった約束が。
 ええ、僕のこの力、喜んでお貸ししましょう。
 この化け物染みた力は、その為にあるんですから。



 午前二時。ある屋敷、その一室。
 専用のカッターで窓の鍵付近を切り、鍵を開錠、侵入。
 下にロープを降ろす。
 上がってくる反乱軍の仲間。
 コッキング。
 ハンドサイン。
 全員が頷き、目的の一室に向かって走り出す。
 到着。
 ハンドサイン。
 頷く。
 扉を破壊して突入。
 スタングレネード。
 音と閃光が周囲を支配する。
 支配した光の中、俺達は目標を確保。
 …出来なかった。
 銃声。
 俺達の物じゃない。
 フル装備の敵。
 そして、目当ての物は、
「くそッ!ターゲットがいないッ!」
「畜生ッ!」
「撤退!撤退ッ!」
 発砲しながら後退。
 先陣を切り、俺が活路を開く。
 畜生。
「挟み込まれたッ!」
 後ろにも敵。
 前にも敵。
 それならば。
「全員離脱しろッ!」
 ポケットから手榴弾。
 俺以外の六人が近くの窓から飛び降りる。
 俺は残った。
 自決。
 窓が割れるのと同時に手榴弾のピンを抜き、
 カウント。
 三。
 二。
 一。
「ぐっ!?」
 蹴られ、手榴弾が窓の外へと飛んで行く。
 零。
 誰も死なない爆発。
 それはつまり、俺も、周囲の敵も無事と言う訳で。
 ドカッ。
 …まぁ、反乱軍の末路はたかが知れている。
 バキッ。
 こうして死ぬまで拷問を受け、
 ドチャッ。
 …そして、道端に捨てられる。
 虫の息。
 ほぼ死体。
 目が霞む。
 霞んで、霞んで。
 …そして、見えなくなった。



 この体ですか?そうですよ。改造して貰ったんです。
 ええ。もう元の体には戻れませんし、長くも保ちません。
 …簡単な話ですよ。
 僕は目的を遂げる。その為に僕はこうして生きているんです。



 目が覚める。
 九百五回目の蘇生。
 周囲を確認。
 どこかの部屋。
 豪華な調度品。
 …どうやら俺は富裕層の奴に拾われたらしい。
 服は綺麗に繕われ、装備と共に枕元に置かれている。
 体を軽く動かす。
 全身の蘇生を確認。
 とっとと退散しよう。
「…目が覚めましたか?」
 声のした方を向き、
 絶句した。
「これ、良かったら飲んで下さい。
 傷に良く効く薬湯です」
 そこにいたのは、表情も乏しく、目に光の無い少女。
「…ありがとう」
 感情を表に出さない。
 結構苦労した。
 何故なら、目の前にいたのは、
「…貴方は、昨日私の家を襲撃した人の一人ですよね?」
「簡単に答えると思うか?」
「悪い事は言いません、手を引いて下さい」
「簡単に聞くと思うか?」
「今回は奇跡的に助かっただけです…次はありません」
「…簡単に諦めると思うか?」
「…貴方は、どうしてそこまでするのですか?
 貴方の心臓は何度も止まったのですよ?死に掛けたのですよ?
 …それなのに、どうして…」
「…救わなきゃいけない人がいるんだ」
「救わなければ…いけない人?」
「ああ」
「…それは、命を掛けてでも成さねばならない事ですか?」
「ああ」
「…そんな事の為に…」
 俺を助けたその人は、悲しそうに目を伏せる。
 …ああ、そうか。
「…僕を、忘れてしまったんだね」
「え…?」
「…いや、気にするな。こっちの話だよ」



「ねぇ、アヤト」
「どうしたの?ユウ」
「…もし私が世界を滅ぼす魔王になったら…アヤトなら、どうする?」
「…ユウは、世界を滅ぼしたいの?」
「っそんな訳無いよ!
 絶対に…絶対に無いよ!」
「…だったら、僕は」



 既に富裕層は滅んだ。
 貧民層もこちらの戦力も、壊滅間近。
 世界が終わる。
 目の前にいる、俺達が魔王と呼び、人が聖母と呼ぶ怪物の手によって。
 口から血が溢れる。
 負ったダメージと、寿命が近いせいだ。
 …良かった。
 …間に合った。
「これで約束を果たせるよ。ユウ」
 笑い掛ける。
 魔王、聖母、怪物の表層にいる、表情も乏しく、目に光の無い少女に。
 俺が…僕がユウと呼び、遠い昔に約束をした、あの子に。
「…ユウ、全部終わらせよう」
 武装を構える。
 人より遥かに長く、しかして限り在る僕の寿命を喰い、莫大な力を行使する武装。
 …そう。
 僕は、この為だけに。
 …ユウを救う、その為だけに、
 僕は喜んで、人をやめたのだ。
「――――ッ!」
 ユウは慟哭する。
 その声が、助けてと言っている様に聞こえて。
「…うん、助けるよ。
 それが、ユウとの約束だから」
 そして怪物は走り出す。
 叶えたかった約束を、
 叶えたくて叶えたくて…でも、叶えられなかった約束を、
 ユウとの約束を、果たす為に。


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