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本宮晃樹さん

ふつうにサラリーマンをしております。 春夏秋冬、いつでも登山のナイスガイ。 よろしくお願いします。

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登山ガイドQ&A

17/09/02 コンテスト(テーマ):第112回 【 自由投稿スペース 】 コメント:2件 本宮晃樹 閲覧数:503

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Q 健康促進のため、今夏はいよいよ登山を始めたいと思います。まずは低い山で練習したいのですが、どこかお勧めはありますか?
A うってつけの山域があります。三重県の鈴鹿山脈なんかどうでしょうか。標高はせいぜい1,200メートル程度、どの山も片道二時間足らずで登れる懐の浅い山脈ですよ。
 そのなかでもとくにお勧めなのが、同山脈最高峰の御池岳(1,248メートル)にいたるコグルミ谷登山道。日本列島唯一の陸生環形動物であるヤマヒルが数多く生息するこの谷を五分も歩けば、足元に群がるおぞましい吸血生物に包囲されることうけあい。露出したすねや首はおろか、繊維を食い破っていたるところに吸いつくヒルの攻囲戦術にはある種の感動すら覚えることでしょう。
 山をクーラーの効いた快適な部屋代わりに考えている質問者に朗報。低山ともなれば夏は容赦のない陽射しにさらされ、紫外線によってこんがりローストされます。脱水症状寸前まで汗を流し、ヒルに静脈から老廃物の混じった血液を吸ってもらい、お望みの健康促進を心ゆくまで体感できるでしょう。
 今夏はぜひ鈴鹿山脈にお越しください。

Q 山ガールに会いたいのですが。
A そんなものは存在しません。あしからず。
 もしあなたが量子力学的な波動関数の収束と発散をコントロールできるのであれば、彼女らの存在する宇宙を探すのもよいでしょう。無限に分岐する宇宙のなかのひとつにでも山ガールがいれば、儲けたものです。

Q 登山の魅力を教えてください。
A まず第一に、たぐいまれなるいも臭さが挙げられます。下界でたしなめるボウリング、カラオケ、ビリヤード、ダーツ、その他いろいろの洗練された趣味と比較したとき、このスポーツの泥臭さ、垢抜けなさ、苦痛の多さが浮き彫りになります。道具は軒並み高額、登山口は概して山奥なためにマイカー必須、おまけにアブ、ぶよ、ヒル、熊、猪との遭遇リスクがつきまとい、自然とはなにかを思い知らされるでしょう。コストとベネフィットの比は、およそ50:1とお考えください。
 次に世代間交流の機会が多いこと。普段中高年と親しく触れ合う機会は少ないものです。ところが山には第二の人生を活き活きと歩む高齢者世代があふれ返っていますので、彼らと仲よくなるチャンス! 狭い登山道をナポレオンの大陸封鎖ばりにえんえんと占拠し続けるパーティ、原子炉を内蔵しているかのようなパワーあふれるおばちゃん集団、あいさつしても憮然として一顧だにしない団塊世代。たくさんの出会いがあなたを待っています。

Q 虫はもうたくさん! 一面の銀世界を堪能してみたいのですが。
A 冬季登山をするのがよいでしょう。賭けてもいいですが、虫に遭遇する可能性はまずありません。登山道は積雪で隠され、膝下まで潜り込む雪を蹴散らしながら歩くという特異な経験ができるでしょう。
 もし連泊登山をお考えの場合は、零下20度近くまで下がる外気のなか、何枚重ね着をしてシュラフに潜り込んでもなお忍び寄る寒さに震えながら、一時間おきに目が覚めてろくに寝られない厳寒の夜があなたを待っています。剃刀のように身を切り裂く夜気を感じながら、オリオン座をはじめとする冬の星座の鑑賞会をしてみてはいかがでしょうか。
 星に見とれて飲み水と靴をザックに退避させるのをお忘れなく。うっかりそこらに置いておくと液体窒素に浸したかのように凍りつきます。

Q 山飯がおいしいと聞きました。
A 一部の漫画で大げさに取り上げられているようですが、実際の長期縦走では余分な荷物を減らすため、かさばる調理道具や具材を持っていくスペースはありません。典型的な朝昼晩三食のメニューは次の通りです。
 朝 アルファ化米、菓子パン
 昼 カップめん、菓子パン
 夜 レトルトカレー、チーズ
 ご覧の通りビタミン、ミネラルが極度に不足しますので、壊血病に注意しましょう。

Q 誰がこんなことやりたがるんですか。
A 不思議なことに一定数そうした人間が存在するようです。
 男性は進化心理学的な見地から眺めた場合、勇敢な行動――しばしば無謀と同義の――をやらかして女性を惹きつけようとする動機があるため、一応男性プレイヤーの存在は説明がつきます。ところが女性は「選ぶ性」ですので、そもそもこんなばかげたスポーツをするインセンティヴは湧かない。したがって山ガールはいない。進化論的にも彼女らの不在は証明され、それは観測データと一致します。
 結論を述べましょう。悪いことは言いません、街でダーツでも投げてなさい……。


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このストーリーに関するコメント

17/09/02 田中あらら

こんにちは。
爆笑の連続でした。私も登山をしますので、馴染みのある鈴鹿山脈や、テン泊、冬山など、シニカルでありながらリアルに語られていて、楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。

17/09/04 本宮晃樹

田中あららさま
コメントありがとうございます!
楽しんでいただけたようで幸いです。ぼくもこんなつらいことなんでやってるのか不思議で、早く足を洗いたいのですが……。ありがとうございました。

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