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葵 ひとみさん

「フーコー「短編小説」傑作選8」にて、 「聖女の微笑み」が出版社採用で、出版経験があります。 第114回 時空モノガタリ文学賞 【 パピプペポ 】最終選考を頂きました。 第116回 時空モノガタリ文学賞 【 裏切り 】最終選考を頂きました。 心からありがとうございます。 感想、心からお待ちしています^▽^ Twitter @Aoy_Hitomi

性別 男性
将来の夢 毎日を明るく楽しく穏やかにおくります。
座右の銘 白鳥の湖、努力ゆえの優雅さ――。

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茉莉の愛の約束の契り

17/08/29 コンテスト(テーマ):第143回 時空モノガタリ文学賞 【 約束 】 コメント:0件 葵 ひとみ 閲覧数:793

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 ――指切りげんまん、嘘、ついたら「針千本、飲〜ます」――



遠くの古い民家の睨みあいの松と呼ばれる憎しみ合った花魁と武士が祀られた二本の松の敷地から幼き子供達の優美な遊び声が聞こえる……



時は江戸時代、京都の先斗町の百花繚乱の花魁、茉莉には恋焦がれる客がいた、

青龍藩の幻夢城の跡取り息子の永田平 潤之介(ながだいら じゅんのすけ)である。

当時の江戸の遊女遊びの礼儀として、はじめて指名した遊女を二度目も指名することが、
「粋」とされた――

「粋」も「無粋」も浮き世の義理――

生まれてはじめて情慾も含めて心身がしびれほどけて随喜の涙を流した男は潤之介だけ。

潤之介が二度目に遊びに来てからもう三年が経とうとしていた……

ずっと花魁で貯めていた大判全部を門番に賄賂として渡し生まれてはじめて遊廓の外にでた。

茉莉は自分と同じ最初、遊女の身であった出雲の阿国のように愛しき人に会いにゆく……

京都から青龍藩まで烏のような値段で身体を売りながらも茉莉の一途な愛の放浪は続いた。

幻夢城の三本も張り巡らされた深い堀の最初の入り口に辿り着いた時に見守りの武士たちに茉莉は取り囲まれた。

そこについた時には、性病ですでに茉莉の片目は失明していた、そこでも武士たちに慰み者に遭ったが茉莉は必死に耐えた……

その後、一人の武士に小指を切り潤之介に渡すことを懇願した――

その小指は、結局、潤之介に届くことなく武士が掘に捨てて錦鯉の餌となってしまった、そしてついに力尽きた茉莉もその武士を隻眼で恨めしく睨みつけ舌を噛んで自殺した――

その武士は茉莉の呪いのせいか?
全身が蝮に噛まれた後のように壊疽してもがき苦しみながら悲痛な叫び声をあげて死んでしまった――

いつの日か、この茉莉の切ない愛の約束の契りの御話が

遊女が小指の第一関節から指を切り、心底、惚れた客に渡すという、
冒頭の歌に変わっていったそうである。



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