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綾瀬和也さん

北海道の競走馬生産・育成牧場で働く綾瀬和也です。地元は栃木です。宜しくお願いします。

性別 男性
将来の夢 ダービー馬生産
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論争 箸とレンゲとスプーン、時々ボールペン

12/12/05 コンテスト(テーマ):【 箸 】 コメント:0件 綾瀬和也 閲覧数:1976

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 コンビニのお弁当コーナーの前で腕組みをしながら亮一は考えていた。
『ネギ塩カルビ弁当もいいけど、この前食べたしな。かといって、唐揚げ弁当は昨日食べた。カレーって気分じゃないし…』
 営業の仕事をしている亮一。ほぼ毎日出先でコンビニ弁当がお昼ご飯。結局さんざん悩んだ挙句、ネギ塩カルビ弁当をチョイスした。

 コンビニ弁当を買うと、そこの駐車場で食べる人が多いが、ここのコンビニの駐車場は数がそんなに多くない。いつもここでお昼を買った時は、近くの運動公園の駐車場にいつも移動している。亮一自身がコンビニの駐車場で食べることを嫌っているのも理由の一つ。停められない人が出てしまうからだ。

 運動公園の駐車場に車を停める亮一。ネギ塩カルビ弁当のふたを開けてさあ食べようと思った瞬間固まる。
『箸がない…』
 袋の底の方にあるのかと思い、確認するがやっぱりない。車の小物入れ等に予備があったかなと思い探してみるが、箸が見つかる事はなかった…

「それでどうやって食べたの?」
 営業先から帰って来た亮一に同期入社で仲の良い大輔が聞く。
「…どうやって食べたと思う?」
 苦笑いを浮かべながら亮一が言う。
「手」
「いくらなんでもそれは無理」
「じゃあ、ボールペン?」
「…正解」
 と、呟くように亮一が言うと、大輔が大爆笑する。
「マジありえねぇ!コンビニに戻って箸貰ってくればいいじゃないの」
「運動公園に移動しているから、戻るのが面倒くさい」
「だからってボールペンで…はっはっはっは!」
 大輔がまた笑う。
「笑いすぎだ」
 そう言い、亮一が大輔の頭を叩く。
「最近突っ込みがきついなぁ」
 と頭をさすりながら大輔が言う。
「ほっとけ。そんな漫画のような話があったんだ」
 亮一がそう言い、机に向かい報告書を書き始める。
「大変だったね。そう、俺も今日はコンビニでお昼買ったんだよ」
 大輔が言う。
「それで?」
「凄い腹が減っててさ、唐揚げ弁当とカレーライスとカップヌードルを買ったんだよ」
 大輔がさらっと言うのを亮一があきれた表情で見る。
「食べすぎじゃないか?」
「だから腹が減ってたから。それで、店員さんが聞くわけよ」
「温めますかとか?」
「まぁそれも聞かれたけど、お箸は三膳でよろしいですか?って聞くのよ。どう思う?」
 大輔の疑問に首をかしげる亮一。
「どう思うってそれだけの量を一人で食べるとは思われないだろ。普通の感覚なら」
「そうじゃねぇよ!俺はカレーは箸で食べない!だから二膳だろ!」
 大輔の熱い語り口調に思わず噴き出す亮一。
「突っ込むところはそこか?」
「そこだ!カレーをお前は箸で食べるのか?」
「スプーンで食べるけど…」
「だから俺は言ってやったんだ。いえ、箸一本とスプーン一本でとな」
 大輔が得意げに言う。ため息を吐き出す亮一。
「何だよ?」
 大輔がけげんそうな表情で聞く。
「いい年して箸を本って言うんじゃないよ」
「うっ」
 大輔の表情が固まる。
「さっきは三膳って普通に言ってるのにな」
「うるさい」
「で?今日は晩飯食べてくか?」
 二人はお互い一人暮らしなので、よく晩飯を一緒にすることが多い。
「そうだな。今日は中華が食べたいかな?」
 大輔が言う。
「了解」
 亮一が了承する。
「ちなみにさ…」
 大輔が聞いてくる。
「チャーハンは箸で食べる?」
「いや、レンゲだろ」
「中華丼は?」
「それもレンゲでしょ」
「回鍋肉は?」
「それは箸。っていうか、何なんだ一体!回鍋肉をレンゲで食べる奴いるか!」
 亮一がじれる。
「たまに微妙なラインの料理があるじゃん。箸なのか、スプーンなのか、レンゲなのか」
「レンゲとスプーンは一緒と捉えていいじゃねぇか!」
 大輔の天然ぶりに突っ込まずにはいられない亮一。
「あ、そだね。いや、例えばスプーンで食べたほうが楽な料理ってあるじゃん」
「だからさっきのカレーやチャーハンとかだろ?」
「いやいや、牛丼や親子丼はスプーンのほうが楽だぜ」
 大輔の指摘に、亮一が首をかしげた。
「また?何か変な事言った?」
「いや、楽かもしれないけど、それ以前にそれを食べる時にお前にスプーンを持ってほしくはない」
 亮一が言うと今度は大輔が首をかしげた。
「何で?」
「絵にならない」
「どういうことだよ」
「だって、丼物をスプーンでかき込むより箸でかき込んだほうが絵になるぜ」
 亮一がそう言うと、大輔がなるほどといった表情をする。だが、すぐに表情を変えて、
「ボールペンで飯食べた人間が言う言葉じゃないね」
「うるさい」
 また亮一が大輔の頭を叩いた。そして、
「何でもいいからさっさと行くぞ。あそこの杏仁豆腐はすぐ売り切れるんだ」
「ちなみに杏仁はどっち?」
「箸!」
「え?」
「あ…とにかく行くぞ!」




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