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かめかめさん

http://ameblo.jp/kamekame1976/ ブログデシセイカツバクロチウ

性別 女性
将来の夢 印税生活
座右の銘 ハワイに行きたいと思ったら、一歩踏み出さないといけない。 ハワイは向こうから近づいてこない。

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八四八

12/12/02 コンテスト(テーマ):【 箸 】 コメント:0件 かめかめ 閲覧数:1887

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「箸が折れた。ほら」

そろそろ寝ようかな、という時間に、
半分ニートの妹がにやにやしながら自分の箸を見せびらかしに来た。
なるほど、たしかに真ん中からボッキリと折れている。

「何しよったん?」

「ハンバーグ千切ろうとしたら折れた」

どんだけ硬いハンバーグを食べていたのか謎だったが、とりあえず私のスペア箸を貸してやった。
箸の持ち手側にフォーク、もう一本の持ち手側にスプーンがついた、3通りに使える箸である。

「もちにくーい」

文句を言いながらも妹は鋼鉄の如き(?)ハンバーグに噛み付いていた。



「箸ってどこで買えるかねえ?」

翌日の夕方、仕事から帰宅した私に妹が聞いてきた。そういえば、こいつは箸なしで朝と昼は何を食べたのだろうか。

「高宮駅のそばに八四八って店があるやん。箸専門店って書いてある」

「ああ、そういえばあったような気がする。買ってくるー」

珍しくフットワーク軽く出かけていった。
よっぽど箸がない一日が不便だったものと思われた。

夕飯の支度を終え、妹を呼ぶ。妹はニヤニヤしながら

「コレ、買った」

と箸を見せびらかした。

細身だがしなやかな材質の木でできており、持ち手の部分は七宝のような光沢のある青い石で覆われている。大柄な妹にもちょうど良いくらい十分な長さもある。
シンプルだが上品で使いやすそうだ。

「いい箸だね。八四八、さすが専門店だね」

「うん。一センチ刻みで長さいっぱいあった。豆もつまめるよ。大豆摘み放題。
 小豆も摘んだ」

得意げに、カチカチと箸を打ち鳴らす。
そういえば、こいつ小さい頃はなかなか正しい箸使いできなかったのに。いつのまにか箸で小豆を摘めるようになってたのか。
なんだか無駄に感慨深い。

「かめちゃんも行くといい。摘めよ、大豆を」

「いや、いいよ。箸、二膳ももってるから」

今は半分ニートだけど、人より遅いだけで、いつか気づけば社会に出て行く時が来るのかもしれないなあ。

「今日は刺身だから箸折れないよ」

「八四八の箸だから、かめちゃんのハンバーグでも折れないよ」

「え、昨日のあれ、私が作ったやつ!?一週間前のじゃないか!!」

「冷凍庫入れてたから大丈夫」

「……もしかして、解凍せずに食べたとか?」

「まさかあ。チンしたけど時間長すぎて硬くなった」

レンジもうまく使えないのか、こいつ……。思わず頭を抱えそうになったが、思い直した。
まあ、いいさ。
少しずつでも器用になっていけばいいさ。
人生は長い。
おまえの箸のように。


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