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むねすけさん

ブログで創作をやっていましたが、誰にも相手にしてもらえないため、こちらに辿り着きました。 面白い物語、少しほっとしてもらえるようなお話を書きたいと思っています。

性別 男性
将来の夢 作家になりたいですが、 それが無理でも、何かの原案家とか、 自分の考えた物語が世に出ること。
座右の銘 我思う、故に我在り。

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敷島早朝清掃隊

17/07/17 コンテスト(テーマ):第138回 時空モノガタリ文学賞 【 猫 】 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:466

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 青春をテールライトの乱反射に見間違えた少女たち、「敷島ナイトウォーカーズ」のメンバーは悩んでいた。
「あたしら評判悪いんすねぇ」
「敵チームとハルのは上等っすけど、それ以外の人らに嫌われたくねぇですよね」
「あたしこないだスタジオ締め出しくらいましたよぉ」
「それはあんたがドラムスティック盗んだからだろー」
「テヘペロっす」
「ふりーし、似合わねんだよ、あれはローラにしかできねー芸当だ」
 中でも、世間的評判の悪さに一番頭を痛めていたのが、「敷島ナイトウォーカーズ」三代目総長、竹ノ内琉花だった。
「なんとかしたいよねぇ」
 その時、ながらにつけていたテレビに映し出された映像が、「敷島ナイトウォーカーズ」に転機の天啓をもたらす。
「これだよ!!」
「えぇ、なんすかぁ、たま駅長がどうかしたんすか」
「かわいいニャンコですよねぇ、ちっこい帽子がナイスアイテムだな」
「これだよ。見ろよ、たまちゃんは駅長だけど、駅長の仕事をしてるわけじゃねんだ」
「はぁ」
「で?」
「つまり、象徴、シンボルマーク、可愛いは正義!! ってことさ」
「まさか」
「ルー先輩、ニャー子を総長になんてんじゃ?」
「そのまさかだよ、評判回復にはこれしかないね。アっち、カレンダーは?」
「仏滅っす」
「よし、ゴー!」

 敷島の夜に狂い咲く季節外れの血まみれ月下美人こと、竹ノ内琉花の提案により、竹ノ内ニャー子はミニ特攻服と、チームのロゴ入り鉢巻きでレディース総長にされたが、変わらず愛くるしい潤んだ瞳で欠伸をしていた。
「すっかりなめ猫みたいになっちゃったすね」
「バーカ、黙ってりゃわかんねーよ。そんなことより、ニャー子総長発足一発目、ぬかるんじゃないよ」

 琉花の胸からヒョコリ、ニャー子は顔を出して、マフラーの雄叫びと夜の子供たちの叫びに目をしろくろさせていた。途中でそのことに気が付いた琉花はこっそり、「ケツもってくらぁ」と、メンバーに言い残すと集団から抜けた。
「ごめんよ。ニャー子。あんたに時速120は風当たりが強すぎんね。それにさ、やってることなんも変わんねーし、普通の人らが見たらニャンコ虐待だって言われてもしゃーないね」
 
 再び、琉花の部屋で集会がもたれる。
「どーするかね」
「どーしましょーねー」
「ルー先輩、どーしよー」
「私はもう総長じゃねーし」
「じゃぁ、ニャー子総長の意見を聞きましょうよ」
「馬鹿なのか? ニャー子が喋るか」
「チョコ! 入っといで」
「ん? 見ない顔だね」
「へっへー、猫憑きのための憑りつかれ体質の子呼んだんすよ」
「んあ?」
「ニャーコ総長を、この子に憑依させるんす。ホラ、これ見てください。やり方、スマホで発見しました」
「うまくいくのかねぇ」
 うまくいった。ニャー子総長は意見を滔々と述べる。その姿はまさしく、人の上に立つ者のそれであった。それも然りニャー子はすでに竹ノ内家で飼われて四年、人間の年齢にして三十路だから。ハイティーンの少女の中にあって、臆する理由は何もなかった。堂々と語る。
「いいかニャ、見方を変えてほしかったら表面だけ変えてもダメニャ。そんな根性のないかどわかしなんぞ、世間の大波の前にはさざ波にもならんのニャ!」
「バイクのスピードにめぇしろくろさせちゃってたくせに」
 あまりの堂々ぶりに、琉花が唇尖らせてチャチャを入れる。
「黙ってろニャ、評判あげたいんだろニャ?」
 バチッと、琉花とニャー子に憑かれたチョコの視線がスパークするも、
「私に、ヤキ入れるつもりかニャ? 焼き入れるのは牛肉だけで十分ニャぞ?」
「うえ、親父ギャグ」
「うちで焼き肉パーティーやるときのルーの鉄板ギャグニャ」
「ルー先輩……」
「う、うるせーな、コノヤロー、爺ちゃんにうけるんだから、しゃーねーだろー」
 どたばたと、話は時々脱線しつつも、ニャー子総長のイニシアチブにより、進行する。
「バイクうるさいにゃ。深夜もダメニャ。いい子は早寝早起き、基本ニャ。ケンカも勿論いかんニャ、暴力に花は咲かないニャ。なーにが、血まみれの月下美人にゃ、あほらしいニャ」
「てっめー」
「今日から、敷島早朝清掃隊にするのニャ。自転車で清掃活動するのニャ」
 さすがに、ニャー子総長の提案に場が白けた。
 伊達に青春をレディースチームに捧げてはいない。
 それに、ボウ抜けとなれば、鬼のOG達も黙ってはいない。
「いいよ。あんたら。あたしはニャー子とはどっちか死ぬまで相棒だから、しょーがねーけど、付き合うことないよ」

 翌朝。
 前かごにニャー子を乗せた自転車が、敷島の早朝を風になって駆ける。
「ルーせんぱぁい」
「ニャー子そうちょー」
 早起きが苦手なチームメイトも、後から、遅れて、風になる。 

 


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