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泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

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愛のサンタ♪

12/11/28 コンテスト(テーマ):第十九回 時空モノガタリ文学賞【 クリスマス 】 コメント:20件 泡沫恋歌 閲覧数:3141

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「メリークリスマス」
 いきなり暗がりから声が聴こえて来た。僕はバイト帰りの道を一人で歩いていたが、その声は僕以外の誰かにかけたものだろうと無視して歩いた。
「ちょっと、三輪守君だよねぇ?」
「はぁ? そうだけど……誰?」
 自分の名前を呼ばれて驚いた。振り向くと若い女が立っていた。
「あたしサンタだよん」
 見れば、真っ赤なサンタ風の超ミニスカートを穿いて、頭にはサンタ帽を被っている。派手な化粧の女で居酒屋の客引きか、キャバクラ嬢かも知れない。あんまり関わりたくないので僕は足早に歩いた。
「ちょっと、待ってよ。シカトはないでしょう?」
「な、なんですか? 僕は急いでるんです」
「嘘つけ。彼女もいないくせに帰っても部屋でボッチじゃん」
 うっ! 図星だ。だが、ムッとした。
「なんですか? 君は……知り合いでもないのに馴れ馴れしくしないでくれ」
「守君って、彼女いない歴三年だったよね」
「うるさい!」
「あははっ、あんたって2ちゃんに『クリスマス爆発しろ!』とか書き込むタイプでしょう」
「……誰かに頼まれたイタズラですか?」
「だから、あたしは愛のサンタだよ。クリスマスに彼女のいない寂しい男の子に愛を運んでるんだってばぁ〜」
 怪しい女なので、これ以上相手にしたくない。
「あっ、手に持ってるの、それケーキ?」
「そうだけど……」

 僕の実家は祖父の代から老舗のケーキ屋である。
 上京して大学で勉強していたが、中退して、今はお菓子作りの専門学校へ通っている。元々勉強よりケーキ作りが好きだったし、ある理由で大学を辞めようと決心した。それは当時付き合っていた彼女のひと言だった。
 彼女はスレンダーなスタイル美人で、僕は嫌われないように必死だった。家業がケーキ屋なので「門前の小僧」ケーキ作りは得意だし、スイーツ好きの彼女のためにデートの度にケーキをプレゼントした。
 僕の焼いたケーキは美味しいと大喜びの彼女だったが、ある日――。
「守とは別れる!」
 いきなり言われた。
「えっ! どうして? 僕のどこが嫌いになったの?」
「あなたのケーキが美味しくて、私、5キロも肥ったのよ!」
「まさか?」
「もうお別れよ! 私、これ以上肥りたくないの」
 そんな理由で僕はフラれた。それで大学中退してお菓子の専門学校に通うことにした。僕のケーキは女の子を肥らせるくらい美味しいと自信があったからだ――。

「メッチャ美味しかったぁー」
 僕から引ったくったケーキを全部平らげて女サンタは満足そうだった。眉つばだが、彼女はサンタクロースの孫娘らしい。
 僕がバイトしているティー&スイーツのお店のマスターがクリスマスだからとケーキを持って帰らされたが、自分で焼いたケーキを自分で食べるのもなんかなぁ〜と思っていたので食べてくれる人がいて良かった。
「ホントに守君のケーキは最高だよ」
「うん」
「このお礼に素敵なプレゼントあ・げ・る」
「なに?」
「じゃあね。バイバーイ」
 女サンタがスッと目の前から消えてしまった。どこかでシャンシャンと鈴の音が聴こえたような気がしたが……僕は首を傾げながら自分の部屋へ帰った。ドアの前でポケットから鍵を探していると、背後で人の気配を感じた。

「あの……」
 若い女が立っていた。その人はティー&スイーツのお店の常連客のひとり。二十歳くらい、色白で化粧気もなく、ちょっとポッチャリ系だけど純朴な感じがする。
「三輪守さんですか。私、あなたのケーキの大ファンなんです」
「ありがとう」
 ケーキを褒められると嬉しい。
「実はクリスマスケーキを作って欲しくてお願いにきました」
 マスターに住所を訊いて、僕に直接注文にきてくれた。
「予算は幾らくらい?」
「ちっちゃくていいんです。だって、私ひとりで食べるんですもの」
「そうですか」
 その返答に熱く彼女を見つめてしまった。
「僕もクリスマスはひとりです」
「良かったら、ご一緒にケーキ食べてくれませんか?」
 そう言った後に、彼女の顔が見る見る桜色に変わった。なんて可憐な乙女なんだ!
 僕らはティー&スイーツのお店で一緒にクリスマスを祝う約束をした。もう来年からボッチのクリスマスは来ないような気がする。彼女が僕の「運命の人」って感じがするんだ。

                   *

「あのふたり上手くくっつきそうですぜぇ」
 やさぐれたトナカイが言うと、
「女の子は性格も良いし、守とはお似合だよ。――けど結婚したら、彼女が『幸せ激肥り』するってことは、ナイショさ」
「あははっ、ボッチでよりマシだろう」
「世の中、恵まれないガキより、モテない男の方がずっと多いんだ。あたしからのプレゼントは愛だよん」
「愛のサンタ♪ イェイ!」

 降誕祭の夜、超ミニスカートの女サンタは愛を運んでいく。


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このストーリーに関するコメント

12/11/28 そらの珊瑚

恋歌さん、拝読しました。

やさぐれたトナカイとイケイケサンタ。いいコンビですね!
楽しいストーリー展開に思わずにっこりしてしまいました。

12/11/28 草愛やし美

泡沫恋歌さん、拝読しました。

いや現代版サンタ登場に大笑いして読みました。面白かったですよ。

こんなサンタさんいれば世の中愛が溢れてきっと楽しくなるでしょうね。愛に恵まれない悲しい大羊男にも合いの手を……、なんてね。(爆)

12/11/28 石蕗亮

泡沫恋歌 様
拝読しました。
キューピッドのようなサンタガール、良かったです。
やさぐれトナカイもいいですね(喜)
グラサンして葉巻くわえてそう(私の勝手な妄想ですが)
シングルベルは寂しいですもんねぇ。
良い物語でした♪

12/11/29 こぐまじゅんこ

泡沫恋歌さま。

かわいいお話ですね。
女サンタさん、いい人を紹介しますねぇ。
楽しく読ませていただきました。

12/11/29 鮎風 遊

女サンタさん、どこへ行けば会えますか。
これからクリスマスに向けて探してみます。

ケーキより毒っぽい小説作ってますじゃ、相手にしてくれないかな。

12/11/30 ドーナツ

面白かった!
時代が変わると サンタもこうなるのか(笑
ヤサグレトナカイと超ミニのサンタ、会ってみたいです。

ケーキ屋さんの息子は、そういう不幸もあるんだ。

でも、一回くらい お付き合いしたいですよ。このさい 太ることは度外視して、ケーキ 食べたい。

笑わせていただきました。

12/11/30 泡沫恋歌

珊瑚さん、コメントありがとうございます。

やさぐれたトナカイとイケイケサンタはきっとモテない男の子たちの
守護神となることでしょう(笑)

12/11/30 泡沫恋歌

堀田実 様。

読んで頂き、コメントまでありがとうございます。

やはり若い女の子はスタイルを気にしているものなのです。

12/11/30 泡沫恋歌

草藍さん、コメントありがとうございます。

最近のお子様たちは両親とジージとバーバにクリスマスプレゼントを
買って貰ってリッチなもんです。

それよりも可哀想なのは聖夜をボッチで向かえる若者でしょう?
そういう人たちにこそ「愛の手」を♪

12/11/30 泡沫恋歌

石蕗亮 様。

読んでくださり、コメントまでありがとうございます。

普通のサンタのおじさんではなく、やさくれたトナカイとイケイケサンタ嬢です。
こんなフェイクな感じがする二人が実は若者たちに愛を与える
使者なんですから笑っちゃうよね(笑)

12/11/30 泡沫恋歌

こぐまじゅんこ 様。

読んでくださり、コメントまでありがとうございます。

なかなか見る目のあるサンタ嬢かも知れませんが・・・
心優しい彼女は守君が焼いたケーキを喜んで食べ過ぎて
肥っちゃう運命だけは変えられそうにもありません(笑)

12/11/30 泡沫恋歌

鮎風さん、コメントありがとうございます。

女サンタはモテない寂しい男の子限定なので、ちょっと無理かも(笑)

ご家族と楽しいクリスマスを迎えてください。

12/11/30 泡沫恋歌

ドーナツさん、コメントありがとうございます。

時代というか・・・これは架空の女サンタです。
てか、サンタクロースも架空か!?

ケーキが好きなら、ケーキ屋さんの家族と親戚になるしかないね。
そしたら、ケーキ食べ放題(*≧∀≦)ノ゚ヤタアァァァ〜♪


12/12/03 郷田三郎

読ませて頂きました。
魅力的ですねぇ。ミニスカ・サンタ・ガール。
どっちかというとこのサンタさんと一緒にケーキを食べたいかも。

12/12/03 泡沫恋歌

郷田三郎 様。

読んで頂き、コメントまでありがとうございます。
やはり、ポッチャリ系の女の子よりも、ミニスカのイケイケサンタ嬢の方が
お好みですか?(笑)

性格の良いブスを選ぶか? 性格の悪い美人を選ぶか?
この問題は、男性に取って永遠の人生の課題ですね(爆)

12/12/04 くまちゃん

女の子のサンタは大人の救世主なのですね。
いい話です。
元アナウンサー雨宮塔子の旦那様もパテシエ、フランスでも日本人のパテシエは優秀のようです。
美味しいものを頂いて太るのもいいですね^^

12/12/04 泡沫恋歌

くまちゃん、コメントありがとうございます。

私たち女はスイーツ好きが多いです。
てか、おやつ食べられないなら、家事しない、働かない、笑わない。
って思うくらいです(笑)

大好きな人が作ったケーキなら食べ過ぎて肥っても本望でしょう♪

12/12/09 石蕗亮

泡沫恋歌 さま
再度評価入れ直しながら読み直し歩いています。
何度読んでも最後のとこで顔がにやけてしまいます(笑)

12/12/09 泡沫恋歌

石蕗亮 様。

再度の来訪ありがとうございます。
良いと思って再びポイントを入れてくださった、お気持ちが嬉しいです。
こちらからも再び訪問させて頂きますね。

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