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とむなおさん

とむなお――です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

性別 男性
将来の夢 作家
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猫アプリ

17/06/19 コンテスト(テーマ):第138回 時空モノガタリ文学賞 【 猫 】 コメント:0件 とむなお 閲覧数:711

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 タツヤは、猫が大好きだった。
 それは、子供の頃から、自宅にミーコという猫がいたからだろう。
 だから彼は、ミーコの世話をよくしていた。

 しかし彼はいつも困っていた。
 当然だが、猫は「ニャー」ぐらいしか言わない……いや鳴かない。
 いま、ミーコが何を言ったのか?
 いま、ミーコが何を欲しがっているのか?
 まったく分からなかったからだ。
「ミーコが何を言ってるのか、分かればいいのに……」
 とタツヤは、いつも思っていた。
 母や姉に言っても、笑われるだけだった。
 友達に話してバカにされたこともあった。
 そんな時タツヤは、ミーコを見詰めて、
「ミークの言葉、どうしたら分かるのかな……?」
 するとミーコは、
「ニャー」


 やがてタツヤも大人になり、某IT企業に就職した。
 その理由は、スマホを使って猫と会話したい――からだった。
 無論、面接では、そんな事は全く言わなかったが、本心はそれだった。
 彼は、通常の退社時間になると、いったん社を離れ、何処かで食事を済ませてから、秘かに社に戻った。
 そして、残業と称して『猫アプリ』の研究をつづけるのだった。


 休日などは、愛猫のチーコを側に置いて、ネットを使うことが多かった。
 そうして、全国にいる猫愛好家の人達と、色々な意見交換をして楽しんでいた。
 何気なく、
『猫の言葉が分かるアプリって、どうですか?』
 と訊(き)いてみると、
『それは面白いですね。あったら欲しいですよ』
 という返事が大半だった。
(もし、猫アプリが完成したら、ひょっとすると大ヒット商品になるかも……)
 とタツヤは、気持ちを大きくした。


 そんなある夜、暗くて誰もいないオフィースで、タツヤは、
「僕って多分、天才だね」
 と、つぶやいた。
 ついに、夢にまで見た、猫アプリが完成したのだ。
「このアプリを入れたスマホを使えば、チーコのニャーという声から、その言葉の意味を翻訳してくれるハズさ」
 彼は大喜びしながら、オフィースを後にした。

 丁度、翌日は土曜日――休日だった。

 朝食を済ませたタツヤは、チーコにエサを与える。
 そして、例の猫アプリをダウンロードしたスマホを近づけた。
「ニャー」
 その直後、スマホからは……
『なんだ、またこれか……』
「おー、やったー! あっと、しかし……このエサは飽(あ)きていたのか……」
 彼は困って思案すると、キッチンに向った。

 そこで、ハッと目がさめた。
「なーんだ、夢だったのか……」
 起きてチーコを見ると、まだ寝ているようだった。
 朝食を済ませた彼は、チーコにエサをやりながら、
「あの夢のように、なんだ、またこれか……なんて言われても、困るけどな……」
 そしてスマホを、チーコに近付けた。
「ニャー」
 すると、その直後、スマホから……

『ニャー』


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