1. トップページ
  2. クロの親

林一さん

性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

クロの親

17/06/19 コンテスト(テーマ):第138回 時空モノガタリ文学賞 【 猫 】 コメント:0件 林一 閲覧数:539

この作品を評価する

 黒猫が僕のことを見ている。もしかして、君はクロ? 

 三年前、公園の片隅に、段ボールに入った捨て猫がいた。僕はその真っ黒な捨て猫に、クロと名付けた。
 僕が当時住んでいたアパートは、ペットが禁止だったからクロを飼ってはあげられなかった。だけどクロが心配だった僕は、給食の牛乳を飲まずに取って置いて、学校帰りにクロに飲ませてあげていた。
 そんな生活が一か月くらい続いたある日、クロは突然いなくなった。段ボールごとなくなっていたから、新しい飼い主が見つかったんだと思って安心した。ちょっと寂しかったけど……。

 その一か月の間だけ、僕はクロの親代わりだった。子供の顔を忘れる親なんていやしない。あの黒猫はクロだ。親だった僕が言うんだ。間違いない。
 クロに声をかけようとしたその時、黒猫の後ろから、もう一匹黒猫がやってきた。
 あれ? あの黒猫も、クロにそっくりだぞ。どっちが本物のクロなんだ? まあいい。本物のクロだったら、親だった僕のことを覚えてくれているはずだ。
「クロ。こっちにおいで」
 二匹の黒猫は、僕から逃げるようにして走り去って行った。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン