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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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6月の恨み雨

17/06/05 コンテスト(テーマ):第135回 時空モノガタリ文学賞 【 休日 】 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1006

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 夜中に雨の音で目が覚めた。
何故が意識が冴えてしまい、仕方無くキッチンへ行きコーヒーを淹れた。
暖かいコーヒーを持って寝室に戻るとベッドに腰かけてコンポのスイッチを入れた。
最近寝ながらリラックスCDを聞くのが夜の日課になっていた。
1時間タイマーを掛けて聞きながら眠りに落ちるのだが、スイッチを入れると何故かラヂオが流れ始めた。
「貴方の心に獲り憑いて幾星霜、今宵も背後から恨めしや。毎度お馴染み丑三つラヂオのお時間でーす」
あ、と思った時には既に魔法にでも囚われてしまったかのように聞き始めていた。
「皆さん、6月ですね。梅雨ですね。
小雨坊や雨降り小僧、それに類する妖怪たちが跋扈する時期ですので日々の生活には十分気を付けてくださいね」
いや、気の付けようがないから。一体何をどうしろと。
心の中で突っ込むもののラヂオを消すことができず聞き入っていた。
「さて、何故日本では6月が梅雨なのか。本日はその原因である方にゲストに来て頂きました。どうぞ!」
誰だよそいつ。
「はい、どーも。初めまして、今晩も恨めしやー」
 「いや、ほんともう恨めしい限りですわ」
「自己紹介頂いてもよろしいでしょうか?」
 「水無月ともうします」
「水無月って6月の?」
 「はい。6月をやってます」
「不思議なお名前ですよね?6月で梅雨もあり、田んぼなんかも田植え終わって水満タンじゃないですか。
なんで水が無い月なんて書くんです?」
 「漢字の意味は関係なくて、無は元々接続詞の「の」の当て字なんです。だから水の月で水無月なんです。
同様に神無月もそうです。神の月で神無月なんです。10月は出雲以外でも神々が忙しい時期なのでそう呼ばれています」
「へー。なるほど。では何で6月に雨降らすんです?」
 「冒頭でも言いましたが、恨めしいんです。私の心模様がそのまま気象に出ているのでしょう」
「何がそんなに恨めしいんで?」
 「そりゃあ貴方分かるでしょ。6月ですよ。1年で祝祭日が全くない月なんですよ。
国を挙げて誰からも祝ってもらえない。この辛さがわかりませんか?
しかも文月と葉月。今までは我慢してましたけどね。あいつら海の日山の日ができたじゃないですか!
ただでさえあの時期は夏祭りだ夏休みだ盆休みだってイベント多かったのに。
もう、私ぼっちですよ!完全にぼっち!これが恨まずに、妬まずに、嫉まずにいられますか‼」
「な、なるほどー。そういう理由でオチてる空模様なんですね。
そんな水無月さんに卯月さんからメッセージが届いております。
『水無月へ、まもなく年号が変われば4月にも祝祭日は無くなる。俺もお前と一緒だよ』
だそうです。水無月さん、ぼっちはあと僅かじゃないですか」
 「ふ、ふざけるなーっ‼あんのやろう!たとえ祝祭日が無くったって4月は日本全国花見で盛り上がるじゃねーか!
俺には何にもねーんだよ!何にもー!」
「では、そんな水無月さんが歌う『6月は恨みの雨』を聞きながら本日はお別れとなります。
この放送を聞いておられる政府関係者の方おられましたら是非、是非ともですね、6月に祝祭日を制定して頂きますようお願い致します」
〜♪
 「睦月、皐月ならまだ許してあげられるの
だって陽光が平等に降り注ぐように
正月と子供の日は分かるもの
でも他の月は受け入れられない 
そのお祝い、何故私じゃいけないの
卯月、師走はいつか祝祭日なくなったって
花見に年末イベントたくさんあるじゃない
春分、秋分は休みなのに何故夏至は休みじゃないの
建国、憲法各記念日なんで6月にやらないの
敬老、勤労感謝6月だっていいじゃない
体育、文化だって6月で何故いけないの
海の日、山の日あるなら私に空の日をちょうだい
休日が少ないからと嫌われる月はもう嫌なの
私も他の月の様に人々に休日をあげたいの
1日でも多くの休日をあげたいの
私の心を写すように
今日も恨みの雨が降る
今日も悲しみの雨が降る
想いを写したゲリラ〜豪雨〜♪」
「それではみなさん、また来世でお会いしましょう!丑三つラヂオでしたー」
プツ、ザー
番組が終わるとラヂオも途切れた。
直後大音量で何かが割れる音がして空が光り、ビリビリと空気が震えた。
続いて屋根や外壁を強く打ち付ける雨音が部屋中が埋め尽くした。
私は何とも言えない鬱々した気分で毛布にくるまった。
 私、明日誕生日なんだけどなぁ。



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このストーリーに関するコメント

17/06/09 冬垣ひなた

石蕗亮さん、拝読しました。

このシリーズ好きです。テンポが良くて、ためになるお話で楽しめました。6月に山の日が来なかったのは子供の授業日数が足りなくなるからという話を見かけました、水無月さんには内緒の方が良いですね(笑)面白かったです。

17/06/12 待井小雨

拝読させていただきました。
ラヂオで繰り広げられる心からの、けれど重苦しくない恨み節がとても楽しかったです。
この曲、本当に聴いてみたいなぁと思いました。面白かったです!

17/06/20 石蕗亮

冬垣さん
コメントありがとうございます。
自分もこのシリーズ大好きです。もう趣味です。またいろんなテーマで書きたいです。
このシリーズは入賞無視で書き続けます。
これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!

17/06/20 石蕗亮

待井小雨さま
コメントありがとうございます。
昨今流行りの擬人化ものでやってみました。
学生時代に思った6月のイメージが祝日の無い月でした。
大人になればジューンブライダルも意識したかもしれませんが、学生の私にとっては祝祭日もイベントも無い月だったのです。
6月生まれの方には申し訳ないなと思いながら書きました。
デヴォンさん、弥子さん、ごめんなさい。
このラヂオシリーズは私の本性というか本音さらけ出しで書いてますので文体等めちゃくちゃかもしれませんが楽しんでいただければ嬉しいです。

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