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yukiさん

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『 』学会

17/05/27 コンテスト(テーマ):第135回 時空モノガタリ文学賞 【 休日 】 コメント:0件 yuki 閲覧数:805

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今日は月に一度の学会の日だ。
会議室の中には20人ほどの人がいる。一人一人プレゼンしていく。どいつもこいつもパッとしないテーマだ。
「報告は以上であります。」賢そうな男が礼をする。
「ほぅ」「・・なかなか良いテーマでしたね。」発表が終わるとぽつぽつと会話が聞こえてくる。こいつは多少は良い頭をもっているようだ。まあそんなことはどうでも良い。
「では、次の人」
俺の番だ。
「はい」

 * * *

「ん゛ぅーー」
アラームを拒絶する低い声、呻き声。
『文系大学生』という生き物の鳴き声である。
アラームを止める、殴る。水曜の午前9時30分。世のおじさん達は間違いなく出勤している。そんな時間だろう。しかし、そんなことは考えられないくらいの眠さだ。
前日に飲んだ酒のせいである。
入っているだけのくだらないゲームアプリの通知音が鳴る。
「はぁ」
意識が徐々に目を覚まし、ケータイを見る。10時少し前。
「今日はどうしよう?『平日』か『休日』か」
頭の中でか、声に出してか、その真ん中くらいで自分に問う。ベッドの上でこの質問が出たら答えはもう出てるんだ。


こんな風にして『文系大学生』は『休日』を量産しているのである。

するとすぐに次の問いがやってきた。
「今日バイトあったっけ」
わかんねえ。なかった気がする。後でLINEでシフト表見ないと。めんどくさいな。はぁ、やめよっかな。でも金ねぇしな。そんな自問自答をしていると次の問いがやってきた。
「今日なにしよう」
平日ならばもちろん講義がある。名前もわからない先生が楽しそうに話す、学生は誰一人聞いちゃいない。そんな90分。だけど今日は休日。やらなきゃならないことはない。たしか軽音サークルに入っていたが、ずいぶん行っていないし行こうとも思わない。まあいい、とりあえずリビングに降りて朝飯でも食べよう。
テーブルの上には、冷めたトーストとジャムやらバターやらが置いてあった。ついてたテレビからは『増加する日本のニート』・・・さすがにニートにはなりたくねぇな。そんなことを考えながら、固いトーストを囓っていた。
そうだ、今日の過ごし方を考えなくては。
「んー、出席大丈夫かな」
考えた結果、今まさにサボっている学校のことしか出ないなんて、自分の『何もなさ』に嫌気がさした。こんな自分が一応単位の心配をしたんだ。通っている大学のホームページへ行き確認。今のところ8回中4回出席。
「半分か」
新年度が始まり2ヶ月と少し、半分も休んでいるのである。
たしか、年で30回の7割出席すれば良いんだ。
「30の7割、、、30×0.7、、、、」
はぁ、わかんねえ。大学に入って2年目の6月。
今年で19の『文系大学生』のおつむは相当に残念なものなのである。
だけどそれも仕方がねえ気がする。大学の講義で頭使うものなんてないんだ。もう脳みそは働く気なんかない。なんだよ、もうニートになりかけてんのかよ。自分に対する意味のない文句を思い、落胆する。

結局この一日は何もしなかった。できなかった。
何か趣味がある訳ではないし、何か一人で考え込んでしまえるような悩みもない。不安のようなものはあるが漠然とした自分に対する嫌気のようなものだ。具体的で立派な不安はない。
本当に自分は『ダメ』な奴だ。。。なんて考えながら眠りについた。

次の日は学校に行った。
9時30分までに登校し、90分ぼーっとする。それを終えると友達との談笑やらパソコンやらで時間を潰し、午後にもう一度ぼーっとする。
「はあ、学校ってつまんねぇ」
空き時間に友達と話す以外何もしていないのである。つまらないに決まっている。
しかし前日と比べれば、よほど有意義だっただろう。友達と話したし、何もしていない前日の『休日』と比べたら今日の方が楽しんだ。よっぽど『休日』だ。考えてみたら、大学に入ってから自分は『学生の平日』らしい平日なんて送ったことがない。本当に自分は『クズ』だ。端から見たら4年全て『休日』みたいなもんじゃねえか。
この長い長い『休日』を過ごしたツケはいつ返すんだろ。返せんのか。それが無理でニートが増えるのかな。それとも自分に嫌気がさして自殺とか?はあ、わかんねえ。

さて、『文系大学生』の2日間を見てお分かり頂けただろうか?
そう、『文系大学生』は『わかんねえ』ことばっかりで『ダメ』で『クズ』な日々を送っているのである。

 * * *

「えー、以上が『文系大学生と、多すぎる休日』についての私からの考察と報告であります。」
「ご静聴ありがとう」
俺やここにいる皆は共通点がある。人を見下すのが好きである。それ故、『休日』なんていらない。馬鹿と一緒にはなりたくない。今回のプレゼンも好評だろう。

鼻にかかった面持ちの理系大学生が頭を下げる。


会議は続いていく。


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