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夜門シヨさん

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休日限定ヒーロー、ポヨポヨマン!

17/05/24 コンテスト(テーマ):第135回 時空モノガタリ文学賞 【 休日 】 コメント:0件 夜門シヨ 閲覧数:851

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 五月の半ば。GWも過ぎて、いつもの休日がやってきた。
 ただの、何の喜びも沸き上がらない、一週間のうちのたった二つしかない、一応義務的に存在している休日が。まぁ、その二つが世間的に休日と言うだけで、俺自身は毎日が休日だ。何もしない休日。いや、違うな。何をしても、まったく満たされないから。親の目が冷凍ビームを浴びているかのように痛いから。だから何もしないんだ。近所の公園のベンチで、ただただ時間が過ぎるのを待っている。ココでも人の目が痛いけれど、家にいる時と比べれば耐えられる。さて、何をしようかな−−。
「ポヨポヨマン! 今日も悪者鬼ごっこしようよ!」
「えぇ……ポヨポヨマン、最近足腰が」
「ほら、ポヨポヨマン! 私達を捕まえてみてよ!」
「早く捕まえないと、悪戯するもんね〜!」
「うぅ……こらー! 悪い事する子は、このポヨポヨマンが許さないぞー! シュタタタタタタタッ!」
「何だアレ」
 今日一日言葉を発さなかった口は、喉がカラカラであるにも関わらず、目の前に現れた存在に対し驚きを声に出さずにはいられなかった。真っ赤なヒーロースーツに身を包んだ、お腹たぷんたぷんの誰かさん−−ポヨポヨマンは小さな子供達数人に鬼ごっこに参加させられていた。声を聞く限り、俺と同じ男で優しい声色であった。
 何故あんなスーツを着て子供達と遊んでいるのか、名前はもっといいものは思いつかなかったのか、恥ずかしくはないのか。色々と疑問は浮かぶけれど。いや、まぁ、なんだ。
「おっそ」
 遅い。子供相手だからって遅すぎる。お腹が一番の原因であるのだろうけど、かなり遅い。これじゃ、子供相手だからといって一生捕まらないんじゃないだろうか。コケて怪我でもしそうだ。そうモヤモヤと考えているうちに、ポヨポヨマンは躓いて地面へと倒れてしまった。あぁ、ほらいわんこっちゃない。俺はベンチから離れ、彼の元へと足早に向かった。
「あの、大丈夫ですか?」
「あぁ、ありがとうございます。ハハッ、お恥ずかしい所を見られてしまいましたな」
「ポヨポヨマン、大丈夫? まだ遊べる?」
「ううーん、ポヨポヨマンちょっと休ませて欲しいかな?」
「じゃあ、お兄ちゃん! 一緒にやろうよ!」
「えっ、俺?」
「もし時間があるなら、私からもお願いしたいです」
 子供達のつぶらな瞳が眩しい。これを見て断る奴が居るだろうか、いやいない。
 *****
「じゃーねー、ポヨポヨマン! お兄ちゃん!」
「また遊んでねー!」
「はい、またね皆」
「じゃーなー、足の遅い兄ちゃん!」
「うるせっ! さっさと帰れ!」
 時刻は午後五時。日は落ちきらず、まだ空は青かったが子供達はもう家に帰る時間だ。暖かい家族の家に。
 生意気に子供達を見送った後、俺は疲れきった身体をベンチに預けた。身体が重い。休む暇を与えられず、延々と鬼ごっこをさせられていたのだ。家でゴロゴロしていた身体には、あまりよろしくなかった。
「はぁ……」
「ありがとう。子供達の遊び相手になってくれて」
「いえ、いいですよ。暇してましたし、それに楽しかった」
 楽しかった
 俺の口からそんな明るい言葉が出たのはいつぶりだろうか。
 ポヨポヨマンは俺の言葉に「そうですか、そうですか」と顔は見えないけれど嬉しそうに頷いていた。
 俺は、ずっと胸に控えていた疑問を打ち明けた。
「あの、なんでそんな格好なんですか?……恥ずかしくないんですか?」
 俺の問いかけに、ポヨポヨマンは少し間をあけて話し出した。
「私ね、小さい頃からヒーローに憧れていたんです。だから今!このポヨポヨマンに変身し、公園と子供達の平和を守ってるんです! 休日限定ヒーロー、ポヨポヨマン!!」
 ポヨポヨマンは突然立ち上がり、よく戦隊モノにある決めポーズを見せてきた。「カッコイイですか?カッコイイでしょ?」と子供のようにはしゃぎながら聞いてきた。ヒーローというより、ゆるキャラみたいだ。「そうですね……カッコイイ、です。あと、ゆるい感じが良い、かな?」と俺が言うと、彼は腰に手を当て「でしょ?」と得意気な様子を見せた。きっと、マスクの中はドヤ顔しているのだろう。想像するだけで小動物のように可愛いらしく思える。彼はまた俺の隣に座り、話を続けた。
「先程、君は恥ずかしくないのか?と聞きましたね。これっぽっちも、恥ずかしくありません。コレは私がしたい事ですから。だって、休日ですよ? 平日にはなれない自分になれる日です。自分のしたい事をしなければ人生楽しくありませんから」
 人生を、楽しく。この人は、自分がしたい事をして楽しんでいる。じゃあ、俺は?俺は何をしたら楽しくなるんだ?俺は目の前の景色を見た。目を瞑って、まだ残ってる事を確認した俺は彼に聞いた。
「あの……来週もここに来ていいですか?」


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