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むろいちさん

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イマジネーション

17/05/11 コンテスト(テーマ):第135回 時空モノガタリ文学賞 【 休日 】 コメント:0件 むろいち 閲覧数:674

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 休日。
 なんて甘美な響き。
 「休」の字は人が木に寄りかかって、一息ついている様からできたという説を耳にする。
 だけど元々「木」は稲穂が実っている様子を表す「禾」と書き、「禾」は軍門に立てた標木の形を表していて、本来はその標木の前で表彰をすることを「休」と言って、「休」は「幸い、めでたい」という意味らしい。
 「らしい」というのも今、調べたばかりから。
 まるで前から知っているかのように書いてしまって失敬。
 まあ、木に寄りかかってようが、表彰を受けようが「休」と「日」が合体をした「休日」は素晴らしい以外の感慨は浮かばない。
 でも成り立ちに「幸い、めでたい」意味があるというのがやはり素晴らしい。
 「休」と「日」の組み合わせ。
 これが「連」と「休」が合体をして「連休」になっても、そりゃありがたいことなんだけど、何か散漫な気がすると言うか、複数あるから油断が生まれて完全燃焼できない感じがする。特に小生は生来、刹那主義、一点豪華主義なので量より質に拘ってしまう。
 では、そんなに質を求めるような輩がどんな「休日」の過ごし方が高品質、デラックス、ラグジュアリーなものと考えるのか諸兄らは気になるであろう。
 はっきり言おう。
 その発想がダメなのだ。貧祖なのだ。チープなのだ。
 「休日」を「休日」たらしめん要因をおわかりだろうか?
 そう「休む」ことである。
 何かをしようやどこかに行こうと計画を立てるなとは言わない。
 むしろそれはウェルカムである。
 人それぞれに「休日」の過ごし方があるのは承知している。
 家族がいれば車に乗って潮干狩りに行ったり、キャンプに行ったり、独り身であればパチンコに行ったりでもするのだろう。
 でもそれは、ほんまもんやあらへん。
 おっと興奮したせいか急に関西弁が出てしまった。
 閑話休題。
 「休日」を「有意義に過ごそう」と躍起になることが休日を殺してしまっていると言いたいのだ。
 聡明な諸兄たちなら「何もするな」と言っていると同義ではないかと気づいたと思う。
 突き詰めて申し上げると、そうである。
 正確を期するなら、「何をしようかな」と想像しているうちが一番楽しいから、そこに留めておくのがよろしいのだ。
 車で出かければ渋滞に巻き込まれるかもしれないし、悲惨な想像をすれば事故に遭うかもしれない。電車で移動するとしても、周囲も同じように出かけようとしているから、平日のごとく満員電車で窮屈な思いをするのは必至であろう。
 む?揺れるな。
 どこにも行かず、自宅に篭って「休日」を想像すれば、何でもできるし、どこにだって行ける。宇宙飛行士になって、木星の脇を遊泳することだって可能なのだ。
 さらに「休日」でなくても、わずかな時間で想像すれば、それは「休日」になるのだ。
 想像は無限かつ無料。
 素晴らしい。
 そろそろ、提言をしている小生自身が実行しているのか疑問が湧く頃だろう。
 安心して欲しい。
 実行していると断言できる。
 ありとあらゆる想像をした。
 何せそれしかすることがないのだ。
 ただし、正直に申し上げると一つだけしていない想像がある。
 それは、先ほど申し上げたような宇宙飛行士になって土星の脇を遊泳するようなことだ。
 自分で言っておいてオカシイではないかと机を叩いた方もいるかもしれない。
 冷静になって欲しい。
 理由を今から申し上げる。
 ん?警報が鳴り始めた。
 失礼。
 何だっけ。
 理由を申し上げるのだった。
 小生はすでに土星の脇で遊泳してしまったからだ。
 しかし、決して「休日」の過ごし方として計画し、実行した訳ではない。
 仕事、任務として行ったのだ。
 今、小生が乗っている宇宙船に隕石が衝突し、小さな穴が空いてしまったのでその修理に船外作業をしたのだ。
 作業は徒労に終わった。
 修理不可能だった。
 運が良いのか悪いのか、この船には小生しか乗っていない。
 人類初の単独宇宙航海中であったのだ。
 だから、毎日が仕事であり、「休日」なんて想像の中にしかなかった。
 だが間も無く小生の任務は終わるであろう。
 この宇宙船は間も無く壊れる。
 永遠の休日がもう目の前に迫っている。
 想像さえもできなくなってしまう。
 横に海王星が見える。
 ここで諸兄に謝らなくてはならなくなった。
 海王星は小生の想像を超える美しさだ。
 前言撤回。
 想像を凌駕するものがこの世にはあるようだ。
 「休日」が渋滞や混雑や不快なことに潰されたとしても、それもまた一興なのだろう。
 篭っているよりも何かに出会える可能性があるだろう。
 小生もそんな休日を過ごしたかった。
 どうか諸兄方においては実りある休日ひいては人生を過ごされることを願う。
 さらば。
(了)
 


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