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とむなおさん

とむなお――です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

性別 男性
将来の夢 作家
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休日は妄想天国…?

17/05/09 コンテスト(テーマ):第135回 時空モノガタリ文学賞 【 休日 】 コメント:0件 とむなお 閲覧数:829

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 GWの初日……
「さーて、始めるか……」
 田中は夕食を済ませると二階の寝室に向かった。
 彼の休日の楽しみは、妄想だった。
 ベッドに座って目を閉じ……妄想にふけるのだ。

 まず、モーツァルトの「フィガロの結婚」を聴いてから……彼は目を閉じた。

 田中は牧場が見えるペンションで、くつろいでいた。
 オーナーの男が、
「近くに面白いものが見れる池があるんですけどね……」
「じゃ、案内して下さい」
 オーナーは、車庫から古びたジープを出してきた。
 田中は乗りながら、
「面白いって、どんな?」
「へへへ……普通じゃ見れないことですよ」
 やがてジープは森の近くで止まった。
「ここからは、お客さんが1人で行って下さい。まっすぐ行けば見えてきますから、すぐに分かりますよ」
 田中は、言われたとおり森の中をまっすぐ歩いていった。
 その森の中を五分も歩いた先に、確かに池があった。
 確かに美しい池には違いなかったが……何が面白いというのか……?
 彼はとりあえず、木製のベンチに座った。周りには特に何も無かった。
 池に近付いてよく見ると、その池には、金……ピンク……赤……といった、実に美しい魚が泳いでいた。
「これが面白いことなのか……?」
 立ち上がろうとした時、どこからか一羽のピンクの鳥が飛んでくると、その池に近づいた。
「あまり見ない鳥だし……キレイだ……」
 そのまま鳥が水面すれすれまで近づくと、下から金色の魚が近づいてきた。
 そして魚が水面ではね――ピカッと光った瞬間、その魚はピンク色になっていたのだ。
「えっ?」
 鳥は金色になっていて飛び去っていった。
「確かに面白い……」
 彼はボー……として池に落ちてしまい、妄想の世界から戻った。


 二日目の夜……
 まず、ベートーヴェン作曲の「エリーゼのために」を聴いてから……田中は、目を閉じた。
 
 すがすがしい快晴の下、国際スタジアムは、超満員の熱狂につつまれていた。
 アンドロイドのアイドルチームによる、競技大会が開催されているのだ。
 田中も、特等席で観戦していた。
 スターエンジェルス対ドリームシスターズによる騎馬戦――それぞれ5組の戦士が戦うのだが……
 それぞれ同様の性能を持ったアンドロイトばかりだから、なかなか勝敗が決まらなかった。
 ついに時間切れとなり、引き分けとなった。
 こういう時は、それぞれのエネルギーの消耗度で勝敗を決めることになる。
 結局、勝利チームは、スターエンジェルスと決まった。
 田中は、スタジアムを見回しながら、
「これが未来の競技大会ということか……。確かにアンドロイドなら怪我もないからなぁ……」
 すると近くにいた男性が、
「そうそう……。しかし、怪我人がまったく出ない競技会って……どうなのかねぇ……」
 田中とその男性は、顔を見合わせて苦笑した。
 次の競技は、一般客参加可能の二人三脚だった。
「じゃ、一つ参加するかな……」
 その男性は席を立った。
 田中も、面白そうなので、参加するため本部に向かおうと、階段で足を踏み外して落下してしまい、妄想から戻った。


 三日目になり……
 まず、ショパン作曲の「ノクターン」を聴いてから……彼は目を閉じた。

 田中は、バスに乗っていたが、やがてバスが止まって、彼は降りた。
 少し歩いて、レストランに入ろうとすると、中は空いているのに何故か断られてしまった。
 そこにやって来た美女も、同様に断られたので怒っている。
 田中は、彼女をなだめて、
「他を探しましょう」
 美女は、ニッコリ笑って、
「どうせなら飲みに行かない?」
「いいですね……」
 田中は、彼女と共に、ちょっとミステリアスな……
「妄想」
 というスナックに入った。
 彼女がカウンターに座ったので、田中も座った。
 マスターが、何やらカクテルを出した。
 彼女は美味しそうに飲んだ。
 田中は少しためらったが、マスターが笑顔でうなずいたのでとりあえず飲んだ。
(ん。なかなか美味しい……)
 ふと見ると、彼女がいなかった。田中がマスターに、
「さっきの女性は?」
 マスターは、奥を指差した。その壁にはエロチックな裸婦画があって、その女性は彼女だった。
 田中は、彼女の名前を訊(き)こうとマスターを見た。
 マスターは、一個のグラスを手にすると、クルリーと回した。
 グラスは、そのままクルクルと空中で回り出し……次の瞬間――パリン!……と割れた。
 そして、ピカッと光った。
 ハッと気付くと、田中はバスに乗っていた。
 彼は、次にバスが止まるのを待っている……。

 仕事仲間の北村が、田中宅を訪れたが、どの部屋にも田中の姿は無かった。
「とうとう妄想に飲み込まれたんだ……」
 溜め息をつくと北村は帰っていった。


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