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まきのでらさん

某老舗同人集団所属。 キャリアだけは無駄に長いです。 よろしくお願いします。

性別 男性
将来の夢 作家
座右の銘 特に無し。

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恋の後味は甘すぎる?

17/05/08 コンテスト(テーマ):第133回 時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】 コメント:0件 まきのでら 閲覧数:447

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 菜摘のアップルパイ。
 和子のおはぎ。
 美香のストロベリータルト。
 冬花の栗まんじゅう。
 由紀のミルフィーユ。
 そして、愛奈のチョコレートパフェ……。
 
 僕は見た目こそ冴えないが、腕のいいパティシエだ。それも洋菓子和菓子も関係なく思いのまま美味しく作ることが出来る。そんな僕だから女性へのアプローチには当然この腕を振るう。まずはさり気なく彼女の好きなお菓子を聞き出し、それをどんな名店にも負けない完成度で仕上げ、捧げる。それと同時に、告白する。
 このやり方で十人もの女性に挑み、十戦十敗、ことごとく散ってきた。
 
 何故だ? 何故フラれ続けている?
 
 女性は美味しいものが好き。甘くて美味しいものなら尚好き。それに加え腕のいいパティシエからの愛の告白というスパイスも加味されれば、もはや無敵。泣いて喜んでも良さそうなものなのに……。
 そう思いつつ、ため息混じりに愛奈のチョコレートパフェを口に運ぶ。
 美味い。やはり、バツグンに美味い。
 チョコレートと生クリーム、ヴァニラアイスのバランスが絶妙でたまらない。
 愛奈にこのパフェを捧げたのは三日前のこと。彼女はクリクリした瞳で僕とパフェを交互に見つめ、モーレツに首を左右に振ると、そそくさと去っていってしまった。
 一体何がいけないというのか。パフェを食べ終えた僕は後片付けの為に席を立つ。
 ギイシと木製の椅子が軋む音が聞こえた。身体が重い。視線を落とすと出っ張った腹が見えた。

 僕には『悪い癖』がある。
 
 失恋する度、相手のことが忘れられない僕は、次の想い人が見つかるまでの間、彼女の好きだったお菓子を作り、食べ続ける。
 この儀式をしなければ、苦しくて生きていられない。だから、僕の体重は増え続けている。だけど、それが何だというのか。世の中、決して痩せている男が好まれるとは限らない。
 僕の容姿が気に入らないというのなら、所詮上っ面しか見えていない愚かな女ということだ。どんなに可愛くてもそれだけだ。
 しかし次は後々のことを考えて、もう少しカロリーの低いお菓子を好む女性を見つけるべきか。などと思いを巡らせている僕は、糖分(いや当分)彼女など出来そうもない。 了


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