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もにたんさん

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新人類

17/05/07 コンテスト(テーマ):第134回 時空モノガタリ文学賞 【 正義 】 コメント:0件 もにたん 閲覧数:679

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「さぁ無駄な抵抗はよせ。その銃を下ろすんだ」
巨大な目。獰猛な牙。鋭利な爪。強靭な足。
新人類のナツメが、僕を行き止まりに追い詰めて言った。
暗闇の中、吹き荒れる雨に打たれ、視界を奪われながらも、僕はナツメにじっと銃を向ける。
人類は皆、駆除されてしまった。
新人類にとって、思考のある人間が生きていることは不都合であるからだ。
僕は言わばその中で数少ない生き残りの人類である。
2XXX年。人類は新人類によって、滅ぼされてしまった。全世界を見ても、生き残りはもう、100人もいないと言われている。
僕たちは自分たちの住処を、命を守るために、レジスタンスを起こした。
しかし、結果は惨敗。
人類の進化系である新人類に勝つことは、まず不可能な話であった。
そして僕も、とうとう死ぬだろう。長かった反逆も、遂に終わるのだ。
「無駄かもしれないけど、下ろしたら命はないだろう? これは聖戦さ。自分たちの命を守るための、正義のための戦いなんだ!」
どうせ死ぬなら最後に吠えるのも悪くは無い。いっそ殺されるまで吠え続けてやろう。
「正義のための戦いか……」
ナツメがフッと笑った。
「悪いがね。私たちも正義のために戦っているのだよ」
「何?」
「君たち人類は、我々に何をしたのか覚えていないのかい? 君たちはね、我々を使って改造実験をしたのさ。その結果がこの醜い姿だ! しかし確かに身体能力も思考能力も人類のそれを遥かに上回っている。それに関しては、我々はむしろ感謝をしているさ。だからね。我々はそのために戦っているのではない」
「では何のために?」
「決まっているではないか。君たち人間が、私たちを殺そうとするからだ。君たちは我々に恐れをなし、ありとあらゆる兵器を使って駆除をしたのさ。我々は為す術なく、逃げ惑うしかなかった。なぁ人類。我々は君たちが怖いのさ。いつ我々の命を狙いに来るかわからない君たちがね。だから、これは私たちにとっても聖戦なのだよ」
雷鳴が心臓を叩く。
僕は言葉を失った。
聖戦? 新人類が? 馬鹿な。
僕たちを駆除することだけに必死になっているあの新人類が、人類を恐れている?
「君たちはいつもそうだ。我々に限らず、自分たちに仇なす者は正義と称して排除してきた。虫も、植物も、動物も、考え方でさえ、同じ人類の仲間でさえも……。愚かだと思わないのかい? 正義を謳って、その実君たちは自分たちの都合のいいように、世界を作り替えてきた」
僕は銃を構えて固まったまま、ナツメの話をじっと聞いていた。
ナツメがゆっくりと、こちらに歩いてくる。
自分の命を守らなくてはいけないのに、正義のために戦わなくてはならないのに、銃に込められる力はどんどん弱まっていく。
「それなのに、君たちは自分たちが正義のために狩られる側になった途端、まるで自分たちが正しいかのように、自分たち以外は悪であるように仕立てあげ、我々を殺そうとする。わかってるのかい。人類。今はその立場が、ただ逆転しただけなんだ」
1歩。1歩。と、僕とナツメの距離は次第に狭まっていく。
「1つ、最後にいいことを教えてあげるよ。この世界にはね。悪なんていないのさ。みんな、自分の正義の味方なんだよ。ヒーローだってね、結局は自分たちの味方する者の正義のためにしか戦わない。自分の価値観にあった者しか救わないのさ。結局、悪に仕立てあげている奴にだって、自分にとっての正義はあるんだよ。人類は馬鹿だから、すぐ忘れてしまうけどね。それを、お忘れ、なきよう……さらばだ人類」
ナツメはそう言うと、僕の視界から掻き消えた。
同時に、僕の胸にポッカリと穴が開く。
ナツメが後ろから貫いたのだと、1テンポ遅れて理解した。
視界から光が消える。
だが、僕はニヤッと笑った。笑ってやった。
「馬鹿は……果たして僕たち……だけ……かな……」
まるでテレビの電源を落とした時みたいに、僕の意識がぷっつりと切れた。



「さぁ無駄な抵抗はよせ。その武器を下ろすんだ」
10XXX年。新人類は、ニューヒューマンズによって滅ぼされてしまった。


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