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安藤みつきさん

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将来の夢 想像を形にして世の中に出す。
座右の銘 君が魚を見ているとき、魚もまた君をみているのだ。

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キャバクラ『竜宮城』

17/04/21 コンテスト(テーマ):第132回 時空モノガタリ文学賞 【 浦島太郎 】 コメント:0件 安藤みつき 閲覧数:1060

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夜に妖しく光るネオン街に、姫様は一件のキャバクラを開店させた。
その名も『竜宮城』、なんの捻りもない。だが、ストレートな名前のほうがあの男は気が付くだろう。
『竜宮城』の開店までに、多くの時間とお金を使い苦労はしたが、始めてみればあっという間に人間の男どもで一杯になった。
どうやら、うちの人魚たちは、人間から見たら、それはそれは美しい娘に見えるようだ。
亀の私にはよくわからないが、人間はとても見た目を気にする生き物らしい。
大昔に会った彼もそうだった。
彼は、浜辺で虐められていた私を助け、海へ帰してくれた。
助けてくれたお礼にと、私は彼を竜宮城に招待した。
そこで初めて、彼と姫様は顔を会わしたのだ。
ここまではよかったのだが、あろうことか姫様は、お互いに一目惚れをしてしまったらしい。
人魚は女しかいないため、初めて会った男に一目惚れするのも無理はない。
それに姫様は、人魚のなかでもダントツの美しいため、彼もまた、姫様に心が引かれているようだった。
彼と姫様は、宴をとても楽しんだ。
彼が浜辺に帰ると言ったときは、たいそう姫様はさみしがられていたが、しぶしぶ玉手箱を渡し、お見送りをした。
彼が帰ったあと、姫様は
「彼にもう一度会いたい。探して参れ」
と私に告げた。
あの浜辺をなんども探したが、そこにはヨボヨボのお爺さんしかいなかった。

長い月日を使い、姫様と私は彼を見つけ出す秘策を思い付いた。それが、キャバクラ経営だったのだ。

突拍子もない秘策に回りが反対するとは思いきや、人魚の娘たちからは賛成の嵐。
彼女たちもまた、姫様と同じように男という存在に興味があったのだ。

そんなことがあり、私はキャバクラのキャッチをやっている。
あの時のように、浦島太郎を招き入れるために…。

いつも通り、お客様の呼び込みをしていると、
路地から二人のスーツ姿の酔っぱらいが歩いてきた。
「浦島!今日こそ付き合えよ!」
「先輩勘弁してくださいよ〜いつも断ってるじゃないですか〜」
「キャバクラの一回や二回いいだろ!人生経験だと思え!」
「そんな経験いらないですよ…」

私は咄嗟に声をかけた。
「キャバクラをお探しですか?いい店知ってますよ?」
「ほう…可愛い娘はいるか?店の名前は?」
「店の名前は『竜宮城』、美しい人魚がお相手致します」
「浦島〜聞いたか!『竜宮城』だって!お前にピッタリじゃないか!」
「そんな事言ったって行きませんよ!」
「よし!その店に決めた。兄ちゃん!とびきり可愛い人魚を頼むよ!」
「かしこまりました。お店にご案内致します」

姫様…やっと見付けましたよ…


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