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スパ郎さん

性別 男性
将来の夢
座右の銘

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かきたい

17/04/01 コンテスト(テーマ):第103回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 スパ郎 閲覧数:841

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2012年 3月 男は7年間勤めていた父親が経営する建築会社を退職
2012年 4月 男は生まれて初めて心療内科で診断を受ける 「うつ病」と申告される

男は地元の高校を卒業した直後にほぼ自動的に父親が経営する社員30名程の建築会社に現場作業員として就職した。
運動オンチで頭の回転も遅く要領も悪い、その上極度の心配性で気が小さく少しでも困難な事があると頭の中が真っ白になってしまい自分で何かを決断する事ができない男だ。

男には兄がいる、兄は弟と違い冷静で要領もよくやはり父親の会社で「優秀な社長の後継ぎ」の営業部長であった。
子供の頃から比較される事が多かった、「いいわね〜しっかりしたお兄ちゃんで」 「お兄ちゃんがしっかりしてるから将来は安心だね」 「将来はちゃんとお兄ちゃんの手助けをするんだぞ?」

子供の頃からそう言われ続けた男はその言葉に何も疑問を持たずに育ち 「建築会社の次男、ダメな方」として育った。

2005年 4月 男は父親の建築会社に就職 「よろしくお願いします」 似合わないピカピカの作業着に身を包み色々な現場を日々飛び交う大声にビクビクしながら過ごす。 怒られませんように、怒られませんように。

2005年 6月 男は就職して2ヶ月経つが 仕事を全然覚えられない、やる気がなかったわけではない、頑張ろうとすればするほど失敗をして周りの人に迷惑をかける。 

2005年 8月 暑い、作業員としての初めての真夏。ヨタヨタと無駄に汚れた作業着の男の視界は炎天下のコンクリートの上で真っ白になり、座り込んで立てなくなった。
すぐに病院に運ばれる。父親である社長が病院にくる。 「熱中症か、ちゃんと水分とったのか?」
「あぁ、スポーツドリンクも飲んで塩とかも食べたりしてたんだけどね、ゴメン…迷惑かけて」
「いいよ別に、しょうがねぇよ暑いんだから、2,3日休めよ」
「ホントにゴメン…」 男は泣いた
親父…俺、本当は仕事辞めたいんだ… 言えるわけがなかった。

2005年 10月 気温も落ち着いて過ごしやすくなった、しかし男はまだヨタヨタと所々に小さな穴が空いた作業服に身を包みやはりビクビクと失敗をしていた。 「あのさぁ…言い方悪いかもしれないけどさ…むいてないんじゃないの?正直、迷惑なんだよね、社長の次男じゃなかったらキレてるよ?」 「すすすすみません!ごめんなさい、一生懸命頑張りますので、ごめんなさい」 男は一日に何十回も謝るのが日課になっていた。

2006年 12月 男はパチンコというものを生まれて初めて体験したビギナーズラックというのだろうか勝った19歳の男からすれば大金を手に入れた、仕事が終わり夜になるとパチンコ店へ自転車で通う日々が続いた。何か欲しい物があったわけではない貯金をしていたわけでもない。ただ仕事が終わりパチンコをするこの3時間弱くらいが唯一、仕事を忘れ熱中できた時間だった。勝っても負けても帰りの自転車は明日の5時半起きの仕事の内容を考えると涙が出た。

2008年 2月 男はまだ謝罪生活を続けていた、本格的にむいてない、それは自分でもわかっている努力が足りない、やる気が足りない、根性が無い、兄貴の残りカスでできたのがお前だ。散々言われてきたが男にはもう悔しいとかそういう感情は消えていたのだが怒られる恐怖は消えなかった、それどころか経験年数が増える度にエスカレートしていく言葉に毎日怯えていた。会社で忙しく電卓を叩く父親には言えない、携帯電話が鳴りっぱなしで日々後継者として成長を続ける兄にも言えない、そんな家族を支えて夫の会社を誇りに思っている母親にも言えない。店員に話をかけられたら嫌だなといった理由で散髪にもいけずに伸ばしっぱなしになった長髪の男は今日も死んだ魚のような目をしながらタバコをくわえてパチンコ台を眺めていた。

2008年 4月 兄は結婚した、とても幸せそうだ。会社関係の知人も沢山きていた。もちろん会社の従業員の人達も。
「え〜新郎の兄君は会社でも頼れる存在で将来はお父様の後を継いで必ず私達の会社をさらに繁栄させてくれるでしょう。お父様も兄君の事をとても信頼されていますので早く引退しちゃいますかね?」
会場内は短い笑いに包まれ向かいの席の親父は照れくさそうにしていた。 男は顔色ひとつ変えずに出された料理をジッとみつめていた。

2008年 7月 暑い、本当に暑い、足が重い。男は再び吐き気と共に座り込んでしまった。
「なんだよ…またかよ…ほんと体力ないな!仕事もろくに覚えないしいつ辞めるんだよ!もういいよ!休憩所で休んでろよ!いたって役にたたないんだから、いつも言うけど次男坊だからお前は甘えてるんだよ、もっと真面目にやれよ!」
「すみません…すみません…本当に、いつも迷惑かけてすみません……」
「もう聞き飽きたよお前のすみませんは!結果で示せないんだからむいてないんだよ辞めろよ!仕事!」
男はまた何回も謝りながら休憩所へ向かった。
「……俺だって…辞めたいんだよ…でも何もできないし…言えないんだよ…」 休憩所で誰にも気づかれないようにボロボロでビショビショのシャツを頭にスポっと被り泣いた。

2008年 11月 週一回の休みである日曜日も男はパチンコ店に向かうあいかわらず勝っても負けても何も変わらず買うものもない物欲がないのだ一つ変わった事といえば移動手段が自転車から会社で支給されたボロボロのエアコンが壊れている軽自動車に変わったくらいだ。
貯金なんてないパチンコなんてのは5回いけば4回は負けるようなものだ。それでもやめない、やめてしまったらこの世に未練が何もかもなくなりそうで怖い。

いつものようにボサボサの髪の毛をポリポリと搔きながらタバコを加え死んだ魚のような目をして台を見つめる夕方くらいになると明日の仕事を思い出し当たっても当たらなくても憂鬱になるのに。

「男君?男君でしょ?」
そんな夕方過ぎに隣から女性の声が聞こえた、男は本当にビクっとして声がする隣の席を見た。
「えっ……あっ……え?」
「覚えてる?私、中学の時のTだよ!何してるのー?ってかすごい髪だね長すぎだよ!」
隣で笑う女性はすごく良い匂いがしたのは今でも鮮明に覚えている。
「あっ……えっと覚えてます…Tさん…」
男は高校を卒業して以来、本当の本当に女の人と会話をしていなかった。そもそも高校の頃も殆ど会話などしていない。所謂「彼女いない歴=年齢」の典型だった 「草食系」などとも言うみたいだが普通に性欲はあったのでこれは違うだろう。
ちなみに男はブサイクである、兄は男とは正反対の顔立ちで「本当に兄弟?」などとよくからかわれたりもしていた。
「覚えてるんだ!嬉しい!懐かしいねーってか同窓会こなかったでしょ?」
卒業から5年後に同窓会があったのは知っている男の携帯にもいつだったか出欠確認のメールがきたが「いってもつまらないし、きっと何をやってもダメで親がいなければ就職もできなかったであろうとバカにされそうだ」とメールの返信もせずにいた記憶がある。
「はい…忙しくて…」
「仕事?確か男君の家って自営業だよね?やっぱりそこで働いてるの?」
「そうですね…一応…はい」
「そうなんだ!忙しいんだ」
「まぁ…それなりに忙しいです」
「ってかなんで敬語なのー」
大袈裟に笑うTさん、中学の頃に同じクラスだっただけで話もしなかった。もちろん敬語になってしまうだろう
その後特に何も話したわけではないが二人は隣同士、奇跡的に二人とも大当たりを連発した。
外はすっかり暗くなってしまった20時頃、男は「じゃあそろそろ…」と玉を計数するために店員さんを呼ぶボタンを押すと
「私もやめよー」とTさんもボタンを押した。
男の中で日常の何かが、何かはわからないが何かが壊れるんじゃないかという予感がした。
「ねぇ?ご飯食べに行こうよ?勝ったんだしさ」
「えっ…あぁ…はい…わかりました」
男はまだ敬語だ本当は女性とこんなに話す事など久しぶりで何故か恐怖を感じていたのだが断る勇気もなかった
「私は電車だけど、電車?」
「いや…俺は車…です」
「さすが!やっぱ忙しく働いてる人は違うねー稼いでるんだ?乗せてー」
ちなみに男の給料は社員の中でも一番安いビックリするくらい安かったが実家暮らしなのでべつにどうでも良かった。
だがこう言われた後で立体駐車場の中を進んで行き「これです」とボロボロの軽自動車を指差すのはとても恥ずかしかった。
信じられない、隣に良い匂いがする女性を乗せてオンボロ軽自動車は立体駐車場を下っていった。男の心臓はバクバクとはち切れそうだ
「あの…すみません…汗くさくて」
車は仕事でも使っていたので当然、汗の臭いやタバコの臭いが充満している、窓を全開にしたがまだ匂う。
「全然大丈夫だよ!私もたまにタバコ吸うし!一本ちょうだい?」
「あぁ…そうだったんですか…はい」
男はポケットからタバコを取り出し箱ごとTさんに渡した、Tさんは一本とりだしてタバコに火をつけるとすうっとタバコを吸って笑った。
「実は初めて吸った……」
「ええ!?」
男はとんでもない事をしてしまったと素直に思った。
「いいじゃん別にータバコくらい」
「ええぇ…すみません」
パチンコ店の近くのファミレスで食事をする事になった、もちろん男は他人女性と二人で食事をするなんて初めての経験である。
「あの…Tさんは今、何してるんですか?」
「私はキャバでバイトしてるよー行った事ある?キャバクラ」
「いや…ないです、すごいですね」
「何が?」
「なんか大人だなぁって」
「同級生だって!それにすごくもなんともないよ!ただのキャバクラだし」
この後、二人は料理をたいらげた後も中学生の時の話などをしてラストオーダーの時間まで店にいた。
店を出た後にお互いの連絡先を交換した。 こうして男はTさんと週に1度はご飯を食べる仲になった。

2008年 11月 相変わらず怒鳴られ謝罪をする毎日だが土曜の夜は楽しみができた、Tさんと食事をするからだ
2009年 6月 この頃には男は敬語をやめてTさんと普通に話すようになった、そして土曜の夜だけではなく日曜も遊んだりするようになった。 テーマパークにも行ったカラオケにも行った一緒にパチンコもしたし楽しかった。男は緊張で吐きそうになりながら童貞を捨てた。
2009年 10月 会社の経営の調子が少し悪くなり社員の給料が少しだけカットされた。 当然男の給料もだ
「ただでさえ安い給料なのにカットするかねぇ」 「こんなヤツに払う給料あるなら俺らによこせよな」 「ダメだなこの会社はもうどうしてくれんだよ?」 男への罵声もこんな感じで変化していった。 「すみません…すみません……」男の心はもう壊れかけていた。しかし社員は社長や兄の前ではそんな態度は見せない「いやいや、大丈夫ですよこのくらい」など その分、現場にいる男に毎日毎日ずっと会社の文句を言っていた。 男は家に帰っても何も相談できなかった父や兄が一生懸命なのはわかっている。何も言えなかった
2009年 11月 Tからの電話を度々、無視するようになっていた、理由は「本当に疲れていた」からだ
2009年 12月 久しぶりにTと食事をする。
「最近、忙しいの?電話にでてよ?」
「ごめん、ちょっと疲れててさ」
「じゃあさ、明日、温泉にでも行かない?日帰りだけど癒されるよ?」
「いや、疲れてるんだよね、動きたくない」
「じゃあ来週は?」
「来週も多分、疲れてる…ってかさ」
「何?」
「ごめん、もう帰っていい?疲れてるんだよね」
最低な男だ、本当に最低な男だ今でも後悔する本当に最低だ。
自分のストレスをTにぶつけてしまった事を今でも後悔している。
この日以来、Tとはもう会わなくなってしまった。 風の噂で現在、Tは結婚をしていて夫と子供が2人、仲良く暮らして
いるらしい。 よかった
2010年 2月 会社の経営はなんとか調子を取り戻し徐々に社員の給料も元に戻っていった。
2010年 4月 給料は元に戻ったが相変わらず 社員の人達とはうまく付き合えない。
2010年 6月 夏がくる、できれば一生こないで欲しい夏が来る、男は仕事はそこそこできるようになったがストレスのはけ口として謝罪の毎日を続けている。 男の感情はもうすでになくなりかけていた
          変わらない日々が 約1年半過ぎた
2012年 2月 男の感情はすっかりなくなっていた何をしても楽しくない、食欲もない、眠れない、意味もなく涙が出る、常に あそこから飛び降りたら などと妄想をする。 

2012年 2月 自宅のトイレで吐いているのを母親に見つかる、泣きながら吐く男を見て母親も泣きながら背中に抱きつく
男は母親に初めて「仕事…辞めたい」と伝える 寝ていた親父も驚いた様子で3人でリビングに集まった。
 男は決心した、今の状況を言う決心をしたバクバクと心臓の音が鳴る手が震える、足が震える、舌が震える。
「俺さ…もう限界かもしれないんだ…悪い…本当に迷惑かけて悪い…兄貴にも本当に悪いと思ってる…でも辞めたいんだ」
母親は泣いている、泣きながら「気がつけなくてゴメン」と謝る男は首を横に振りたかったが震えて振れなかった。
「悪かったな、お前は本当によくやってたよ、お前は家族だ、一番大事なんだよ…明日、社員には伝えとくよお前は苦しんでいたってちゃんと」
「やめてくれ…俺が辞める、社員が一人辞めるだけそれでいいんだよ、兄貴に余計な世話をかけたくないんだ」
「そういうわけにはいかない、家族が苦しんでるんだから、辛い思いをしたんだから」
「本当にやめてくれよ!!!!!!!!!!!!!!!」
泣いた、ワンワン泣いた恥ずかしいくらい泣いた小学生の子がいじめられた事を親に言うみたいな感じが情けなくてワンワン泣いた。そして叫んだ
「そうか……わかった!でも兄貴には伝えるぞ?お前の兄貴だからな……」
「わかった…」
「腹減ったろ?おにぎりでも食え」
たまたまテーブルの上に置いてあったコンビニのおにぎりを父親が差し出した、その瞬間

息ができない……
息が出来ない、死ぬ……
手の振るえが舌の震えが止まらない硬直してしまっている。男は床に勢いよく倒れた…
「どうした!!!!!????どうした!!!!!!!!?????」 
父親と母親が男を抱きかかえる
     パニック症候群 救急車で運ばれた病院でそう告げられた 極度の緊張状態からの安心感から起こってしまったとのこと。
2012年 3月 仕事を辞める 一日中…何をしても笑えない、パチンコももうできない。
食欲もなく10キロほど痩せる 眠れない これからの不安に押しつぶされる、世の中の事に対して全てに申し訳なくなり
泣く 心療内科に通院する事になる 「うつ病」
2012年 4月 変わらず 処方された薬 睡眠導入剤を飲み日々を眠りっぱなしで過ごす 起きている時は泣く 食欲は相変わらずない
2012年 5月 昼は調子がよくなる日もたまに出てくるが夜は相変わらず、「アーーーーー!アーーー!!!」と意味も無く叫びだしたりもする
2012年 6月 少し落ち着いたと思ったが、昼間の外の工事現場の音、トラックがバックする音、電話がなる音がする度に吐き気がする 映画や本なども少しでも「会社」関係の話がでてくると見れない。
2012年 7月 焦る、何もしていない自分に焦りがでて苛立つ だが何もできないので布団にくるまり泣く
2012年 8月 外が暑いのかどうかもわからない、2週に1回通院する以外は家に引きこもる夏が一生こなければ良いとは言ったが皮肉だ
             1年が過ぎた
2013年 6月 回復していた、きっかけがあったわけではないが徐々に働く意識がでてきた「時間が解決する」というやつだ      母親にアルバイトを探してくると言ったら母親は「無理はしてはダメだ」と泣いたが少しずつ少しずつ動こうとする
2013年 8月 洋菓子工場でアルバイトを始める、久しぶりの労働。心臓が張り裂けそうだったが周りの人が皆良い人でアルバイトを続けられた 感謝しています本当に

そして

2017年    途中でつまづいたりした事も多々あり、再発してしまったか?と震える事もあったりした アルバイトも変えたり 途中で何ヶ月か休んだりもしたが少しずつ進んだ。

2017年 4月 30歳の男は父親の知人の紹介によりある会社に就職する事になった。入社2日前の男は今、かなり不安だ。でも進みたい。どこまでできるかわからない、本当に不安になる。正直眠れない日もある。
でも進みたい 男を支えてくれた人達全員に感謝を込めて少しずつ進みたい。
男は 学もなく文才もなく誤字や脱字もあるだろう でも書いた。 不安を少しでも打ち消したいのか自分でもわからないが。
これまでの全ての人へ感謝を込めて書く 私は書くことが大好きだ 一昨日知った。
やりたい事をやってみよう。     かきたい


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