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林一さん

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浦島太郎エピソード0

17/03/29 コンテスト(テーマ):第132回 時空モノガタリ文学賞 【 浦島太郎 】 コメント:0件 林一 閲覧数:669

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 むかしむかしあるところに、浦島太郎という若者がおりました。
 この浦島太郎、子供の頃に厳しかった父親が事故で亡くなってからというものの、急にぐれてしまい、わがまま放題の性格になってしまいました。
 自称漁師を名乗っている浦島太郎でしたが、実際は気まぐれに魚釣りを楽しみながら、飽きると近所の子供達や野生の小動物達をいじめて遊んでいました。それにも飽きると、今度は村の市場へと出掛け、万引きを繰り返していました。 
 家の中では、家事は全て母親に任せっきり。生活費も、母親が一人内職で稼いでいました。
「太郎、少しは生活費を入れてくれないかねえ」
「太郎、ちょっと洗い物を手伝ってもらえないかい」
 母親が少しでもこんなことを言おうものなら、浦島太郎は激怒し、母親に暴力をふるいました。
 そんな訳で浦島太郎は、母親を含む村中の人間や小動物達から嫌われていました。
 ある日。村の人々や小動物達が集まり、浦島太郎のことについてなにやら話し合いをしています。
「うちの子がいつもすみません。みなさんにはいつも迷惑をかけっぱなしで」
「浦島さんが悪いんじゃないですよ」
「そうですよ。一番の被害者は浦島さんじゃないですか」
「父親が亡くなってからというものの、急にあんなひどい子になってしまいまして。私もどうしたらいいのかわからないんです。できることならこの村から出て行ってもらいたいのですが」
「私に良い考えがあります」
 そう話を切り出したのは、浦島太郎にいじめられていた亀でした。
「この村の海の深い場所に、竜宮城という宮殿があるのですが、そこに行くと乙姫様がおもてなしをしてくれるんです。鯛やヒラメの舞い踊りを見ながら食べる乙姫様のごちそうは格別なんですよ。その竜宮城に、太郎を連れていきましょう」
「なんであいつをそんな楽しそうな所にわざわざ連れて行ってやるんだよ」
「そうだそうだ」
「まあ最後まで話を聞いてください。実はその竜宮城の中は、時間の流れがすごく早いんです。なので竜宮城に遊びに行くのは、一万年生きられる亀くらいしかいないんですよ。太郎が竜宮城でしばらく遊んでいれば、村に帰ってくる頃にはきっとおじいさんになっていますよ」
「でも、どうやって太郎を竜宮城まで連れて行くんだ?」
「私が太郎を背中に乗せて泳いでいきますよ。そこで、みなさんにお願いしたいことがあります」
「何をすればいいんだ?」
「私が突然、竜宮城に連れて行ってあげると太郎に言っても怪しまれると思うんです。なのでみなさんには……」

 数日後。村を歩いていた太郎の耳に、何やら噂話をしている村人達の声が聞こえてきました。
「なあ、聞いたかあの噂」
「聞いた聞いた。困っていた亀を助けた弥助が、お礼に竜宮城に連れて行ってもらったってやつだろ」
「そうそう。なんでもすごいごちそうを食べさせてもらったとか言ってたぞ」
「うらやましいよな。俺も竜宮城に行ってみたいぜ」

「太郎、ご飯置いとくわよ」
「ああ」
「ねえ太郎、弥助さんのあの噂聞いた?」
「亀を助けたら竜宮城に連れて行ってもらったとかいう噂だろ。ちらっと耳にはさんだよ」
「すごいわよね。お母さんも竜宮城に行ってみたいわ。どこかに困っている亀さんいないかしらねえ」

 翌日。魚釣りに飽きた浦島太郎が浜辺を歩いていると、子供達が亀をいじめていました。
(おっ、これはチャンスだ。この亀を助けてやれば、竜宮城に行けるかもしれないぞ)
 
 ここから先のお話は、みなさんご存じの通りです。


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