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アパさんさん

性別 男性
将来の夢 旅人
座右の銘 楽しいことがいい。笑えることは素晴らしい。 byアパさん

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私のサンタさん

12/11/16 コンテスト(テーマ):第十九回 時空モノガタリ文学賞【 クリスマス 】 コメント:0件 アパさん 閲覧数:1711

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 この話は大体10年ぐらい前、私がまだ小学3年生の頃の12月24日に体験した不思議なお話。

 クリスマスの前日、誰もが聴いたことのあるクリスマスソングが流れ、プレゼントやケーキを買って帰る家族や互いに想いを寄せる恋人たちで街は賑わい、空には星がきらめいていた。とても素敵な夜だった。すれ違う人々は皆笑顔で、とても幸せそうに見えた。
 そんな中、私は一人だった。
 街には広場があり、広場の真ん中には大きな樹がある。その樹も今夜はクリスマスの飾りがつけられ、てっぺんでは大きな星のライトがキラキラと輝いていた。その木の下にあるベンチに私は座っていた。
 「メリークリスマス。サンタさんが君に風船をあげよう。」
 どこかのお店のアルバイトだろうか。サンタの格好をしたお兄さんが私の近くに来て風船を差し出してくれた。
 「いらない。」
 私は受け取らなかった。
 今になって考えてみると、このお兄さんには大変申し訳ないことをしたと思う。内心とてもかまったであろう。それでもお兄さんは笑ってくれていた。
 「君の名前はなんていうの?」
 「美咲。」
 「美咲ちゃんか、いい名前だね。美咲ちゃんは、クリスマスが嫌い?」
 「別にどうでもいい。」
 「サンタさんに嘘はいけないよ。じゃあ、どうしてそんなに悲しそうな顔をしているのかな。」
 図星だったのか、だれかの優しさに甘えたかったのか。この時既に私は泣きそうな顔をしていたのだろう。そして小さな声で話し始めた。
 「クラスの男子が・・・。」
 「男子が?」
 「サンタなんていないって、街にいるサンタはみんな偽物だって。そんなの信じてるなんて、お前バカだって、言ってた。」
 そう言い終わると、私は何故か悔しくなり、大きな声で泣き出してしまった。それにつられて、サンタさんに風船にもらいに来た子達も一緒に泣き出してしまった。
 「そっかあ。」
 サンタのお兄さんは悲しそうな顔でそう呟き、何か思いついたような顔をしてゆっくり立ち上がった。
 「やあやあ、可愛い子供達。こんなに素晴らしい夜にどうしてそんなに泣いているのかな。みんなが泣くとサンタさんまで悲しくなってしまうよ。」
 大げさな素振りで、大きな声でそう言った。周りの大人や子供たちは驚きその場にいる皆が広場の真ん中にいるサンタに注目していた。
 お兄さんは子供たちの視線が自分に集まっているのを確認すると今度は優しそうな笑顔でこう言った。
 「みんなはサンタさんが嫌いかい?」
 子供たちは一斉に首を横に振った。
 「それじゃあ、お兄さんがこれから言うことを信じてくれるかな?」
 もう泣く子はひとりもいなかった。黙ってお兄さんだけを見ていた。 
 「サンタさんはいるかもしれないし、いないかもしれない。けど、大事なことはみんながサンタさんを信じることだ。君たちが信じてくれれば、サンタさんはきっと素敵な夢を君たちに届けてくれるよ。」
 一人の男の子が言った。
 「夢?プレゼントじゃないの?」
 「そう、夢だよ。夢はものじゃない。見えないけど君たちの心の中にあるものさ。」
 また別の子が言った。 
 「お兄さんはサンタさんなの?」
 「君たちが信じてくれたらね。みんな信じてくれるかな?」
 子供たちは大きな声で信じると返事をした。もう泣いている子はいなかった。
 「みんなありがとう。それじゃあ、少し早いけど僕からクリスマスプレゼントだ。みんな目をつぶって。いいかい?僕がメリークリスマスと言ったら目を開けるんだよ。」
 目を閉じたまま私は大きく頷いた。
 「メリークリスマス!!」
 お兄さんの大きな声が聞こえると私はすぐに目を開けた。しかし、そこにお兄さんの姿はなかった。また嘘をついたんだと思って私は下を向いてしまった。また泣きそうになっていた。
 「雪だ。」
 誰の声かはわからなかった。周りがざわめきだして、私も顔を上げると綺麗な白い雪が一粒、私の鼻に降りてきた。
 上を見上げるとたくさんの雪が降ってきた。私は嬉しくなって、サンタさんありがとうと小さい声で呟くとまた泣いてしまった。
 その後、その時のサンタのお兄さんに会うこともなかった。でも、私の心にはいてくれていると私は今でも信じている。

 これが私が体験したとても素敵な、小さな奇跡の話。
 
 
 


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