蹴沢缶九郎さん

どうもはじめまして、蹴沢缶九郎と申します。暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。「小説家になろう」でも同ニックネームで掌編小説を書いてます。http://mypage.syosetu.com/707565/ よろしくお願いします!!

性別 男性
将来の夢
座右の銘 明日は明日の風が吹く

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慰め

17/03/27 コンテスト(テーマ):第132回 時空モノガタリ文学賞 【 浦島太郎 】 コメント:0件 蹴沢缶九郎 閲覧数:887

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女は落ち込んでいる相手に聞いた。

「キリンの首は何故長いのだと思う?」

突然の問いに戸惑いながらも相手は答えた。

「う〜ん、何ででしょうか? …遠くの景色が見たいから?」

「うん、まあ半分正解。体が大きいと敵に見つかりやすいのだけれど、それは反面、敵を見つけやすい事にもなるから…。あとは、高い所の木の葉を食べる為ね」

「そうなんですか…」

「じゃあ、ウサギの耳が長いのは何でだと思う?」

再びの問いに、若干の鬱陶しさを感じつつも相手は答える。

「…音がよく聞こえる為」

「それも半分正解。敵の物音を素早く察知する為に長くなったのと、それから、体温を調整する為とも言われているわ」

「…」

「キリンの首もウサギの耳も…。彼らだけではないわ、ゾウの鼻が長いのも、カメレオンが風景と同化するのも、それぞれの環境に応じた進化なのよ。だから、あなたの硬い甲羅も、あなたが水中で長く呼吸を我慢出来るのもそれと同じよ」

「でも、僕は…」

「あなたは命の恩人にお礼をしようとした、ただそれだけ。仕方ないのよ、人間は水中で息を出来ない。そんな進化をしていないのだから…。考えてご覧なさい、例えば、あなたはサバンナでは一日として生きられないでしょう? それは、あなたがサバンナではなく、水中で暮らせる進化を遂げた生物だからよ」

「はい…」

「さあ、もういい加減元気を出して…」

竜宮に連れてくる途中で溺死させてしまった恩人に対し、深く自責の念にかられるカメを、乙姫はいつまでも慰め続けた。


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