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井川林檎さん

ネット小説を書いております。 PR画像はコハ様の書です。

出没地
趣味 創作活動
職業 介護士
性別 女性
将来の夢 小説をずっと書き続けていたい。
座右の銘 人は人、自分は自分。

投稿済みの記事一覧

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アホの鳥

18/05/28 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:84

 昔々あるところにアホの鳥がいました。

 アホでしたが食べたら旨いので、それが唯一かつ最強の自慢でした。



 ある時、

 「こんなに俺は旨いんだから、他に取り柄を伸ばそう」

 と、鳥は思いました。



 それから、ただ旨いだけだったアホの鳥の快進撃が始まりました。



 めっち・・・

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わたしを見て笑って。

18/05/28 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:149

 その少女は美貌で、頭脳明晰で、特殊な能力を授かっていた。病人に手をかざし、あっという間に治癒することができた。どこにいっても少女は歓迎された。

 ある時、少女は不治の病に侵された。この世のものとも思えぬ奇病だった。
 血は吐くわ目は見えなくなるわ髪の毛は抜けるわ食事は喉を通らぬわで、少女はやせ衰え、病室で死を待つばかりとなった。
 
 これまで少女が手をかざせば病・・・

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もし、山田君が飛べるようになったなら

18/05/07 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:258

 飛行が上手いひとほど、ヒエラルキー上位者。
 すうっと大きく円を描いたり、気の合うひと同士でダイナミックなダンスを踊ったり。
 
 電線に触れるか触れないかの際どさで、おどけたように飛ぶ彼ら。
 かっこいい。素敵。先生たちや親たちは、危ないから飛ぶときは、電線に触れない位置でまっすぐ飛びなさいと口うるさい。でも、そんな注意なんか守るわけがない。
 
 カッコイ・・・

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綺麗な国

18/04/07 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:374

 「綺麗な国」という国に旅立って以来、婚約中の彼は、行方知れずになった。  彼は今も生きているかもしれない。最悪、命を落としているのかもしれないが、それならば遺体を見なくては気が済まない。  彼の両親は泣きながら、もう息子は諦めてくれと言った。  うちの親も泣きながら、頼むから他の相手を探してくれと言った。  ついにわたしは、一人で件の国に行ってみることにした。  その国は、飛行機を五回乗り・・・

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馬鹿には見えない

18/03/05 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:403

 馬鹿には見えない衣を纏った王様の童話がある。  みんな、王様が裸にしか見えないのだが、馬鹿だと言われたくないので、見えない衣を褒めたたえるのだ。  「凄い、なんて官能的かつのびやかな服なんだ、王様は違うね」  「まあ、官能的と言うか、素肌のつややかさを活かしているというか、何と表現したらいいのかね」    ……。  そんな童話を思い出している。  職場の昼休みだ。  愛妻弁当を開いた俺は、・・・

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応援

18/02/05 コメント:1件 井川林檎 閲覧数:349

 「この道は舗装されていて、まっすぐだ」

 眼鏡の女は、腕を組んで立っていた。
 みんな、疲れたら座り込んで休んだり、会話したりしている。
 わき目もふらずに歩いてゆく人もいる。

 濃紺のアスファルトは陽光に照らされ、てらてら光っている。
 広い道の両端は、ここからは見えない。だけど、道の両側は、果てしなく広い砂場が続いているのだ。
 乾いて、何・・・

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あともどりはできまへん

18/01/01 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:376

 ここはどこだ。
 
 うちの中ではない。草むらの上で大の字で寝ていたらしい。
 はっと目を開いたら、見知らぬ犬覗き込んでいた。くうん。

 抜けるような青空に、純白の雲が流れてゆく。もさもさの茶色い雑種犬は、心細そうに耳を垂れていた。

 起き上がると頭が痛い。二日酔いである。
 そうだわたしは昨晩、適当な居酒屋に入って、しこたま飲んだのだ。一度も・・・

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アバズレ子、決意する

17/12/23 コメント:1件 井川林檎 閲覧数:386

 白昼の公道、犬を散歩させているだけなのに、へんなのに絡まれる。
 
 「姉ちゃんいい乳してんなあ。ぐへへへ、ちょっとそこの草むらで……」

 これで二人目。
 一人目は徘徊中のご老体だった。走って逃れた。
 だけどこのおっさんは、分かってやっている。

 はっはっは。
 純潔太郎は、舌を出して、きらきらした黒い目でわたしを見上げる。
 ・・・

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させてくれ

17/12/08 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:452

 殺人鬼が乱入して、職場の皆が、あっというまに死んでしまった。
 イジワル課長も、悪口ばっかり同僚も、こんな死に方をするなんて、悲劇だ。

 わたしは幸い、倉庫にものを取りに入っていた。
 その最中を見なかったのは、せめてもの救いだ。

 本当は、倉庫にいる間、とんでもないことが起きていることを察していた。
 
 「うはははは、殺す殺すころーす」

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17/11/21 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:425

 課長は仕事もできて、女子社員からの受けもよい。
 しかも奥さんが良い。社内結婚なので、みんな奥さんのことを知っている。美人で、乳が良い。
  
 社服のベストのふくらみは、普通より少し小ぶり。
 形が美しい。あれは稀に見る神乳。
 透けるような美肌。
  
 課長と結婚し、退社した彼女(の乳)。
 当時俺は、のたうち回って苦しんだ。
 あの乳・・・

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17/11/06 コメント:2件 井川林檎 閲覧数:562

 わたしは美しい。  神話の女神のような顔立ち。  艶やかな瞳。  誰もがわたしを渇望する。  桜色の唇を奪い、髪の毛を愛撫したいと願う。    だが次の瞬間、人は絶望する。  心を燃え上がらせた直後、はっと眼を逸らす。そして、一生、後悔する。  わたしを、見てしまったことを。  髪の一房は白いリボンで結ばれている。長く伸ばしたリボンの片端は自転車置き場のフェンスに繋がれていた。  わ・・・

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石つみ

17/11/06 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:410

 ひとつ、ふたつ、まだ世界は無限の光に満ちて。
 みっつ、よっつ、オレンジ色のぬくもり、ひなたの匂い。
 いつつ、むっつ、理不尽の意味を知りながらも無償の愛にくるまれていた。

 ここは、どこだろう。
 ひざの破れたジーンズと赤と黒のネルシャツを着て、わたしは尻をついている。
 さらさらと川は流れていて、あたりは石ころだらけだ。
 空を見上げると、薄寒い曇・・・

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質問

17/10/23 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:358

 一体、こんなことをどれだけ繰り返してきたのか。
 確かなのは、まだ先が長い事だ。
 この道は単調に見えて、奇妙に凸凹しており、気を抜いていたら転んでしまう。

 (万が一転んだら)
 もう何回目になるかわからない「転倒未遂」の後で、わたしは足下にある、べとべとした汚い、いやな水たまりを睨みつける。
 腐臭が漂う水たまりは、むろん「水」たまりではない。
 ・・・

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準備万端

17/10/14 コメント:1件 井川林檎 閲覧数:679

 はっと起きたら9時。
 約束は10時。駅前の赤尻猿のモニュメント前だ。

 占いによると、最もラッキーな時間と場所だ。
 (絶対遅れちゃ駄目)
 
 シャワーを浴びる。
 じゃーっと流しているうちに、地獄の業火のような高温になる。死ぬ。

 それで水浴びをした。
 肌寒い時期、正直辛い。けれどこれが愛。
 
 (あああっイケ・・・

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二択

17/09/25 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:409

 魔法の財布に憧れていたが、考えを改めようと思う。


 
 「筒井さん、お子さんまだ小さいし、これからお金かかるね」
 と、先輩から言われた。 
 わたしの不景気面に気づいたのか。

 昼休みだった。



 人手不足である。

 うちの介護施設では、夜勤帯はおろか、日勤帯も満足な人数が取れない。
 一人一・・・

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一刻の猶予も

17/09/12 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:483

 修羅の道をゆく者は、死ぬことを恐れない。
 
 今、彼の宿泊する寺は敵に囲まれており、逃げることは叶わない。
 信長はどこだ、と怒鳴る声と激しい物音が響いてくる。
 ぎゃっ、という、斬り捨てられた者の悲鳴が聞こえた。

 まさに今、歴史を変える事件が起きている。

 襖を開いて蒼白の美少年が暗い部屋の中に進み出る。
 森蘭丸。彼もまた、死を恐・・・

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行けえっ!

17/09/11 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:507

 事件である。エマージェンシーだ。
 一刻も早く、この深刻な事態を鎮めなくては……!
 


 攻撃技は、だいたい一日に三回。
 それ以上使っても無意味とされている。

 今回、わたしに使う事を許された攻撃技は4種類だった。
 (今回はまあ、多いほうだな)
 わたしは、ただ俯いて、説明を聞く。なんでもいい、どうせ聞かされても分からない。<・・・

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執念

17/08/29 コメント:1件 井川林檎 閲覧数:685

 「その約束を白紙に戻さなくてはなりませんよ」
 友人の知り合いの霊能力者の女性から、そう言われた。

 このところ、何もかもがうまくいかない。仕事も人間関係も、果ては朝起きてから家を出るまでの些細な日常に至るまで、歯車がうまくかみ合っていないような、ぎこちない流れが続いているのだった。

 (なんだか変だ)

 必ずと言っていいほど、通勤の運転時、職場ま・・・

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健やかな寝息

17/07/24 コメント:2件 井川林檎 閲覧数:679

 あやちゃん、と振り向いた時、後ろをついてきているはずの子供がいなくなっていたとしたら。

 二歳になりたての子は歩きたがって、抱っこをすると嫌がって降ろせと言う。
 車から降りた時、スーパーで買い物をしている時。
 ばたばたと暴れて悲鳴交じりの声を上げる。
 歩きたいのだと。

 軽快な音楽が流れる店の中で、わかったよ、じゃあ歩いてみな、だけど悪い子だっ・・・

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夜汽車

17/07/09 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:389

 「さっ、謝って」

 車掌は言う。

 この人は、あんたより大変な目にあいながら、頑張って生きている。だから。
 「そこをどいて座らせてあげなさい」

 夜行列車の窓の外は暗黒である。
 ぼんやりとした白い灯りの下で、車両は複雑に揺れている。
 真夜中の汽車だというのに、どういうわけか満席だ。

 わたしはロングシートに座っている・・・

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