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文月めぐさん

仕事を休職中で、家にいながら世の中に何かを発信したくて投稿しています。拙い文章ではありますが、読んで感想、批評等いただければと思います。よろしくお願いします。Twitter→@FuDuKi_MeGu

出没地 図書館
趣味 読書、お絵かき、手芸、料理
職業 営業職
性別 女性
将来の夢 作家
座右の銘 失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる。

投稿済みの記事一覧

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蝶々が羽ばたくとき

17/10/20 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:46

「南、こっちの仕事手伝ってよ」
「南さん、次はこっちって言ってたよね!」
 教室の中では男子によるお化け屋敷の設置、廊下では女子が小道具を用意している。しかし、廊下の女子組では、問題が起こりつつあった。
 学校祭は明日に迫っているのに、まだまだ小道具の仕事は終わりそうにないのである。
「あっち、大丈夫かな」
 僕たち男子組が廊下に出ると、剛が小声でささやきかけてきた。・・・

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Suntrap

17/10/15 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:46

 あんなに大好きだった彼女に振られた。今でも鮮明に思い出される彼女の肌のぬくもり、さらさらの髪。だけど、俺の知らない間に他の男がいたなんて。いまだに信じられない。
 おとといまでは天国にいたように幸せな毎日だったはずなのに、今は人生のどん底に落ちたように暗い気持ちが充満している。俺、立ち直れるんだろうか。
 大学に行って彼女と鉢合わせ、なんてことになっても嫌だなあ。そう思うと気力はわか・・・

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桜の木の下で、あなたとデートを

17/10/15 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:140

 よく、ドラマや映画で耳にする「余命」という言葉。その言葉が、俺の目の前に突き出されるなんて、想像もしていなかった。医師が言った「余命一年」はどんな言葉よりも重く、俺と桜子の前に立ちはだかった。

 季節は春。桜子が入院している病室の窓からは、病院の隣にある公園の桜並木がきれいに見えた。俺たちは狭い病室で小さなお花見会を開いた。桜子でも食べられるように、お弁当箱に小さなおにぎりをいくつ・・・

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田舎の五人

17/09/16 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:91

 とにかく、方言が出ないように、どんな時も標準語で。家を出るときあれほど誓ったはずなのに、地下鉄に乗ったとたん、早くもその誓いを忘れそうになった。ばり人多い。九州の田舎からやってきた僕にとって地下鉄とは迷宮だ。一度迷ってしまったら、もう二度と地上へは出られないだろう。
 東京は人が多い、なんてそんなことは分かっていたけど、地下鉄の中は身動きができないほど混雑していた。そして何と言っても、匂い・・・

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事件の表裏――それぞれの葛藤

17/09/16 コメント:1件 文月めぐ 閲覧数:167

 「ない」と気づいたのは、職員室に戻ってしばらく経った後だった。隣の席の本郷先生が「七時か」とまだ明るい外を見ながら呟いた時だ。俺も時刻を確認して「ですね」とでも相槌を打とうとした時だ。
 腕時計が、ない。
 あの時、プールサイドに置いたじゃないか、と一瞬で思い出し、俺は慌ててプールめがけて走り出した。「松岡先生、廊下は走っちゃいけないよ」と暢気な本郷先生の声も、今の俺には届かない。<・・・

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マジック・リアリズム

17/09/03 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:105

 部室に携帯を忘れてしまうなんてついてない、と思うが、何かと不便なので取りに来た。夜の学校って怖いし、部室は建物の四階にあるから面倒、と思いながらも階段を上り始める。
 大学生になり運動する機会が減ったためか、すぐ疲れるようになった気がして、もう少し若ければもっと楽に上れるのに――例えば今の年齢の半分なら――と思ったその時、急に足が軽くなった。足の回転がどんどん速くなっていく。その勢いに任せ・・・

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黒板日記

17/08/05 コメント:3件 文月めぐ 閲覧数:298

 煉瓦造りが特徴のその古めかしい喫茶店は、僕が約十年前から行きつけにしている喫茶店だ。仕事でストレスがたまっていた当時、コーヒーの香りに誘われるようにふらりと立ち寄ってみたのだが、そのコーヒーがなんとも優しい味だった。それ以来、そこのコーヒーが病みつきになってしまったのだ。
 店名はひらがなで「おたべ」と書く。その名前はマスターの田部正樹さんの名前からとっている。
 僕が「おたべ」に通・・・

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噴水の中から夜を見上げる

17/07/29 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:164

 大きな公園の中にある、大きな噴水。その中に私は住んでいる。この公園は木々が青々と茂っていて、餌になる昆虫も多い。恰好の住処というわけだ。毎日毎日きれいな水を浴びて身体を潤し、夜になると広大な星空を見上げる。暗い暗い夜空に輝く無数の光、その光はこんなちっぽけな存在にも等しく降り注いでくれる。ああ、私は本当にちっぽけな存在だ。たとえではない。私は本当にちっぽけな、噴水の中の蛙に過ぎない。噴水の中の蛙・・・

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冬空の旅人

17/07/08 コメント:1件 文月めぐ 閲覧数:246

 寒い寒い冬の空。星々は分厚い雲に覆われて、その光は地上へは届かない。夜になると北風が一層冷たく吹き、四人の旅人たちはコートの襟を掻き合わせ、少しでも風をよけようとした。
 先頭を歩く長男の淳一郎は、みんなの風よけになっているといいな、と思っていたが、身長が低いせいで、実際あまり役に立っていなかった。
 次男の康二郎は、後ろの二人がついてきているか、振り返りつつ歩いている。
 三・・・

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海からの奇跡

17/06/05 コメント:1件 文月めぐ 閲覧数:284

 私の一日は、窓を開けて、さわやかな海の香りを体一杯に満たすことから始まる。
 社会人一年目にして鬱病になってしまった私の日課だ。こうして波の音を聞きながら、一日の英気を養う。そして朝食をとると、海へ出ていく。
 会社が海のある四国の町で良かった。生まれも育ちも長野である私は、海に対するなじみはない。だけど、病気になってから気づいたんだ。海の香りや波の音はとても心地よい。
 そん・・・

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ある日の正義

17/04/24 コメント:2件 文月めぐ 閲覧数:271

 「正義感のある行動を心掛けましょう」とふいに聞こえた。今日の占いをアナウンサーが読んでいる。すでに見慣れた朝の光景である。俺はこれから朝ご飯を食べ、着替えて、自転車で高校へ向かう。
 今日は今学期最初の美術の授業があるから、絵の具セットを持って行かないといけないし、学校に着いたら、まず数学の松井先生のところへ行って、昨日の宿題を提出しなければならない。そんなことを一瞬のうちに考えていたら、・・・

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紫煙の奥の

17/04/23 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:215

 昔々の話をしよう。
 東京に住んでいる兄が地元である田舎に帰ってくるときは、いつもそうやって話が始まる。とはいってもそれほど昔の話ではない。十年か十五年か、つまり俺や兄さんが小学生くらいだったころの話を、懐かしく思い出しながら、ゆっくりと語っていく。
 両親が亡くなって以降の話はほとんどしないのが暗黙のルールだ。
 冬になると毎年クローゼットから引っ張り出してくる、もう着慣れて・・・

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SWEET SMILE

17/04/15 コメント:4件 文月めぐ 閲覧数:385

 教室に入ってきた咲は、全身びしょ濡れだった。またトイレで水をかけられたのか、とうんざりした。上級生の棟にあるトイレを使えと言ったはずなのに。
 「濡れ狐」と誰かがぼそりと言うのが聞こえた。クスクスという笑い声も。「茶色い狐は山に帰れ」とはやし立てる声もある。咲の長い茶髪は、それだけで、いじめの対象になるには十分だった。小学生の時は仲良くしていたのに、中学校に入ったとたん、掌を裏返すかのよう・・・

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陸のいるか

17/02/01 コメント:4件 文月めぐ 閲覧数:337

 五月になって昼間は暑く感じられるようになってきたけど、夜になると闇が昼間の熱気を取り込んでしまったみたいで、少し肌寒い。だけど、一台の自転車に二人でまたがって、海斗くんの背中に寄りかかっていると、じわじわと体温が伝わってくるから、一人で自転車に乗っているよりあたたかい。
 周りに人影はなく、私たちの自転車のタイヤがコンクリートとこすれてしゃりしゃりと回転する音しか聞こえない。
 部活・・・

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五分の退屈と焦燥

16/12/07 コメント:2件 文月めぐ 閲覧数:478

 後ろの席で小川がふーっと大きく息を吐いた。開始したとたん聞こえ始めたシャーペンと紙のこすれる音はもうしない。みんな暇を持て余し、早く早くと時が過ぎるのを待っている。
 秒針が一秒一秒を刻む。
 テスト終了まで、まだ五分もある。
 長い、退屈。
 高校一年の二学期期末テスト二日目。教科は世界史。俺の得意科目だ。暖房が効きすぎている教室の中はむっとしていて、俺の頬にも熱がたま・・・

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クリスマスの海

16/11/21 コメント:0件 文月めぐ 閲覧数:400

 真冬なのにしっとりと汗を吸い込んだ胴着は、ずっしりと重い。世間はクリスマス一色というのに武道場は練習を終えた剣道部部員の疲れた表情で埋め尽くされている。しかし女子更衣室に一歩踏み込めば話は別。女子部員たちの会話には「クリスマス」があちこちにあふれている。
「クリスマスなのに午前は部活だし、午後はバイトでつぶれる」
「ケーキ屋さんでバイトなら稼ぎ時だもんね。しゃあないじゃん」
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平和の香り

16/10/15 コメント:2件 文月めぐ 閲覧数:475

 夕食時の帰宅はとても面白い。扉の向こうに漂う夕食のにおいは外まで漏れ出てきていて、あ、揚げ物のにおいがするな、と思ったら、こちらではマーボー豆腐か何か、中華の香りがするな、などとあれこれ推測できるから。で、肝心のうちの夕食は。
「サバの味噌煮、か」
 マンションのドアを開けた瞬間、見なくてもにおいでわかった。少し冷えてしまった身体を優しく包んでくれる、なんとも平和なその香り。料理が好・・・

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