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洞津タケシさん

うろつたけし と言います。本と創作が好きで、妄想少年のまま大人の階段を上った感じです。 少しでも面白い物を書けるように、頑張ります。

出没地
趣味
職業
性別 男性
将来の夢 すごいけど、アマチュア
座右の銘 半歩でも前に進む。

投稿済みの記事一覧

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小さな恋のルンバ

15/12/31 コメント:1件 洞津タケシ 閲覧数:578

「直文サン、ちょっとどいてくだサイ」
「へいへい」

 2075年、家庭用ロボットの会話機能は、掃除ロボットルンバにまで行き渡った。
 滑らかな球体がコロコロと転がり、僕の足元で薄緑色の力場を展開して、ゴミを吸い込んでいく。
 段差を越えられない問題は、2030年に既にクリアした。
 ルンバは階段の前で止まり、格納されていた四肢を展開すると、器用に階段を登りなが・・・

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魔女は笑う、林檎の森で

15/12/22 コメント:0件 洞津タケシ 閲覧数:478

 林檎を好む王のために、献上していた。
 ただ、それだけのことだった。

「やめて! やめてください!」
「我らは革命の使徒。弱者の怒りを聞くがいい、正義は、大義は我らにあるぞ! 悪魔と契約した果樹林に火を放て!」

 頬に傷のある男は、狂信的な眼差しで叫んだ。
 松明が投げ込まれ、火の手はじわじわと広がっていった。

「あぁ……お願い、やめて・・・

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ばあちゃんのお宝

15/12/05 コメント:0件 洞津タケシ 閲覧数:579

「ばあちゃん、100歳おめでとー!」

 晃おじさんの乾杯の音頭で、ビールの注がれたグラスが総勢20個、天井へと掲げられた。
 1世紀を生き抜いた私の曾祖母ちゃんは、林檎柄の半纏にくるまって、ニコニコ笑っている。

 スゴいことだと思う。
 百歳と言えば私の7倍よりも更に長く生きている計算だ。
 親戚の喜びようは、テーブルに所狭しと並んだ料理の数々と、浮か・・・

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レンガのおうち

15/04/15 コメント:0件 洞津タケシ 閲覧数:784

 アレンは総レンガ造りの巨大な邸宅の、広い応接間で唾を飲んだ。
 使用人に待つように言われ、もう10分になる。
 一番広い壁に、肖像画が飾られていて、テイルコートに身を包み、トップハットを脇に抱えた、紳士然とした豚の姿が描かれている。

「やぁ、すまんねお待たせして」
「いえとんでもない」

 車椅子が、音もなく入ってくる。屋敷の主が着ているゆったりとした・・・

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駒殿

15/02/10 コメント:3件 洞津タケシ 閲覧数:793

 お天道様が真上に登り、麗らかな陽気に、見渡す限りの水田がキラキラと輝いている。
 所領の農民や家臣達の田植えを、山科領小浜家当主、小浜輝正は眩しそうに眺めていた。

「あれまぁ、輝正さま」

 土まみれの若い女が、輝正を見つけて朗らかに声をかけた。

「精が出るな、とめ」
「そりゃあもう。お加減はよろしいので?」
「あぁ。すまなんだな、皆が田・・・

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戦う理由、正義の所在

14/09/23 コメント:0件 洞津タケシ 閲覧数:699

 2073年8月15日。奇しくも終戦記念日のことであった。
 緊急ニュースがテレビ各局で流れた。
 こわばった表情のアナウンサーが、原稿を読み上げる。

「たった今入ったニュースです。先程、アメリカ、中国、ロシア各国で、未確認機と交戦した、との発表がありました。この未確認機については詳細不明で、各国の戦闘機が消息を絶ったという情報もあり、現在事実関係を確認しています」

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香苗

14/07/02 コメント:3件 洞津タケシ 閲覧数:725

 満月の夜、峠の中腹にポツリと明かりがついたら、香苗が僕と会えるサインだ。

 僕らはずっと、そのサインを頼りにしてきた。
 このアナログな付き合いも、かれこれ8年になる。
 峠の途中で、ガードレールが途切れた所。鎖の仕切りを外して、轍もない草道をバイクで登ると、整備された芝生が開ける。
 その奥にペンション風の建物が建っていて、そこが僕らの会う場所と決まっていた。<・・・

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雨虎

14/03/27 コメント:2件 洞津タケシ 閲覧数:822

 猿田尽(さるた つくし)は傘の縁から暗い空を見上げた。
 今朝からしとしとと降り続けた雨は、夜半過ぎに急に雨足を強めた。
 予報にはなかった折からの大雨に、ため息をつく。

「全く、こんな時にいきなり呼び出して、どこ行こうってんだ」

 尽は、やや前を歩く傘を見下ろしながら、悪態をつく。
 キリコは必要最低限に振り返り、必要最小限の声量で喋る。
<・・・

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球児

14/03/25 コメント:3件 洞津タケシ 閲覧数:749

 日本中の高校野球フリークが甲子園に沸く夏のこと。
 一足先に丸刈りからドロップアウトした俺は、マックでバニラシェイクを吸い込みながら、駅ビルの大画面に写し出される甲子園の速報を眺めていた。

「ねぇ、模試どうだった?」

 林原は言いながら、向日葵柄のネイルが可愛らしい指で、俺のポテトをひとつ摘まんだ。

「それ俺の!」
「いーじゃん一本くらい。ね・・・

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虚構と夢想

14/03/12 コメント:9件 洞津タケシ 閲覧数:900

 町を見下ろす灯台の上。
 この場所から眺めるこの世界が、僕は一番好きだ。
 水平線に太陽が沈んで、一面が金と朱に染まる。命の炎が、燃え盛っているのを感じる。
 振り返れば、紫から夜にグラデーションしていく空の下で、星明かりに似た街の灯りが柔らかく瞬いている。

「綺麗だなあ」

 呟いた言葉が、画面下段のチャットウィンドウに流れる。

「まー・・・

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デッドライン

14/01/31 コメント:2件 洞津タケシ 閲覧数:761


 真っ暗闇だ。
 夜なのか?
 いや、そもそも今は何時だ?
 僕はどこにいるんだ。
 何も見えない。
 何も聞こえない。
 一体全体、どうしてしまったんだ。
 体も動かないし、そう言えば暑いも寒いも感じない。
 わぁーっ!と、声を出そうとしてみたけれど、声もでない。
 さては金縛りではないだろうか。
 生まれてこの方、心霊現象やオ・・・

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馬にまつわること

14/01/14 コメント:4件 洞津タケシ 閲覧数:854

 僕は足が遅い。
 うちの中学の陸上部短距離チームで一番遅いし、体育の授業で野球部にも負けたくらいだ。
 それでも、駑馬十駕、いずれは人並みになると思って、3年間やってきた。
「井戸場は何で短距離やってんの」
 時々聞かれるが、速く走れるようになりたかったからに他ならない。
 
「ドバさんドバさん!タイム上がったっすよ!」

 僕のことをドバさんと呼・・・

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あなたに伝えたいこと

13/12/22 コメント:3件 洞津タケシ 閲覧数:896

 どんな夢でも自由に見れる。
 そのキャッチコピーに惹かれて、わたしはこのサロンに来た。
 最近流行りだした新しい事業なのだが、有料で、客の望むままに夢を見させてくれるという。
 どんな怪しげなものかと思ったが、

「私どもは、お客様が夢の世界で自由に楽しんでいただけるよう、お手伝いをするだけ。
 夢の内容については、一才お伺いいたしませんし、モニタリングも不可・・・

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30秒

13/10/14 コメント:2件 洞津タケシ 閲覧数:1081

 青紫色に染まる道場に、ヒグラシの悲しげな声が染み渡っていく。
 もうすぐ、終わる。
 17歳の私の、小さな夏が。

 私は白袴に胴と垂れを着け、面の紐をぱしんぱしんと、引っ張った。
 小手をはめ、竹刀を握り、立ち上がる。
 彼方には、同じく防具を身に付けた1人の剣士が夕闇に朧気に立ち、私の支度を待っている。
 私たちは言葉もなく向かい合い、礼をする。

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死者のバス

13/10/11 コメント:7件 洞津タケシ 閲覧数:1090

深夜バスに、死者のバスが紛れ込んでいる。そんな話を聞いたことがあるだろうか。
これは、友人から聞いた話だ。

彼の先輩が社会人になって間もない頃のこと、初めての繁忙期で終電に乗って帰る日が続いていた。
毎日クタクタになって最寄り駅に降りる。駅前のバスロータリーには、まばらに深夜運行のバスが停車していて、疲れたサラリーマンや学生達を飲み込んでは・・・

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