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おでんさん

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投稿済みの記事一覧

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美しき家族の、哀しき務め

14/05/17 コメント:0件 おでん 閲覧数:710

 孝之と僕が高校三年生のとき、互いの好きな人を「せーの」で教え合うことになった。双子でこんな告白ゲームをするのはどこか馬鹿げていると思いながらも、双子だからこそのスリルは味わえた。
 僕は、どんなに趣味嗜好が似ている孝之が相手であっても、好きな人までかぶるわけがないという自信があった。だからこそこのゲームにのった。むしろ、告白の機会を与えてくれた孝之に感謝したいくらいだった。
 せーの・・・

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エンターティナー

14/04/19 コメント:3件 おでん 閲覧数:962

 今の時代、両親が共に働きに出ているという家庭は少しも珍しくない。
 では、落語家の父とマジシャンの母をもつ子どもというのは、ここ日本にどのくらいの数がいるのだろう。
 はっきり言って、うちの落語家とマジシャンは共に二流である。テレビに出たこともなければ、大きな舞台に呼ばれたこともない。おまけに二人をマネジメントしているのが三流プロダクションだから救いようがない。
「今日も絶句し・・・

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雨のにんじん

14/04/14 コメント:5件 おでん 閲覧数:850

 雨(あめ)とぼくは共に知的障害者だ。出会いは作業所でだった。部屋の隅でもくもくとにんじんの皮をむく彼女に一目ぼれをしたぼくは、入所して一日目に愛の告白をした。雨はあっさりとぼくの愛を受け入れてくれた。
 ただ、予想だにしなかったことは、
「カケオチしましょう」
 と、ぼくの愛を受け入れてくれたほんの数秒後に、雨がそう口にしたことだ。
「さあ、行くよ」
 雨はふふんと・・・

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冷たいハーブティ、そしてシャンティ

14/02/23 コメント:1件 おでん 閲覧数:1272

 三年間付き合った光広と別れてから、約三週間が経った。私は身なりを整え、光広が働いていたヨガスタジオにやってきた。
 受付の女性に体験したい旨を伝えると、冷たいハーブティーを出され、必要書類に記入を求められた。たっぷり時間をかけて書類を仕上げた私は、
「こちらでお世話になっていました瀬川光広の知人なのですが、葵先生に是非ご挨拶させて下さい」
 と、冷静に言った。
 ほどなく・・・

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信夫と友子の場合

13/06/05 コメント:3件 おでん 閲覧数:2161

 平成二十五年六月の福島に、田所信夫という男がいた。歳は二十四であるが、年齢にそぐわぬ頼りなさがその風体から滲みでていた。ひょろな体型に加えて、顔も不細工であったから、友人らからはよく馬鹿にされていた。
 しかし信夫は別にかまわなかった。村田友子という幼なじみであり彼女でもある女のことを思い浮かべれば、身にふりかかる嫌なことなど全て忘れることができるのだ。友子は美しく心の優しい女であった。信・・・

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冷たいあむあむ

13/05/22 コメント:0件 おでん 閲覧数:1211

 久しぶりに天気予報が外れた。
 ぽたらぽたら屋根を鳴らす雨雲は、いっこうにこの街から去ろうとしない。
 こんな日はきまって、過去が流れる夜である。
 
 
 五つぐらいの時、両親の仕事の都合上、自分はよく祖母の家にあずけられていた。
 祖母の性格は明るく、夏の向日葵みたいな人だった。自分が家に行くとうんと喜び、近所の商店で買ってくる菓子で、いつも器をいっぱいに・・・

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影あそび

13/05/17 コメント:0件 おでん 閲覧数:1122

 ー 明里さん

 明里さんのことは、同級生だったというだけでよくは知らない。
 勉強も運動も並以下で、特別仲のいい友達もいないようだったから、仲間内での話題にあがることがほとんどないのだ。
 そんな目立たない明里さんが、クラスどころか村中の話題をかっさらった時があった。俺たちがまだ小学五年生の頃、同級生のNが病気でなくなった年だ。
 Nはちょっと特別な人間だった。病・・・

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アラサー主婦の書きたい放題

13/05/11 コメント:0件 おでん 閲覧数:1285

 のぞみ227号(N700系)。グリーン車両。窓側。
 今、名古屋を目指しています。
 その道中にこのブログを書いています。
 しばらくお付き合い願います。

 私は普段、ハウスクリーニングの仕事をしています。
 今日も一件、仕事をこなしてきたところです。派遣先は足立区のとあるマンションで、入居前の空き室清掃を行わせて頂きました。五階建で部屋数も多く、またオプシ・・・

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はだかの涙

13/04/30 コメント:0件 おでん 閲覧数:1291

 ねえあなた、どう思いますか?
 ここ最近、あの子の元気がないんですよ。
 勤めだしてまだ一ヶ月ですから、新しい環境に戸惑うのも無理ありませんけど。でも、毎日のように終電ぎりぎりまで働かせる会社ってどうなんですか。わたしはあなたと違って会社のことはよくわかりませんけど、ちょっと酷いなっていうのが正直な気持ちです。
 それにあの子、やっぱり大学に行きたかったのよ。口では「働くよ」っ・・・

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小坊主のおたより

13/04/22 コメント:3件 おでん 閲覧数:1423

 母上様、お元気でしょうか。 
 ここ数日は星を拝めぬ夜が続いていて、少し寂しゅうございます。
 特に今宵は雨まじりの風が廊下をひっきりなしにたたくので、耳を覆いたくなるようなうるささでございます。一度は身を床に入れたのですが、なかなか寝つくことができず、こんなときは母上様におたよりでもと思い立ち、筆をとった次第です。

 迎えました応永七年。思えば去年はさまざまな出来事が・・・

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浅草サンキュー!

13/04/03 コメント:0件 おでん 閲覧数:1514

 いらないと言ったのに、わざわざ仕事を休んでまで見送りにきた。新幹線がずるずると動き始めると、母はあろうことかそれを数歩追いかけてきた。恥ずかしさに耐えられなくなった私は、窓に頭を持たれて寝たふりをきめこんだ。なので、母がどこまで私を追いかけたのかはわからない。でも、ホームを滑るように出た新幹線のボディが、春の陽の光を浴びて金色に光り輝いていることは、まぶたの裏に伝わるぬくもりから容易に想像ついた・・・

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黄色いやりとり

13/03/14 コメント:4件 おでん 閲覧数:1581

 お兄ちゃんは、周りから「財布」と呼ばれています。
 それでわたしは、お兄ちゃんは財布が好きなのだと思って、誕生日に財布をプレゼントしました。お小遣いをためて、近所のお店屋さんで買った黄色い財布です。
 でも、お兄ちゃんは猛烈に怒りました。怪獣みたいにあばれて、家中のものをむちゃくちゃに壊してしまいました。
 おばあちゃんは〈私〉が壊されなくてよかったと言いました。わたしは、人間・・・

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地球の裏っ側に、いるキミへ

13/03/09 コメント:0件 おでん 閲覧数:1236

 それは私が、助教授として初めての論文を書き上げ、ようやく一息ついた時分であった。夏まっ盛りのうだるような暑さの中、締め切りという名の重圧からようやく解放された私は、喧嘩の強い生徒会長にでもなったかのよう、気が大きくなっていた。
 今思えば、そのうぬぼれがまずいけなかった。
 昼、私が一人学食で、(たしか)二百九十円のカレーを食べていた時、
「ゴイッショ、イイデスか」
 そ・・・

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どすどす

13/03/04 コメント:0件 おでん 閲覧数:1311

 空に浮かぶブランコから、そのまた次のブランコに飛び移ったかのよう、季節はあっという間に冬になっていた。
 大学四年生の冬。周りの人間は、この時期を各々のやり方でエンジョイしているようだった。ある者は誰かと数を競うように卒業旅行をはしごして、そしてまたある者は、今だからこそと己に言い聞かせ、女か別の女へと、不安定な綱の上を器用に渡り歩いていた。 
 そんな中で僕だけが、春からの勤め先を・・・

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2013.3.3

13/02/27 コメント:0件 おでん 閲覧数:1233

 ちゃんと聞いてるじゃないかと言いながらも、夫はテレビから目を離そうとしない。
「自分の娘のことなのよ。どうしてそう平然としていられるの」
「だから、そんなに心配するようなことじゃないんだって。お前はいつも考え過ぎなんだよ」それに、と夫はこちらを見ずに続けた。「こっちは仕事で疲れてるんだ。テレビくらいゆっくり見させてくれよ」
 たしかに夫の帰りはいつも遅いし、頑張ってくれているの・・・

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十四社の女と湯たんぽ男

13/02/25 コメント:0件 おでん 閲覧数:1325

 キミの話をしよう。
 約二年ぶりに再会した君は、げっそりと痩せてグロテスクになっていた。その姿をみて、一週間分の疲れがどっとでたような気がする。それにキミの体は、なんだかひどく臭った。風呂にはちゃんと入っているのだろうか。その不潔たらしい長い髪に爪をたて、力いっぱいがしがし洗ってやりたくなる。さっぱりしたところで、好物のカニチャーハンをこれでもかってくらい食らわして、あとは吐くまでアルコー・・・

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ゾンビ女

13/02/19 コメント:0件 おでん 閲覧数:1408

 今回は、人間としての生活に戻るまでに、それほど時間を要さなかった。
 その間、世の中では大きな地震が起きたことをきっかけに、めまぐるしい変化をみせていた。原発関連での記者会見で、テレビによく顔を出す人がちょっと好みだった。でもその人は、世間の多くの人からは嫌われているようであった。昔から、わたしが好きになる人はみんなから嫌われている。それとも、みんなから嫌われている人をわたしが好きになって・・・

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きほんのき〜作家篇〜

13/02/07 コメント:0件 おでん 閲覧数:1327

 妻も娘もいるじゃないか、と田所は自分に言い聞かせた。不貞、という言葉が頭をよぎった時、こんな私にもまだ家族を思いやる心があったのかと、つい驚いてしまった。
 しかしベットに横たわる相手は私を望んでいた。セーラー服を脱ぎ捨て、露になっている由美の肌は、部屋の安っぽい間接照明の灯りであたたかな色に染まっていた。もはや自制心のきかなくなった田所は、ネクタイを緩めて彼女の元へと歩み寄る……、

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LPG

13/02/07 コメント:3件 おでん 閲覧数:1554

 もうかれこれ、ずっと馬車の中にいる。地盤の不安定な洞窟内では、車輪がはねてよく揺れた。それになんだか湿っぽくで、すごく陰気だ。同じ馬車仲間である戦士さんと踊り子さんは、ポーカーをして遊んでいる。外では他の仲間が戦っているというのに、のんきなものだ。でもわたしは、そんな彼らにも苦言を呈(てい)することが許されていなかった。この世界では強さが全てだ。補欠の中でもさらに補欠であるわたしに、仲間たちはと・・・

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受験の味

13/02/05 コメント:0件 おでん 閲覧数:1513

 受験を思い切って食べてみた。
 どんな味がするのかと思ったら、案外ふつうだった。
 おしまい。


 放課後のHR(ホームルーム)の時間、受験に対する意気込みを簡単な作文にして提出しなければいけなかった。黒板には「受験」という文字がでかでかと書かれてある。こんな課題を考えついた担任は、三月から十月まではポロシャツ一枚で過ごせるような人間だった。提出した者から帰ってい・・・

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《ムーン館》

13/01/29 コメント:0件 おでん 閲覧数:1319

 メディア業界で生きていくためには、情報に敏感でなければならない。金を儲けていい暮らしがしたいのであれば、必死に駆けずり回ってネタを集めてくることだ。

 今日も一人、出世に飢えた若者がネタを一つ持ってきた。内容を詳しく聞いてすぐ、これはひょっとするかもしれないと、長年にわたり培った勘にささやかれた。俺は真相をたしかめるため、関連する過去の新聞記事を部下にあさらせた。また、自らの足で現・・・

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船の面

13/01/26 コメント:0件 おでん 閲覧数:1389

 あなたは船を好んだ。他にもっと選択肢があったのに、あなたはいつも船の面ばかりを選んでいた。

 大学の講義に出られなくなってから、私はあなたの部屋にいつもいりびたるようになった。昼近くになってようやく目を覚まし、腹ごしらえを終えるとすぐにゲーム機のスイッチを入れる。遊ぶのは飛行機のやつかゾンビのやつがほとんどで、冒険ものはまったくやらない。私の黄色いコントローラーは、Aボタンがゆるん・・・

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バカタレ、ボンクラ、アホンダラ

13/01/24 コメント:1件 おでん 閲覧数:2193

 バカタレはボンクラのことが好きでした。
 でもボンクラはボンクラなので、バカタレに好意を持たれていることなど一切気がつきませんでした。
 幸運だったのは、バカタレがバカタレだったことです。ありとあらゆるアプローチをボンクラに流されようとも、自分の想いは彼女に少しずつ、確実に届いていると信じて疑いませんでした。
 そんなバカタレを、どうしても放っておけないアホンダラがいました。<・・・

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