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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

出没地 蕪島/伊吉書店/山寺/小安峡/白山島/出羽三山/出戸浜/他東北各地/夢
趣味 占い、魔術、麻雀、パチンコ、執筆、マンダラ、Photo、月見、星見 etc
職業
性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

投稿済みの記事一覧

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兄弟からのプレゼント

17/03/13 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:231

 その電車は真っ暗な中を走っていた。
外の景色はよく見えない。
停車駅のアナウンスは無く、時折停まっては誰かが降り、誰かが乗ってきた。
不思議なことに一度に乗り降りする人数は何故か1人が多かった。
車掌が電車内を歩いており、誰かの前で立ち止まると「次で降りますよ」と声をかけていた。
大抵の人は素直に指定の駅で降りていたが、中には降りない人もいた。
しかしふと気が・・・

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化け猫奮闘記

17/03/10 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:374

 時は江戸の頃
百物語が流行し巷では化け猫の存在は広く認知されていた。
猫を飼う際には「飼うのは〇年」と最初に猫に告げ、それを過ぎると野良にしたり、化ける前に妖力の元であろう尻尾を切ったりなんて風習もあった。
 そんな折、江戸を騒がせる怪事があった。
騒動は瓦版で瞬く間に広まった。
『怪奇、人面猫現る!魚売りが魚を奪われる!その姿は身体は猫だが顔は人間だった!』

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飼育とランク

17/03/06 コメント:11件 石蕗亮 閲覧数:631

宝くじが当たりちょっとした臨時収入があった。
当たったといってもちょっと良い食事を二人ですれば無くなるほどだ。
彼女を誘って「何が食べたい?」と聞くと「焼肉」と云うのでステーキも品揃えしている店を選んだ。
正直フランス料理とか格式のある所でなかったので安心した。
とてもではないが金はあってもマナーに気を使いながら食事という気分ではなかった。
店に入り席に案内されるとメ・・・

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御朱印

17/02/13 コメント:10件 石蕗亮 閲覧数:361

 前置き
 私はこの通り呪いだ魔術だ何だかんだを扱うことを生業としておりますから、都市伝説と言われれば幾つかお話もございます。
しかし、都市伝説というのはこういう処から広がり始めるものですから。
読まれた方が都市伝説の媒介や、下手を打てばあなた自身にこの都市伝説が降り掛かるかもしれないことを念頭に置いてから読んでください。
止めるなら、今のうちです。

 まず予・・・

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大字番号札に隠された意味

17/01/31 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:133

 「なぁ、そこの窓開けてくれよ。開けてくれたら俺、出ていくからさぁ」
耳元で知らない男が囁いている。
しかも息が耳にかかっているのが判る。
かなり近い。
「なぁ、頼むから窓開けてくれよぉ」
男は何度も耳に息を吹きかけるかのように囁く。
そのうち耳を舐められたり齧られたりしないだろうかと怖い想像をしてしまう。
いや、今のこの状況もかなり怖いものではあるのだが・・・

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家神

17/01/17 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:553

 キシキシキシ
床板の軋む音だけが徐々に近づいてくる。
 キィー
静かに廊下の突き当りのドアが開く音がする。
 カッチャン
そしてドアが閉まる音が続く。
 キシキシキシ
再び足音は無く、しかし床板の軋む音だけが移動して私たちの寝室へ近づいてくる。
そのままその音は寝室のドアの前を通り過ぎ、家を貫いて在る廊下を端から端へと渡っていく。

 ・・・

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ラストサンを待って

17/01/03 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:424

 大晦日
秋田県の男鹿半島の先端、入道崎までやってきた。
灯台の入る位置に三脚を立てカメラを設置する。
既に陽は傾きその足を日本海の果てに浸していた。
崖の上の岬である。
耳元を駆け抜ける強風がまるでなまはげの唸り声のようである。
そしてその勢いは三脚を震わせ、その冷たさは指先に痛みをはしらせるほどであった。
私は海に背を向けるとコートの襟を立て胸元に顔を・・・

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再びラヂオ

17/01/02 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:415

 クリスマスだというのに熱を出して独り毛布にくるまっていた。
看病してくれる家族も恋人も居ない孤独な独身生活。
夜も更け熱もピークで節々が痛む。
苦しさで人の温もりが恋しくなるばかり。
寂しさに耐えられず徐にラヂオを付ける。
「ハーイ、みんな今晩もうらめしやー。
クリスマスだって誰かを恨んで止まない怨霊の為に今晩も振るって放送したいと思います」
テンション・・・

9

やさしい止めの刺し方

16/11/07 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:316

 その男の戦いはとても静かなものだった。
気配は殺さずあくまで平静を装う。
勘の鋭い相手ならば気配を消したに途端こちらの存在がバレてしまうからだ。
かといって熱くなってもいけない。
確実に仕留めるため、男は平静を保っていた。
この相手を許すつもりも見逃すつもりも絶対になかった。
それだけの恨みと理由を、この男なりにもっていた。
女、といえばそれまでもかもし・・・

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平和という名の鬼

16/11/07 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:380

 ぎゃあーっ
 ぐぁああああー

 今日も地獄では鬼が亡者を責め苛む。
「この人でなしどもがー!」
鬼はそう叫びながら亡者を火に炙り、槍で突き刺し、刀で切り刻み、金棒で叩き潰す。
亡者はその責め苦から逃がれようと必死になる。
ある者はひたすら許しを請い謝り、ある者は逃亡をはかる。
どんなに泣き叫んでもどんなに責め苦を受けようとも、刑期が明けるまで責め・・・

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定められた人生よりも自分で決める人生故に

16/10/10 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:676

 逝く時は仰向けでお天道様を見ながら堂々としよう。
毒を呷った男はそう思いながら重く感じる我が身を捩るように動かした。
徐々に身体の自由が利かなくなり瞼さえも重くなった。
閉じた瞼越しに紅い視界を感じる。
その紅い世界が急に白く眩しくなってきた。
 あぁ、これが死というものか。
男は畏れることなく自身の最期を受容していた。
「これ、男よ。」
光から声・・・

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こんな自分にもまだ変れる未来があるなら

16/09/26 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:371

 繰り返される平凡な毎日。刺激の少ない日常。
大それたことをしようという野望めいた夢も目標も無く、現状に緩やかな不満と不安を内包した時間を只惰性的に繰返し消化するような人生を過ごしていた。
休みの日といっても別段することがあるわけでもなく、引籠もる意思もなく、
居場所を求めるように街へでた。
目的も当てもなく散策をしていると見慣れない建屋が目に留まった。
それはコンク・・・

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16/09/12 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:926

 「さあ、感情という火薬に火をつけて裏切りという名の華を咲かせましょう」
男はそう言うと嬉しそうに席を立った。


 その男の元に女が訪れたのは朝から雲が厚く何時までも夜明けが来ないような日だった。
とある雑居ビルの中にある小さな事務所。
看板も何も表示は無いが女はコンコン、コンコン、コンコンと2回ノックを3回繰り返した。これが合図でドアの鍵が開く音がして「いら・・・

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レンタル幽霊

16/08/24 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:914

 お好みの幽霊貸し出します。

 そんな奇妙なチラシを見つけたのは文化祭の準備をしている時だった。
ものは試しにと早速記載の電話番号にかけてみた。
「あ、もしもし。チラシを見たんですが。」
 「お電話ありがとうございます。当社はお好みの幽霊を1体500円からレンタル致しております。1週間レンタルですと割引もございます。
どのような幽霊をご要望でしょうか?」

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深夜ラヂオ

16/08/24 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1098

 暑苦しくて夜中に目が覚めた。
完全に目が覚めてしまってどうしようかと思ったが、ここでスマホの明りなんぞ目にした日には翌朝眼性疲労で鈍痛が起きるのは確定なので枕元のラヂオを手探りで点けた。
「ハーイ、リスナーのみなさん。今晩もうらめしや〜。
今日も丑三つ放送を聴いてくれてありがと〜。」
静かながらもややジャブの効いた単語を繰り出す放送が流れ、現在は夜中の2〜3時だと推測した・・・

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斜陽の陽炎

16/08/24 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:823

 怖いくらい青々とした空に西日の橙を彩った入道雲が浮かんでいる。

 盆に実家に帰省したものの、俺は別段することもなく誰かと会うあてもなく、子供の頃によく居り浸った駄菓子屋へと赴いた。
店構えは東を向き店内は西日の影を濃く落とし、その色は店の軒先まで延びていた。
昔のままの木造の駄菓子屋の風貌は今ではまるでお化け屋敷のようにも見えた。
ジュースを買い店の軒下のベンチの・・・

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妖怪蕎麦合戦

16/07/03 コメント:11件 石蕗亮 閲覧数:613

「注文は?」
燈無蕎麦屋の店主の狢が化狸の男と化狐の女に伺う。
「どうすっかな。」
 「何にしようね?」
「決まったら声かけてくれや。」
狢はそう言うと鍋に湯を沸かしに厨房へと入った。
 「そういえばさ。なんでたぬきって天かすなの?」
「所説あるが。まぁ、全部人間由来だがな。
ひとつは天ぷらのたね(具)が無い天かすを『たねぬき』と言ってのが略されて『・・・

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妖蕎麦屋

16/07/03 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:539

 夕暮れも過ぎ掛け街灯が点り始める逢魔ケ刻
家路へ向かう人の流れ、または仕事終わりの一杯をひっかけに飲み屋街へと向かう人の波間の中。
 「お〜い、たぬ公!たぬ公って!」
雑踏の中から声に合わせて細い腕が上がる。
「うっせぇ!人前で狸呼ばわりすんな!狐づら!」
ふてくされた顔で男は声の主に意趣返しする。
 「相変わらず固いんだから。」
女は悪びれもせず応える・・・

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雨の妖

16/06/12 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:747

 テレビで和傘を見たら欲しくなってネットで調べた。中古で程良い値段の物があったので即決で購入した。
届いた傘を開いてみると結構な年代物で一部が破けていた。
 道理で安いわけだ。
そう思いながらも柄が気に入ったので早速雨の日にその破れ和傘をさして外へ出た。
和紙を打つ雨の音がビニールのそれとは違い趣があった。
そのまま雨を楽しんでいると、パサっと傘が閉じてしまった。

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渇き

16/06/12 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:697

 飢えを忘れた現代だから、その一言がひどく印象的だった。

 暑かった。
その年は4月から夏日の観測が度々あり梅雨らしい雨もなかった。
都市の水瓶は早々に枯渇し行政から節水勧告がだされていた。
暑さに対しての電力消費も激しくなり程無くして節電勧告もだされた。
病院関係や介護・養護施設、行政施設以外は極力冷房を抑え、人々は涼を求めた。
大手食品スーパー売場で・・・

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ナメラスジの向こう

16/06/06 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:983

小雨が降りしきる中、私は狐の妖に足首を掴まれ夜の林を引き摺られていた。
これは当然の報い、禁忌を犯した結果なのだ。
もう人の住む世界には戻れないだろう。
辺りの景色が一変する頃、私はそう覚悟した。
「さて、この辺りで良いか。」
狐はそう言うと私の足を離した。
私は起き上がることもせずに一度大きく深呼吸した。
 「覚悟はできております。」
「潔いのぉ・・・

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日照雨(さばえ)

16/06/02 コメント:9件 石蕗亮 閲覧数:973

 見てはいけないものを見てしまったと、後悔しても遅かった。

 五月闇の時期も終わり、入梅前のある逢魔ヶ刻。
薄紫闇の帳の向うに満月が顔を覗かせ、その風流に誘われ散歩に出掛けた。
歩いて程無く霧雨が掛かった。
おやと思い空を見上げるが、残照が雲に映え見事な月もある。
神鳴も無ければ驟雨、村雨にはなるまい。此は天泣か?と思い散歩を続けた。
小糠雨ではあったが・・・

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夜のモノガタリ

16/05/08 コメント:10件 石蕗亮 閲覧数:1831

陽が沈む
緋を纏った金が西の向こうへ行くと
東の向こうから蒼い夜の帳が降りてくる
夜はいつも恐る恐るやってくる
何故なら夜はとても臆病だから
臆病すぎて自己主張をしない
だから誰も本当の夜を知らない
誰にも知られないのは可哀想だから
ボクは夜について語ろうと思う

日中
陽を遮ると影ができる
夜は地球の影だと思う?
ちが・・・

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インビジブル・カラー

16/05/08 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1348

 「君は異常者じゃない。至って普通の健常者ですよ。」
長い長い地獄から私を救ってくれた言葉だった。

 死のうと思った。
17歳で人生を終わらせるのは早計だと大抵の人は言うだろう。
でも私はもうこれ以上耐えられなかった。
人から異端だと蔑まされることに。
親ですら私の言うことを信じてくれなかった。
嘘をついているわけではない。
本当のことを話さ・・・

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縁(えにし)

16/04/24 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:690

 「私の人生、本当に良縁の無いものだったわ。あったのは悪縁ばかり。」
桜の木の下で女はそう呟いた。

 煌々とした満月の下で桜が静かに散り始めていた。
風もなく穏やかな春の夜。闇に淡く滲むように桜は咲乱れていた。
闇を映した桜は白く、提灯の灯りを映した桜は仄明るい紅を帯びていた。
丑密時になってもまだ花見酒を楽しんでいる人が公園には残っていた。
そんな桜の・・・

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エンドロールでもう一度

16/03/28 コメント:8件 石蕗亮 閲覧数:1405

 シートに深く腰掛けてスクリーンに向かう。
「それでは上映致します。人生映画をお楽しみください。」
アナウンスが流れ照明が消える。
最初に生まれたばかりの赤ん坊が映し出された。
両親の愛を受けて可愛がられていた。
歩き始めた頃に転んで顔に大きな傷を負った。
蟲を捕まえるのが好きだった。
小学校に上がった。
悪戯をして怒られたり、嘘をついて後のいつかば・・・

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夢の寝床

16/03/15 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:686

「ようこそ。いらっしゃいませ。」
真夜中の水族館があるというので来てみた。
案内に出迎えたのは黒シャツに黒スーツの上下、黒のダブルのベスト
黒革のペストマスクに黒革のハットをかぶっていた。
声で男性だと分かる。
水族館には似つかわしくないと思う姿だが、どこかしらペンギンのようにも見える風体。
夜の闇の中では見えにくい姿だと思った。
案内されながら通路を進む・・・

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3.11を思う

16/03/11 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:444

 今でも当時を思うと涙が滲み言葉に詰まります。
あれから5年。
いくつか紡ぐことはできるかと自問しながらこの文章を打っています。
震災から2年の後、こちらのサイトに投稿しました「横たわる塊」。
あれが当時の精一杯でした。
震災時、私は青森県八戸市在住でした。
私は東北を転勤して回る職をしており、八戸在住以前には仙台にも5年以上住んでおりました。宮城県内という括り・・・

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春を告げるモノ

16/03/11 コメント:12件 石蕗亮 閲覧数:817

 雪の姿こそ無かれども、吐く息は真綿の如く白い。
指先の冷たさを手のひらに包み込んで握り、向かい吹く風に目を細め歩く。
春は名のみの風の寒さや、と心の中で呟き詠う。
 私は魔術師の弟子である。
師匠の喫茶店を手伝いつつ手習いを受けている。
カロンカロン
いつものように店のドアベルを鳴らし中に入るとカウンターにお客が1人。
ローブについたフードを目深にかぶり・・・

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ルイボスティーな恋

16/02/12 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:712

 50年目の結婚記念日
特別なお祝いをするわけでもなく、夫婦でアフターヌーンティーを楽しんでいた。
「あなた、本当はまだあの人のこと好きなんでしょ。」
 「誰のことだい?」
「私たちが知り合う前に、あなたが憧れていた人よ。」
 「何年前の話をしているんだ。」
「ふふふ。今更気を使い合う仲でもないでしょ。白状しなさいよ。」
 「確かにそんな時期も過去にはあっ・・・

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【講義】ギャンブル 副題 ギャンブルという職業は日本に存在しない。もしかしたら世界中にも

16/02/07 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:707

 まずはじめに
このモノガタリはフィクションだと断っておきます。

 ギャンブルと関連して用いられる精霊に【ラプラス】というのがあります。
このラプラスとは考案者の名前が使われているだけで本名ではありません。
シュレディンガーの猫と同様ですね。
 このラプラス理論とは
未来が決定していると仮定した場合、その決定権を所有している知性がいるのであれば、その知性・・・

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ラプラスの魔眼

16/02/05 コメント:18件 石蕗亮 閲覧数:1549

 競馬で大負けをした。
今月の家賃も突込んでしまった。
やばい。
残る金で今月はのりきれない。
今日は馬との相性が悪い、と考えてしまうのがギャンブラーの悪い癖である。
自覚があってもやめられない。
これもギャンブラーの悪癖である。
そして僅かな残金を持ってパチンコ店へと足を向けた。
河岸を変えれば風向きも変わるであろう。
そう思ったものの、それ・・・

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恋という妖

16/01/06 コメント:11件 石蕗亮 閲覧数:3229

「こんな寒い夕暮れ時はストーブを背負って怪談をするに限る。
 寒さが孤独感を後押しして寂しさを増すから、話すなら悲恋ものが良い。」

雪で止まった電車を待つために駅の待合室には数人が集っていた。
田舎のため、駅員も居なければ復旧を告げるアナウンスも流れない、昭和の匂いが残る古い駅舎であった。
今時珍しく携帯の電波も届かないほどの田舎である。
下手に携帯を視ても情・・・

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真実を告げられた日

15/11/11 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:512

 私は魔法使いの弟子である。
師匠は主に夢を扱う魔術師で珈琲好きの悪魔ザランブールと喫茶店も営んでいる。
今日も今日とで喫茶店の手伝いの傍らで魔術の講義を受けている。
一息つこうか、と珈琲を淹れてもらい休憩に入った。
「師匠って超人ですよねぇ。」
ぽつりと零した私の一言に「そんなことはないよ。」と師匠は答えたがその横から
「こいつは奇人だよ。」とザランブールの一・・・

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夢の境

15/11/01 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:562

 こんばんは、夢師です。
私は万の夢を扱うことを生業としております。

 本日は皆様がお客さまです。

今回は皆様を夢の世界へとご案内したいと思います。
その前に皆様がどれだけ夢についてご存知か確認いたしましょう。

 皆様夢は見ていますか?
昨日はどんな夢を見ましたか?
覚えていない方が殆どのはずです。
起きてすぐの頃は覚えていた・・・

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あたりまえ

15/09/05 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:658

両親がいる。
私が産まれているからそれはあたりまえなのだ。
でも今は居るけどいつまでもではない。
伴侶がいる。
お互い好きになり認め合い様々なものを共有して一緒にいる。
あたりまえのようにいる。
子供がいる。
その子にとって私が親なのはあたりまえで私にとって血の繋がった子であることはあたりまえだ。
でもずっと一緒にはいられない。
育つ過程・・・

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今際のモノガタリ

15/02/22 コメント:8件 石蕗亮 閲覧数:876

今際の淵で男は傍に付き添う妻に語りかけた。
「お前のおかげで俺は大きな何かを成し遂げたと思うておる。
意義有る人生だったと満足しておる。
しかし、何故ここに至ったかは得心がいかぬ。
お前の言うことを信じ、いや、最後に決め実行したのは確かに俺なのだから、俺の意思で成したことなのだが。」
 妻は夫の手を握り、顔を近付けると囁く様に語りかけた。
夫は目を細め、息も弱く・・・

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歓喜

15/02/09 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:894

 今日は彼女との初めてのデート。
クラシックのコンサートに来たが緊張で曲も何も聴こえたものではなかった。
会場の中は薄暗い為か他の客の姿は見えず、まるで二人っきりの世界に居るように思えた。
それが尚更緊張に拍車を掛けた。
ステージ上ではライトを浴びて指揮者がタクトを振っている。
その姿が目に映ってはいるが、耳に響いているのは自分の鼓動だけであった。
きっと彼女も・・・

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【講義】夢の中の音楽について

15/01/24 コメント:10件 石蕗亮 閲覧数:838

 いつものように黒いローブ姿で夢師が講壇に立った。
「えー、本日も講義に参加頂きありがとうございます。今回は夢の中における音楽について説明(次回作におけるR指定気味の言い訳)をしたいと思います。
そう言うと黒板に「分類」と書いた。

 夢の分類
「夢占(夢解き)において【音】は様々な予兆を示します。
の、前に夢の分類について説明しましょう。
夢には3つの分・・・

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夜と朝の狭間から

15/01/24 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:792

彼方の人を想い
遅い夜を抜け
朧な朝に出る

別れて来た夜は戻れない過去で
空を染める白光(しかり)は今で
カフェに入り頼んだコーヒーの温もりが
幽かに未来を示す

変わる風景
戻らない想い人
混ざらない存在
閉じない環

平行線の交わる場所から
私は今日も傍観する・・・

13

眠れない夜は

15/01/16 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:909

眠れない夜は
子供の頃に見た空の色を思い浮かべる
吸い込まれそうなあの淡い蒼の世界を

眠れない夜は
いつか聞いた風の音を思いだす
木々の間を通り抜け葉を鳴らすワルツを

眠れない夜は
昔見た君の寝顔を思いだす
側に居てくれるだけで幸せに感じた想いを

心が迷って自分を見失うと明日が怖くなる
大事にできなかったものは指を・・・

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【講義】百モノガタリ

15/01/11 コメント:10件 石蕗亮 閲覧数:919

 ガラガラガラ
講義室の扉が開いて夢師が入ってきた。
「みなさん席に着いてください。今日の受講者は読み手の皆様です。
本日は百物語について説明したいと思います。」
夢師はそう言うと黒板に百物語と書き込んだ。

<百物語>
「まず、百物語については諸説ありますが複数の人数で行うため大きな屋敷で行われていました。
行われる部屋は1部屋ではなく、続きの3部・・・

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百物語

15/01/08 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:849

 私は魔法使いの弟子である。
正月も過ぎた冬休みのある日のこと。
私は師匠にある指南をお願いした。
「あのぅ、師匠。教えて欲しいことがあるんですが。」
「なんです?」
「季節外れではあるんですが、今度友達と百物語をすることになりまして。」
「それはまた古風な遊びですなぁ。」
師匠は懐かしむような眼で虚空を見上げた。
「それでですね、百物語のやり方を教・・・

10

夢阻止

15/01/07 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:925

 ふと目を覚ました。
どうやらいつの間にかうたた寝をしていたらしい。
周囲を見渡すと待ち人はまだ来ていないようだった。
時計を見ると待ち合わせまではあと数分だった。
まだ半分寝ているようで意識がぼんやりしていた。
周囲にはキャリーケースを引っ張って歩く人々と、その向こうに滑走路と飛行機が見えた。
 そっか、空港だったっけ。
記憶を遡って現状を確認した。

5

帰る

14/12/17 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:671

窓の外を風が雪を纏い呻り荒ぶと文章が書きたくなる。
そして私はここに帰ってきた。
寒い部屋で、しかし脳内は単語が列なり走り駆け巡り熱をもつ。
あぁ、私の季節がきた。
また眠るまで、書き続けよう。
また綴ろう、夢の続きを。
感情の残渣を奥歯で噛み締め
過去を辿り未来を霞め
幽かな足跡を残しに。

ただいま
時空モノガタリ・・・

10

パンドラの匣

14/02/06 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:998

 私は魔法使いの弟子である。
今度学校の文化祭で演劇をやることになった。
題目は『パンドラの匣』
魔法修行は一旦休んで師匠の喫茶店で台本に集中していた。
カウンターに座り自分の台詞を一生懸命暗記していると
「熱心だね。無理しないようにね。」と師匠が珈琲を差し入れてくれた。
「ありがとうございます。」と一旦台本を伏せて置くと早速珈琲を口に含んだ。
「ん、パン・・・

10

意外な守護者

14/02/01 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:1183

 私は魔法使いの弟子である。
今日も今日とで師匠の経営する喫茶店で師匠の友人の悪魔にからかわれながら修行の毎日である。
その日はやけに講義にのめり込んでしまい、気が付くと外は闇の帳を下ろしていた。
「急いで帰らないと!」
慌てる私を制止して師匠と悪魔ザランブールは店の窓から外を眺めた。
私も一緒に外の景色に目を向けると闇の中に白い靄が漂っていた。
「煙霧だな。」・・・

10

赤点席 【WEB幽より】

14/01/30 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:944

 うちの大学にある怪談話に「赤点席」というのがある。
どんなに成績優秀な奴もその席で試験を受けると赤点を取るというものだ。
先輩の先輩のそのまた先輩の代から言い伝えられ、学内では知らない人のいない有名な話である。
試験期間は誰もその席に座りたくないため、早くから教室に入り席を取る。
大抵試験時間ぎりぎりに来る奴や遅れてくる奴は端から点数を気にしないような奴らである。
・・・

10

青い部屋で 【WEB幽より】

14/01/29 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:862

 社会人になり独り暮らしを始めた。
借りた部屋は会社に近く間取りも広く好物件だったが家賃が他の部屋より安かった。
紹介してくれた不動産屋に「出るんですか?」と尋ねると、事故や死人が出たわけでもないのに出るのだという。
しかも誰にでもというわけでもなく、原因も出現条件も判らないという。
まぁ今までそんな経験もないし安ければいいと安易に決めたのがいけなかった。
荷解きを済・・・

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忘れられた幽霊 【WEB幽より】

14/01/29 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:911

 そこにはだいぶ古くから幽霊達がいる。
その幽霊達がいる場所は丁度信号のある所で、信号待ちで止まった時によく車の中から見かけた。
その道は川沿いにあり、信号のある交差点に差し掛かるようにある橋の袂に彼らは佇んでいた。
かなり古い幽霊達で、姿からは文明開化以前の風体も窺える。
誰に何を訴えるわけでもなく、取り憑くわけでもなく、その幽霊達はその場に佇んでいる。
常に俯き、・・・

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安心 【WEB幽より】

14/01/29 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:946

 私の生家には家神がいる。
子供の頃、まだ親と一緒の部屋で寝ていた頃に、部屋の外で「パタン」と扉が閉まる音で目を覚ましたことが何度かあった。
扉が閉まる音の後には必ず静かな足音が聞こえた。
親にそのことを話すと、「それは家の神様が家の中を歩いているんだよ。」と教えられた。
 神棚のある部屋が家の一番東端にあり、毎夜そこから足音が始まり家を貫く形で伸びている廊下を進んでいく。・・・

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不条理 【WEB幽より】

14/01/29 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:945

 宮城県の南方というところへ転勤したときの話だ。一戸建ての社宅で当時私は一人暮らしをしていた。
仕事は毎日忙しく、夜は付き合いで飲み会もあり家に居る時間は寝ている時くらいのものだった。ようやく転勤先の環境にも慣れてきた夏のある日。
 その日も付き合いで朝五時まで飲んでいて帰宅時にはとうに明るくなっていた。
すでに夏の暑さが始まり家の中は空気がこもったようになっていた。
若干・・・

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多夫多妻 序章 と モノガタリ其の1

14/01/23 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1134

 20XX年、少子化の進む日本である日こんなニュースが流れた。
「本日、内閣総理大臣は少子化対策として、多夫多妻を認める重婚を法律で認めることを発表いたしました。」

 昼時に速報として流れたニュースに、それを見ていた国民は皆目を奪われていた。
「それでは国会記者会館より中継です。」
興奮気味のレポーターの声に続いて、映像は時の内閣総理大臣を映した。
 「本日、・・・

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記憶

14/01/09 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:1199

「ねぇ、僕は誰なんだろう。ずっとここに居るんだけど、いつから居るか思い出せないんだ。君もずっと前から僕とここに居るよね?僕が誰か覚えていないかい?」
「私も私が誰か思い出せないのよ。でも、私もずっと前からあなたとここに居るわ。あなたこそ私を覚えていないの?」
少し高い台の上に座り込んだ黒い半ズボンに白いポロシャツの男の子と、木箱の中に座り込んだ赤い吊りスカートに白いブラウスの女の子はお・・・

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天使と猫のモノガタリ

13/12/27 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1175

あるところに毎日空を見上げている猫がいた
そらを飛べたら気持ちいいだろうな
行きたい所へ行けるだろうな
毎日想って見上げるけれど
どんなに跳び上がってみても
飛ぶことなんてできなかった

あるところに毎日地面を見下ろす天使がいた
地上に住めたら楽しいだろうな
美味しいものが多いだろうな
毎日想って見下ろすけれど
どんなに手や足を雲か・・・

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遺言

13/12/27 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:981

私の頭を撫でてください。
今日もいつものように撫でてください。
貴方に撫でられ
その感覚にまどろみながら眠りに堕ちるのが
何よりも気持ち良いのです。
安心して眠りに堕ちれるのです。
ときに前髪をかきあげるように
ときに頬を撫でるように
私が眠りに堕ち入るまで
傍にいてほしいのです。
それが私の幸せなのです。
貴方が傍で私を撫でてくれ・・・

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夢解き

13/12/02 コメント:10件 石蕗亮 閲覧数:1085

 男が橋の真ん中で項垂れて川面を見つめていた。
その表情は暗く今にも飛び込むのではないかと思うほどであった。
その身なりは薄汚れ生活に困窮しているのが見てわかった。
はぁ、と深く溜息をつくと男は更に頭を垂れた。
「どうしたんです?」
不意に掛けられた声に重そうに頭を起こし振り向くと黒ずくめの初老の男が立っていた。
「あんたには関係のないことだよ。」
だるそ・・・

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やさしいアーティスト

13/08/27 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:1204

 私は若い頃は画家を目指していたんですよ。
感動的な自然の風景をキャンパスに留めて多くの人に伝えようと思ったんです。
夢中で沢山のものを描きました。
風景だけではなく、自然に生きる生き物たちも描きました。
時折々に顔を変える自然のなんと魅力的なことか。
そしてそこに生きる動物たちのなんとちからづよいことか。
私は目に映るものを片っ端から取り憑かれたように描き込ん・・・

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弟子との問答

13/08/24 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:1269

私の作品に納得いかない弟子が電話ごしに突っ込む。
「神って何だ?」
「人間が求め、心の寄る辺とするものだろう。」
「いないのか?」
「居ることはいるよ。」
「ここにはいない?」
「居場所が問題か?」
「そうだよな、認識できればそこに居ることになるものな。次元の問題?」
「じゃぁ何を以って神とする?」
「奇跡かなぁ。人では成し得ないことをできるも・・・

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13/08/24 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1312

 私は魔法使いの弟子である。
師匠は夢に関する生業をしながら喫茶店もやっている。
店員には珈琲好きの悪魔もいる。
今日も今日とで幽霊に飲ませる珈琲を作る修行をしている。

 ある日、私はふと唐突に素朴な疑問を師匠に投げかけた。
「あの、師匠。」
「なんだい?」
「神様ってどんなのですか?」
問いかけられ少し困った顔をする師匠と、聞き耳を立ててニ・・・

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夜店のお面売り

13/08/21 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:2184

 祭りや縁日で軒を並べる夜店の一団に馴染みの団体があった。
地元の八坂神社の祭り、その2週間後の湊祭り、盆明けに母の実家の縁日。
2ヶ月の間に3回も同じ団体と顔を合わせているのが5年も経つと、お互いを覚え馴染みになった。
 それまで私は夜店というのは個人でやっているのだとばかり思っていた。
しかし馴染みになり、そのうち店番を頼まれるようになると横の繋がりがわかるようになり、・・・

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花火の音の怪

13/08/19 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:1154

 蒸し暑い外を汗を滲ませながらアパートへと帰宅する。
部屋に入ると明かりをつけるより先にエアコンのスイッチをいれた。
そのまま薄暗い部屋の中を歩き冷蔵庫を開け、冷えた缶ビールを取り出すと一息で半分飲み干す。
それからようやく明かりをつけた。
ニュースでも見ようかとテレビの電源を入れようとした時、
 ドォン、ドドォン
遠くで打ち上げ花火の音がした。
転勤転勤・・・

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魂を求めて

13/03/18 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:1237

ある人から私の魂のうたを頂いた。
そこには私がこの世界に来たときに祝福された言葉が記されていた。
でも私には私の魂の何がそれを表しているのか読み解けなかった。
だから私は私の魂を探し始めた。
私の魂と他人の魂は何が違う?
性別
男と女に分けられる。
でも私を特定することは出来ない。
生年月日
同じ誕生日の人もいる。
それだけでは私を特定す・・・

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精霊のうた

13/03/18 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:1252

暗い暗い部屋の中で浅く眼を閉じて音を探す
天井の辺りのどこかからきゃらきゃらと水が砕けるような音がする
その音はリズミカルに繰り返し繰り返し転がるように響いていく
ごう と大型車の音がする
一瞬静まり返る
マテリアルの音を遮断し耳の奥の針を震わすように意識を澄ますと
再び転がるように音が響く

夜には夜の音が
朝には朝の音連れが
春には忙・・・

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影女【web幽 読者投稿怪談より】

13/02/21 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1765

 修学旅行で中国へ行った時のことだった。
人民大会堂で夕食の北京ダックを食べ夜の街中をバスに乗ろうとした時、壁を走る人影に気が付いた。
辺りを見渡すがそれらしい人影はなく、クラスメイトがバスに乗り切るまで私はその人影を見つめていた。
光源は道路にある街灯でオレンジの光を放っていた。その光の中を何度も影が足早に右往左往しているのだ。
よくよく見ると影は髪の長い女性のようだった・・・

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幽霊部隊【web幽 読者投稿怪談より】

13/02/21 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1424

 亡くなった祖父から小さい頃聞かされた話だ。
祖父は満州事変後の中国に留まり、その後の戦争にも参戦し続け、その後ロシア軍の捕虜として4年の拘留を経て日本へ帰ってきた。
その祖父がロシア軍に捕らえられた契機というのがとても奇妙な体験のためだったという。
 当時陸軍歩兵少尉だった祖父は、中国とロシアの国境付近で臨戦態勢に入っていた。
いつロシア軍が来てもおかしくない状況の中で、・・・

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乗せてますよ

13/02/20 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1389

これは義姉の体験談である。
当時看護学生をしていた義姉は山形市に住んでいた。
実家は月山をはさんだ鶴岡にあり、車で2時間もあれば楽に帰れる距離だった。
 その時も山形から鶴岡へ帰るところだった。
学校が終わってから車を走らせ月山の入り口に差し掛かる頃には山向うが夕焼けで真っ赤になっていた。
 月山道は片側1車線で山形側の西川から鶴岡側の朝日までの間、追い越し箇所は1箇・・・

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トンネルの女

13/02/20 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:2232

私が占師のせいもあり、友人同士の会話にも心霊ものは多く「見ていいもの、悪いもの」などという言い回しは頻繁にある。
その日もそんな会話をしながら私の実家の秋田へと車を走らせていた。
 国道を北上し山形市から新庄を通過し更に進むとしばらくコンビニも民家も無い山の中を小1時間ほど走ることになる。仕事の都合で出るのが遅くなり山道に差し掛かる頃には日付を跨ごうとしていた。
街中と違い山間は・・・

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カーナビの表示

13/02/20 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:1342

山形から宮城に向かう途中「幽霊が出る」と有名なトンネルがある。
東根から以南は昔から道幅が狭く、また雪も多いし凍結も酷いので事故が多い。それがまた噂に拍車をかけているのだと思う。
 しかしひとつだけ他とは違う異質なトンネルがある。
「関山トンネル」
そこはトンネルだけでなくその近辺でも今まで様々な事件があった。
当然人死にもあり、過去の記録を紐解けば容易に誰でも知るこ・・・

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ヘルスメーター

13/02/20 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:1384

 真夜中にネットをしていると、「ピッ」という電子音が聞こえた。
気のせいかとも思ったが暫くするとまた「ピッ」と音がする。
音の感覚は不規則で続け様に鳴ることもあれば、忘れた頃に思い出したように鳴ることもあった。
最初のうちは何処かで何かが鳴っているのだろう程度にしか考えず気にもしていなかったが、その音源が家の中であることに気づいてからは気にせずにはいられなかった。
 音源を・・・

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おたまじゃくし

13/02/18 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:1513

実家の近所の神社には境内に隣接して大きな庭園があり、その庭園の約半分を占める大きな池には沢山の殿様蛙や疣蛙、蝦蟇などがいた。子供の時分にはよく蛙捕りにその庭園に遊びにいったものだった。
 約20年後。私にも子供ができ、帰郷の折に子供を連れてあの神社へ散策にでた。
昔のように蛙捕りでもしようかと虫籠と網を持っていった。
4歳の子供は蛙を見ると怖がり触りたがらなかったので、虫籠に水を・・・

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窓辺の女性

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1480

コンビニ帰りのことだった。
空き家だと思っていた洋館の、道路に面した窓辺に女性の姿が見えた。
白いワンピース姿で、物憂げに景色を眺めているようだった。
髪は長いみたいだが、彼女の胸から上しか見えず、ここからではどれくらいかは判らないが、幼くも大人らしくも見える不思議な魅力を感じた。
 ふと目が合ったような気がして、恥ずかしくなり慌ててその場を去った。
家に帰ってからも・・・

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ふりかえってはいけない

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:1467

小学校時代にこんな怖い噂があった。
「後ろに気配を感じて振り返っても誰も居ない時には背後におばけがいるかもしれない。その場合あと1回は振り返ってもおばけには会わないが、3回目にはおばけに会ってしまう。」というものである。
この噂が広まってから子供達はみんな一人で帰ることが少なくなった。なるべくみんな近所の者同士で帰るようになり、独りになってしまう場合は家まで走って帰る風景が多くなったと・・・

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死霊遭遇時の不満

13/02/18 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:1432

毎年お盆には父の故郷へ墓参りに行く。
いつもは昼過ぎに家を出て夕方に着く様に行くのだが、その年は途中で父方の親戚の葬儀に寄る為、朝早くから出発することになった。
当時子供だった私にとって1時間を越える車の移動は退屈でしかなかった。今のように携帯電話も携帯型ゲームも無かった時代である。
いい加減景色を見るのにも飽きると私は車の後部座席で寝るのが常だった。
その時も私は寝ながら・・・

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リフレクト

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1504

「おい、陰陽師。今度は俺を身代わりにするのか。」
声のする方を向くと机の上の人形がこちらを向いている。さっきまでは確かに仰向けで置いておいたはずなのだが、不自然に首だけを捻り顔をこちらに向けている。
 「なんだお前、話せるのか。」
陰陽師はたいして驚くわけでもなくそう言うと一瞥してそれまで行っていた呪い(まじない)の準備の続きを始めた。
 会話ができるほど良い材料を使ってい・・・

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憑き物人形の目利き

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1549

人形のネタの乏しい私は、お祓い仲間に人形について何か面白い話はないかと尋ねてみた。
 すると「お前、何かが取り憑いた人形とそうでない人形の見分け方って知っているか?」と、問い返された。
人形のお祓い自体まだ機会がない私は是非にと話を伺った。
 西洋人形や最近の人形のように中に綿を詰め込んだ人形の場合、中の綿が一部寄り集まって筋のようなものができるそうだ。特に腕や脚の部分にできるそ・・・

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憑喪神

13/02/18 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1412

ドサッ
私は袋の中に投げ捨てられた。見上げた視界には少し寂しげな持ち主の顔が見えた。少し溜息をつくと彼女は思い切るように袋の口を縛った。
ビニールで歪んだ世界からはもう今までの景色を見ることはできなかった。
 私は人形である。遊ぶときは友達として、夜は眠りに着くまで私を抱き私は彼女の安眠剤だった。彼女は私を糧に成長してくれた。彼女が私を必要とし大切にしてくれたから、私は自分の存在・・・

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這い寄る

13/02/18 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1371

最近の携帯はカメラの性能も上がってものすごく綺麗な画像が撮れる。
花や虫などの接写から虹などの天候までも携帯のカメラで写せる。
私は琴線に触れた景色を携帯で写しては待ち受け画面にして友達に見せていた。
ある日友達に言われたことがきっかけで不思議な画像に気が付いた。
その画像は旧家の家の中を映した画像だった。味のある梁がフレームのようになり、その中に昔ながらの吊るし鉤と囲炉裏・・・

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ふるさと探検クラブ<隠れ谷地>

13/02/18 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:1316

私の小学校時代、毎週水曜日にクラブ活動があり私は「ふるさと探検くらぶ」をやっていた。
活動内容は地元の歴史を現地を訪ねながら学ぶといったもので、近所の神社や海水浴場へ自転車でいくものだった。
ある秋の日、顧問の先生が「今日のクラブは隠れ谷地にいこう。」と言った。
先生が言うには、学校から海まで直線で約600mあり、その間にある林の中に隠れ谷内という不思議な場所があるというのだ。<・・・

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13/02/18 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:1417

18歳の夏休み。私は受験も気にせずに占師の店を出していた。
場所は駅前のデパートの中で、毎日それなりにお客もきていた。
ある日のこと、妙な客が来た。
「あのぉ、家のことをみていただきたいのですが。」
女性客は何故か申し訳なさそうに私にそう言った。
私は普通に占いの客だと思い「よろしいですよ。」と笑顔で答え話し始めた。
「あの、すいません。占いの相談ではないんです・・・

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逆柱

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:1561

二十歳のとき家を新築した。
当時大工の棟梁をしていた母方の叔父が建ててくれた。
今はもう亡くなってしまった叔父だが、この叔父のおかげで我が家には昔からの神様が居てくれている。
その叔父が家を建てているときに私にしてくれた話だ。
叔父は昔ながらの職人で木材への記号も「あいうえお順」ではなく「いろは順」で書くような人だった。
少しづつ家が出来上がっていくのが面白くて、また・・・

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選定

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:1496

小学生の頃、母方の実家へ夏休みに遊びにいった時の事だ。
母は6人兄弟で私の従兄弟は10人になる。私は従兄弟の中ではちょうど真ん中の年代で上の従兄弟とも下の従兄弟ともよく遊んだ。
その日はひとつ上の従兄弟と年下の従兄弟たちと6人が集まり、夜には同じ部屋に寝た。
親たちは夜遅くまで飲んでいて子供の寝室まで声が届いていた。
私はなかなか寝付けずにいて、耳をすまして周りの音を聞いて・・・

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悪夢指南

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:2367

占い師で夢占いも扱っている私にはお客様からよくこんなことを質問される。
 Q、夢って全部予知夢なんですか?
 A、夢には記憶の整理をするための夢、自らの六感で見る予知夢、第3者に見せられる予知夢の3種あります。
 Q、3つの違いは?
 A、記憶の整理は現実にあった出来事を夢で見たり、寝る前に見た映像や聞いた音に関連するものを夢で見たりします。必ずしもその日見たものとは限らず・・・

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鬼遣らい

13/02/14 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:1545

 鬼は外 福は内
どの家庭からも豆を撒く音と共に同じ台詞が響いてくる。
その音や声に叩き出されるかのように、夜の闇へ家々の門戸から影が噴出してくる。
まるで布団を叩いた時に細かい誇りが舞い上がるように
ぶわぁ もわぁ っと影は噴出してくる。
やがて影は影と重なり合い濃い闇色になると、そこから手足を生やし人型になった。
それは猫くらいの大きさで、電信柱の陰に隠れた・・・

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雛祭起源

13/02/11 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:1528

 私は魔法使いの弟子をしている。
師匠は喫茶店を経営している傍らで夢に纏わる生業をしている。
カロンカロン
ドアベルを鳴らして店に入ると師匠が古い人形を手にして眺めていた。
「師匠、それは?」
「あぁ、これかい。これは私のひな人形だよ。」
私は暫し考えた。
師匠は男性のはず。なのに自分の雛人形を持っている。
実は師匠は女性だった?それともオカマ?オネ・・・

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バレンタイン戦況分析報告

13/01/17 コメント:8件 石蕗亮 閲覧数:1732

バレンタイン
ドキドキするのは何も女性に限ったことではない。
まず、もらえるかどうか分からない緊張感。
もらえたとしてもその相手にもよる。
「義理だから」という言葉はパッケージを開けてみるまで分からない。
開けた中身が手作りだったら、そのうえメッセージカードが付いていたら義理でないことのほうが多い。
相手が一流パティシエだとまた別の意味で緊張する。
職業柄・・・

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夢を渡った和尚

13/01/11 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1775

 これは秋田にある昔昔の伝説。
現在の湯沢市に清涼寺という曹洞宗のお寺がある。
このお寺の11代目の和尚は大層な名僧として名が残っている。
名を龍国寿金(りゅうこくじゅきん)といったこの僧が有名になったのは、神通力のためであった。
よく農民から雨乞いを頼まれた和尚は、その都度必ず大雨を降らせたという。
この和尚の神通力は雨乞いに留まらず、その伝説は宗派を越え宮城県松島・・・

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横たわる塊

13/01/10 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1523

 3・11
私の住んでいる八戸市でも津波の被害は大きかった。
震災後2週間後、私はいつも行く蕪島へ車を走らせた。
海岸部へ近付くにつれ、津波に流された物が散乱しているのが次第に多くなっていった。
港の手前のトンネルには津波の通った痕が残っていた。
トンネルを抜け港に曲がる交差点に差し掛かり、そこで私は目を疑う光景を目の当たりにした。
交差点に差し掛かるように、巨・・・

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死後モノガタリ

13/01/04 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1647

「おい、坊主!坊主はいるかい!」
「どちらさまで?」
「おいおい、やけに若ぇ坊主じゃねぇか。」
「不躾な方ですねぇ。」
「無礼千万は承知の上だ。おまえがこの寺の住職か?」
「はい、そうですが。当方にどういった御用向きで?」
「おまえは悟りはもう拓いたのか?」
「まだその境地には至っておりませんねぇ。」
「じゃぁ無理か。」
「一体何の話です?」<・・・

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幽霊遭話

12/12/28 コメント:8件 石蕗亮 閲覧数:1788

 物書きを生業としている私はネタを探してとある寺を訪れた。
この寺では幽霊がよく出ると有名だったので何かしらネタを得られるだろうと期待して住職に話を聞いた。
前もってアポをとっておいた私はその寺を訪れるとお堂に通された。
案内してくれた人は間もなく住職が参りますのでと言い席を外した。
間もなくして住職がお待たせしましたと言いながら現れた。
私は早速話を伺うことにした。・・・

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誰かと繋がる

12/12/23 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:1633

独りで夜の海へ来た
月の光が水面に輝きの道を象っていた
蒼い空と丸い白光り
吐いた息が一瞬視界を覆い
刹那に朧月になった
砂浜に座って漣を聞く
誰も居ない海
携帯を開く
カメラを起動させて月と海を撮る
保存をかける
そのままブログを開く
いつもどこかで誰かが繋がっている
今も誰かと誰かがネットの海で繋がっている
ブログに・・・

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グレムリン

12/12/19 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1637

 携帯は便利だ。
電話だけでなく色んなアプリが付属している。
しかし色んな機能よりも私が一番うれしいのはデジカメ機能だった。
琴線に触れた景色や出来事をその場ですぐに画像に収められる。
私は毎日携帯で写真を撮っては眺めていた。
朝焼けに夕焼け、虹に満月、雨蛙や蝸牛、羽化したばかりの蜻蛉やふてぶてしい野良猫など気になったものは何でも写した。
 その日も寝る前に毛布・・・

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ドッペルゲンガー【もう一人の私】

12/12/18 コメント:8件 石蕗亮 閲覧数:1942

 高校3年のある一時期、私には身に覚えの無いことで注意を受けたことが続いた。
その内容には奇妙な共通点があった。
それは、本来私が居るはずのない所に私が居る、というもので、事の始まりは生活指導の先生に呼び出されたことだった。
放課後、指導室に呼び出され訪れた私に先生は「お前みたいに今まで問題なんか起こしたことない奴が、珍しいことをしたもんだな。」と不思議そうに話し始めた。
・・・

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縁結びの授業

12/12/14 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1600

 ここは神様予備軍の通う学校。
洋の東西を問わず様々な寺社仏閣神話の神様や悪魔や精霊などの卵達が集まっていた。

「はーい、みんな席に着いてー。」
黒いロングローブを纏った、金髪褐色肌の男が教室に入って声をあげた。
胸には「司書」のプレートを付けていた。
「はいはーい、よく聞いてくださいね。先生の名前はナイアーラと言います。先生の名前と姿は無限にありますが、ここ・・・

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遭遇

12/12/10 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1738

 どうしよぉ。
私が宿題の教科書を忘れたのに気が付いたのは夕飯の後だった。
家に帰ってすぐに宿題に取り掛かっていれば、早くに気が付いたのにと後悔しても遅かった。
時刻は午後7時を回り、師走の空はとうに蒼い闇に覆われていた。
私は急いで家を飛び出して学校に向かった。
もしかしたらまだ誰か先生が残っているかもしれない。
そう願いながら一目散に走った。
息を切ら・・・

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学生時代の追憶

12/12/10 コメント:9件 石蕗亮 閲覧数:1790

小学生の頃
この時間は永遠に続くと思っていた
大人になるのなんて
とてもとても
遠い遠いことだと思っていた
いつしか後輩ができ
先輩が減っていき
自分が卒業するとき
この世界には二度と戻れないのだと気付き
涙が毀れた

中学時代
子供と大人の中間点
今までのような子供ではいられなかった
でも、大人になる自信もなかっ・・・

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夢中での執筆

12/12/05 コメント:9件 石蕗亮 閲覧数:1683

 ネタが出てこない!
小説作家の男は悩んでいた。
風呂で考えても、散歩してもネタが出てこない。
取材と称して旅行もしてみたがだめだった。
煙草を咥えながら散策していると喫茶店を見つけた。
おや?こんなところに喫茶店なんかあったっけ?
気になり店のドアを開けると初老の男が「いらっしゃいませ。」と出迎えた。
店の中には他のお客はいなかったので一番奥の席を陣取る・・・

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夢師の店 悪魔による恋の言霊

12/12/05 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1491

 その喫茶店に行けば望む夢を見せてもらえる。
もしくは夢の中で望む人と逢わせてもらえる。
そんな噂が有名な喫茶店がある。
都市伝説のように有名だが、誰もその喫茶店の名前を知らない。
そしてどこにあるのかも知られていない。
ただ、その存在と夢の話だけは数多く語られている。

 「どこにあるんだろう…。」
何度も同じ道をぐるぐる回りながら少女は噂の喫茶店・・・

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時と場を越える氏子

12/12/04 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:1649

 ごぉーぉぉん・・・ごぉー…ぉん
遠くで除夜の鐘が響いている。
今年も歳が明けた。
辺りは一面の雪景色であった。
積もった雪は丸みを帯びて柔らかな輪郭を浮かび上がらせ
その白い肌に闇の蒼と木々の影の玄を映していた。
生き物の足跡も無いその雪原の中に朽ちかけた社があった。
鳥居は崩れ原型を留めず、注連縄は落ちて久しかった。
「もう、今年で終わりかねぇ。・・・

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初夢

12/11/29 コメント:5件 石蕗亮 閲覧数:1817

 今日は大晦日。
一年のお礼を兼ねて私はバイト先の喫茶店に来ていた。
喫茶店には魔術の師匠であるマスターとマスターの友人でありマスター代理の悪魔がいた。
「今年も一年お世話になりました。」
私が挨拶すると「こちらこそ。」と丁寧に応えてくれた師匠とは対象に「お世話しました。」と悪魔が応えた。
「え、あの、はぁ。」
悪魔の悪魔らしい反応に「睡魔から助けてもらったけど・・・

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プラトニックラバー

12/11/28 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1870

 あなたには現在交際中の相手がいるとします。
しかし、別の相手を好きになりました。
あなたならどうしますか?
今の恋人と別れますか?
それとも浮気しますか?
または新たな想いを諦めますか?
選択肢はいくつかあるでしょう。
あなたならどれを選びますか?
私はこの選択肢のどれも選びませんでした。

 当時私には人生で最初に結婚を考えた恋人がい・・・

10

夢送り

12/11/22 コメント:9件 石蕗亮 閲覧数:1929

 「こんにちは、シスター。」
とある教会の前で白い口髭を生やした初老の男が声をかけた。
「あら、もうそんな時期なんですね。今年もサンタ役お願いしますね。」
シスターは笑顔で男を出迎え教会の中へ案内した。
応接室に通されると毎年恒例の打合せが始まった。
この教会では親のいない子供の保護施設も兼ねており庭園では子供たちの声がしていた。
この子供たちがサンタクロースに・・・

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睡魔

12/11/22 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1783

 ゴツッ
痛みで顔を上げると教師がこちらを睨んでいた。
どうやら授業中に居眠りして見つかったようだ。
教科書の背表紙で叩かれたらしく、まだジンジンと痛みが残っていた。
どうも最近眠い。毎日8時間の十分な睡眠をとっているのにもかかわらず、通学途中のバスの中でも入浴中の湯船の中でも居眠りしてしまう。
苦手な授業に至っては教師の声は子守唄のようなものである。
普段は居・・・

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珈琲好きの悪魔

12/11/22 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:1752

 私は魔術師の弟子で師匠は喫茶店のマスターなんかしている。
その喫茶店の手伝いをしながら魔術の指南を受けている。
出会った当初の師匠は陰陽師という肩書きを名乗っていたが、よくよく聞くと洋の東西を問わずだったので魔術師と呼ぶことにし、師匠も否定はしなかった。
私の目標は幽霊が飲む幽霊の珈琲を淹れられるようになることだ。
珈琲自体が幽霊という特殊なものなので道のりはまだまだ険し・・・

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ゴーストコーヒー

12/11/19 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:1661

 祖父の葬儀の時、焼香の列の中に一際珈琲の香りを纏っている人がいた。
白髪に同じ白い口ひげを生やした初老のその人は焼香し手を合わせた跡で「この後うちの店に寄って行っておくれよ。」とおかしなことを呟いたのが印象に残った。
 
 それから数日後、学校帰りにふと珈琲の匂いに立ち止まると喫茶店の看板が目にとまった。
何気なしにドアのガラス越しに店内を覗くと、店内のカウンターに腰掛け・・・

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珈琲を飲み終えるまでの時間で

12/11/17 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1784

 カウンターで頼んだカプチーノを受け取ると一番奥の席へ行く。
そこが私のいつもの席だ。
ネタを書き留めたメモ帳を広げ、まずは一口珈琲を口に含む。
猫舌の私は珈琲が少し冷めるのを待つ間にメモ帳にペンを走らせる。
物語の出だしを書き、ペンが走ればそのまま冒頭を書き始める。
走らないときは骨子を描く。
話しの肝とそこへの進め方と、そして落ちと落とし方。
それらを・・・

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夢での逢瀬

12/11/09 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:1290

 女は喫茶店のカウンターで独り座っていた。
何度も時計や携帯を確認しては溜息をついていた。
頼んだ珈琲には口もつけず、いつしか冷めてしまっていた。
チリン チリリーン
お店のドアに付いているウィンドベルが鳴る度に振り返るが待人は来なかった。
昨日までは遅刻なんてなかったのに。
そう思いながら、女は不安な顔で何度も携帯の着信を確認していた。
 「よろしければ・・・

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夢の案内人

12/11/09 コメント:4件 石蕗亮 閲覧数:1543

 「こんにちは。」
男が声をかけると女も「こんにちは。」と明るく応えた。
「良い天気ですね。風も気持ち良い。」
男がにこやかに話しかけると「本当にね。」と女もにこやかに返した。
最上階のテラスからは遠くの景色が霞んで見えていた。
「日が翳る前に下に降りませんか?」
男が促すが女は首を縦には振らなかった。
「降りるのが怖いんです。」
女は少し憂いた顔で・・・

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ハングリー精神の賜物

12/11/07 コメント:2件 石蕗亮 閲覧数:1281

 「お前に売る紅茶はない。」
貴族風の男はそう言い放った。
「なぜです!?今まで何の問題もなく、しかもそんな高価な取引でもなかったのに!」
若い男は困惑した表情で事態を受け入れられずにいた。
「お前、今度独立するんだってな。今までは同じ暖簾の仲間だったから分け隔てなく付き合っていたが、袂を分かつのであれば別だ。自分の飲み食いする分くらい自分で用意しろ。」
貴族風の男は・・・

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珈琲が来るまでの時間

12/11/02 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:1447

 長く車を走らせていた。
酷い土砂降りの中で喫茶店の看板を見つけ車を降りた。
店に入ると窓側の席に着いて外を眺めた。
店員が、ご注文は?と訊ねたので窓の外を眺めたままエスプレッソを頼んだ。
 煙草に火を点けて深く吸い込んだ。
暫く体内に煙を留めてからゆっくりと吐き出した。
同時に溜めていた感情も意識の表層に出てきた。

 別かれましょう、私たち。

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