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  2. 第145回 時空モノガタリ文学賞 【 財布 】

第145回 時空モノガタリ文学賞 【 財布 】

今回のテーマは【財布】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/11/20

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/09/25〜2017/10/23
投稿数 63 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 投稿数は少なめでしたが、良い作品が集まっていて読みがいがありました。テーマをうまく利用し、登場人物の生活や歴史が自然に描写された作品が多かったと思います。考えてみれば、財布ほど肌身離さず常に持ち歩くものは他にないわけで、それは良くも悪くも持ち主の人生に対する価値観を映し出すところがあるのかもしれませんね。【最終選考作品】『貧乏神がくれた財布』―――小銭を得て喜んでいたのに後払い制だったとは……。でも、逆に考えれば「出世」が約束されているということなのかもしれませんね。貧乏神が憎めないキャラで、楽しい読後感でした。『25年振りの再会』―――過去に盗まれた財布との再会を通し、夫婦二人の関係の変化が丁寧に描かれていて心が温まりました。やはり家族は相手の欠点や過去も受け入れるような関係が理想ですよね。『三徳』は、先祖の残したモノではなく、精神的な「三徳」を受け継いでいくのが大切、という三郎の考え方が素敵で共感しました。蔵を整理するというシンプルなストーリーながら味わいのある文章に引き込まれました。『穴あき財布問答』―――これは色々解釈が可能な作品かもしれませんね。「束縛すればするほど離れていく」という亀子先生のセリフは、お金に限らず様々な物事にあてはまるのではないでしょうか。最後に出会った女性は「風」が引き寄せたものなのか、亀子先生は詐欺師だったのでしょうか。発言自体は正しくてもそれを盾にしてだます人もいますしね。ラストは様々な解釈ができそうな内容ですね。「引き寄せ」のようなスピリチュアルなものへの受け止めかたも人それぞれでしょうし、どうとらえるかは読者それぞれに任されているのではないかという気がしました。『魔法の財布』―――思いがけない幸運を手にした時、大切なのはそれ自体ではなく、その後それをどのように利用するかなのだなあと読んでいて感じました。人の助けになるように財布を利用した「私」を天使は見ていてくれたのでしょう。やはり正当な努力が報われるのは読んでいて気持ちが良かったです。

入賞した作品

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【エッセイ】Wの財布

17/10/23 コメント:4件 野々小花

 がま口の財布を手にしたのは二十三歳の頃だった。その少し前に、私は結婚して家計を預かる立場になっていた。生活費と自分の小遣いとをひとつの財布に入れて管理するのは、案外難しいことに気づいた。
 たとえば小遣いから千円を出して五百円のお釣りを貰ったとする。しばらくして財布を開けたとき、その五百円が小遣いとして使えるお金だったか生活費として使うぶんだったかが分からなくなっているのだ。レシートを全て・・・

4

生活

17/10/09 コメント:6件 鬼風神GO

 わたしは夫の財布を開いた。
 悪事を働いているわけではない。ただの日課だ。
 共働きで、夫は繁忙期は終電で帰ってくる日も少なくない。わたしも朝が早いので夫が寝ている間に身支度して出勤する。
 弁当を作ってやる暇もなく、休みの日にネットで見つけたおいしそうな料理を二人で協力して作るぐらいだ。
 五年前の誕生日にプレゼントした、外国で出会った優しいおじさんみたいな名前の、赤や・・・

2

財布の中には玉ちゃん

17/10/04 コメント:2件 笹岡 拓也

俺の財布の中には玉ちゃんがいる。玉ちゃんと出会ったのは半年ほど前だった。コンビニでお釣りを受け取った時にたまたま出会ったのが玉ちゃんだ。
玉ちゃんは見た目はそこらの十円玉と変わらない。しかし玉ちゃんには俺にしか聴こえない言葉を持っている。
はじめのうちは玉ちゃんが財布の中から話しかけてくることに嫌悪感を抱いていた。いちいち話しかけてくる玉ちゃんを手放そうとした時もあった。しかし財布の中・・・

2

私は財布

17/09/27 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 よくまあこんなしょぼい店があったものだと思えるような、それはひどくみすぼらしい食堂だった。汚れて黒ずんだテーブル四席にそれぞれ一人づつ着いて、黙々とたべている客たちの姿はそろいもそろってこの店にあわせたようにみすぼらしく、そういう私もまた、労働で疲弊したからだでかつがつ夕食をほおばっていた。
「ごちそうさん」
 先客の男が、厨房内の親父に勘定をもとめた。
「五百円です」
・・・

2

すりとった財布

17/09/26 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 男はあまりにも無防備だった。そのためスリ健こと久保健介は、狙いはさだめたもののいっとき躊躇した。
 混雑する車内で、つり革にぶらさがるひとりの中年男の胸ポケットにさしこまれた長財布。駅からのりこむさい健介は、はだけた上着のすきまにのぞくそれを、しっかり目に焼き付けた。ダークブラウンの、札がつまっていそうな上物だった。
 男は、何か考え事でもあるのか、乗車してからというものどこか上の空・・・

最終選考作品

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貧乏神がくれた財布

17/10/23 コメント:2件 泡沫恋歌

 当時、高校一年生だった私は部活帰りでお腹が空いていた。
 家に帰るまで、この空腹に耐えられそうもないので、コンビニでパンと飲み物を買うことにした。
「325円になります」
 コンビニの店員が金額を告げた。
 レジでお金を払う時、財布の中身を見たら、なんと5円玉が足りなかった。ポイントカードも忘れてきたし、仕方なく買ったものを返そうかと思っていたら……。
「ほい。5円・・・

2

25年振りの再会

17/10/22 コメント:3件 木原式部

 夕方、家に帰ると、玄関先に紙袋が置いてあった。中を覗くと古い財布が入っている。僕はその財布を取りだして、思わず「あっ!」と声を上げた。その財布は僕が25年前に誰かに盗まれた財布だった。
 紙袋の中には財布と一緒に「お返しします、申し訳ございませんでした」とだけ印字された手紙も入っていた。
「――おい!」
 僕は慌てて家に入ると、居間にいた妻に財布を見せながら言った。「びっくりだ・・・

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三徳

17/10/14 コメント:0件 田中あらら

 この家に育った三枝子は、敷地の片隅に建つ土蔵にはなんども入ったことがある。入口の扉を開けると、色のあせた漆喰塗りの土間がある。土間の先は一段高くなっており、引き戸の手前にねずみ返しがついている。ねずみ返しは、板を斜めに差し込みオーバーハングさせ、ねずみが中に入れないようにしたものだ。重い漆喰の引き戸を開けると、さらに鉄格子の引き戸があり、丈夫な南京錠がかけられている。蔵が建てられた時から使ってい・・・

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穴空き財布問答

17/09/30 コメント:4件 伊川 佑介

 人生に悩んで途方に暮れる日々の中、知人の紹介で出会ったのがマドモワゼル・亀子先生である。彼(彼女)は暗い森の中でさまよう子羊を救済する活動をされている。毎日自殺ばかり考えていた、八方塞がりの人生。先生はそこから僕を救い出してくれた恩人である。唯一の問題は、財布であった。

「あのね、荻野くん。お金っていうのはね、束縛すればするほど離れて行っちゃうものなの。いつでも出てっていいよって広・・・

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魔法の財布

17/09/25 コメント:2件 風宮 雅俊

 陽射しが強くなってきても風に冷たさが残る五月。平日の昼下がりの公園には、散策を楽しんでいる観光客ぐらいしかいなかった。
 老人はベンチに腰掛けると、街のざわめきを聞き入る様に目を閉じている。
 老人の隣には子供が座っている。子供はただ前を見ているだけだった。

「おや、気が付かなかったよ。いつから座っているのかな?」
 老人は、半分独り言の様に呟いた。
 子供・・・

投稿済みの記事一覧

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長財布

17/10/23 コメント:0件 四島トイ

 同期の小崎花が落ち込んでいる。
 大方、恋人の大住誠が理由だろうと予想したら、そのとおりです、と泣き出した。話を聞いて、と涙ながらに訴える姿は意地らしくもあり、愛らしくもあったが、どうでもいいという冷めた気持ちが私の心に深く根を下ろしていた。
 学生食堂の曇ったグラスにぽたりと波紋が広がった。
「大住ごときのことで泣くんじゃないよ」
「ひーちゃんは大住君を馬鹿にし過ぎだよ・・・

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自己借金

17/10/23 コメント:0件 夏野夕暮

 私が子供の時分は、銭湯の入浴料が十五円ほどだった。当時の百円と言えば大金で、百円紙幣さえあったというのを、今の若い人たちは知らないだろう。
 生まれはごくごく普通の中流家庭。高校を卒業してから地元の中小企業に就職し、定年退職まで勤め上げた。そんな、頭の天辺から爪先に至るまでを平凡で塗り固めたような人生だった。
 だがこんな凡庸な私にも一つだけ、誰にも言えない「超能力」がある。
・・・

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財布じゃないけど何が買えるかな

17/10/23 コメント:0件 むねすけ

「学校に財布持って来たらダメなんだよ」
 わかってるよそんなこと。
「これは財布じゃないよ。缶ペン。筆箱じゃないか」
「鉛筆も消しゴムも入ってないじゃない。お金しか入ってないじゃない」
 だからって。これは財布じゃない。
「全部外国のコインだよ。父さんがくれるんだ。俺はまだ子供で外国には行けないけど、いつか行ってみたい。だから今からワクワクを貯めておくんだよ。このコイ・・・

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噛みつく財布

17/10/23 コメント:3件 そらの珊瑚

 会社の近所に出来たばかりのカレー屋さんでランチを食べた。同じ会社のリカ先輩と一緒だった。
「美味しかったね」
「はい、500円でサラダとコーヒーがついてて、安いですよね」
「じゃーん。これあるから半額になるわよ」
 リカ先輩が財布から取り出したのはこの店の半額チケットだった。
「わあ、私もいいんですか? ありがとうございます。あれ? 先輩、お財布変えました?」

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マジックテープ

17/10/23 コメント:0件 小高まあな

「ここはいいよ、俺が払うから」
 微笑んだ年上の男の人。やっぱり、大学生は高校生と違うなぁ。
 彼と知り合ったのはSNSだ。ヤバいやつじゃない、普通のやつ。ゲームの趣味が合うから話が盛り上がったのだ。キモいデブかなとか思ったけど、なかなかかっこよかったし、優しいし、マジやばい。
「ありがとうございますー!」
 笑顔でお礼を言うと、先にファミレスから出ることにする。
 ・・・

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夢か現実か

17/10/23 コメント:0件 いちこ

もう時効かなと思うので、僕が犯罪に手を貸してしまった時の話をしようと思う。
言っておくが、僕は善良な市民であり、犯罪行為に関わったのはこの時だけだ。
だから野蛮な不良の犯罪自慢だと思わず、どうか、ほんの思い出話として聞いてほしい。

当時の僕は大学生で、アルバイトに精を出していた。
どうしても留学したくて、費用を貯めなければならなかったのだ。
だから深夜の割り増・・・

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おまわりさん財布について

17/10/23 コメント:0件 mokugyo

「おまわりさん財布
財布についてだ
聞いてくれ

財布に殴られたんだ
傷害事件だこれは
ひどいと思わないか
俺は痛くてしょうがない

何?財布が殴るなんてとぼけた話があるかだと?
このバカ野郎!
財布はいつも金出させてるあいつのことだ!

この国家権力の犬が!
てめえらどうせ拾った財布が交番に届けられてもネコババし・・・

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夢枕ブラザー

17/10/23 コメント:0件 宮下 倖

 四十九日を過ぎたころ、兄が私の夢枕に立った。
 両親を早くに亡くし、歳のはなれた兄と手に手を取りあって生きてきたのに勝手に事故に遭うとは何事だと、文句のひとつも言いたかったところなので好都合である。
 私がひとしきり愚痴を並べるのを神妙に聞いていた兄だったが、話が一段落したと見るやぱっと顔を上げ大げさに身振りをつけながら口をぱくぱく動かした。
 夢の中では声が出ないのか、それと・・・

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或る女優の財布

17/10/23 コメント:2件 そらの珊瑚

  朝、付き人が私を起こしに来た。 もっと眠っていたかったけれど仕方ない。今日は舞台の初日だ。私は女優。台詞。何だったかしら。いやだわ。最近忘れっぽくて。
「いいお天気。朝ごはんのあと、お散歩に行く?」
 付き人が私に話しかけた。ああ、そうだった。台詞は「いいお天気。朝ごはんのあと、お散歩に行く?」だったわ。あら、何でこの女、私の台詞を知っているのかしら。もしかして付き人ではなくて、マ・・・

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死神の財布

17/10/22 コメント:0件 佐川恭一

 自信にみちあふれた人間であることは欺瞞だ、と僕は思う。そういう人間は社会とうまくやっていけるし、異性からもあこがれられる。力強い所作と筋の通った論理、選び取った立場を明快に説明する能力。それらはとても輝いてみえる。だが僕にとってその輝きはにせものだ、それは女優にあてられるライトのようなもので、ひとを良くみせはするが、その本質を保証するものではない。もしも物事を真剣にみつめる能力が少しでもあるなら・・・

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≒WALLET

17/10/22 コメント:0件 みや

休日に街を散歩中に見かけたカフェに私はふらりと立ち寄った。シンプルで清潔な店内、優しそうなマスター、美味しい珈琲と美味しいケーキに私の心は癒やされた。居心地の良いこのカフェに、また来ようと私は思いながらお会計を済ませようと鞄の中から財布を出そうとしたが、鞄の中をいくら探しても財布が見つからない。

何処かで落としたのか…焦っている私に優しそうなマスターが声を掛けてきた。
「財布は・・・

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余白

17/10/22 コメント:0件 kina

 恋人と小舟に揺られて川を流れる夢を見た。川はゆるやかな流れで、私たちの他には誰もいない。舟は沈みかけており、崩した私たちの足は水に浸かりかけていた。けれど、何も困ることなどなく、ただ身を任せていた。
 日没、空が薄暗くだいだい色に染まり、水面に溶け出してきらめく頃、私の抱くその人はまぶたを閉じて眠っていた。その横顔やまつ毛の先に、私は胸元で育った愛しさを灯しては、腕に力を籠め、二人で夜を待・・・

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財布の中に秘めたもの

17/10/22 コメント:2件 待井小雨

 雨の降る背景に紗里の横顔が映え、私はつい見入ってしまう。写真に収めておきたくなるほどに、紗里は特別で美しい存在だった。
「なに?」
 私の視線に気が付き、紗里が振り返る。私は咄嗟に視線を外して天を仰いだ。
「雨、止まないなあと思って。傘忘れてきちゃったんだよね」
 学校の昇降口は湿気に満ちている。
「天気予報で言っていたのに。コンビニまで相合傘してあげるわ」
・・・

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僕とちびすけのお買い物隊

17/10/22 コメント:2件 待井小雨

 ちりん、となるのは財布の鈴。買い物に出るお母さんの後ろを付いていく。歩けばころろんと僕の首輪の鈴が鳴る。
 お母さんは足元の僕に気付き、微笑んだ。
「あら、また付いてきたの? 猫はお店に入れないのよ?」
 仕方ないわね、と抱き上げられて僕はお母さんの腕の中。お店の中には入れないけれど、家族の為の買い物をするお母さんを待つのが僕の日課。
 お母さんの家族はだんなさんと小学生・・・

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mothers〜白猫スノウと、こころの財布〜

17/10/22 コメント:1件 冬垣ひなた

「気を付けてお行き」、人間のマリアさんは捨て猫スノウの頭を撫でました。
 わけあって母とはぐれた生き物は、大きくなったら自分の力で母を探し出さなくてはなりません。見つからなければさだめに従って形を失い、何者でもない怪物になってしまいます。
 スノウが母を探す唯一の手掛かりは、綺麗な花の模様が入った財布でした。
「こんなに美しい財布を娘に残してくれたんだもの、きっとお母さんはお前を・・・

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1円足りない財布

17/10/22 コメント:3件 田中色

九十九万九千九百九十九円の現金が入った財布を、街路に咲くツツジの花壇の中で拾った。
街路にいるのは、見る限り私だけであり、周りに人はいない。
ここで私の心を動かしたのは、現金以外にクレジットカードや保険証、運転免許証などの個人を証明する類のカードや紙が何一つ入ってなかった事だった。レシートの一つも入ってやしない。正真正銘の現金だけ。どの雑貨屋中古屋に行っても見かけるような、茶色の革の長・・・

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黒人間と白烏

17/10/22 コメント:0件 ドーンヒル

 終電の車内では、ひとときの快楽と永劫の暗闇が渦巻いていた。乱雑なアクセルとブレーキが、高波のように繰り返し押し寄せた。ささやかな天の心地から引き離された人々は、眠たげな眼を見開いて、スマートフォンをいじり始めた。
 終点から三つ手前で、隣に腰かけていた女性が下車した。辺りに乗客がいないことを確認して、鞄を置こうとすると、白い革財布が置かれていた。扉が閉まっていなかったので、届けようと思い、・・・

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お会計問題、社会科学が斬る!

17/10/22 コメント:0件 本宮晃樹

 連敗に連敗を重ねた末、青息吐息、命からがら、艱難辛苦、なんでもよろしいが、とにかく非モテ男が意中の娘とお高いディナーデートにこぎつけたとしなさい。
 ここで当然お会計問題が浮上してくる。すなわち天文学的な代金をおごるか否か? 男女平等、女性の社会進出、その他いろいろのリベラル思想が膾炙して久しい昨今、むかしながらの「資金力にものを言わせる俺」を演出したいという最高に愚かな見栄を張るのは時代・・・

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昼食はワンコイン

17/10/21 コメント:0件 土佐 千里

「おかえりなさい、財布出してね」
妻と結婚して三年。毎日妻からこの言葉を言われる。
昼食代としてワンコインを妻がくれるのである。
妻がこう言う風になったのは、僕は独身時代からお金が貯められず、浪費していたからだ。飲み代や煙草、携帯、パソコン、家賃、趣味、娯楽…使いたいものはたくさんある。貯金ができず、月給は使い果たし、妻から前借りしていたこともあった。
だから妻は、結婚当初・・・

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形見の財布

17/10/21 コメント:0件 要崎紫月

 男ばかりで二時間ほど居酒屋で飲んだ後、後輩が女の子と飲もうと言い出した。可愛い娘が居るんですよ、なんて言ったが興味は湧かなかった。
 僕はここで帰りたかった。外で飲むのはあまり好きではなかったし、そもそも彼とは一年しか一緒に仕事をしていない。それなのに何故、メンバーに入れられたのか不思議で仕方無い。
 彼は入社後、僕が所属する部署に配属されたのだが、数ヶ月すると営業部への話が出て、年・・・

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タヌキ財布

17/10/20 コメント:0件 アシタバ

あんな怪しい露店で財布など買うべきではなかった。
しかし、露天商の巧みな話術と財布から滲み出る不思議な魅力にすっかり籠絡されてしまい、気づけばお買い上げだった。
消費者センターは俺の言うことを信じてくれるだろうか?
タヌキが財布に化けてたなんて知らなかったんです。だから、クーリングオフは可能ですよね? などと。

「話を聞けポコ」腹部に鈍痛が走る。
腹にパンチを・・・

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善は急げ

17/10/20 コメント:0件 とおのあゆ

善いことをした日は気分が良い。

小春日和の陽気の中で、宏樹は高揚した気分を抱えながら駅を横目に歩く。日の当たらないこの裏道も、今日ばかりは懐が温かく感じる。

今朝、眠い目をこすりながら宏樹がサラリーマンに溢れる駅の改札口を出ると、後ろからふと肩を叩かれた。
「これ、落としましたよ。」
振り返ったとたん、黒い長財布を差し出された。宏樹は反射的に受け取ったが、そ・・・

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赤いプラダ

17/10/20 コメント:0件 秋 ひのこ

「工藤様、この度はご愁傷様でございます」
 火葬場の職員が神妙な面持ちで深く頭を下げた。右手に骨壷、左手は5歳になる娘のナツとつなぎ、ケイコは目礼で返した。葬儀はせず火葬だけで母の死を弔ったのは、ケイコとナツのふたりだけだ。
 骨壷に納まる母はまだ若く、享年45。7年前、17で家を出て以来、顔を合わせたのは向こうから金をせびりに来る時のみ。
 アパートに戻ると、家の前で人相の悪い・・・

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「ねぇ貴方、そのお財布だいぶボロボロですけど、買い替えないのですか?」

17/10/19 コメント:0件 黒江 うさぎ

 この財布?…ちょっと思い入れのある財布でさ、捨てられないんだよね。
 …うん、確かに僕の趣味じゃ無いよ。
 …あー…えとー…ある女の子と同じ物…違う!その子に未練があるとかじゃないから!包丁を下ろして話を聞いて!お願い!
 …ぜぇ、ぜぇ…いったいどこからこんな力を出してるの?…愛故にか…そっか…。
 …うん、そんなに殺気を出さなくてもちゃんと理由を話すから…あまり面白い話・・・

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ばあちゃんの秘密のがま口

17/10/18 コメント:3件 みーすけ

 ばあちゃんのがま口財布には色々なものが詰まっている。切符にえんぴつ、あめちゃんに爪楊枝。
 ばあちゃんは何でもそのがま口にしまい込んでいる。きっとお金もたくさん入っているに違いない。
 ある日、僕はおこづかいをくすねようと、こっそりばあちゃんの部屋に忍び込んだ。ばあちゃんががま口を隠している場所はわかっている。
 僕ががま口を開けると、そこに妙なものが入っていた。もぞもぞと動く・・・

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彼女の財布

17/10/17 コメント:0件 酒楽

 僕はとても平凡だ。容姿も良くも悪くもなく、務めている会社ももらっている給与も平々凡々である。そんな僕にも一つだけ平均以上のものがある。それは僕の交際している女性、つまりは彼女である。
 
彼女に出会ったのは僕の勤めている会社の取引先へ契約書を届けに行ったときのことだった。僕は段差に躓いてしまい、もっていた書類の束をあたり一帯にぶちまけてしまったのである。慌てて拾っていると、大丈夫です・・・

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誕生日

17/10/17 コメント:3件 土佐 千里

彼と付き合うようになって一年。
最初、私は彼には興味がなかった。
服装もだらしなく、洗濯もしない、定職もつかず、歯医者にもいかない、夜は安いカップ麺か豆腐の独り暮し、傘は無くしてばっかり、貯金ができない。誰が見てもダメ男である。
しかし、忘年会の鍋パーティーの帰り、彼と二人きりになり、家まで送ってくれた彼。
寒いからといって、コンビニでおでんを買ってくれる優しさ…いつもだら・・・

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コーラとジャスミン茶

17/10/16 コメント:0件 ケイジロウ

 今日の学校もなんとなく終わっていく。杉山はげた箱でローファーに履き替えた。女子がキーキー騒いでいて、男子はワォーワォー騒いでいる。まるで繁殖期の動物たちのように騒いでいる。
 一方で杉山はこのままなんとなく帰り、なんとなく夕食を食べ、なんとなくテレビを見て、なんとなく寝るのだろう。そして、翌朝なんとなく学校にいく。いつも一人だ。この「なんとなく」はおそらく永遠に続くだろう、と破壊的に杉山は・・・

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拾って得た幸福

17/10/14 コメント:9件 霜月秋介

 財布を拾った。かなり年季の入った、橙色のがま口財布だ。ショッピングモールの男性トイレの床に、それは落ちていた。周囲に人はいない。開いて中を見てみると、千円札が四枚ほど入っていた。俺はそれを、自分のバッグに隠した。
 好きなアイドルの写真集が、ショッピングモール内の書店で四千円で売っていた。当初は買うつもりなど無かったが、拾った財布から四千円を取り出し、購入した。
 勿論、罪悪感がまっ・・・

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逃げる財布

17/10/13 コメント:0件 吉岡 幸一

 今日も(逃げる財布)を追いかけている男を見かけた。鎖に繋がれた財布は繁華街の大通りを西から東へ真っ直ぐに飛びはねながら逃げていた。逃げる財布をどうにか捕まえようとしてスーツ姿の若い男が汗をかきながら走っていた。
「待て、サイフ、逃げるな」
 財布には耳がないので男がいくら叫んでも聞こえるわけがない。ひたすら遠くへ遠くへと跳ねていく。
 逃げる財布は今年の夏から爆発的にヒットし始・・・

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冷えた味噌煮のおいしさたるや

17/10/12 コメント:0件 入江弥彦

 明美が新しい財布を飼ったと言っていた。
 派手な髪色をしているわけではないし、制服のスカートもきちんと膝丈だ。目立つ行動もなく優等生な明美だけれど、持ち物をコロコロと変える癖がある。同じグループに所属していない私の耳にも届くくらいだ。
「財布かえたんだって?」
 放課後にに彼女の席に向かうと、少し驚いたように髪を触ってから小さくうなずいた。
「うん、前のに飽きちゃって」<・・・

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ヒモの作り方

17/10/12 コメント:0件 ちりょう なひろ

 昨夜未明に仲良くなった女の子と一夜を共にして、彼女の部屋のベットの上で目を覚ますと彼女はいなくなっていた。テーブルの上には『きのうは楽しかったね。ずっと仲良しでいられるといいね。気持ちよさそうに寝てたから、起こさないで仕事に行ってくるね。あっ、これでお昼食べて!!PS鍵はポストに入れといてください』と書かれたメモ用紙、この一室の鍵、そして千円札が重なって三枚置いてあった。昼食代として置いていった・・・

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拾ってきた財布

17/10/12 コメント:0件 吉岡 幸一

「財布を拾ってきた」と、仕事から帰って来るなり夫は言った。テーブルの上に置かれた財布は特徴のないありふれた二つ折りの黒い牛革の財布だった。使い古されていて革の張りもなく、擦り切れたような傷が無数についていた。
「駄目じゃないの。交番に届けなきゃ」
 怒ったような妻の声に肩をすくめた夫は財布を手にとって開いて中を見せると、ニヤッと笑った。
「あら、何も入っていないのね」
「コ・・・

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輝け黄金キラキラ風水サイフ

17/10/12 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

僕は貯金が好きだし、金運だってあげたい。
お金があれば、大好きな女の子に対して格好をつけれるし、モテそうだからとにかく欲しい。
僕自身はあまり物欲もないし、性欲は、0に等しい。
でも、僕の過剰な自己顕示欲と承認欲求は、底なしだ。
ああ、そのためなら何円でも払おうと言いたいところだが、僕は何処かの社長でもなければ役職があるわけじゃない、平社員だ。
ああ、この話したくてた・・・

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がま口ざいふのがまちゃん

17/10/10 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 きいちゃんは、五さい。
 きいちゃんは、誕生日のプレゼントに、がま口ざいふをもらいました。
 真っ赤ながま口ざいふです。
 きいちゃんは、そのおさいふに、「がまちゃん」という名前をつけました。
 保育園からかえると、いつもがまちゃんといっしょです。

 ある日、がまちゃんをポケットに入れて、おさんぽにでかけました。
 とちゅうで、かわいい子犬をみつけまし・・・

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無言の美しき石像の間

17/10/10 コメント:0件 リードマン

“ごめんね、もうあきてしまったの”

そう残して、彼女もまた石像に成り果てた。
ココは、私の持つ“財布”からのみ行ける場所。
“神々の座”。
そんな風にも呼ばれる場所。
ココより上には空しかなく、ココより下では全てが満ちている。

私は、もっとも古き、夢の旅人。
空から生まれ、いつか空へと帰るモノ。
人は何処から来て何処へ行くのか、その一・・・

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金の財布・銀の財布

17/10/10 コメント:0件 与井杏汰

夕闇が徐々に空を侵食している。
吉島は人気のない公園で、退屈な1日の終わりを迎えていた。
宛もなく歩くと池の近くに来ていた。
ふと財布の中を覗こうとしたとき、手を滑らせ、くたびれた財布はあっという間に池に落ちてしまった。

 「ついてねぇな」
吉島が嘆くと、音もなく水が揺らぎ、中から女神のような若い女性が現れた。
 「あなたが落としたのは、この金の財布です・・・

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小心者の性(さが)

17/10/09 コメント:0件 藤光

 買ってもらったばかりの長財布。ファスナーのついた小銭入れに硬貨は一枚もなかった。
 ――嘘だろ。
 給料日前の金曜日。薄くなった財布を見ると寂しい思いをするのは毎月のこととして、そこからお金がなくなったとなると話が変わってくる。
「抜いた?」
「抜くわけないでしょ」
 ネクタイを締め、スーツの上着に袖を通しながら、妻にそれとなく訊いてみたが、馬鹿にするなと言わんばか・・・

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笑う財布

17/10/09 コメント:0件 和倉幸配

 あなたは、世にも不思議な財布が存在するのをご存知ですか?
 どんな財布かって? それは、「笑う財布」です。
 「笑う」というのは何かの例えなどではなく、文字通り、笑うのです。声を上げて。
 僕がこの財布を手に入れたのは、今から十年くらい前、まだ独身だった頃のことです。
 当時の僕は、安月給でファッションに使うお金もなかったので、よく街の古着屋で洋服を買っていました。

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救済者のしるし

17/10/08 コメント:0件 牧虎

湿りきった空気をかき分け、201X年、9月某日の午後3時、僕は寮に戻ってきた。
モスクワ南郊では、朝から小雨が続いていた。
晴れ間のない灰色の空がロシア特有の巨大団地の重圧感を増し、日本より数か月早い冷えとともに僕を辟易させていた。
点検不良の鈍いエレベーターに焦らされ、やっと寮の最上階にある自分の部屋に着いた。
ベッドと机と椅子が二つずつ、そして大きい棚が一つしつらえられ・・・

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ラスト・チャンス

17/10/07 コメント:2件 セレビシエ

「これ、落としませんでしたか?」
圭一が声のする方に振り向くと若い女がいた。髪は短く黒髪で少年っぽい感じだなと圭一は思った。手には赤い財布を持っていた。安物そうだった。
「あ、違いますよ。僕のじゃないです」
圭一は少しだけ笑ってそう言うと、また元の方向に振り向き直した。女はそうですかと笑っただけだった。圭一は少しだけ、財布を自分のものだと偽って、中に入っているお金を盗んでやろうか・・・

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空の上

17/10/04 コメント:0件 

 いいえ、わかりません。なんでわからないんだ。君は君自身じゃないのか?わからないんです。

 まったく奇妙なことだった。僕はいつもどうりでいられたら良かった。それにしても、なんだ
って僕はこんなに責められなくてはならないんだろう?なぜ君は知らないふりをしたんだ?わか
っていたんじゃないのかね?ええ、わかっていましたけれど。

 では、なんで先程はわからないと言・・・

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小さな温度でも、この瞬間のために生きてきた僕だと思える

17/10/03 コメント:0件 クナリ

「お疲れ、スロウハンド。昨日の稼ぎは?」
 同じ高校一年生のクシダが、僕をふざけたあだ名で呼ぶ。
 学校の裏庭はただでさえ薄暗くて気分が悪い。
 僕は制服のポケットから札束を取り出した。ほとんど千円札だが、三万円近くはある。
「財布は律義に返してんだな」
 クシダはゲッゲッと笑う。
「クシダ、僕はもうやめるぞ」
「いいぜ。でも俺は小遣いがなくなったら暴れる・・・

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虫の羽

17/10/02 コメント:0件 陽川 文実

ある日、財布を開いたら虫の羽が出て来た。
大きな羽だった。蝉の羽だろうか。
虫は苦手ではないので、冷静に捨てた。

次の日、また財布から虫の羽が出て来た。
この前と同じ羽だったが、色が少し茶色かった。
道端に転がっている蝉にやつあたりした。

また財布から羽が出て来た。
一回目とまるっきり同じ羽だ。緑がかっていて、透けている。
さすがに気・・・

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金をくれ

17/10/01 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 じつは私も、犠牲者の一人だった。
 ことの次第は深夜のコンビニ、私がアルコール飲料をさがしていたとき、レジのほうから、「金をくれ」という、ざらついた男の声がきこえた。
 コンビニ強盗。国道沿いの、ちかくには交番もあって、まさかこんなところでと、私は緊張のおももちで棚越しにレジのほうをうかがった。
 レジ内にはひょろりとした体つきの店員が、恐怖のためかその場に硬直したように立って・・・

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形見

17/09/28 コメント:0件 くまなか

 この財布もケイコが幼い頃には、うつくしい朝焼けの色をしていた。今は余り触れない、フリップの下のみが薄いあけびいろをして、上下には長く使われてすり減った牛革の茶色が染み出ている。祖母の遺品で、気づけばケイコの手元にあった。良い物を長く使うをモットーにした祖母が最も愛用した一点ものだけに、母も処分しきれなかったのだろう。ケイコはそれを家庭の一時的な札入れにした。一人娘ももう大学生になり、学費諸々で十・・・

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月が見ている

17/09/28 コメント:0件 向本果乃子

深夜、暗い部屋にスマホの画面が光る。見ているのは自殺志願者が集うサイト。苦しまない方法を教えてくださいとか、電車に飛び込んだら後始末ですごいお金が親に請求されるって本当ですかとか毎日のように書きこまれる。この中でほんとに死んじゃう人はどれくらい?ここに書いて気が晴れる人がほとんどなんだろうな。死にたいくらい辛いってことを誰かに言って、できれば心配してほしい。そんな寂しい人が溢れてる。でも、それも仕・・・

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財布の中身

17/09/26 コメント:0件 笹峰霧子

小物を買うのが好きでその一つに財布も入っている。
今持っている財布を眺めているとそれを購入した場所や当時の思い出がついてくる。
かなり使って傷跡のあるものやまだ真新しいのもある。

県庁のある松山市に行った時ちりめんの店に立ち寄ったことがある。
縮緬で作られた小物が色々あったが、その中から三つ折りの財布を買った。
縮緬の柄はすべてと言って良いほど和柄で華やかな色・・・

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こんなはずじゃなかった!

17/09/26 コメント:0件 ちほ

 リンブルグ村のパブ『ロビン』の店主・ピートは、家庭用のマッチが足りないことに気がついた。そこで思いついたのが、一人息子のウォルター(5歳)の『はじめてのおつかい』である。「大根1本抜いたら、1円。ほうれん草は、2円」と野菜の引っこ抜きのお手伝いはしたことはあるが、一人で買い物はしたことがない。どこまで売り買いを理解しているものかも確かめたいので、ピートの実弟カレルと妻アメリーが営んでいる雑貨屋『・・・

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ブーメランカムバック!

17/09/25 コメント:2件 ちりぬるを

 よく意外だと言われるのだけれど、私が彼のことを怖いと思ったことは出会ってから一度もなかった。きっと外見よりも先にその人間性を知っていたからだろう。でも、彼に言わせれば私のような人は稀らしい。

「最初は小学生のときかな」
 一緒にランチでもどうですか? という彼の誘いで私達は職場の近くの定食屋に来ていた。昨晩家を出て十メートルも歩かないうちの警察に職務質問されたという話から彼の・・・

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二択

17/09/25 コメント:0件 井川林檎

 魔法の財布に憧れていたが、考えを改めようと思う。


 
 「筒井さん、お子さんまだ小さいし、これからお金かかるね」
 と、先輩から言われた。 
 わたしの不景気面に気づいたのか。

 昼休みだった。



 人手不足である。

 うちの介護施設では、夜勤帯はおろか、日勤帯も満足な人数が取れない。
 一人一・・・

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呪われた財布

17/09/25 コメント:0件 瀧上ルーシー

 先日、半年付き合った彼女と別れた。
 僕は特別女に縁がないというわけではなく、今までに付き合った彼女達で一番長く持ったのは八ヶ月だ。高校卒業後フリーター生活をしている男としては、毎回終わるとき結構長く持った方だと思う。
 一応彼女にふられたのだから、親の仕送りを使って親友と居酒屋で飲んだ。刺身も外で飲む酒も滅多にしない贅沢だ。
「お前の恋愛はエンターテイメント性がないから長持ち・・・

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形無き財産

17/09/25 コメント:0件 蒼樹里緒

 旅の醍醐味、その二。訪れた地域で買い物をすること。特に、工芸品や地元の食材など、その街でしか買えない特産品を見て回るのも楽しみのひとつです。
 荷物の整理もそこそこに、姉は私を早速観光へと連れ出しました。旅行鞄の鍵をなくし、つい先ほど錠を壊してこじ開けたばかりとは思えないほどの、満面の笑みで。
「いやー、財布は鞄に入れてなくてよかったわ。買い物すらろくにできなくなるとこだった」

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