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第145回 時空モノガタリ文学賞 【 財布 】

今回のテーマは【財布】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/11/20

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 募集中
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/09/25〜2017/10/23
投稿数 43 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

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投稿済みの記事一覧

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善は急げ

17/10/20 コメント:0件 とおのあゆ

善いことをした日は気分が良い。

小春日和の陽気の中で、宏樹は高揚した気分を抱えながら駅を横目に歩く。日の当たらないこの裏道も、今日ばかりは懐が温かく感じる。

今朝、眠い目をこすりながら宏樹がサラリーマンに溢れる駅の改札口を出ると、後ろからふと肩を叩かれた。
「これ、落としましたよ。」
振り返ったとたん、黒い長財布を差し出された。宏樹は反射的に受け取ったが、そ・・・

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赤いプラダ

17/10/20 コメント:0件 秋 ひのこ

「工藤様、この度はご愁傷様でございます」
 火葬場の職員が神妙な面持ちで深く頭を下げた。右手に骨壷、左手は5歳になる娘のナツとつなぎ、ケイコは目礼で返した。葬儀はせず火葬だけで母の死を弔ったのは、ケイコとナツのふたりだけだ。
 骨壷に納まる母はまだ若く、享年45。7年前、17で家を出て以来、顔を合わせたのは向こうから金をせびりに来る時のみ。
 アパートに戻ると、家の前で人相の悪い・・・

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「ねぇ貴方、そのお財布だいぶボロボロですけど、買い替えないのですか?」

17/10/19 コメント:0件 黒江 うさぎ

 この財布?…ちょっと思い入れのある財布でさ、捨てられないんだよね。
 …うん、確かに僕の趣味じゃ無いよ。
 …あー…えとー…ある女の子と同じ物…違う!その子に未練があるとかじゃないから!包丁を下ろして話を聞いて!お願い!
 …ぜぇ、ぜぇ…いったいどこからこんな力を出してるの?…愛故にか…そっか…。
 …うん、そんなに殺気を出さなくてもちゃんと理由を話すから…あまり面白い話・・・

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ばあちゃんの秘密のがま口

17/10/18 コメント:2件 みーすけ

 ばあちゃんのがま口財布には色々なものが詰まっている。切符にえんぴつ、あめちゃんに爪楊枝。
 ばあちゃんは何でもそのがま口にしまい込んでいる。きっとお金もたくさん入っているに違いない。
 ある日、僕はおこづかいをくすねようと、こっそりばあちゃんの部屋に忍び込んだ。ばあちゃんががま口を隠している場所はわかっている。
 僕ががま口を開けると、そこに妙なものが入っていた。もぞもぞと動く・・・

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彼女の財布

17/10/17 コメント:0件 酒楽

 僕はとても平凡だ。容姿も良くも悪くもなく、務めている会社ももらっている給与も平々凡々である。そんな僕にも一つだけ平均以上のものがある。それは僕の交際している女性、つまりは彼女である。
 
彼女に出会ったのは僕の勤めている会社の取引先へ契約書を届けに行ったときのことだった。僕は段差に躓いてしまい、もっていた書類の束をあたり一帯にぶちまけてしまったのである。慌てて拾っていると、大丈夫です・・・

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誕生日

17/10/17 コメント:3件 土佐 千里

彼と付き合うようになって一年。
最初、私は彼には興味がなかった。
服装もだらしなく、洗濯もしない、定職もつかず、歯医者にもいかない、夜は安いカップ麺か豆腐の独り暮し、傘は無くしてばっかり、貯金ができない。誰が見てもダメ男である。
しかし、忘年会の鍋パーティーの帰り、彼と二人きりになり、家まで送ってくれた彼。
寒いからといって、コンビニでおでんを買ってくれる優しさ…いつもだら・・・

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コーラとジャスミン茶

17/10/16 コメント:0件 ケイジロウ

 今日の学校もなんとなく終わっていく。杉山はげた箱でローファーに履き替えた。女子がキーキー騒いでいて、男子はワォーワォー騒いでいる。まるで繁殖期の動物たちのように騒いでいる。
 一方で杉山はこのままなんとなく帰り、なんとなく夕食を食べ、なんとなくテレビを見て、なんとなく寝るのだろう。そして、翌朝なんとなく学校にいく。いつも一人だ。この「なんとなく」はおそらく永遠に続くだろう、と破壊的に杉山は・・・

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拾って得た幸福

17/10/14 コメント:5件 霜月秋介

 財布を拾った。かなり年季の入った、橙色のがま口財布だ。ショッピングモールの男性トイレの床に、それは落ちていた。周囲に人はいない。開いて中を見てみると、千円札が四枚ほど入っていた。俺はそれを、自分のバッグに隠した。
 好きなアイドルの写真集が、ショッピングモール内の書店で四千円で売っていた。当初は買うつもりなど無かったが、拾った財布から四千円を取り出し、購入した。
 勿論、罪悪感がまっ・・・

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三徳

17/10/14 コメント:0件 田中あらら

 この家に育った三枝子は、敷地の片隅に建つ土蔵にはなんども入ったことがある。入口の扉を開けると、色のあせた漆喰塗りの土間がある。土間の先は一段高くなっており、引き戸の手前にねずみ返しがついている。ねずみ返しは、板を斜めに差し込みオーバーハングさせ、ねずみが中に入れないようにしたものだ。重い漆喰の引き戸を開けると、さらに鉄格子の引き戸があり、丈夫な南京錠がかけられている。蔵が建てられた時から使ってい・・・

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逃げる財布

17/10/13 コメント:0件 吉岡 幸一

 今日も(逃げる財布)を追いかけている男を見かけた。鎖に繋がれた財布は繁華街の大通りを西から東へ真っ直ぐに飛びはねながら逃げていた。逃げる財布をどうにか捕まえようとしてスーツ姿の若い男が汗をかきながら走っていた。
「待て、サイフ、逃げるな」
 財布には耳がないので男がいくら叫んでも聞こえるわけがない。ひたすら遠くへ遠くへと跳ねていく。
 逃げる財布は今年の夏から爆発的にヒットし始・・・

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冷えた味噌煮のおいしさたるや

17/10/12 コメント:0件 入江弥彦

 明美が新しい財布を飼ったと言っていた。
 派手な髪色をしているわけではないし、制服のスカートもきちんと膝丈だ。目立つ行動もなく優等生な明美だけれど、持ち物をコロコロと変える癖がある。同じグループに所属していない私の耳にも届くくらいだ。
「財布かえたんだって?」
 放課後にに彼女の席に向かうと、少し驚いたように髪を触ってから小さくうなずいた。
「うん、前のに飽きちゃって」<・・・

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ヒモの作り方

17/10/12 コメント:0件 ちりょう なひろ

 昨夜未明に仲良くなった女の子と一夜を共にして、彼女の部屋のベットの上で目を覚ますと彼女はいなくなっていた。テーブルの上には『きのうは楽しかったね。ずっと仲良しでいられるといいね。気持ちよさそうに寝てたから、起こさないで仕事に行ってくるね。あっ、これでお昼食べて!!PS鍵はポストに入れといてください』と書かれたメモ用紙、この一室の鍵、そして千円札が重なって三枚置いてあった。昼食代として置いていった・・・

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拾ってきた財布

17/10/12 コメント:0件 吉岡 幸一

「財布を拾ってきた」と、仕事から帰って来るなり夫は言った。テーブルの上に置かれた財布は特徴のないありふれた二つ折りの黒い牛革の財布だった。使い古されていて革の張りもなく、擦り切れたような傷が無数についていた。
「駄目じゃないの。交番に届けなきゃ」
 怒ったような妻の声に肩をすくめた夫は財布を手にとって開いて中を見せると、ニヤッと笑った。
「あら、何も入っていないのね」
「コ・・・

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輝け黄金キラキラ風水サイフ

17/10/12 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

僕は貯金が好きだし、金運だってあげたい。
お金があれば、大好きな女の子に対して格好をつけれるし、モテそうだからとにかく欲しい。
僕自身はあまり物欲もないし、性欲は、0に等しい。
でも、僕の過剰な自己顕示欲と承認欲求は、底なしだ。
ああ、そのためなら何円でも払おうと言いたいところだが、僕は何処かの社長でもなければ役職があるわけじゃない、平社員だ。
ああ、この話したくてた・・・

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罪と罰

17/10/10 コメント:1件 

電車を降りた木下雄一は駅のホームで尻の辺りに違和感を覚えた。
ジーンズの尻ポケットに手をやると、知らない長財布が出てきた。
「え……なんで、どういうこと?」
考えても何も浮かばず、改札にいる駅員に渡すため歩き出す。
改札手前まで行くが足が止まる。渡す前に財布の中身を確認したい衝動に駆られた。
改札を出た先にある、トイレに走った。個室に入りドアの鍵を閉める。
雄一・・・

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がま口ざいふのがまちゃん

17/10/10 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 きいちゃんは、五さい。
 きいちゃんは、誕生日のプレゼントに、がま口ざいふをもらいました。
 真っ赤ながま口ざいふです。
 きいちゃんは、そのおさいふに、「がまちゃん」という名前をつけました。
 保育園からかえると、いつもがまちゃんといっしょです。

 ある日、がまちゃんをポケットに入れて、おさんぽにでかけました。
 とちゅうで、かわいい子犬をみつけまし・・・

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無言の美しき石像の間

17/10/10 コメント:0件 リードマン

“ごめんね、もうあきてしまったの”

そう残して、彼女もまた石像に成り果てた。
ココは、私の持つ“財布”からのみ行ける場所。
“神々の座”。
そんな風にも呼ばれる場所。
ココより上には空しかなく、ココより下では全てが満ちている。

私は、もっとも古き、夢の旅人。
空から生まれ、いつか空へと帰るモノ。
人は何処から来て何処へ行くのか、その一・・・

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金の財布・銀の財布

17/10/10 コメント:0件 与井杏汰

夕闇が徐々に空を侵食している。
吉島は人気のない公園で、退屈な1日の終わりを迎えていた。
宛もなく歩くと池の近くに来ていた。
ふと財布の中を覗こうとしたとき、手を滑らせ、くたびれた財布はあっという間に池に落ちてしまった。

 「ついてねぇな」
吉島が嘆くと、音もなく水が揺らぎ、中から女神のような若い女性が現れた。
 「あなたが落としたのは、この金の財布です・・・

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小心者の性(さが)

17/10/09 コメント:0件 藤光

 買ってもらったばかりの長財布。ファスナーのついた小銭入れに硬貨は一枚もなかった。
 ――嘘だろ。
 給料日前の金曜日。薄くなった財布を見ると寂しい思いをするのは毎月のこととして、そこからお金がなくなったとなると話が変わってくる。
「抜いた?」
「抜くわけないでしょ」
 ネクタイを締め、スーツの上着に袖を通しながら、妻にそれとなく訊いてみたが、馬鹿にするなと言わんばか・・・

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笑う財布

17/10/09 コメント:0件 和倉幸配

 あなたは、世にも不思議な財布が存在するのをご存知ですか?
 どんな財布かって? それは、「笑う財布」です。
 「笑う」というのは何かの例えなどではなく、文字通り、笑うのです。声を上げて。
 僕がこの財布を手に入れたのは、今から十年くらい前、まだ独身だった頃のことです。
 当時の僕は、安月給でファッションに使うお金もなかったので、よく街の古着屋で洋服を買っていました。

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生活

17/10/09 コメント:2件 鬼風神GO

 わたしは夫の財布を開いた。
 悪事を働いているわけではない。ただの日課だ。
 共働きで、夫は繁忙期は終電で帰ってくる日も少なくない。わたしも朝が早いので夫が寝ている間に身支度して出勤する。
 弁当を作ってやる暇もなく、休みの日にネットで見つけたおいしそうな料理を二人で協力して作るぐらいだ。
 五年前の誕生日にプレゼントした、外国で出会った優しいおじさんみたいな名前の、赤や・・・

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救済者のしるし

17/10/08 コメント:0件 牧虎

湿りきった空気をかき分け、201X年、9月某日の午後3時、僕は寮に戻ってきた。
モスクワ南郊では、朝から小雨が続いていた。
晴れ間のない灰色の空がロシア特有の巨大団地の重圧感を増し、日本より数か月早い冷えとともに僕を辟易させていた。
点検不良の鈍いエレベーターに焦らされ、やっと寮の最上階にある自分の部屋に着いた。
ベッドと机と椅子が二つずつ、そして大きい棚が一つしつらえられ・・・

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ラスト・チャンス

17/10/07 コメント:2件 セレビシエ

「これ、落としませんでしたか?」
圭一が声のする方に振り向くと若い女がいた。髪は短く黒髪で少年っぽい感じだなと圭一は思った。手には赤い財布を持っていた。安物そうだった。
「あ、違いますよ。僕のじゃないです」
圭一は少しだけ笑ってそう言うと、また元の方向に振り向き直した。女はそうですかと笑っただけだった。圭一は少しだけ、財布を自分のものだと偽って、中に入っているお金を盗んでやろうか・・・

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空の上

17/10/04 コメント:0件 

 いいえ、わかりません。なんでわからないんだ。君は君自身じゃないのか?わからないんです。

 まったく奇妙なことだった。僕はいつもどうりでいられたら良かった。それにしても、なんだ
って僕はこんなに責められなくてはならないんだろう?なぜ君は知らないふりをしたんだ?わか
っていたんじゃないのかね?ええ、わかっていましたけれど。

 では、なんで先程はわからないと言・・・

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財布の中には玉ちゃん

17/10/04 コメント:1件 笹岡 拓也

俺の財布の中には玉ちゃんがいる。玉ちゃんと出会ったのは半年ほど前だった。コンビニでお釣りを受け取った時にたまたま出会ったのが玉ちゃんだ。
玉ちゃんは見た目はそこらの十円玉と変わらない。しかし玉ちゃんには俺にしか聴こえない言葉を持っている。
はじめのうちは玉ちゃんが財布の中から話しかけてくることに嫌悪感を抱いていた。いちいち話しかけてくる玉ちゃんを手放そうとした時もあった。しかし財布の中・・・

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小さな温度でも、この瞬間のために生きてきた僕だと思える

17/10/03 コメント:0件 クナリ

「お疲れ、スロウハンド。昨日の稼ぎは?」
 同じ高校一年生のクシダが、僕をふざけたあだ名で呼ぶ。
 学校の裏庭はただでさえ薄暗くて気分が悪い。
 僕は制服のポケットから札束を取り出した。ほとんど千円札だが、三万円近くはある。
「財布は律義に返してんだな」
 クシダはゲッゲッと笑う。
「クシダ、僕はもうやめるぞ」
「いいぜ。でも俺は小遣いがなくなったら暴れる・・・

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虫の羽

17/10/02 コメント:0件 陽川 文実

ある日、財布を開いたら虫の羽が出て来た。
大きな羽だった。蝉の羽だろうか。
虫は苦手ではないので、冷静に捨てた。

次の日、また財布から虫の羽が出て来た。
この前と同じ羽だったが、色が少し茶色かった。
道端に転がっている蝉にやつあたりした。

また財布から羽が出て来た。
一回目とまるっきり同じ羽だ。緑がかっていて、透けている。
さすがに気・・・

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金をくれ

17/10/01 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 じつは私も、犠牲者の一人だった。
 ことの次第は深夜のコンビニ、私がアルコール飲料をさがしていたとき、レジのほうから、「金をくれ」という、ざらついた男の声がきこえた。
 コンビニ強盗。国道沿いの、ちかくには交番もあって、まさかこんなところでと、私は緊張のおももちで棚越しにレジのほうをうかがった。
 レジ内にはひょろりとした体つきの店員が、恐怖のためかその場に硬直したように立って・・・

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穴空き財布問答

17/09/30 コメント:2件 けこぼ坂U介

 人生に悩んで途方に暮れる日々の中、知人の紹介で出会ったのがマドモワゼル・亀子先生である。彼(彼女)は暗い森の中でさまよう子羊を救済する活動をされている。毎日自殺ばかり考えていた、八方塞がりの人生。先生はそこから僕を救い出してくれた恩人である。唯一の問題は、財布であった。

「あのね、荻野くん。お金っていうのはね、束縛すればするほど離れて行っちゃうものなの。いつでも出てっていいよって広・・・

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形見

17/09/28 コメント:0件 くまなか

 この財布もケイコが幼い頃には、うつくしい朝焼けの色をしていた。今は余り触れない、フリップの下のみが薄いあけびいろをして、上下には長く使われてすり減った牛革の茶色が染み出ている。祖母の遺品で、気づけばケイコの手元にあった。良い物を長く使うをモットーにした祖母が最も愛用した一点ものだけに、母も処分しきれなかったのだろう。ケイコはそれを家庭の一時的な札入れにした。一人娘ももう大学生になり、学費諸々で十・・・

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月が見ている

17/09/28 コメント:0件 向本果乃子

深夜、暗い部屋にスマホの画面が光る。見ているのは自殺志願者が集うサイト。苦しまない方法を教えてくださいとか、電車に飛び込んだら後始末ですごいお金が親に請求されるって本当ですかとか毎日のように書きこまれる。この中でほんとに死んじゃう人はどれくらい?ここに書いて気が晴れる人がほとんどなんだろうな。死にたいくらい辛いってことを誰かに言って、できれば心配してほしい。そんな寂しい人が溢れてる。でも、それも仕・・・

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私は財布

17/09/27 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 よくまあこんなしょぼい店があったものだと思えるような、それはひどくみすぼらしい食堂だった。汚れて黒ずんだテーブル四席にそれぞれ一人づつ着いて、黙々とたべている客たちの姿はそろいもそろってこの店にあわせたようにみすぼらしく、そういう私もまた、労働で疲弊したからだでかつがつ夕食をほおばっていた。
「ごちそうさん」
 先客の男が、厨房内の親父に勘定をもとめた。
「五百円です」
・・・

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財布の中身

17/09/26 コメント:0件 笹峰霧子

小物を買うのが好きでその一つに財布も入っている。
今持っている財布を眺めているとそれを購入した場所や当時の思い出がついてくる。
かなり使って傷跡のあるものやまだ真新しいのもある。

県庁のある松山市に行った時ちりめんの店に立ち寄ったことがある。
縮緬で作られた小物が色々あったが、その中から三つ折りの財布を買った。
縮緬の柄はすべてと言って良いほど和柄で華やかな色・・・

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すりとった財布

17/09/26 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 男はあまりにも無防備だった。そのためスリ健こと久保健介は、狙いはさだめたもののいっとき躊躇した。
 混雑する車内で、つり革にぶらさがるひとりの中年男の胸ポケットにさしこまれた長財布。駅からのりこむさい健介は、はだけた上着のすきまにのぞくそれを、しっかり目に焼き付けた。ダークブラウンの、札がつまっていそうな上物だった。
 男は、何か考え事でもあるのか、乗車してからというものどこか上の空・・・

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こんなはずじゃなかった!

17/09/26 コメント:0件 ちほ

 リンブルグ村のパブ『ロビン』の店主・ピートは、家庭用のマッチが足りないことに気がついた。そこで思いついたのが、一人息子のウォルター(5歳)の『はじめてのおつかい』である。「大根1本抜いたら、1円。ほうれん草は、2円」と野菜の引っこ抜きのお手伝いはしたことはあるが、一人で買い物はしたことがない。どこまで売り買いを理解しているものかも確かめたいので、ピートの実弟カレルと妻アメリーが営んでいる雑貨屋『・・・

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ブーメランカムバック!

17/09/25 コメント:0件 ちりぬるを

 よく意外だと言われるのだけれど、私が彼のことを怖いと思ったことは出会ってから一度もなかった。きっと外見よりも先にその人間性を知っていたからだろう。でも、彼に言わせれば私のような人は稀らしい。

「最初は小学生のときかな」
 一緒にランチでもどうですか? という彼の誘いで私達は職場の近くの定食屋に来ていた。昨晩家を出て十メートルも歩かないうちの警察に職務質問されたという話から彼の・・・

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二択

17/09/25 コメント:0件 井川林檎

 魔法の財布に憧れていたが、考えを改めようと思う。


 
 「筒井さん、お子さんまだ小さいし、これからお金かかるね」
 と、先輩から言われた。 
 わたしの不景気面に気づいたのか。

 昼休みだった。



 人手不足である。

 うちの介護施設では、夜勤帯はおろか、日勤帯も満足な人数が取れない。
 一人一・・・

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呪われた財布

17/09/25 コメント:0件 瀧上ルーシー

 先日、半年付き合った彼女と別れた。
 僕は特別女に縁がないというわけではなく、今までに付き合った彼女達で一番長く持ったのは八ヶ月だ。高校卒業後フリーター生活をしている男としては、毎回終わるとき結構長く持った方だと思う。
 一応彼女にふられたのだから、親の仕送りを使って親友と居酒屋で飲んだ。刺身も外で飲む酒も滅多にしない贅沢だ。
「お前の恋愛はエンターテイメント性がないから長持ち・・・

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魔法の財布

17/09/25 コメント:2件 風宮 雅俊

 陽射しが強くなってきても風に冷たさが残る五月。平日の昼下がりの公園には、散策を楽しんでいる観光客ぐらいしかいなかった。
 老人はベンチに腰掛けると、街のざわめきを聞き入る様に目を閉じている。
 老人の隣には子供が座っている。子供はただ前を見ているだけだった。

「おや、気が付かなかったよ。いつから座っているのかな?」
 老人は、半分独り言の様に呟いた。
 子供・・・

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財布代わりの男なら……

17/09/25 コメント:0件 戸松有葉

 憤まんやる方ない――。
 博士は若い頃から、あることに憤りを感じていた。
 男女、特にカップルが会計する際、男が女の分も払う風潮だ。カップルが特にそうではあるが、そんな関係ですらないのに男が払うものという空気もある。
 もはや男は女の財布代わり。
 あまりに意味不明だ。博士が男だからか、余計にこの慣習を由々しき事態だと捉えていた。
 許せないのは、そうした慣習そのも・・・

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叩けば増える財布

17/09/25 コメント:2件 戸松有葉

 男の目の前には、魔法の財布が置かれている。
 昨晩酔って判断力が弱っていたとはいえ、妙な物を買ってしまったものだ。売りつけてきた老人曰く、「強く叩けば中のお金が増える」らしいのだが……。
「買ったものは仕方ない。試してみるか」
 一万円札を一枚だけ入れた状態にしてから、左手で財布を持ち、右手で思い切り叩く。
 中を確認してみると……、
「増えている」
 二枚の・・・

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財布を奪う能力ッ!

17/09/25 コメント:0件 戸松有葉

 日常が壊れたあの日から、少年は学校からの帰宅さえすんなりさせてもらえない。
 今も人気のない路上で、敵の刺客が道を塞いでいた。
「噂は聞いているよ。君は凄い異能を得たそうだね。組織の刺客も次々返り討ちにあったらしくて、僕へ仕事が回ってきたってわけさ」
 言われているように、少年は凄い異能を得ている。が、実は今まで一度も敵に使ったことはなかった。返り討ちにしたという表現は、合って・・・

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形無き財産

17/09/25 コメント:0件 蒼樹里緒

 旅の醍醐味、その二。訪れた地域で買い物をすること。特に、工芸品や地元の食材など、その街でしか買えない特産品を見て回るのも楽しみのひとつです。
 荷物の整理もそこそこに、姉は私を早速観光へと連れ出しました。旅行鞄の鍵をなくし、つい先ほど錠を壊してこじ開けたばかりとは思えないほどの、満面の笑みで。
「いやー、財布は鞄に入れてなくてよかったわ。買い物すらろくにできなくなるとこだった」

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