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第138回 時空モノガタリ文学賞 【 猫 】

今回のテーマは【猫】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/08/15

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/06/19〜2017/07/17
投稿数 91 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 前回の同テーマと比べ、なかなか良い作品が多く集まったのではないでしょうか。実際に猫を飼っておられる作者の作品は、実体験に基づいたリアリティがありましたし、(多分)そうでない場合でも、猫の習性と絡めて人間の心理をうまく描写していて、感心させられました。とりわけ投稿経験の浅い作者の力作が目立ちました。落ち着いた文体の魅力のある作品ばかりで、これも全体的な底上げ感に繋がっていたのではないかと思います。『琥珀色のメモリー〜族・とある猫のお話〜』は、前回のテーマ「猫」コンテストの最終選考作の続編ですね。実際の介護のエピソードを通し、猫の魅力と家族の関わりが伝わってきました。『マミーにゃんこ』は『にゃんこの館』シリーズの番外編で、いつもとは違い今回はシリアスな内容ですね。繁殖猫の悲惨な境遇を認識できてよかったです。こうした犠牲の上に動物の売買が成り立っているのは切ないですね。『猫を探しに』は、亡くなった母親の死を乗り越えていく過程が丁寧に書かれていて、客観的に自分を見つめるようになる主人公の心の変化に力強さを感じました。『猫ではないと』は、近所の孤独な少女に対し、現実的な視点から最善な関わり方を模索する、現実的なアプローチが新鮮でした。その点において、今までの似た設定の他作品にはない新鮮さを感じました。『知床のクマとネコ』は、人間の都合から犠牲になる動物たちと人間の関わりについて考えさせられました。コメント欄を見ると取材をされたとのことですが、確かにそれを納得してしまう厚みがあったと思います。猫のテーマの取り入れ方も良いですね。『PINKの黒猫と白い月』は、かなりシニカルな作風ですが、不良の主人公の意識的な自己評価と、無意識の本音との差異にリアルさを感じました。最後の猫の声は辛辣ではあるものの、やはり現実を映しているのでしょう。これが自分を見つめ直すきっかけになると良いですね。『狂猫病の子供はもういない』は、アウトローな感性を持つ似たもの同士の幻想と現実が交錯する、ノスタルジックな作品だと思います。思春期特有の仲間意識と繊細さが印象的でした。次回も、鋭い観点からの作品を期待しています。

入賞した作品

5

あるニャン事訴訟

17/07/16 コメント:7件 光石七

 右手の甲に痛みと赤い筋が走った。――このバカ猫! 鬱憤が爆発し、私は即座にニャン事訴訟を起こした。K島ニャン裁M出張所はその場で受理してくれ、夕方からの審理が決まった。

「平成二十九年(ニャ)第22号。原告 七石ヒカリ、被告 七石ちー」
 私は静かに原告席に座った。ちーはニャン護士に抱きかかえられ被告席へ。訴えられているのに呑気に欠伸、毛繕い。私が睨んでもどこ吹く風だ。ほどな・・・

3

猫の部屋へ

17/07/16 コメント:1件 小峰綾子

三毛猫のメスだからミケコ、という安易な名前を付けられたうちの飼い猫は時々室内で行方不明になる。マンション5階の部屋から外に出さないようにしているのでどこかにはいるはずなのだが、ベットの下、テレビの裏など猫が入り込みそうな場所を一通り覗いてみてもどこにもいない。まあ、1時間もすればひょこっとまた現れるのでとくに心配もしていないのだが。
妻はそのプチ行方不明を「猫の部屋に行っちゃった」という。妻・・・

6

パスタの茹で方、猫の飼い方

17/06/25 コメント:2件 miccho

 昼食はパスタにしよう。そう決めて鍋いっぱいにお湯を沸かし麺を茹でてみたものの、出来上がったパスタには違和感があった。どうにも柔らかすぎて、歯ごたえがない。
 妻の早紀がいつも作ってくれたパスタは、芯の部分は残っていて、きちんとアルデンテに仕上がっていた気がする。
「ゆで時間さえきちんと計ってあげれば、誰だってできるわよ」
 早紀にはそうやって笑われそうだ。
 うどんのよう・・・

3

たまちゃんと老女

17/06/21 コメント:2件 笹岡 拓也

人間はいつも偉そうなのに、実は大したことない生き物だ。私たちは豊かな知能を活かして個々の存在を認め合って生きていると抜かしたことを言っている。そして俺たちみたいな猫や犬をペットとして飼って優越感に浸っているんだ。
「たまちゃん、ごはんの時間よ」
俺は今、老女の家で暮らしている。朝昼晩と毎日決まった時間に同じ飯が用意される生活を送っているが、元々野良猫だった俺は今の生活が嫌いだ。
・・・

1

人風猫

17/06/19 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 しおたれた顔つきの中年男が近よってきたかと思うと、いきなり若者の手首をつかんだ。
 混みあった電車内でのできごとだった。腕を貫く激痛にその若者は、思わず悲鳴をあげそうになった。
「きみ、いまその女性の、あっ―――」
 男性がそこまでいったとき、なぜか件の女性は、乗客にまぎれこむようにしながら向こうの車両に消えていった。
「まいい、きみ、次の駅でおりるんだ」
 若者は・・・

最終選考作品

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琥珀色のメモリー〜続・とある猫のお話〜

17/07/17 コメント:7件 冬垣ひなた

 君はこの世に生まれてから、奇跡を何度も起こしたね。赤ちゃんの時に一人ぼっちになったときも、事故で身体の自由を失いそれを乗り越えたときも。
 雄猫だったのに子猫たちの面倒を見る君は、茶虎の明るい毛並みが自慢の、逞しいヤンチャ猫でしたね。繰り返される思い出話の中で語られるのは、君の元気だった姿ばかりです。
 君がこの世を去ってしまったのは、きっと不本意な事だったでしょう。私たちのお別れは・・・

2

マミーにゃんこ

17/07/17 コメント:2件 泡沫恋歌

猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフ猫、マリリンにはとても悲しい過去がありました。
マリリンはバーマンという珍しい猫で、長くて絹のような手触りの毛を持ち、綺麗なサファイアブルーの目、脚の先端がまるでソックスを履いたように白いのが特徴でした。
伝説では、バーマンはビルマ(現在のミャンマー)の高僧ムンハーのもとに現れたシンハというネコが起源といわれています。
マリリンには生まれた時から・・・

4

猫を探しに

17/07/15 コメント:2件 木原式部

 土曜日の朝、飼っている猫が逃げだした。私が窓を開けて、うっすらと積もっている雪に目を奪われているスキに、猫は足元をすり抜けて外へ出て行った。私はすぐに追いかけたが、猫はもうどこにもいなかった。
 夫は私がパジャマに素足のまま庭に出ているのに気付いて驚いていた。私が涙でぐちゃぐちゃになりながら猫が逃げだしたことを話すと、仕事から帰ってきたら一緒に探してやるから、あまり無理するなと言って家を後・・・

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猫ではないと、

17/07/07 コメント:1件 村升 青

俺は二階建てアパートの二階に住んでいる。
仕事の為いつも夕方に部屋を出るのだが、その日何の修理か数名の作業員と道具箱が階段への通路を塞いでいるのが玄関から見えた。
その階段とは反対方向にあるもう一つの階段から降りる事にし、そこへ向かって驚いた。
階段の一番下の段の暗がりに、子供が横たわっていた。
慌てて駆け降りると苦しそうだが息はあり、見た所外傷も無い。
「どうした?・・・

3

知床のクマとネコ

17/06/29 コメント:2件 ぴっぴ

140kgを超すであろう立派な角の牡鹿が一台のワゴン車とぶつかっていた。車は大破して横転し、辺り一面粉々になった部品などで道路は騒然となっている。撥ねられた鹿はすでに息を引き取り歩道を塞いで横たわっていた。その歩道を三十代くらいの女性が音楽を聞きながら走ってきた。ハンターならまだしも普通なら動物の死骸を気味が悪いと思うところだが、ピョンとまたいで何もなかったかのように走り去ってしまった。地元の人た・・・

1

PINKの黒猫と白い月

17/06/19 コメント:0件 ちりぬるを

 今、僕の手の中には痩せた黒い子猫がいる。制服が汚れないように捲った腕を弱々しく爪で引っ掻いてくる。
「しっかり押さえとけよ」
 進藤が鞄から取り出した蛍光ピンクのカラースプレーを猫に向けながら口元を歪ませた。もちろんこの猫が彼に何かをしたわけではない。強いて言えば進藤の前を横切って歩いただけだ。
 態度が気に入らないからと新任教師のアパートの壁に落書きをしてきた帰りで、スプレー・・・

2

狂猫病の子供はもういない

17/06/19 コメント:1件 クナリ

 ある秋の水曜日の昼間、僕は中学校をサボって、広い公園のベンチに座っていた。
 目の前の遊歩道を、紙切れが風にあおられて転がっていく。それは、誰かが誰かにあてた手紙だった。
 いや、よく見ると、それは白い猫だった。
 転がるように走る猫の前に、やおら、制服姿の少女が立ちふさがる。
 同じクラスのヒキムラだ。こんな時間にここにいるということは、彼女もサボりだろう。不良だな、ま・・・

投稿済みの記事一覧

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優曇華の猫水

17/07/17 コメント:2件 夏野夕暮

 『入壇希望のお檀家様を、当山は歓迎いたします。電話であれば日中はすぐにお受けいたしますし、公式サイトからの応募も受け付けております。お檀家様であれば、当山はペットの法要も承ります。拙僧が森羅万象あらゆるものの安寧と供養をお約束いたしましょう』

 我が寺の公式サイトではこう書いたものの、動物の供養の仕方など欠片も知らない。しかし昨今の檀家減少は著しく、こちらもなりふり構ってはいられな・・・

1

雨。時々、ライオン。

17/07/17 コメント:1件 冬垣ひなた

 その金色を湛えた眼光は、僕が動物園で描いたライオンの絵によく似ていた。
 絵の中だけでもと思い檻を外して描いたライオンは、とてもけだるげな表情で、暮らしには困らないだろうに満足そうには見えなくて、僕は次第にやるせなくなった。
「これは、ライオンじゃない……」
 気が付くと、サバンナに置き去りにした本能をみなぎらせ、牙をむき出しにした獰猛な肉食獣の顔を、僕は紙に描き出していた。<・・・

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敷島早朝清掃隊

17/07/17 コメント:0件 むねすけ

 青春をテールライトの乱反射に見間違えた少女たち、「敷島ナイトウォーカーズ」のメンバーは悩んでいた。
「あたしら評判悪いんすねぇ」
「敵チームとハルのは上等っすけど、それ以外の人らに嫌われたくねぇですよね」
「あたしこないだスタジオ締め出しくらいましたよぉ」
「それはあんたがドラムスティック盗んだからだろー」
「テヘペロっす」
「ふりーし、似合わねんだよ、あれは・・・

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楽園

17/07/17 コメント:0件 沓屋南実

 電話が鳴った。
 夫の出勤を見送り、朝食の後片付けをしながら、ラジオから流れる変拍子のワルツに耳を傾けていた。実家の母からだった。
「琉が、琉が……」嗚咽のような声だった。
「琉が交通事故を起こしたよ。すぐ風間病院へ行って」
 琉とは、私の4歳年下の弟だ。驚いて母に詳細をたずねるが、要領を得ない。命に別状がないことだけはわかった。取るもの取りあえず車で病院へ急いだ。

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夜明け前の猫

17/07/17 コメント:0件 喜久之湯

 恋路は、すべて闇の中である。
 ある時は屋根づたいの先で事に及び、ある時は数十軒先まで聞こえるヨガリ声を出し、またある時は家の入り口で情事にふける。
 一筋縄では行かぬが、何処でもやってやるという気概に貫かれている……。

 ここ数日、いつも夜明け前になると、発情期のノラ猫が庭先で交尾にいそしむようになった。
 春なのである。

「ワォ! やってる、やっ・・・

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山でのできごと

17/07/17 コメント:0件 OSM

 ママときょうだいたちはベッドでぐっすり眠っているし、天気もいいので、ぼくは今日こそ山に行くことにした。「危ないから山に入ってはダメよ」とママは口うるさく言うけれど、ぼくはきょうだいの中で一番足がはやい。ほかのネコに出会ったり、悪いニンゲンに見つかったりしても、逃げきれる自信があった。
 家からだと大きな緑色のかたまりに見えた山は、近くに行ってみると、たくさんの木が集まってできていることが分・・・

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視線

17/07/17 コメント:0件 小夜

 僕の部屋には、いつからかおばけが出るようになった。
 それは決まって日が暮れる頃。
なぜその頃かといえば、空の端から西日の名残が消え、いよいよ手元が見えなくなった僕が、観念して卓上ランプをつけるからだ。
 すると窓の向こうにはぽつぽつとした街の灯りが、こちら側にはぼんやりと疲れた目をした少年が見える。手元には折り目のついたノートや、積み重なった教科書が隙間なく散らばっていて、石・・・

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僕らの猫救出作戦

17/07/17 コメント:0件 そらの珊瑚

 街を抜け、山道を上る。うねうねと続くカーヴの手前で慎重に車のスピードを落とし、曲がりきったあとから加速する。助手席で寝ている栞を起こさないように、ゆっくりと慎重に。オートマチック車はギア操作をしなくていいので、楽ちんだ。以前はマニュアル車に乗っていた。十年乗ったそれなりに愛着のあったスポーツタイプのツーシート車。買い替えたのは、栞と結婚したのがきっかけだった。僕のしがない賃金だけで二人が生活する・・・

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タワシくんのこと

17/07/17 コメント:0件 解場繭砥

 このたび下僕になることにしました。
 つきましては我が身のすべて、てっぺんからつま先に至るまで肉球のために捧げます。
 誠心誠意、全霊をもって、ご主人様にお仕えします。

  †

 結婚から一ヶ月後、家族が増えました。超促成栽培です。そういうジョークと共に友人にタワシの写真を送る。
 なぜタワシという名前になったかというと、与えたおもちゃで亀の子だわし・・・

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猫被りの街

17/07/17 コメント:2件 霜月秋介

「吉村ヨシコさん、どうやらあなた、猫病にかかってますね。お薬出しておきます」
「はい?」

 医師の思わぬ診断に私は驚きを隠せなかった。最近何日も眠れない日が続いて、私は精神的にも体力的にも限界に来ていた。うつ病なのではないかと疑い、思い切って精神科を受診したのだが、診断結果はまさかの『猫病』である。


 みんなが私に優しい。みんないつも、笑顔で私にお菓子やジ・・・

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山猫村

17/07/17 コメント:0件 キップル

 東北地方の山奥に、猫だけが住む村があるのをご存知だろうか。家々は朽ち果て、田畑は荒れ放題の中におよそ100匹の猫が暮らしている。そこには最近まで一人の老人が住んでいた。物語は半世紀も昔、その老人がまだ20代だった頃に遡る。

「すいません、この辺りに金色の猫がいると聞いたのですが、ご存知ないですか?」

 彼の名前は土田栄作。東京で三流オカルト雑誌の記者をしている。背は低・・・

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たった一つの冴えた飼いかた

17/07/17 コメント:0件 plum

 もともとは犬派だったので、猫は好きでも嫌いでもなかった。それが大嫌いになったのは、近所で飼われている猫が、頻繁にうちへ出入りするからだった。
 一匹ならまだ可愛いと思えないこともないが、数匹となると話が違ってくる。区別がつくだけでも五・六匹の猫に、入れ替わり立ち代わり敷地に入って来られて、どこかしらに残された糞尿の匂いが匂ったり、老朽化している車庫の屋根を走り回られて冷や冷やしたり、真夜中・・・

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恩返し

17/07/17 コメント:0件 いちこ

 午後11時。
 今にもぐったりと崩れてしまいそうな体を気力で動かす。まだ家には着かない、頑張らねば。
 仕事でくたびれ果てて、やっとのことで家まで帰るのはいつものことだ。むしろ今日は早く帰れた方で、日付が変わる日も多かった。遅く帰るからといって遅く出勤できるわけではなく、当然疲労は蓄積していく。このまま目覚めなければ良いのにと思いながら眠りにつく日々が続いていた。

 赤・・・

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被り物

17/07/17 コメント:0件 村崎紫

「あーぁ。もうやだー!」
溜めていた感情を近所迷惑にならない程度に上を向いて吐き出す。見上げた先は雲一つ無い満天の星空だったが、今の私の琴線には触れなかった。帰路にある人気の無い小さな公園はいつしか本音を吐き出す場になっていた。軽食と缶チューハイを買って夜風に当たりながら小腹と傷心を癒やす。私に必要な場所だった。どう見ても職質されそうではあるが、幸運にもまだそれは無い。
いつものベンチ・・・

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ずっと一緒

17/07/16 コメント:0件 しおこんぶ

 お久しぶりです。お元気でしたか?やっぱり予想通り。この公園で待っていればあなたと会える気がしていたんです。いやいや、そんなにびっくりした顔をしないでください。そりゃまあ、あなたと会うのは本当に久しぶりですが・・・。10年ぶり?いや、15年ぶりですか。月日が経つのは本当に早いですね。この15年間、何をしてらっしゃいましたか?特に変わりない?そうですか。私の方は本当にいろんなことがありましたよ。少し・・・

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しっぽが裂けても

17/07/17 コメント:0件 小高まあな

 生き物なんて飼うもんじゃない。
 そう思っているし、何度もそう言っているのに、同居人は構わず猫を拾ってきた。
「何度目だ」
「五回目かな」
 低い声での問いかけに、同居人はあっけらかんと答えた。そうじゃなくてだな。
「嫌いじゃないでしょ、猫」
 獣医には連れて行ったあとだという。手慣れやがって。
「まあ、そうだけど」
「ならいいじゃん、隆二のまあは・・・

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異種同棲生活〜猫と彼女と、ついでに俺〜

17/07/16 コメント:0件 市川 春

「モモ」

窓枠に寝そべった黒猫は、俺の呼びかけにわずかに耳を動かしただけだ。振り向きもしない。もしこれが彼女だったら、一声鳴かせるくらいの芸当ができたかもしれない。

猫は気まぐれとはよく言ったもので、我が家の黒猫も類にもれず、その類だった。

SNSで話題の最新猫じゃらしなるものを彼女がネットで取り寄せた時も、モモはチラッと視線をやったのみで、むしろその猫じ・・・

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ブローチ猫の憂鬱

17/07/16 コメント:0件 みや

私はブローチ猫です。生物学と科学の最先端の技術を駆使して作られた次世代型のブローチペット。ブローチ猫の名前の通りに小さなブローチにされた猫なのです。決してロボットではありません。普通の猫と同じく生きています。けれど私たちはごはんを食べる必要がありません。太陽や電気の光のソーラーパワーが私たちのごはんです。糞尿もしません。糞尿はソーラーパワーをエネルギーに変える糧になります。鳴くのは普通の猫と同じで・・・

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猫に占拠された町

17/07/16 コメント:0件 はじぬめぬめ

 ぼくの住んでいる町が占拠されたらしい、猫に。
 真面目くさった顔でニュースキャスターがそう告げているのだから嘘ではない。と思うのだが、まだ信じきれないぼくは、外に様子を見に行くことにした。
 玄関戸を開ける前、外から猫の鳴き声が漏れ聞こえたので、念のためドアスコープから覗く。戸のすぐ先には、黒、トラ、三毛の三匹が寝転んでいた。このまま開ければ、ぶつかってしまうかもしれない。猫に恨みは・・・

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キャプテンとノル

17/07/16 コメント:0件 キップル

「来たっ、真ん中にスライダー!一本出れば同点だ…、うっ!」

 バットの下方をかすめたボールは、コキン、と力ない音を立てて転がった。二塁手はやや緊張したぎこちない動きでボールを取り、一塁へ送球。

「アウト!ゲームセット!」

審判が声高々に宣言した。まるで間に合いそうもないタイミングでヘッドスライディングした俺は、ファーストベースにしがみついたまま放心していた・・・

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猫水仙人

17/07/16 コメント:0件 mokugyo

僕、ボクサツ!本名は撲田察男だけどね。「撲殺して〜な〜」って呟いてたらそんなあだ名がついた男さ!今日は猫のことを聞きに猫水仙人のところに来たよ。猫水仙人は、猫の顔してる仙人だよ!湖のほとりに住んでるんだよ。だから水がつくんだね。白い毛で、マジで猫の仙人って感じの貫禄なんだ〜。

「仙人!猫って気まぐれなんですか?ってか、猫ってなんで猫っていうんですか〜?」<・・・

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首ったけデイズ

17/07/16 コメント:0件 宮下 倖

 ヨゾラはまだぼくに慣れないみたいだ。
 ちょっと前まで野良猫だったらしいから仕方ないよね。
 でも、飼い主さんから「ヨゾラ」って名前をもらうくらい真っ黒でつやつやした毛並みに、赤い首輪のぼくはすごくよく映えると思うんだ。
 だから、前足で引っ掻いたり、不服そうに唸ったりしないでほしいな。
 ヨゾラはおそろしく元気な男の子だ。まったくじっとしていない。すぐに外に出たがって窓・・・

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ツイスミ不動産 物件1:豹猫島(ひょうねこじま)洋館

17/07/16 コメント:1件 鮎風 遊

 長い旅路の果てにきっとある、あなたの居場所。
 これからの残された人生は穏やかに、そして好きなように暮らして行きたい。そんな終の棲家をあなたはお探しではありませんか?
 お任せください、ツイスミ不動産に。
 あなたのご要望に応え、最高にご満足いただける物件をご紹介致します。

 こんな宣伝文句に乗せられたのか、今日も1組のシニアカップルFさんがツイスミ不動産の自動扉・・・

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猫又のもたらした騒がしい日々

17/07/16 コメント:4件 待井小雨

 歳を取り病床で人生を追想すれば、私は随分とあの猫に迷惑をかけられてきたものだと思う。
 白髪を生やすよりも前、妻と結婚するよりも恋を覚えるよりも前。ほんの幼いあの日に、私はこの人生を永く付き合わざるを得ない相手に見つかってしまった。
 生まれた時から肩にあった傷の様な痣。これが目印だったのだとあの猫は言っていた。

 夏の縁側、昼寝をする幼い私。あまりの暑さに私は起きだし・・・

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猫の一生のお願いは九度もある

17/07/16 コメント:0件 しえすた

 ベッドに横たわる母親の横で、幼い男の子が泣いている。
 可哀想には思うものの、特に何をしてやるでもない。
 神様だとは言っても、俺は猫の神様なのだから。
「にゃー」
 隣にいる、少しふっくらした雄の三毛猫が鳴いた。
 助けろ、と一言。
「はいはい。承知していますとも」
 俺はわざと謙った通じない皮肉を口にしつつ、彼の願いを叶えたのであった。

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灰色の猫と片目の猫

17/07/15 コメント:0件 吉岡 幸一

 細い坂道を自転車でのぼると図書館があった。ヨーロッパの城を想わせる二階建ての図書館は真夏の太陽に照らされて外壁の煉瓦も焼けついていた。
 来年高校受験を控えた彼は今日も勉強をしにやってきたが、自転車を止めた後にすぐに図書館に入ることもせず、自転車置き場の庇の下で鞄を抱えたまま佇んでいた。
 目の前には水の枯れた円形の噴水があり、それを囲むようにベンチが置かれてあった。夏の日差しを恐れ・・・

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路地裏のある夜

17/07/15 コメント:0件 キップル

「おいで、おいで。あっ、近づいてきた!あなた、人懐っこいのね。」
 すっかり日が暮れて、夜の静けさに包まれた住宅街。その路地裏に僕は住んでるんだけど、あるとき一人の女性に話しかけられた。笑顔で僕を見つめながら、頭や背中を撫でてくる。最初は遠慮がちに優しく慎重に触っていたのが、僕が逃げないことが分かると、だんだん強く大胆になってきた。これはくすぐったいぞ。思わず、

「ナァー!」<・・・

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たくらみ

17/07/15 コメント:0件 TATA

 同僚と飲んだ帰り、電車を降りた俺はいい気分で家への道を歩いていた。
 けっこう遅い時間だったが、まだあちこちに人影がある。その中に、足元のおぼつかないサラリーマンがいた。かなりのんびり歩いてきた俺にすら追い越されようというペースだ。まだ明日もあるんだからちゃんと帰れよ、と他人事ながら思った、そのときだった。
 どこからか飛び出してきた黒い物体が、歩道を勢いよく横切った。猫だ。みな驚い・・・

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波動関数を収束させるな

17/07/15 コメント:0件 本宮晃樹

 ゲンが往生したらしいことを、俺はいまだに推測でしか知らない。
 つい三日ほど前、普段まったく電話なんかかけてこないおふくろからだしぬけに連絡があった。開口一番彼女はこう言った。「お疲れさま。あのね、実はゲンが昨日――」
 電話を切った。危なかった。死んだほうのゲンに波動関数を収束させちまうところだった。
 俺は認めない。ゲンは死んでなんかいない。そうだろうが?

 ・・・

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犬派の僕が二匹の猫を飼っているわけ

17/07/14 コメント:0件 森川夕陽

「ミヤー」という甘い鳴き声で僕は目を覚ました。
生粋の犬派である僕――佐藤光太郎が二匹の猫を飼い始めて、もうすぐ一年になる。こいつらとの昼寝もすっかり習慣化してしまった。
「よしっ」
僕は両頬をパチンとたたいて気合いを入れると、胡座をかいて座った。
目の前には一冊のノート。表紙には「光太郎日記」とある。ページをめくっていくと、 中身はノートの三分の二ほどでぷつりと途切れて・・・

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ぼくと彼女とコロとミケ

17/07/14 コメント:0件 藤光

 コロはミケに恋をしている。
 窓から明るい光が差し込む朝、目を覚ますとコロがうれしそうにしっぽを振っているところに出くわすことがある。視線を追うとその先にはいつもミケがいる。その時の気分に応じてピアノの上に、本棚の上に、そしてネコタワーの上に。コロが懸命にしっぽを振ってみてもミケが意に介することはほとんどない。ワンと悲しげに吠えると、うずくまった姿勢からちらと薄目を開けてみせるくらいだ。<・・・

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捨て猫

17/07/14 コメント:0件 麗蘭

私は生き物が嫌いではない。しかし好きでもない。
そして博愛主義者でなければ、非情でもない。
だから、雨にさらされている子猫を見捨てて去るということはできなかった。
ただそれだけだった。



何もかもを吸い込んで行きそうな、漆黒の闇が広がっている。
私は窓に降り付ける雨を見ながら、猫を拾ったときのことを思い出した。
その日から10年の月日が流れ・・・

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残党と老虎と、、

17/07/12 コメント:0件 榊真一

深夜12時の西新宿。
私はビルの中で終わらない仕事を片付けていた。
とても処理できない仕事の量、それは日に日に増えていく。
私が働くこの会社では早期退職を希望した者たちが次々と抜けていき仕事の量は私の出来る範囲を超えていた。

立川にある実家にはここ最近は殆ど行けていない。
行けば両親に聞かれることは決まっている
「お前の働いている会社は大丈夫なのか、週刊・・・

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ねこの宿命(2)

17/07/12 コメント:0件 ケイジロウ

「ニャー?」
「あっ、これか?これは求人広告ってやつだ」
 ブルーの作業着姿のおじさんが発泡酒を開けながら言った。
「発泡酒の値段は上がったけど、時給は上がりません、まいっちゃうよなあ」
 おじさんはグビグビと発泡酒を喉に流し込んだ。僕は求人広告の上に載ったさきイカを一切れかじった。
「気になるか?どれ、一つネコ語に訳してやろう」
 おじさんは僕のお皿からさきイ・・・

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白昼夢

17/07/12 コメント:0件 キュー

あたたかな春の午後。
新居はぬくぬく日当たりが良く、リビングの床に寝そべる満ち足りた飼い猫一匹。
突然の訪問者にとび起きる。
電話工事?
ああそうでした、お願いします。

人懐こそうな笑顔を中に通す。
玄関ドアを即ロックした僕に、「カギは開けたままで。道具を取りに出たり入ったりしますので」。
すみません、目を伏せ思わず口ごもる僕。
「癖なんです・・・

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君の心は鞠のよう〜はずんではずんで何処へゆく?

17/07/12 コメント:0件 ちほ

 ボクんち、お酒とお料理のお店なの。
 2階には宿屋さんもあるよ。
 「お店があるから猫は飼えない」って、おとうさん言ってたの。
 だからお店から2階にのぼってく階段の一番上にすわって、ボク目を閉じて耳をすますの。
 お店のドアのカウベルが鳴るよ。

──カランコロン……カランチリン……チリンチリン……

 ほら、猫さんの鈴が鳴ってる風にきこえてきた・・・

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ケダモノ

17/07/11 コメント:0件 かめかめ

 まただ。あの猫が入ってきやがった。薄く開いた勝手口を力いっぱい閉めると金属がぶつかる鈍い音がした。その音も癇に障る。台所をチェックしたがとりあえず被害はなさそうだった。
 野良猫を初めて見つけたのは車庫だ。うずくまっている猫に妻が気付き抱き上げた。
「この子、すごく人懐こいわ。飼ってもいいでしょう」
 俺はケダモノが嫌いだ。即座に却下した。妻は残念そうに抱いたままの猫を撫で続け・・・

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ねこねこ、こねこ。

17/07/11 コメント:0件 花色木綿

 ねこねこ、こねこ。
 毎年同じことを繰り返し思うのだが、今年の夏は一段と暑い。
 だらりと額から流れ落ちる汗の雫を手の甲で拭いながら、僕はズボンのポケットから鍵を取り出し。そっと、玄関の扉を開ける。すると、むわっとした生温かい空気が流れ、僕の肌を吹き撫でた。
 家の外も中も大して変わらぬ気温に、自然と漏れる溜息。それでも僕はサンダルを脱ぎ捨てると、部屋の奥へと入って行く。

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猫の会

17/07/10 コメント:0件 maimo

つまらない気分で、さっき来た道を戻っていた。
空は一点の曇りもなく、暑さで頭がクラクラした。涼しげなカフェで過ごすはずだった土曜の午後だが、友人のドタキャンで無くなってしまった。

もっとも彼女に悪気があるわけではない。会社を辞め、独立して三カ月。事業を軌道にのせるため、休日返上で働いている。それに比べて私は…。

すいっと目の前を速いものが横切り、見るとそれは白猫だ・・・

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袋の……

17/07/10 コメント:0件 忍者猫

 そいつ等は、何の前置きもなく現れる。
 鍋を取り出そうとすれば、流しの台の奥から。
 洗濯した衣服をタンスに片付けようとすると、開いた引き出しで安眠しており。
 終いには買い物に行く為に財布を確認しようと開けたバッグの中でみっちりと丸まっていた。

 何時も、ではない。
 雨の日の時もあれば、カンカン照りの真夏日も、小雪がぱらつく日もある。
 さらに言う・・・

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好きだよ。

17/07/09 コメント:0件 嶋 葉月

「どうして」
ヒトは面倒な生物だと思う。「どうして」、「何故」と何もかも知りたがる。私のようにふらっと出かけようものなら、きっと小言を喰らうのだろう。「どうして、何も言わずにいなくなるの」なんて。
明かりの灯っていない部屋に視線を移すとうずくまっている女が見えた。私は彼女を知っている。散歩中の私を見つけて、嬉しそうな顔で「こんにちは」と言うから。私が返事を返すことはないのに。当たり前の・・・

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赤猫

17/07/09 コメント:0件 忍者猫

 おや、見ない顔だねえ。
 ああ、時間合わせかえ?
 お上の決め事だから、従わない訳にはいかないものねえ。
 うちは、まあ昼は飯処、夜は酒場、今は休憩中さ、良いんだよ、私の暇潰しに付き合っておくれ。

 私は昔、一応は良いとこの娘だったんだよ?
 今はこの通り、小さな店をやっと取り廻してるのがやっとだけどねえ。
 でもねえ、男にとち狂っちまってねえ。

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僕のキイ

17/07/09 コメント:0件 秋 ひのこ

 政吉(まさきち)の世界は、川のせせらぎと鉄橋を電車が駆け抜ける時の家の振動、生物と煙草の臭いが充満するこの部屋、そしてばあちゃんとキイで成り立っている。
 キイは猫だが、ただの猫ではない。体は熊のように大きく、二足歩行する。おまけに、かれこれ20年近く生きている。
 この奇妙奇天烈なイキモノの姿を、政吉は知らない。そもそも、本来の猫の姿はおろか、人間の姿形もわからない。生まれた時から・・・

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サーシャとのこと

17/07/09 コメント:0件 忍川さとし

 俺は疲れていた。
 仕事とか人間関係とか、つまり人生とかに全部。
 気分転換に足の向いた屋上。鉄柵の向こう側に女が立っているのも、また不運との出会い。
 女は俺の気配に気付くと一言。
「止めないでっっ!!」
 こんな時走り込んでしまうのが、俺をいつも不運にさせてきた理由。
 女が跳ぶのと、俺が柵を乗り越えて、その肩に手をかけたのが同時だった。俺は空中で女を抱き・・・

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手から無限に猫が出る

17/07/08 コメント:0件 どようび

 都から離れた孤島、僻遠の地。利便性に欠ける辺鄙な地でしたが小さな村がそこに一つ静かに栄えていました。無気力といいますか、倦怠感に浮身してしまうような、兎にも角にも静謐さを体現した静穏さがそこには蔓延していました。
 しかし、一軒、目立って喧噪の絶えない民家がありました。群衆は何か見世物を取り巻くように円を成しており、周囲にもたくさんの人が用も無く集っているのでした。そこでは子供から老人まで・・・

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ポリス・キャット

17/07/07 コメント:0件 カジ・りん吾

   
 にゃあにゃあ
 タマがヒラヒラと飛んできた蝶に、ちょっかいを出し始めた。
「ほら、あっち行け。捜査の邪魔だ」
 訓練士の西島がタマの前に出て蝶を追い払う。
「先輩。本当に大丈夫なんですかね? ネコで」
 同行していた若い刑事・小倉は、目の前で蝶を追って小躍りしているネコと西島を見て、ため息を漏らした。
「しょうがないだろ。生き物平等協会のマダムた・・・

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生きるということ

17/07/06 コメント:0件 みつな

暗い夜道、雨の中傘をささずに歩く私。苦しいよ。心の声が頬を伝い溢れ出す。
いじめという16歳の少女には背負いきれない重りを引きずりながら目的の場所へと足を運ぶ。
線路の真ん中で1人ポツンと空を見上げる。月明かりひとつない黒い空。そっと呟く、「私は何のために生まれてきたの。」人通りのない踏切で私は誰にも気付かれず死んでいく。楽になりたい、ただそれだけのために。
俯いた私の目・・・

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ミテル

17/07/06 コメント:0件 れもん



先日、マーブルが人語を喋った。
マーブルというのは私が飼っている猫なのだけど、一言話したのだ。


「ミテル」


猫は生涯で1度だけ人語を話すという。大切なことを伝えるためにだそうだ。


「そんなに私のことが好きなのかしらん」


会社の喫煙室で私は同僚のエツコに話しかけた。

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お魚くわえたどら猫を追いかけて

17/07/06 コメント:0件 秋 ひのこ

 とある日曜の夕方。ハナエは台所で機嫌が悪かった。
 今朝は町内会の草刈なのに、夫も姑も知らん顔。仕方がないので自分が出向いたら、木に上って下りられなくなった野良猫を何故か助ける羽目に。おかげでパートに遅刻するわ、参加賞のビールはもらい損ねるわで朝から踏んだり蹴ったりだ。
 仕事中は、若い主婦からカゴの詰め方を細かく指示され、そのおかげで後ろの老人からレジ打ちが遅いと怒鳴られた。休憩時・・・

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弟子の恋

17/07/04 コメント:1件 蔵内一生

玄関を開ける音と共に、
「御主人様のお帰りだぞー。」
大きな声を出して、我が弟子の高槻渉が帰宅すると俺を抱きあげ、食事のコーナーへ…
『早くしろよー。俺、腹減って減って…』
と催促しても、弟子の耳には『ウニャー』としか聞こえない。
「お前、明日大人しくしててくれよ?俺の好きな人が飼い猫を連れてここに遊びに来るからな!」
いつもとは、違う笑い声が、逆に怖い…

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僕達が消える街の空は、泣いてくれるだろうか。

17/07/04 コメント:3件 のあみっと二等兵

二階の出窓から外を見ている僕達に、少し離れて宙に伸びた電線にとまった一羽のカラスが言った。
『お二人さん、恋人同士かい?』
その言葉に一瞬間を置いてから、僕達は複雑な思いで語ったんだ。
■■■
僕と妹は、捨てられそうになっているところを拾われた。まだまだ母親の温もりが恋しい時期だった。
妹は小春。僕は小夏と名付けられた。安心して眠れ、食事が出てきて、更に清潔なトイレが・・・

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神様は意外と優しい

17/07/04 コメント:0件 かわ珠

 どうして、私たちの流れる時間は違うのだろう。
 猫である彼は私よりもずっと後に生まれたのに、私よりもずっと早くに死んでしまう。私は就職が決まったばかりでまだまだこれからいろんなことが待っているというのに、私が小学生の頃に生まれた彼は今、私の膝の上に乗って、目を閉じている。呼吸はひどくゆっくりで、弱々しい。その頭を撫でても、背中を撫でても、何の反応も示さない。「ふじまる」と、名前を呼んでみて・・・

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ご近所のにゃんこたち

17/07/03 コメント:0件 蒼樹里緒

 我が家の玄関先に時折ふらっとやってくる、Yさん宅の飼い猫・りーちゃん。とにかく人懐っこい。
 体はキジトラ模様。ぱっちりとした、まあるい眼。白いハイソックスを履いているかのようなすんなりと伸びた四本足で、ほんの少しお尻を振って歩く姿が、とても愛らしい。加えて「み」と「に」の中間音の思いきり甘えた声で鳴きながら、「遊んでー」とばかりに纏わり付く可愛さがたまらない。
 ところが、彼女は可・・・

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猫のいる部屋

17/07/02 コメント:0件 浜川 流木

 僕が飼っている猫に、特に名前はない。
 文学的な言い方になったけれど、これは、文学とは程遠い所にある話である。そもそも文学とは一体何なのか、僕には良くわからない。
 僕に最近起こり始めた些細な現象は、もしかしたら、物語になるのではないかと思って、ここに書いておこうと思う。

 僕の名字は、猫である。
 これは、驚かれるかもしれないけれど、本当に、猫という名字なのだ。・・・

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9000年前のラブコール

17/07/01 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 青目は、朝からずっと、日当たりのいい岩の上で、ねそべっていた。ねがえり以外、ほとんど動くことがなかったかれだが、さすがに空腹だけはどうしょうもなく、むっくりもたげたあたまを左右にめぐらした。
「だれか、おれの食べるものをとってきてくれないか」
 しかしその声も、やはりかれ同様、枝の上で、また草むらで、朝からねころんでいる周囲の連中の耳にははいらなかった。いや、届いてはいても、かれらも・・・

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ニャグちゃん

17/07/01 コメント:0件 oto

 青い空が気持ちいい冬晴れの朝。
 凛とした空気が心を刺します。

 2月3日。
 日付が変わってすぐの0時10分。
 寝ていた猫ベットから、僕たちのいる部屋までヨロヨロと這い出してきて

 そんな身体で、お別れの挨拶をしに来たの?
 最後まで、本当におりこうさんだね。
 
 ニャグちゃんは、最後の息を、ゆっくり大きく吐き出したあと

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畜人談

17/06/29 コメント:1件 笹山ナオ

 私は暮らしているところから程近い公園に来ていた。週に一回、その公園の隅に佇む東洋風の質素な四阿の腰掛に座って、色々なことを考えたり、考えなかったりするのが私の習慣だった。私は生まれつき脚が悪かった。四阿のすぐ西側には広い湖があり、東側に据えてある腰掛に座っていると、湖の上から渡ってくる心地よい涼風が秋の匂いを運んでくる。夏の間は、身を焦がす日照りから四阿の陰に逃げ込んで、凪いだ湖面を眺望するのが・・・

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ね こ

17/06/28 コメント:0件 ツチフル

 マーサは黒猫。私の言うことをちっともきかない、悪い猫。
 カリーは白猫。私の言うことをちゃんと聞く、素直で優しい聡い猫。
 ソソソは三毛猫。いつも見るたび眠ってる、のんきで無精な怠け猫。
 私はマーサが一番好き。マーサは私のことが嫌い。
「ままならないものね」
 カリーが私の足に身体をすりよせてくる。
 ソソソはソファで大あくび。
「みんな自分勝手なんだ・・・

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猫と青年

17/06/28 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

私は小さな古ぼけた家で猫を撫でながら、近所の子供達の声を聞きながら呟く。
ああ、夏が来たな・・・。
蝉が鳴き、最近朝は、ラジオ体操が聞こえる事が増えた。
私は、なるべく人に会わなくなってから何年が経つであろうか、父が亡くなり、遺産で、働かなくても生活できるようになった今、私は、白猫のニャン吉の背中を撫でるだけの人生となった。
私には好きな人だったり、愛する人だったりがいたが・・・

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最強の猫ニャン吉

17/06/28 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

ある所に飼いならされた白猫がいた。
白猫の飼い主である青年、ジャジャールアは、その猫にニャン吉という名をつけた。
ニャン吉は、すくすく育ったが、その間にジャジャールアは、ニャン吉に不死草とアルティメットプロテインと呼ばれる特殊なサプリメントを飲ませた。
すると、ニャン吉は、人並みの知能と、マンモスを凌駕する肉体と不老不死を手にした。

そして、時は流れること100年後・・・

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猫の手、貸します!

17/06/27 コメント:0件 深海映

 チョコと言うのはチョコレートの略だというのを最近知った。チョコレートとは吾輩の名づけ親であるミヨ子という中年女が休日になると決まって貪り食うあの茶色い物体のことで、人間が食べる分には問題ないが我々猫にとって大変危険な毒物なのだそうだ。
 申し遅れたが、吾輩の名はその危険な毒物と同じチョコ。猫である。そして「猫の手事務所」という事業を手掛ける社長でもある。

 ミヨ子は夫と子供を・・・

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test

17/06/26 コメント:1件 test2

test・・・

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ノラ猫フータ

17/06/25 コメント:0件 seika

「ああ、あの頃の我が家に帰りたい・・・まだ普通の家庭だったあの頃の我が家に・・・。」
小岩の安アパート「五気筒荘」で目が覚める。ここは私にとってまったく異郷だった・・・。だから朝、目が覚めてこの安アパートのベランダから青空を仰ぎ見てそう祈る。
「まだ普通の家庭だったあの頃の我が家に帰りたい・・・。」
ふと視線を感じる。隣の隣の部屋にいる大柄で痩せた、顔色の悪い中年男性だ。彼の肩に・・・

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Where are you going?

17/06/21 コメント:0件 むろいち

 猫は死ぬ間際に姿を消すという。
 そんなことは常套句だからになってしまって面白みもない。
 真実かどうかも疑わしい。
 ただ正太郎が飼っていた雄猫のアオは姿を消した。
 アオは正太郎が五歳の時にやって来た。母親が友人から貰い受けて来たのだ。
 全身は白い毛に覆われており、目も青いわけではない。口元だけに「青のり」が張り付いたような小さな点があり、『のり』ではあんまり・・・

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異文化ダイス

17/06/21 コメント:0件 貞治参

 主以外の人間の世話を三日間任されることになった。
 その男の部屋は暗い。カーテンは閉め切っている。部屋の真ん中にちゃぶ台があるほかには、ほとんどなにもない。台の上にはパソコンがあり、その前に座った男が青白い光を浴びながらずっとカタカタしている。
 主がぷー太郎と呼んでいたその男の身体は、ナナフシのようだった。飯は食べているのだろうか。こけた頬には無精ひげが生え、目玉は血走っている。<・・・

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はるくんとふしぎなあな

17/06/21 コメント:2件 こぐまじゅんこ

 はるくんは、七か月の赤ちゃんです。ねがえりをうてるようになって、いつも、ころころころがっています。
 きょうも、ころがっていたはるくんは、台所にたっているおかあさんにぶつかりました。
 そのひょうしに、おかあさんは、手にもっていたさつまいもを、うっかりおとしてしまいました。
 さつまいもは、ころころころころ。
 はるくんも、ころころころころ。
 さつまいもとはるくん・・・

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パーカーフード

17/06/20 コメント:0件 浅月庵

 私の性格上、人に甘えることが困難だ。
 それは、初めてできた彼氏にだって同じ。
「楓ってさ、なかなか心開いてくれないよね」
 夏樹が、ただでさえ細い目を漢字の“一”みたいにして笑う。
 私はその表情がお気に入りなんだけど、面と向かって伝えたことはない。
「別にそんなつもりないけど」
「はは、そういう態度のこと言ってるんだよ」

 母は私が物心つく前・・・

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吾輩は吾輩とか言わぬ猫様である

17/06/20 コメント:0件 八王子

 吾輩は猫である。
 どこかの人間がそう言ったらしい。

 朝陽が昇る頃、僕は目覚める。
 体を休めていた建物の下で、うーんと伸びをすると、玉砂利の石を踏む音が近づいてくる。
「おはよう。猫さん」
 神主と呼ばれる人間だ。
 こいつは毎日竹ぼうきを持って掃除をしているが、正直うるさくて仕方ない。
 でも、雨風を凌げる寝床を提供してくれる。
「に・・・

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三匹の猫

17/06/20 コメント:1件 笹峰霧子

猫は一度目を付けると執念深くいじめを繰り返すものだ。あの赤猫の襲撃はすごかった。
毎日やってきて猫の尻を噛むのでうちのキジ猫の臀部は抉られてどろどろになっていた。

一日中憎い赤猫を見張っているわけにはいかず、又うちの猫も家に閉じこもってはいないので外に出て行く度にやられて帰ってきた。キジ猫はそんな状態のまま居なくなった。
猫は人目に付かない場所で死ぬと聞いている。よって代・・・

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猫を飼いたい

17/06/20 コメント:0件 家永真早

 猫を飼いたい。
「ダメだよ」
 お母さんは必ず言う。
「猫は引っ掻くから壁がボロボロになるし、旅行にも行けないよ。出掛ける時だって長い時間一匹にしておいたら可哀想だし、ワクチンだとか病気だとかお金もかかるよ。あんたが大きくなるまで生きるんだから、家を出て行く時にはどうすんの? どうせ途中でお世話しなくなるよ。ちゃん最後まで責任持てるの?」
「でも隣ん家は犬飼ってるけど旅行・・・

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あなたに会えて良かった

17/06/19 コメント:0件 村崎紫

重苦しい雲が降りてくる。じっとりとした空気を感じながら暗い路地裏をすり抜けるように駆けていく。
これがあの人への最短ルート。
速く、早く。はやく行かなきゃ。

ついさっき、友達から聞いたのは、大好きなあの人の話。
いつも来るあの公園で倒れた。
それを聞いて頭で考えるより先に、脚が動いていた。
最近は体が弱っていると言うのをあの人自身からも話を聞いていた。前・・・

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救い猫

17/06/19 コメント:0件 浅月庵

 おばあちゃんがよく言ってたっけ。
「体が資本なんだから、健康には気を使いなさいよ」って。
 私はその言葉と今、真逆の道を辿っている。 

 地下鉄で自宅近くの駅に降りると、私はゾンビのような足取りで夜の闇に溶け込んだ。
 終電で帰ることができただけ、運が良いと思わなきゃ。
 それに明日はお休みだ。一日中ごろごろして、疲労回復といこうじゃないか。

・・・

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宇宙人を捕獲せり

17/06/19 コメント:0件 家永真早

「昨日、宇宙人を捕獲した」
 未確認生命体UMA研究同好会会長、佑真先輩の一言で、部室内は俄かにざわめいた。と言っても、会員は佑真先輩と広田の二人しかいないが。
「今はどこに……?」
 唾を飲み込んでから、広田は問う。UMAなんていねーよ、と否定され続けた苦悩がやっと報われるのだと思った。
「家で母が見ている」
「ええっ!?」
「……そうするしかなかった。母は、・・・

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猫アプリ

17/06/19 コメント:0件 空 佳吹

 タツヤは、猫が大好きだった。
 それは、子供の頃から、自宅にミーコという猫がいたからだろう。
 だから彼は、ミーコの世話をよくしていた。

 しかし彼はいつも困っていた。
 当然だが、猫は「ニャー」ぐらいしか言わない……いや鳴かない。
 いま、ミーコが何を言ったのか?
 いま、ミーコが何を欲しがっているのか?
 まったく分からなかったからだ。

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七つの名を持つオス猫

17/06/19 コメント:0件 風宮 雅俊

「にゃー」
 静かに、窓が開いた。
「モモ、お帰り。どこに行っていたんだい、寂しかったぞ」
 部屋の主が両手を出して抱き上げようとするのをすり抜けると、部屋の真ん中にある小さいテーブルの下で丸くなった。
「モモ、お腹空いたでしょ。ご飯用意するからね」
 部屋の主は冷蔵庫からキャットフードを取り出すと小皿に盛り付け目の前に置いた。
「にゃー」 お腹が空いている訳で・・・

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三毛猫

17/06/19 コメント:0件 瀧上ルーシー

 今朝もいつものようにタマの頭を撫でようとチャレンジする。短い首を傾けて避けると、タマはわたしの手を引っ掻いた。手の甲から血が滲んでくる。
 タマは雑種だがメス猫で美形だ。三毛猫で鼻の下に髭のような黒い斑がある。太っていて手足も短いわりに顔は小さくパーツが整っているので総合的には美形という印象をわたしは抱くのだ。彼女は椅子から飛び降りると、窓際にあるもっと寝心地が良い毛布が敷いてあるキャット・・・

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猫はなんでも知っている

17/06/19 コメント:0件 miccho

 僕はなんでも知っている。

 シンジくんが生まれた日、お母さんになったばかりのサチエさんは、同じくお父さんになったばかりのヒロシさんをひどくなじった。どうして出産の立会いに間に合わなかったの、と。
 人の良いヒロシさんは「やあ、なんとも。すまない」と終始申し訳無さそうな顔をしていた。

 僕は知っている。ヒロシさんは本当は心配で心配で、その前の晩、一睡もできな・・・

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猫の嫁入り

17/06/19 コメント:0件 林一

 家柄の良い素敵な家に嫁いだ猫の娘であったが、一ヶ月もしないうちに、自分の実家へと帰ってきてしまった。そんな娘に母猫は、心配そうに話しかける。
「あんた、どうしてうちに帰ってきたんだい? もしかして、向こうの家族に意地悪でもされたの?」
「いいえ。旦那さんのお父様もお母様も、本当に私に良くしてくれたわ。ただ、一つだけ許せないことがあって……あの二人、すごいラブラブなのよ」
「年を・・・

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クロの親

17/06/19 コメント:0件 林一

 黒猫が僕のことを見ている。もしかして、君はクロ? 

 三年前、公園の片隅に、段ボールに入った捨て猫がいた。僕はその真っ黒な捨て猫に、クロと名付けた。
 僕が当時住んでいたアパートは、ペットが禁止だったからクロを飼ってはあげられなかった。だけどクロが心配だった僕は、給食の牛乳を飲まずに取って置いて、学校帰りにクロに飲ませてあげていた。
 そんな生活が一か月くらい続いたある・・・

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