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  2. 第137回 時空モノガタリ文学賞 【 海 】

第137回 時空モノガタリ文学賞 【 海 】

今回のテーマは【海】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/07/31

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/06/05〜2017/07/03
投稿数 97 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評 「海」は、意外に書きにくい題材だったのでしょう。内容のバリエーションがやや少なかった印象です。一番多かったのは“死”をテーマにした作品でした。中でも入水を扱ったものが多かったですね。残念ながら、それらの作品の多くは。ありがちな内容になってしまった気がします。一方、変わったアプローチの作品も、幻想的にすぎたり、あるいは全体としてのまとまりに欠ける印象の作品が多かったですね。王道の作品では平凡になり、変わったアプローチにすると説得力が薄れるという、難しいコンテストで起こりがちな現象が、今回も起こってしまったのではないかと思います。そんな中、最終選考以上の作品は“死”を扱ったものが多いながらも、他とは一味違った良さがあり、技術の高さを感じさせてくれたり、実直なリアリティが伝わってくる作品達で、読み応えがありました。 最終選考の『清く淀んだ魂の海』は、今回多かった入水を扱った作品ですね。冒頭の水中でのシーンが、説明的ではなしに感覚的に伝わってくるという点で印象に残った作品です。『MY LOVE LIFE』は、病気の「僕」の内面は直接的には語られませんが、海中の象の写真を通じ、ザラザラとした葛藤が伝わってきました。他にない個性的な内容と、見る者の心によって外界の事象が変化するという観察眼も新鮮でした。『アキラ』は、テーマ性は薄いところはあるものの、淡々と語られるアキラの実直な人柄と生き方に魅了され、読後感に穏やかな暖かい感覚が残りました。『舟渡り』は隙のない構成に技術の高さを感じます。湿り気を帯びた空気や、作家のペースに引きずり込まれていく描写に緊張感があり、海の不気味な深さを感じずにはいられない作品でした。『海からの奇跡』は、家族を失った人々への優しい眼差しが魅力的で、重い現実を題材としながらも、悲しみの中にサラリとしたぬくもりが読後に残りました。第三者視点で、適度な距離感から書かれていたのが良かったのかもしれません。今回、少し厳しい総評となってしまったかもしれませんが、当然こちらの評価は絶対的なものではなく、選考外の作品にも良い作品はあると思います。クオリティがある程度高くても、選者の考えや好みと合わないということで外れてしまうこともありますし、逆に、好みではあっても、完成度が低すぎるという理由で外させていただくこともあります。ですから、あまり選考の結果に一喜一憂しないで、書き続けることのペースーカーとして時空モノガタリをうまく活用して、良い作品を生み出していただきたいと思います。次回もぜひ頑張ってください。

入賞した作品

9

あした海になる

17/06/27 コメント:6件 待井小雨

 とぷりと水の音がした。
 吸い寄せられるようにして、私は音の方に首を向ける。閉めきられた障子の向こう、縁側の先は池のある庭だ。
「どうしたの」
 母が怪訝な顔で振り返る。
「いま――潮の香りが」
 ……したような気がして。
「するわけないでしょう、そんなの。ここから海まで何時間かかると思ってるの」
 そんなことより、と母は言う。
「ちゃんと、おば・・・

2

フグ

17/06/25 コメント:4件 田中あらら

 リアス式海岸の小さな町は、複雑に入り組んだ海岸線のわずかな平地と小さな谷あいに家々がへばりついていた。水田はほとんど見られず、畑は山に向かって石垣で段々に上がっていき、柑橘類の栽培が盛んだった。みかん畑から見下ろす海は、穏やかで美しかった。

 葉子の家は、目の前が海だった。正確にいうと、海と家は船着場と堤防に阻まれていたが、海までの距離は徒歩10秒だった。船着場は小さな子供が一人で・・・

3

ガソリンスタンド

17/06/14 コメント:4件 Fujiki

 ぼくが働くガソリンスタンドはちょっと変わった場所にある。海の上だ。面積十平方メートル程度の小島で、本島から離れた沖合いに浮かんでいる。もちろん自動車は一台もない。車がないのにガソリンスタンドだけあるってのも変な話だけど、ここは最初から離れ小島だったわけではない。ずっと昔に地殻変動が起こってガソリンスタンドだけ本島からちぎれてしまったんだって。もう何年も前に死んだチーフが教えてくれたことだ。ぼくが・・・

3

メッセージ・イン・ア・ボトル

17/06/06 コメント:4件 ちりぬるを

 はじめに僕の子供の頃の話をしようと思います。そう話し始めると生徒達は真剣な表情で僕を見上げました。普段の授業中もこのくらい集中してくれるとありがたいんですけど、僕が皮肉を言うと、早く教えて下さい、なんて言い出す始末です。
 僕が生まれ育ったのは家も学校も遊び場も、生活の全てが海の近くの小さな島でした。幼い頃は本当に世界はこんな風に潮の香りしかしなくて、海の無い場所なんて存在しないものだと思・・・

最終選考作品

1

清く淀んだ魂の海

17/07/03 コメント:1件 蒼樹里緒

 痣だらけの女の腕が、まだ幼かった僕を抱えて海へと導いていく。
 ばしゃばしゃと女の下で波打つ水は、徐々に上がってきて胸の辺りまで浸す。
「おかあさん、どこにいくの? およぐの?」
 純粋に訊いた僕に、女はただ悲しげに微笑むだけで。
 そのまま、二人で沈んでいった。暗い水の中へと。
 頭まで冷たい水に浸かる前に、条件反射で息を吸い込んだけれど。足に錘をつけていた女は、・・・

2

MY LOVE LIFE

17/06/21 コメント:1件 キュー

『今日は遅くなります。夕飯は冷蔵庫の中。お父さんもどうせまた遅いでしょうから、先にレンジで温めて食べること。薬も飲み忘れないようにね。戸締りをして、夜更かししないで寝なさい。』

 正午すぎに起き出し、テーブルの上のメモに目を走らせたあと、誰もいないキッチンで僕は新聞をみていた。いつもと同じように。
 テレビ番組の欄からめくっていって何面目かで目が留まる。下半分のカラー写真。

2

アキラ

17/06/09 コメント:2件 田中あらら

 一枚の集合写真がある。30人余りの男女がカメラを見て笑っている。背景には白い砂が写っていて、どこのビーチかわかる人にはわかる。もちろん私にもわかる。だが、そこに私はいない。

 アキラは東京に住んでいた。古い都営アパートを借りていて、60歳に届こうという年齢で一人暮らしだった。両親の顔を知らず、唯一の親族だった祖母が他界してからは天涯孤独の身の上だったが、友達は多かった。

5

舟渡り

17/06/09 コメント:4件 クナリ

 年号が昭和になってから少々経った頃の、海沿いの村のことである。
 そのさびれた漁村の片隅に。洋館が建っていた。
 四十がらみの男が一人、白髪の館主に迎えられ、夜中に二人でショットグラスをつまんでいた。
「ウォッカだ。色こそ透明だが、強い」
「恐縮です。ところで先生、なぜ今日は自分めを招いてくださったのですか」
 二人は、物書きと編集者である。館主は、歳も素性も不明な・・・

3

海からの奇跡

17/06/05 コメント:1件 文月めぐ

 私の一日は、窓を開けて、さわやかな海の香りを体一杯に満たすことから始まる。
 社会人一年目にして鬱病になってしまった私の日課だ。こうして波の音を聞きながら、一日の英気を養う。そして朝食をとると、海へ出ていく。
 会社が海のある四国の町で良かった。生まれも育ちも長野である私は、海に対するなじみはない。だけど、病気になってから気づいたんだ。海の香りや波の音はとても心地よい。
 そん・・・

投稿済みの記事一覧

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夢の見方

17/07/03 コメント:0件 misamisa

 降り注ぐ夏の陽射しを反射して、眩しく光る海。鼻腔をくすぐる潮の香り。ずっと遠くからここまで旅をしてきた波が、海岸に打ち寄せては消えて行く。
 それはとても不思議な景色だった。どこか知らない所のような、現実と憧れの狭間のような風景だった。
「なんで私は魔法が使えないんだろう」
 でもここは、やっぱり理屈で説明出来ることしか起こらない、どこまでも平凡でつまらない世界。
「突然・・・

1

海女と真珠の街にて

17/07/03 コメント:2件 冬垣ひなた

 三重県の先志摩(さきしま)半島。北は真珠の養殖で有名な英虞(あご)湾を囲み、南に面する太平洋の恵みは素晴らしく、海女たちがこぞって潜(かず)く豊かな漁場であった。


 1963年、夏。
 ウエットスーツに身を包む女たちが、磯メガネを付け、光が波打つ水面から、ほぼ垂直に海底へと降下する。海の青に映える赤や緑の海藻が、巡る四季の移ろいを告げ、さまざまな魚群が視界をすり抜けて・・・

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流れ星☆

17/07/03 コメント:0件 泡沫恋歌

ドキドキするような恋がしたかった。
海にきたら、きっとそんな恋に出会える気がしてた。

あたし、早川留美は高三の受験生。
高校生最後の夏休み、親友の未可子に誘われて一泊の海水浴に参加した。
今年の春に彼氏と別れてからは、ひたすら受験勉強に打ち込んできたけれど……たまに息抜きがしたくなった。
大学に入ったら、もう何も目標がないんだもの。

海にきたら、・・・

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海で死んだ弟のために

17/07/03 コメント:0件 むねすけ

 弟は海で死んだと、姉の遼子は思っている。母も父も、当人のスグルも目を伏せてしまっているけど。死んだ人間をもう一度甦らせるには、死んだ地点に落として来た魂を拾う必要がある。
 遼子がトライアスロンを始めたのは、弟が海で死んでしまってすぐのこと。あの日から、自分一人、家族の外へ追いだされたから。遼子はひとつの決心を、腕の日焼けナンバーと一緒に飲み下す。大会で十位以内に入れる選手になったら、私は・・・

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三ツ石にて

17/07/03 コメント:0件 そらの珊瑚

「太平洋の荒い波が、かつてひとつであった石さえも、みっつに分断させたのよ」
 高校生になり小説家志望になったミイナはとかく戯言ばかりを云いたがったが、ここでならその言葉が信憑性をもって語りかけてくる。
 干潮時にだけ現れる海に出来た通路を渡りながら、僕らは三ツ石と呼ばれている大きな三つの岩が並んでいるところまで歩くことにした。

 海に溶けた塩は、なめればしょっぱいし、うっ・・・

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Walk in the sea

17/07/03 コメント:0件 浅野

 空が、好きだった。
 視界に広がるのは、どこまでも凪いだあお。時折、目映い白光があおの上に模様を描いていた。白群の中に膝を立てて座り込み、ただぼんやりとする。柔らかな冷たさを孕んだ風が、くすぐるように私の髪に触れてはすぐに離れていく。遠くからは微かに波音が聞こえている。まるで、この世界に私ひとり。そんな錯覚を覚えるような静謐さがこの場を支配していた。
「お嬢さん」
 不思議な声・・・

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エンは異なもの

17/07/03 コメント:0件 奈尚

「ねえ、手伝ってくれない」
 夏の陽射しがまぶしい無人駅で、麦わら帽子の女性にそう声をかけられた。足元には大きな荷物。見かけない顔だ。
「いいですよ」
 ちょうど予定もなく、暇していたところだった。退屈しのぎに綺麗なお姉さんと散歩。悪くない。二つ返事で引き受けた。

「引っ越してきたんですか」
 ずっしりと重い旅行鞄を背負う。
「ええ。昔、ここに住んでいた・・・

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ハンデルとヘンデル

17/07/03 コメント:0件 沓屋南実

 イギリス・ハノーファー王ジョージゲオルグ2世のための豪奢な帆船は、順風に守られるように海路を進んでいく。船のデッキの長椅子に座る私は、ぼんやりと海を眺めていた。夏空の向こうの大陸は、まだずっと先らしい。
 イギリスにいるときは、ジョージ・フレデリック・ハンデルと称している。海の上に国境線はない。どこかでゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルに戻るのだろうけど、どこだろう? 愚にもつかぬことを孫を・・・

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海へ還さない骨

17/07/03 コメント:0件 そらの珊瑚

 動物の骨を原料とした膠(にかわ)を小鍋に入れ、電源を入れた小さな電熱器の上に置く。弱火で煮溶かしてゆくと、独特の匂いがアトリエに満ちる。決していい匂いではない。食欲をそそる匂いでもない。そう、どちらかといえば、眉をひそめるタイプの独特の刺激臭だ。骨となった動物、おそらく牛か豚といったところだろうが、一度死んで蘇る、そんな風にもとれるこの匂いが私は嫌いではない。
 陶器製の白いすり鉢の中で・・・

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貝がはばたくとき

17/07/03 コメント:0件 宮下 倖

「今日もいる」
 私はおもわず声に出した。堤防の下には砂浜が広がっている。白い砂の中にぽつんとピンク色の背中が見え、私は少し逡巡したあと砂浜へ下りていった。
 私の町は海辺にあり、高校への通学路にも砂浜を臨む長い堤防がある。やや閉鎖的だが穏やかでいい町だ。
「こんにちは」
 砂が音と気配を吸収してしまうのだろう。浜にうずくまる小さな背中は私の声にびくりと反応した。ひとつに結・・・

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渚のスケッチ

17/07/03 コメント:0件 maimo

岩井と出会ったのは中学二年の新学期で、親のすすめで入部してしまった美術部を辞めようと考えている時期だった。今日こそはと退部届を手に職員室の扉を開けたら、その青年が目の前にいて、ちょうど美術部の顧問へ入部届を提出しているところだった。
それは、我が中学校の美術部に、初の男子部員が誕生した歴史的な瞬間だった。その場で小躍りするほど喜んでいる先生を見て、私はその紙を掌の中に小さく押し込めた。

1

私達のブーム

17/07/03 コメント:0件 入江弥彦

 世代ごとに色々なブームというのがあると思う。
 昔は一メートル以上ある靴下が流行ったって聞いたし、日本語を崩して使うのも可愛いとされていたらしい。どうやってそんな靴下をはいたのかもわからなければ、崩した日本語を使う意味も分からない。
 放課後は先生に呼ばれて少し遅くなったけれど、いつものように防波堤まで歩いてきた。断れない性分なので、友達との待ち合わせに遅れてしまうとはわかっていても・・・

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海辺一景、声多数

17/07/02 コメント:0件 むねすけ

 浜に散在するものたちの意識は、夏を終えて多数過ぎる標的を失い、珍しく現れた一個体に集中する。
 麦わら帽子がよく似合う女だ。ヤドカリは宿替えに相応しい日を待ちながら、片方の目で女を視認した。
 かがんで何かを拾い集めている、もう冷たいよ、サンダル濡らすと乾かないし、もう夕方がすぐだ。拾われて耳に当ててもらえないかと口角を控えめに上げながら巻貝は女の様子をうかがっていた。
 にっ・・・

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海に連れて行ってください。

17/07/03 コメント:0件 小高まあな

「海に行きたいんですけど!」
 妙にはきはきと声をかけてきたのは、小学校一年生ぐらいの男の子だった。
 駅前のファーストフード店。百円の飲み物だけで粘っていたら、変な子供に声をかけられた。平日なのに学校行かなくていいのか。背中に背負っているのはランドセルじゃなくて、大きなリュックだけど。ま、高校の制服姿の私も、人のこと言えないけど。
「行き方わからないんです。連れて行ってください・・・

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海底の木魚、地上に達す

17/07/02 コメント:0件 mokugyo

古代中国の故事に「海底の木魚、地上に達す」というものがある。この故事にまつわる物語だ。

昔、昔の話。海底に木魚がいた。木魚は、体が木でできた魚だった為、海底の魚たちから珍しい目で見られていた。

木魚の父は魚、母は木であった。海底まで伸びる大木であった母に、父である魚は恋をした。やがて木と魚の子供である木魚が生まれた。しかし、木魚が生まれて程なくして、母である大木は大波に・・・

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海に住むもの

17/07/02 コメント:0件 みや

“海の生き物”

担任の教師が黒板にチョークで丁寧に書いた。
「今日は海の生き物の勉強です。皆んなはどんな海の生き物を知っていますか?」
小学三年生の生徒たちは元気良く手を上げて、魚!亀!サメ!イルカ!クジラ!とそれぞれ答えた。
「皆んな良く知ってますね。皆んな正解です。小さな魚から大きなクジラまで、広い海には沢山のさまざまな生き物がいます」

担任の教師・・・

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失恋

17/07/02 コメント:0件 

 僕の上着の胸にあるポケットの上には、カウボーイの刺繍が入っている。
 風が吹いているみたいにふわふわと揺れる。
 それで、僕の部屋が海になったのだと気が付いたのだ。空気の代わりに、恐らく海水が満ちている。風が入ってくるみたいに、上着がゆらゆらと揺れている。多分、流れが全くないという訳でもないらしい。
 だから自然、僕の体は軽く、その中が水の中だという事に気が付くまでに多少時間が・・・

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海色

17/07/02 コメント:0件 ユウ@猫

いつも世界は青かった、かなしい色だった

身体に水がまとわりついてるようだった、動きづらくて息苦しかった

しょっぱくて、しょっぱくて、たまらない


毎日変わらない今日 暗い海色の一日
同じような青の空には太陽が輝いて、本物の海には光が反射してキラキラしている

他の人と同じ場所にいるのに何かを隔ててる気分


毎日笑・・・

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マザー・コンプレックス

17/07/02 コメント:0件 要崎紫月

日暮れの街、一人の若い女性が喫茶店の前で泣いていた。その先に男性の後ろ姿。
「待って! 私を置いていかないで!」
 彼女は叫ぶ。しかし、男性は振り向く素振りすら見せない。振られてしまったのだな、僕は思った。
「良かったら食事に行きませんか? ご馳走しますよ」
 考えるよりも先に、立ち尽くす彼女に声を掛けた。驚いた表情で僕の顔を見上げると、一歩後ずさった。涙が一筋零れた・・・

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海の底のお節介焼き

17/07/02 コメント:0件 本宮晃樹

「これはこれは」核融合炉技術者の物腰は柔らかかった。「ようこそこんな辺鄙なところにおいでくださいました」
 お茶が出た。日本から定期的に取り寄せているという。驚くべきことにここマリアナ海溝の底、水深一万メートル付近にさえ、物流サービスがいき届いているのだ(運賃・保険料込条件、CFS-DOOR契約で海上運賃はざっと二百三十万円なり。お茶っ葉一袋がだよ……)。
「一人よこしてくれるとは聞い・・・

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クラゲ

17/07/01 コメント:0件 デヴォン黒桃


 嗚呼、僕は何をそんなに急かされて生きてるのだろう。

 海はいい……
 ただ何も考えずに、こうやって揺蕩うだけで心地よい。
 体の力を全て抜いて、不規則な波に揺られるがままに……まるで揺り籠のようだ。
 波がチャプチャプと心地良い響きを奏で、母親の羊水に浮かんでいるようだ。
 水面がキラキラと太陽を散りばめて僕をあやす。

 地上では、生き・・・

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写真

17/07/01 コメント:0件 oto

 堤防の先端に座って、懐かしい海を眺めていた。
 子どもの頃、チッコと呼んでいた堤防は、最近、築港という意味だったことを知った。
 母の実家が近くにあって、夏休みになるとこの海に来ていた。

 何故、最後の場所にここを選んだのかは、分からない。
 唯一、楽しい思い出があるこの場所に来れば、何かが変わると思ったのかもしれない。確かに懐かしい場所ではあったが、ただそれだけ・・・

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Scene of Blue

17/07/01 コメント:0件 TATA

 海は、久しぶりだった。
 天気は良いが、シーズンにはまだ早く、平日でもある。絶好の散歩日和にもかかわらず、人はまばらだ。
 道路から階段を下り、砂浜へ足を踏み入れる。この柔らかい感触はいつ以来だろう。記憶を手繰ることに気を取られていると、ボードを抱えたサーファーがしずくをたらしながらやって来た。私は慌てて笑みを引っ込めた。
 視線を上げると、行く手にぽつんとひとつパラソルがひら・・・

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ゆうちゃんの海

17/07/01 コメント:0件 村崎紫

7月に入って少しずつ汗ばんでくる頃。『うみ』のお歌を幼稚園で習ったゆうちゃんは、ふと、昨年の夏に初めて行った海を思い出しました。少し冷たくて、お口に入るとしょっぱくて、青くきらきらしている海。
思い出してくると見たくなって、そして素敵なことを思いつきました。
「ママー、うみ、つくりたい!」
「海?」
空になった洗濯カゴを抱えてママはゆうちゃんを見ました。ゆうちゃんのママは魔・・・

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イルカ社会の憂鬱

17/07/01 コメント:0件 れもん



 「さてどうしたものか」


 真っ青な海のど真ん中。キヨシはぷわぷわと浮き輪にはまって、波に揺られていた。


 真夏の太陽が容赦なくキヨシを照りつける。水着姿であったから、肌がジリジリと焼かれていくのがなんとなくわかる気がした。


 辺りを見回すが、見えるのは丸みを帯びた水平線だけで、自分がどこにいるのかもわからない。

0

海の思い出

17/06/29 コメント:0件 糸井翼

「お母さんとの思い出は何かある?」
おばさんが尋ねた。なにかの取材みたいだった。私は大切な思い出を話すのはもったいない気がした。でも、誰かに話してしまいたい気もした。
「海に行ったの」

「ねえ、今から海におでかけしよっか」
突然のお母さんの提案に私は驚いた。
私の家はお金がなくて、旅行なんて行ったことがない。行けないものとわかっていたから、行きたいなんて一度も・・・

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海の名残

17/06/29 コメント:0件 かめかめ

「いらっしゃいませ」

 北風に髪をなぶられながらオーク材の重い扉を押しあけると深く暖かな声に出むかえられた。開店から間もないバーに客は居らず、カウンターの中で口髭をたくわえた店主がひとり、グラスを磨いている。カウンターの一番奥、壁にもたれるように彼女はスツールに腰かけた。

「お久しぶりです」

 紙製のコースターを差し出しながら店主が挨拶した。

1

記憶の海

17/06/28 コメント:0件 佐倉愛斗

 私は記憶の海に潜ることができる。
 目を閉じて両耳に人差し指をつっこむと、海の音がする。実際は指と耳の皮膚が微かに擦れている音らしい。それでも私は「記憶の海」と呼んでいる。
 記憶の海は誰か知らない人の記憶だ。潜ってみると様々な人間の記憶に出会う。最初は夢なのかと思っていたが、現在・過去・未来の知らない景色、匂い、音。そして知らない感情を追体験できる。
 その中で私は恋心という・・・

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Black wave

17/06/27 コメント:0件 ジョゼ


ああ、のまれる。

黒くうねった波が容赦なく身体にぶちあたる。
一瞬にして沈んだ身体の周りを大なり小なりの泡がぼこぼこと水面に向かって急いで上って行く。
体中がいたい。
息が苦しい。
服が水を吸っている。
必死で手をかいて見たが水面に上がる事すら出来ない。
ただ海面は大荒れだった。
上がったところでまた新たな波にのまれてしまう。
・・・

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遅れてやってきた幸せ

17/06/27 コメント:1件 ちほ

 アグネス孤児院に、8歳のポムを欲しがる人が現れた。大農場主のフェロー氏だ。彼は、7歳の病弱な娘の話し相手を探していた。お嬢様に孤児院の子など乱暴な話だし、心を閉ざしているポムには無理だと誰もが彼の決意を翻させようとしたが、フェロー氏はどうしても欲しいと言う。彼がそこまでの想いをどうして抱くのか誰にもわからなかった。
           ◇
 ポムは孤児院の庭に立って、桜の枝々の間か・・・

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海の季節の中の私…

17/06/27 コメント:0件 seika

・・・潮騒が聞こえる。セーラー服を脱ぎ捨てて二、三ヶ月・・・わたしは友達のA美とともに、まだ白い肌だけどトロピカルプリントのティシャツにデニムショートパンツで防波堤の見えるネギ畑へと着ていた。あの防波堤を越えれば海なんだ・・・。足元の砂地には海星や貝殻が転がっている。やはり海なんだ・・・。
そして防波堤を見えた。そこには蒼青く広い海が広がっていた。生脚を潮風がくすぐる。十八の初夏のことだっ・・・

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水着と下着の違いってなんだ?

17/06/27 コメント:0件 欽ちゃん

2017年の夏
彼女と初めての夏
34歳にもなってこんなにも夏を待ち遠しく感じたことはなかった
人生で初めてできた15歳も年下の彼女
付き合って半年だがまだ手を繋ぐだけの健全な付き合いをしている
まぁ初めてがうまくいくか不安なだけなんだけど...
僕は彼女が大好きだ
犬に吠えられただけでビビる僕を見てもかわいいと笑ってくれる
彼女に臓器提供して彼女の・・・

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漁師と人魚、船の上

17/06/27 コメント:0件 まきのでら

 人魚を捕まえた。が、同時に漂流してしまった。
 もうひと月経つ。はじめは美しい人魚に歌を唄わせ、オイラがバンジョーを弾いて楽しんだ。
 人魚は後ろ手に荒縄で縛られてはいたものの、バンジョーに合わせて唄うのはまんざらではないようだった。
 
 港へ帰る途中、嵐に遭った。
 
 オイラの小舟は波に揉まれ、渦に巻かれて、気が付いたら見知らぬ海の真ん中にポツンと浮いて・・・

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2万分の1という愛と夢

17/06/27 コメント:0件 秋 ひのこ

「これを作ってほしい」
 老人がWに差し出した色褪せた写真は、どこかの海岸線。濃い色の海を臨む丘の上には灯台が建つ。入り江に沿って小さな漁村が広がり、山から単線列車が出てきたところだ。
 いかつい電動車椅子に身を納めた老人は、干し柿のような顔と、異様に細い足が不気味な威圧感を放つ。足の付け根で血が止まってしまわないか心配になるほど太い猫が、太ももの上にのっていた。
 
 W・・・

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八月のある日

17/06/27 コメント:0件 村崎紫

海に入ってしまわないよう、そう意識しながら砂浜をしっかりと踏みしめる。
肌が焼けているのだろう。じりじりとした感覚がして、少し痛い。今朝、最高気温を更新するかもしれないとアナウンサーが苦笑いを浮かべていたことを思い出す。真上からの日射しと砂浜からの照り返しで茹ってしまいそうだ。
足取りが重くなっていることに気付きながらも、目だけは動かし続けた。この時期はいつもより遊泳・・・

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海をまた好きになる

17/06/26 コメント:0件 麗蘭

私と彼は海で出会いました。
そういうと、ひどくロマンチックに聞こえるかもしれません。
しかし、現実はそう素敵なものではないのです。
なぜなら、私はそこに入水自殺するために行ったのですから。
私は今でもその日のことをはっきりと覚えています。
それは冷たい秋風が私の柔肌に食い込む、寒い日のことでした。
私はすべてのことに疲れ果ててしまっていたのです。
華道の家・・・

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セイレーンは声だけ残る。

17/06/26 コメント:0件 朽葉ノイズ

 八月もお盆を過ぎ、クラゲさんが出没する時期になった。海の家で一ヶ月間働くことになっていたわたしと、ネコミちゃんイヌルちゃん姉妹は、客足も減り、一段落ついた気分になっていた。
「ラッシーお姉様、ゲソ焼きでもいかがです?」
 イカの足を火であぶりながら、イヌルちゃんがわたしに今焼いているそれをススめる。
「こら、イヌル! お店のモノを勝手に自分のモノみたいに扱っちゃ駄目でしょ」

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ガラス細工のビーナス

17/06/26 コメント:0件 miccho

 彼女が転校してきたのは、確か二学期が始まって一週間も経たない日のことだったと思う。
 特産品と言えばアジの開きくらいしかない、このうらぶれた港街の中学校には、転校生なんてまず来ない。この街にやって来るのは、せいぜい落ち目の演歌歌手くらいだ。
 事件はその滅多にやって来ない転校生が黒板に自分の名前を書いた、その直後に起こった。

「海野幸と言います。東京から来ました」

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失恋したら海

17/06/25 コメント:0件 アシタバ

 彼女がエスパーであるわずかな可能性に賭けたのだ。
 毎日、職場のオフィスにて、彼女へ『好き』のテレパシーを送り続ける。
 直に言うのが恥ずかしいゆえの苦肉の策だった。
 それでも、いつか彼女が応えてくれる日を信じて待った。
 しかし、そんな日々が今朝で終焉を迎えた。
 人はこれを失恋と呼ぶらしい。
 どうやら彼女はエスパーでなかったらしいが、今になって気がつい・・・

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家訓やぶり

17/06/25 コメント:0件 忍川さとし

「海に近付いてはならない」

 我が家に、曾祖父から伝わる言葉だ。
 家訓と言うには気味悪く、訓戒とするには意味不明。こんな言葉を言い残された日には、子孫に伝える気も失せそうなものだが、代々我が家では、海に近付かないことを真面目に守って、日々を重ねてきたそうだ。

 そのくせ累代墓は、海を望む丘の上にある。もちろん行ったことは無いが、死んで初めて我が家の男は、海を見る・・・

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気泡

17/06/25 コメント:0件 じゅんこ


 自分の名前というのは、ひとが心理的にいちばん聞き取りやすいものなんだそうだ。つい振りかえって、がっかりしてしまった。
「傘忘れちゃって。よかったら、いれてもらっていいかな……」
 同じクラスの女の子。仕方ないなあと笑って、傘の花びら部分をうごかし二人分のスペースをつくる。それを確認し、彼女は礼をいって玄関から走り寄ってきた。
 ありがとう、を引き出させておきながら言われ・・・

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最 低

17/06/25 コメント:0件 ツチフル

 聞こえてくるのは、枯れ枝を踏む音。草木のさざめき。二人の息づかい。
 時おり、鳥たちの鳴き声。
 それから、波の音。
 木々に囲まれた遊歩道は、少しずつ勾配を増していく。
「大丈夫か?」
「うん」
 心配そうに聞く僕に、紗希は額の汗をぬぐいながら笑ってみせる。
「もう少しだからな」
 波の音はますます大きくなる。
 さらに十分ほど歩くと、ふい・・・

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てきとーなママ

17/06/24 コメント:0件 八王子

「どうして海はしょっぱいの?」
 息子の悪癖が始まった。
 色んなことに興味を持つのはいいことだけど、すぐそうやって私に聞いてくる。
 テレビや絵本を見る度に「どうして?」「なんで?」が絶対出てくる。
 ある時はこうだ。
「どうしてヒーローは強いの? 世界を救うとなにがもらえるの?」
 日曜の朝から起こされて、そんなことを聞かれてもなにも答えられるわけがない。<・・・

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門出

17/06/23 コメント:0件 秋 ひのこ

 中途半端に大きくて、子供の数の割りに小中高まで揃い、なんとなく大人になって、高卒でも島に残れば働き手として重宝され、結婚して子供を生んで、それなりに何不自由なく一生を過ごせてしまうこの島で私は生まれた。
 私は小さい頃からここが大嫌いだった。
 それは多分、本土から嫁にきた母がここを嫌っていたからだ。つまらない、下品、閉塞的。それが呪詛のように生まれる前から私の隅々に染み込んでいるの・・・

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ブルーハワイと彼氏候補

17/06/22 コメント:0件 榊真一

木製の長いドアノブ、それを引き暗い店内へと入っていく一人の女性。
ショートボブのダークブラウンの髪、ベージュのワンピース、スエードのハイヒールは髪と同じような暗い茶系。
リップにはグロスの赤、マスカラは眼をさりげなく強調している。
しかしその表情は何処となく寂しげである。
カウンターの中に居る店主は女性の姿を認めると、何も言わずに「ブルーハワイ」と言うカクテルを作り出した。・・・

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17/06/22 コメント:0件 PURIN

「この前海に行ったんだよ」

「えー! いいなー!」

「砂浜に巻貝みたいな貝があったから、中の音聞こうと思って耳に近づけてみたの」

「貝を耳に当てると波の音がするって言うもんね! どうだった?」

「『ぬる』って音がした」

「『ぬる』?」

「あれはもはや感触というより音だったよ… 何かと思って見てみたら、カタツムリが角・・・

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あの日、海に捨ててきたもの

17/06/22 コメント:0件 霜月秋介

「さあ皆さん、持ってきたゴミはきちんと持ち帰りましょうね!ここの海岸にゴミを捨てていった悪い子のところには、ゴミのオバケがやってくるそうですよ。わかりましたか?」

 先生の呼びかけに、元気に返事をする生徒達。どこの小学校だか知らないが、遠足でこの海岸を訪れたのだろう。その集団がいなくなると、さっきまで騒がしかった海岸が一気に静かになった。海岸に残っているのは俺とリサの二人だけだ。騒が・・・

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手帳

17/06/21 コメント:0件 千野

 半ば凍り付いた海原を背に、いまにも雪原に足を踏み入れんとする人間がいた。

 眠りに落ちる瞬間、ほんのわずかな時間の中で幻視するその姿は吹雪と暗がりのうちにかき消え、私は目を覚ます。幾度も繰り返し見てきた映画のような一連の場面はこのようにいつも同じ場所で終わる。それは私がいま存在しているこの場所で生きていく、ということを常に選択している限り、永劫に見続けるのであろう光景に他ならない。・・・

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波間の遺言

17/06/20 コメント:0件 すみのは

「柏木先生の遺言を、いただきに参りました」
 幾度この言葉を、きいただろう。大抵は日曜の朝十時。慣れたもので、私はすぐに母に取り次ぐ。来訪者は短いやりとり後、祖母がかつて使用していた部屋へと案内される。芸能人や著名人が、我が家の玄関先で落ち着きなく立っているのが奇妙ではあったが、祖母が残したのは物質ではなく、その人の運命とされる言葉、すなわち予言だった。
 祖母は客の来訪日時、名前を共・・・

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人魚-ningyo-

17/06/19 コメント:0件 紅茶愛好家

そのエメラルドグリーンに光る夢の中で僕は人魚を見た。五色に光る尾を持ち輝く真珠の装飾を纏っている。金貨の様に光る波打つ髪に覆われて顔色こそ見えないのだが口元はひどく美しい。白く華奢な手を伸ばし、僕の頬に触れそして微笑む。
「……しょう。また……う」
よく聞こえない。声が波音にかき消される。そこで僕はいつも目が覚める。起きると頬には彼女の余韻が残り、そっと耳を塞ぎ目を閉じると聞こえるのは・・・

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海に咲く花

17/06/19 コメント:0件 伊藤ルルミ

 マコトと出会ったのは、七月のはじめ、ボランティアのサークルでだった。

 そのサークルの掲示板には「みんなで浜辺のゴミ拾いをしましょう」と書いてあった。きたる海開きにそなえて、地元のみんなできれいにしておこうというのだ。

 マコトは、サークルの発起人でリーダーだった。
初参加の私を認めると、よく通った低い声で私の名前を呼び、ほほえんだ。少し緊張していた私は、マ・・・

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マザー

17/06/18 コメント:0件 miccho

 寝室の窓から差し込む朝日が眩しくて、ナオコはいつもより早く目を覚ました。窓の外ではツクツクボウシとミンミンゼミが夏の到来を告げていた。
 また、この季節がやってきたのだ。生臭い磯の香り、窒息しそうなほどの湿った空気。それら全てが、ナオコを陰鬱な気持ちにさせる。あれほど大好きだった季節は、今はナオコに真逆の感情を呼び起こさせる。

 朝食後、部屋の掃除に取り掛かった。以前使って・・・

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失敗だった…後悔の海

17/06/18 コメント:0件 seika

「失敗だった…。」
戸舞賛歌は後悔の海の真っ只中にいた。

「うるさい、文句言わずに黙っていう事きけ!!」
ドイツ文学者戸舞賛歌はそう怒鳴りさえすればいう事をきくと思っていた。口答えは一切許されない。いやならこの家から出て行けといえば・・・。
そして戸舞賛歌は仲間のナカノコーサクとミナトシュージを率いてお得意の登山に出かけていた。
「おい、陸別町って知っているか・・・

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海辺の彼女

17/06/18 コメント:0件 ひーろ

 ベンチにちょこんと小さく腰かけている彼女は、ほんとうに可愛かった。
 自動販売機で冷たい缶ジュースを二つ買って、彼女の待つベンチに戻る。
「はい、ソーダ」
 ふたを開けると、じゅわっと炭酸のはじける音がした。彼女は一瞬こちらに顔を向けただけで、なにも言わなかった。少し暑そうな様子で、シャツの襟元のあたりを時々ぱたぱたとさせているのに、僕の冷たく温かな思いやりを受け取ってはくれな・・・

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不時着

17/06/17 コメント:0件 林一

 ひどい故障だ。安物のロケットは、これだから信用できない。まだ出発したばかりだというのに。
 仕方がない。近くの星に不時着するか。SOSの無線を飛ばしておけば、いずれ救助がくるだろう。
 ダメだ。操縦がきかない。このスピードのまま海に突っ込んでしまったら、救助がくる前に即死だぞ。神様、どうか命だけはお助けください。

 なんとか助かったみたいだな。だがロケットは粉々だし、足・・・

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リ・ボーン

17/06/17 コメント:0件 奈尚

 ごぼごぼと耳の横であぶくがはじけた。
 頭のてっぺんからつま先まで、一つの大きな液体に包まれる。
 涙よりも、血よりも濃い生命の水。思わず大きく口を開け、身体の隅々までその液体で満たしてしまいたくなる。
 太陽と海底。納戸色の美しいグラデーション。陽の破片が海面に満ち、水中を優しく照らしている。
 その中にゆらりと広がる白いワンピース。長い亜麻色の毛髪が、白い布の上でまる・・・

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潮騒の恋人

17/06/16 コメント:0件 八潮七瀬

男は海が七つあることを知らなかった。それなのにこれ程に海に愛されている。
「君の故郷のトーキョーには、海はあるのかい」と彼は尋ねた。
目の前には彼の生まれ育った小さな街をずっと見守り続けてきた海が広がっている。大航海時代、貿易港として栄えた街だ。海に面した旧市街は赤みのかかった煉瓦で作られた古い建物が所狭しとひしめき合っている。
「あるわよ」と答えながら、東京の塩辛い海を思い出す・・・

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彼の海に溺れて

17/06/15 コメント:0件 どようび

 家には小さな庭がある。
 その庭には何も無かった。目を惹く美しい花も、二年前まで育てていた家庭菜園のトマトも。
 だから、自由だった。自由だったから私は、スコップを持ってきて穴を掘るのだった。
 かれこれ二十分弱、私はピンクのもってのおもちゃみたいなスコップで、時折屈伸をしては地中奥深くを目指し続けた。炎天下の中、私は汗にまみれていた。早くお風呂に入りたかった。欲を言うならそれ・・・

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彼女は馬とともに、海底へと飲まれる

17/06/14 コメント:2件 浅月庵

 同棲している彼女に携帯電話とパソコンを床に叩きつけられた瞬間、画面を這う亀裂と同様に俺の理性も崩壊した。
「お前ふざけんなよ!!」
 我慢の限界を迎えるのは、自分の想像よりもあまりに突発的だった。

 俺は家にある彼女の荷物を、人間が可能な限りの俊敏さで掻き集めた。考えられるものすべてを、数個の鞄のなかへ乱雑にぶち込む。
 俺は彼女の腕を掴み外へ引っ張り出すと、車の・・・

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兄ちゃんと海と缶コーヒー

17/06/14 コメント:0件 小峰綾子

私は内陸の地方都市で育ったので海に関して思い出というほどのものはない。だけど海に関する記憶で唯一印象に残っているのはあの秋の日だ。
 あの時私は小学校5年だったと思う。日曜日で、両親が何かの用事で一日出かけていて帰りも遅いため、食べるものは今日だけ特別、近くのスーパーで何か買って食べなさいとお金を渡されていた。
両親がいなくて好き放題、ご飯も好きなものを買っていい日なんてちょっと特別感・・・

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Mother ー還りたいと願ってー

17/06/14 コメント:4件 のあみっと二等兵

何時からか。私は何かと、決して近いとは言えない海を眺めに来ている。
全ての生物は海から生まれたって、見聞きした事があった。 母なる海。ほぼ地球を包み込む程の、広くて深い海水は、全ての生き物にとっての羊水だろうか。私の実母も、貴女のようにこんなに優しかったら。貴女みたいにもっともっと広くて深くて、けれど時には厳しくて。そんな女性だったら、憧れさえ抱けただろう。

まだまだ初夏では・・・

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若奥さんのプライベートビーチ

17/06/13 コメント:0件 風白高部

 私の心の中には海がある。
 それも日本海側の黒々とした、ちょっとばっちぃ海じゃない。コバルトブルーに透き通っていて、オシャレでロマンティックな海。うん、これ大事。
 もちろん浜辺にはゴミ一つなく、白い砂の絨毯がどこまでも続いている。私はそんな南国ビーチにパラソル立ててサングラスかけて、ちょっと大胆な赤のビキニでビーチチェアでくつろぐ。そのお供はもちろん、トロピカルジュース。
 ・・・

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天女

17/06/13 コメント:0件 miccho

 真夏の太陽に呼応するかのように、油蝉の鳴き声が辺りに響き渡っていた。
 新太は夢中で自転車を漕いでいた。こんがりと日焼けした肌には、大粒の汗が滴っていた。
 ちょうど発車したところだろうか。一台の古びたバスとすれ違った。硫黄の混ざったような臭いの排気ガスにむせて、新太は一瞬顔をしかめた。
 視線の先に、バス停があった。陽炎が揺れるその先で、白く細い影がこちらに手を振っていた。<・・・

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足跡

17/06/12 コメント:0件 蹴沢缶九郎

海から吹く風は、肌を刺す様な冷たさがある。冬は寒さだけでなく、どこか厳しさや寂しさももたらすように感じる。

砂浜に残された二つの足跡がある。

歩幅の大きな足跡の傍に、歩幅の小さな足跡。

歩幅の小さな足跡は、時おり歩幅の大きな足跡の上を重なる様に残っている。

それまでずっと続いていた二つの足跡は、ある所で分かれ、そこから一つになった歩幅の大きな・・・

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俺は海が嫌いだ

17/06/12 コメント:1件 笹岡 拓也

俺は海が嫌いだ。
小学生の頃、じいちゃんが俺に
「明日海行くか!」
とにこかに言ってきた。その言葉を鵜呑みにした俺は、夜寝付けないほど興奮していた。明日は海で何しようかな?泳いだり、砂で城でも作ろうかな?楽しみで仕方なかった。
次の日、俺は海の用意をカバンに詰め、じいちゃんに言った。
「じいちゃん!海行こう!」
俺の言葉を聞いたじいちゃんは昨日とは違う反応をした・・・

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R

17/06/12 コメント:0件 キュー

初夏の陽射しがギラギラと眩しかった。潮のにおいとうねる波のざわめき。灼けた熱い砂の上にしゃがみこんだ息子のRは目の前いっぱいに広がる海を睨んでいる。生まれて初めて目にした海は三才のRにとってあまりにも大きすぎたのだろう。はかり知れない強い磁力のような波が迫ってくる畏れにひたすら圧倒されている。同時にうずうずと呼び覚まされる衝動が沸き上がっているはず。この「おおきさ」を自分のものにしたい――私だって・・・

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命ある所、星

17/06/11 コメント:2件 時雨薫

 奇妙な生物群だった。ポリエチレンをエネルギーに変える。神話が伝えるところの人類が植物の化石を消費して生きていた時代に、人類の造りだした環境に適応した進化した生物、ヤンはそう推測する。夢想的だ。人類が過去の生物の遺物を掘り出して生きていたなんてことがあろうか。
 私とヤンは砂浜の上を歩いている。私が足元の白い砂を両手にすくった。指の隙間から粒が漏れる。
「気をつけろよ。粒子が部品の間に・・・

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巡礼

17/06/11 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 ダクラは、そのしなやかに締まったあしを、力強く前に踏み出した。
 いくら地面がごつごつした石や、化石化した貝やサンゴの林におおわれていても、かれの前進はつねに揺るぎない自信にみちていた。
 さいしょのうちかれひとりだったこの巡礼の旅も、ながいあいだにはどこからともなくあらわれた、やはりおなじ目的をもった連中が、ひとりふえ、ふたりふえしながら、しだいにその数を増していった。
 ト・・・

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水平線

17/06/11 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

僕には思い出があった。
水平線を目指してずっとずっと海の先へ行ったこと。
浮き輪もなく、帽子もゴーグルも着けず、水着だけで進んで、進んで、ずっと先へ目指してとにかくがむしゃらに泳いだ。
当時8歳の僕はアンデルセンの童話の「人魚姫」の存在を本気で信じていた。
水平線の向こうに行けば、きっと人魚姫に会えると。
しかし、途中溺れてしまい、気がついたら砂浜の上にいたのを覚えて・・・

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ブラックホールがまだ子供だったころのこと

17/06/10 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 ブラックホールがまだ子供だったころは、それはもう手のつけられないワルガキだった。
 とにかく、目にふれるものならてあたりしだいすいこまずにはいられない性分で、広大無辺な宇宙の端から端をいったりきたりしては、あちこちに点点と虫が食ったような穴をあけてまわった。
 とはいえまだ子供なので、成長したブラックホールのように、星そのものをまるごとすいこめるほどの肺活量はさすがにもちあわせていな・・・

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ヤマアラシのジレンマ

17/06/10 コメント:0件 麗蘭

「オレは『ヤマアラシ』だから。それも…ジレンマから抜け出せない…ね」
そう言った彼の真意を、あの頃の私は何も知らなかった。







授業中に懐かしい言葉が聞こえて、私は閉じかけていたまぶたを開いた。
確か、そう、その台詞は彼が。
山中嵐が言っていた言葉だった。
私は先生の話に耳を傾ける。
「ヤマアラ・・・

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小さな幸せ

17/06/10 コメント:0件 ケロロ

「わあ、海だわ」
 瞳さんははしゃぐように言った。
 目の前にはどこまでも広がる青い海。沖には入道雲がそびえ立ち、浜辺は多くの人でにぎわっている。午後の日差しは強く、潮を含んだ暑い空気が体にまとわりついてくる。
 鎌倉で行われている障害者の交流イベントにボランティアとして参加した僕は、車いすに乗った瞳さんの付き添いになった。瞳さんは生まれつき足が悪いという。青いワンピースに麦藁帽・・・

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雲にストロー

17/06/09 コメント:0件 むろいち

  少年は首を傾げました。
 「海ってどんなの?」
 「海、初めて?」
 「初めて」
 「そうだな。海には水がいっぱいあるんだ」
 「どんぐり池みたいな?」
 「もーっと広いよ。空が地面にくっついたみたい」
 少女は片手で帽子を直しました。
 「へえ、そりゃ広そうだな。魚がいっぱいいるんでしょ?」
 「うん、あ、ここ段差」
 「はいはい」・・・

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人魚教授

17/06/09 コメント:0件 家永真早

 夏休み、実家に帰省した千紗は一人、浮き輪で海に浮かんでいた。離岸流に乗ってしまったのか、気付くと随分沖まで流されていた。浮き輪を降り、泳いで戻ろうにもなかなか進まない。慣れ親しんだ海だけれど、自然の力は大きかった。
 ライフガードの小舟が見え、助けを求めようとした時、大きな魚影が高速で千紗に向かって来た。
「うえっ!?」
 逃げる間もなく魚影は千紗の浮き輪を“掴み”、千紗もろと・・・

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ルアー

17/06/09 コメント:0件 林一

 海中で、魚の父子が仲良く泳いでいた。
「お父さん、お腹すいたよ」
「そうだな。エサでも探しに行こうか」
「うん」

「お父さん、あそこにエサがあるよ。早く食べようよ」
「よく見てごらん。あれはルアーていう偽物のエサでね、人間がお父さん達を騙して捕まえようとしているんだよ」
「そうだったんだ。気を付けないとダメだね」

「お父さん、あのエサはル・・・

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浅い、深い、気持ち。

17/06/08 コメント:0件 ナガイ

 人々は『海』ときいて何を思い浮かべるのだろうか?
青、夏、輝く太陽や晴れた空、海の家でのバイトの思い出や海水の塩気なんかだろうか?人によって様々であるに違いない。

『水族館』
私はこれだ。少なくとも今の私は。

 恋愛ものではなかったな、たしか、、何かのアニメーション映画。初デートでは気恥ずかしくて恋愛ものは見られなかったんだ。私の2回目のデートは水族館だっ・・・

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海の女神に魅せられて

17/06/08 コメント:0件 撫子

海のない県の田舎生まれの田舎育ち。。
そんな私が初めて海を見たのは横浜の山下公園からだった。
中華料理屋の一人娘の私は、電車を数時間乗り継ぎ、ずっとネットなどの情報で行きたいと思っていた中華街のとある店で食事を楽しみ、道中半ば押し売りのような形で買った甘栗を片手に公園から海を見ていた。
近くには大きな船のようなものが止まっている。どうやら中を見学できるようだが、あいにく気が向くこ・・・

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シャボン玉くん

17/06/07 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はるくんが、シャボン液を、ぷうっとふくと、シャボン玉くんがうまれました。
 シャボン玉くんは、
「はるくん、こんにちは。」
と、わらいます。

 風が、サァーっとふきました。
「はるくん、バイバイ」
 シャボン玉くんは、風にのって旅にでます。
 ふわふわ ふわふわ

 ツバメがとんできて、ききました。
「どこに行くの?」
「・・・

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海を愛した男

17/06/07 コメント:0件 笹峰霧子

 加奈子の住む町は海と山に囲まれていてレジャーといえば西方面の山か南方面の海へのドライブ。西方面と南方面では行く方向は違っても、行き着く先の県は同じというのが面白い。
海で思い出すのは一昔前は海水浴のこと。子供時代に加えてわが子が幼い時海に連れて行って泳がせたことだ。
 
 その頃の海は海水がとてもきれいだったが、現在は海水の悪化が影響しているのか海水浴場は閉鎖され、海岸へ降りて・・・

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名のない思い出

17/06/07 コメント:0件 浅月庵

 この世にバイバイ手を振るつもりなんて毛頭なかったけど、ほんのちょっぴり自暴自棄になっていたのは確か。
 友だちと喧嘩したこと、部活で調子が出ないこと、テストの点が悪かったこと、そのせいで母親に叱られたこと。
 良くないことがいっぺんに背中をドーンと押すもんだから、私はその勢いで自転車に乗ると、全力でペダルを漕いでいた。

 車に並んで国道を走り、三十分かけて高校から一番近・・・

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満潮

17/06/07 コメント:0件 なっぱ偽者

 青い海が広がっていた。どこまでも透き通るコバルトブルーは優しくきらきら輝いている。空も同じように青く広がっていて、さざ波の代わりに時折白い雲が浮かんでいた。
 
 そういう夢を見た。
 目が覚めたぼくは泣いていて、ぼろぼろと涙がこぼれている。隣では嫁がぐっすりと眠っている。なぜあの青い海の夢でこんなにも泣いているのかわからない。ただ、ただ、涙が止まらなくて、しまいには嗚咽が漏れ・・・

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「コバルトブルーの瞳」

17/06/07 コメント:0件 寛解男子

「コバルトブルーの瞳」
彼女は、コバルトブルーの瞳をしていた。あのサンゴ礁の海の底にしか見ることのできないコバルトブルー。オーシャンブルーである。それに彼女の瞳には小宇宙のように、キラキラ輝く星たちでいっぱいに広がっていた。じっと観ていると、吸い込まれそうだ。彼女は熱帯地方の海のダイビングの為に生きている。
彼女の名前は、海野青(うみのあお)友達からは、「アオ」と呼ばれている。アオはこ・・・

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雰囲気や感慨の調理法

17/06/06 コメント:0件 平岩 藩士


私の彼女は付き合い始めた時から、綺麗な景色や夏祭りの花火などの雰囲気や感慨深いことを大切にする人であった。
あいにく、私は昔から感慨深いものに興味がなかった。
そんな私たちが付き合い始めてから2年が過ぎた夏、ある海岸へ出かけた。
浜辺についた時には彼女は眠ってしまっていたので、私は彼女を叩き起こした。
すると、彼女は不機嫌そうにムクッと体を起こ・・・

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走る魔女 〜海からのプレゼント〜

17/06/06 コメント:0件 空 佳吹

 種子島から数キロ、東南にA島という無人島がある。
 この島の東海岸ぞいの丘には、十年前にG財閥(ざいばつ)が建てた別荘があった。

 あるきっかけで僕は、その別荘を入手し、一週間ほど前に引っ越してきた。
 理由は、静かな海が大好きで、別荘の近くの砂浜が実に良かったからだ。
 僕は毎朝、この砂浜を散歩しようと決めた。

 その朝も、五時頃に、普段着にショル・・・

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夏の浜辺

17/06/05 コメント:0件 風宮 雅俊

 もう何時間になるだろう、気が付けば宵の明星が光を放っていた。明日から始まる夏休みは二人にとって嬉しいものとは言えなかった。彼は家計を助けるために明日からバイトの掛け持ちの日々が待っていた。
 彼女は厳しい父親の下でスマホを持たせてもらえなかった。だから、夏休みは二人を切り裂く辛い期間でしかなかった。

 だから、辛い夏休みを乗り越えられる何かを、お互いに求めていた。

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海でいちばんのお姫さま

17/06/05 コメント:0件 瀧上ルーシー

 わたしはこの作られた海を泳ぐ。人魚の足ひれを使って海底を進んでいく。
 海底の街の中の一件の民家の中に入った。そこではカクカクのポリゴンで出来た人間が口以外どこも動かさず言いたいことを言っていた。ポリゴンで出来ているがわたしが持って生まれた知識では彼は人間だった。
「国は非正規雇用の最低時給を上げるべきだ。同一労働同一賃金!」
 そう大人の声で言い放つと十数秒もしないうちに違う・・・

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貝の風鈴

17/06/05 コメント:0件 深海映

 ちりん、ちりんと夏の音がした。

 カラン、カランと日差しを浴びて揺れる風鈴からは、海の音色がした。

 なんてきれい。風太がくれた風鈴を見ながら、私は目を細める。
 キラキラ光る、青や、水色の透明なビーズに、白い貝がらがついた風鈴。
 海へ行ったことはなかったけれどそこからは、確かに海の音色がするような気がした。
「もう秋なんだから、風鈴はしまったほう・・・

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天よ回れ

17/06/05 コメント:2件 家永真早

 のし掛かる水が、狭く暗い艦内の息苦しさに拍車をかけているように感じられた。海の底で、男達は死に向かっている。
 回天。大東亜戦争において、ミッドウェイ海戦敗北を機に、悪化の一途を辿る戦局を覆すべく、大日本帝国海軍により開発された特攻兵器、人呼んで人間魚雷である。『天を回らし戦局を逆転させる』兵器への搭乗を志願した若い兵達が、潜水艦の中で時を待っていた。
 菊水隊の初陣にて回天はウルシ・・・

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